最新の★《続・読書余論》は、ベルクソンの『物質と記憶』です。

 ザッカーバーグがもし大学生時代にこの本を読んでいたら、「メタバース」などというものに未来の無いことは理解できたはずです。

 この原著の仏語版は1896年に刊行され、それは1911年までに英訳されています。つまり古典です。

 ザッカーバーグ氏に続きたくない人は、《note》 https://note.com/187326mg/  を、ごらんください。

 次。
 Mun Dong Hui 記者による2022-10-21記事「N. Korea finalizes selection of workers to join reconstruction efforts in Russian-occupied parts of Ukraine」。
   北鮮は、11月前半にも、建設労務者をウクライナの露軍占領区へ送り込む。その労務者の選別作業は終わったという。

 労務者の募集は7月に開始されていた。人数は800人から1000人だという。

 派遣される労務者は、30人から60人の小集団として、ドンバスへ輸送される。

 派遣労務者は、北辺の町である羅先にあつめられて、そこから鉄道もしくは高麗航空により、ウラジオストックまで運ばれるという案のほかに、北京経由でモスクワまたはサンクトペテルスブルグまで空輸する案が検討されているという。

 ※ロシアとしては、こいつは鉄道でウクライナまで輸送できるかどうかを試したほうがいいだろう。そのルートで次には弾薬や火砲も「密送」できるからね。

 中共は、トランジットだけなら制裁違反にならないだろうと考えているという。

 かきあつめられた労務者は皆、平壌の郊外の出身という。

 次。
 Boyko Nikolov 記者による2022-10-22記事「China’s 4th-gen main battle tank may only have a two man crew」。
  CCTVが宣伝ビデオを流した。中共は次の「第四世代」戦車で乗員を2人に減らしてしまうと。

 中共現用の第一線級戦車は、「99式A」と「96式」である。

 96式はT-80相当。99式は米独戦車と同格だと威張っていた。
 99式は2011時点に部隊配備された。650両生産され、今は550両あり。
 96式は2500両あり。

 ※5年に一度の政治イベントにあわせてCCTVもヨイショ・フッテージを放映する必要があった。儒教圏では何でも宣伝第一だ。胡錦涛のじいさんが、髪を黒く染めることもゆるされず、ヨイヨイの態で議場から退席させられるところを、前後を編集カットした上で、延々と放映させていた。最初から「熊プーには誰もさからえないんだぞ」という、誰向けなのかよくわからない「謎演出」。というか日本人にはホントどうでもいい。ロシアが嘘に嘘を重ねつつ惨めに亡びて行くように、中共も、演出に演出を重ねつつ勝手に滅びてくれ。

 次。
 ストラテジーペイジの2022-10-22記事。
   T-62の大砲は115ミリながらスムーズボアなのであまり磨耗が気にならない。
 車内の弾薬は40発。
 当たらなくていいなら、4km先を狙って撃てる。
 路外の最高時速は40km/時。路上でも50km/時。
 車内燃料タンクのみで路上を走った場合は650km動ける。

 すでにウクライナでは200両以上の露軍の「T-62」が、うしなわれたという。

 次。
 John Hardie 記者による2022-10-20記事「China, Russia Deepen Partnership on Satellite Navigation」。
   中共とロシアは9月27日に調印した。北斗とグロナスの地上局を互いに自国領内に受け入れる、と。

 北斗の地上局×3箇所。これがロシア領内に設けられる。
 グロナスの地上局×3箇所。これが中共領内に設けられる。

 中共としては、農業をロボット化させる電波環境と、ロボット自動車運転の電波環境を、GPS抜きで整備する必要を痛感しているところなのだ。

 次。
 Emma Helfrich, Tyler Rogoway 記者による2022-10-21記事「Joint Taiwan-U.S. Weapons Production Considered As China’s Invasion Window Tapers」。
   『ニッケイ・アジア』が伝えたところによと、台湾の国産の対艦ミサイルである「雄風2」と「雄風3」の開発には米国企業が技術提供していて、そうした協力は合法なのだという。

 ※「雄風1」はイスラエルのガブリエル対艦ミサイルのコピーだった。「雄風2」はハープーンのコピー。「雄風3」はラムジェットなので何のコピーでもない。強いて言えば外見がスタンダードミサイルに似ているくらい?

 次。
 Howard Altman 記者による2022-10-21記事「Ukraine Has Received Over A Million Artillery Rounds From The U.S.」。
   米国はウクライナにすでに100万発以上の野砲弾を補給したことが分かった。DoDの公式発表。

 その内訳。
 普通の155粍榴弾が90万3000発。
 M982エクスカリバーが3000発。
 対戦車地雷散布弾RAAMSが7000発。(十五榴1発の中に地雷9個入り。)
 105mm榴弾が18万発。

 この弾薬の重さを合計すれば5万トン以上になるという。

 「HF1」と呼ばれる通常榴弾は、弾丸の重さが103ポンドで、その充填炸薬は23.8ポンド(10.79kg)。炸薬はTNTもしくは「IMX-101」(被弾しても誘爆を起こさぬ最新の鈍感爆薬。威力はTNTと互角)。メーカーはジェネラルダイナミクス社。

 ※米軍としては、古いTNT充填弾をすべて外国軍に援助してしまって、自軍を「IMX-101」充填弾だけで在庫一新してしまえたなら、悪くないだろうね。

 次。
 The Maritime Executive の2022-10-21記事「Tanker Avoids Two “Drone-Driven Explosions” at Port in Yemen」。
   金曜日の午後、30万トン積み巨大タンカー『Nissos Kea』が、無人爆装ボート×2の特攻をかろうじてかわした。イエメン沖で。

 「アシュ・シール」港内の積み込みブイに繋留して原油を呑み込んでいる作業中を襲われたようだ。
 タンカーは遠くからロボット艇の接近を探知し、すばやく反応して港外へ逃れた。

 タンカーはそのままアデン湾へ向かった。

 無人爆装艇がどうなったのかは不明。爆発は観測されていないという。
 下手人はフーシで、ボートはイラン製だろう。

 タンカーの所有はマーシャル諸島。今年3月就役の最新設備船である。スクラバーというタンク内洗浄装置がエコ化されている。

 次。
 『ワイヤード』の2022-10-22記事「Ukraine Could Never Afford to Bet on Starlink」。
   ヒラリー・クリントンはかつて、《ツイッター中毒の人物に権力の座を与えてはいけない》と警告した。イーロン・マスクがそれを実証しつつある。

 ウクライナ軍も米軍も、みずから政治家を気取る株式投資家に支配されている私企業に軍の基礎インフラを依拠するような馬鹿な真似はしないことが吉。

 次。
 Stephen Clark 記者による2022-10-18記事「Russia launches three satellite deployment missions in one week」。
   1週間のうちにたてつづけに、ソユーズ、プロトン、アンガラの3つのロケットが打ち上げられた。航法支援衛星、通信衛星、偵察衛星が軌道投入された。

 まず「ソユーズ2.1b」が10-10にプレセツクから打ち上げられ、1機のグロナスを軌道投入。
 軌道傾斜角は64.8度、高度は19100kmである。

 グロナス衛星も世代進化がある。このたび投入されたのは、「K」シリーズの5機目である。
 重量935kg。前の世代の「M」シリーズより軽い。それでありながら寿命は長いのだ(Mは7年、Kは10年という)。

 この打ち上げにより、グロナスはぜんぶで26機となり、うち22機が機能を発揮する。4機はメンテナンスモードという。
 じつはこのシステム、生きている衛星が24機なければ、サービスは不完全。地上の任意の地点から、常に3機の信号が受信できなくてはならないので。

 プロトン・ロケットは10-12にバイコヌール基地から発射された。「アンゴサット2」という、アンゴラ政府のための通信衛星を放出。
 プロトンは、衛星打ち上げ請負いビジネスの価格競争で「スペースX」に負けた上、国際経済制裁も喰らってしまい、前途は暗澹としている。

 この衛星の打ち上げスケジュールが画定されたのは、今次戦争の開戦より前である。
 だから、通信システムは「エアバス」社製。

 いまから3ヵ月くらいすると、この通信衛星は仕事を開始できる。アンゴラにとっての唯一の生きている通信衛星となるだろう。軌道は静止軌道。設計寿命は15年だ。

 ロシアはアンゴラの海岸に、地上管制局も建設してやり、そこで衛星管制の要員訓練もしてやっている。

 小型の「アンガラ」ロケットは10-15にプレセツクから発射された。
 この1段目のエンジンは3分半、燃焼する。
 明瞭に軍用の偵察衛星を放った。高度は337kmという低軌道。

 次。
 Daily Sabah の2022-10-19記事「Turkiye test-fires domestic ballistic missile over Black Sea」。
   トルコのロケトサン社が開発した短距離弾道ミサイル「Tayfun」が黒海に向けて試射された。
 561km飛翔してシノプ港沖に着水した。

 この以前には「Bora」という短距離SSMをトルコは国産していたが、射程が2倍になった。
 ラーンチャー車体は共有である可能性がある。


★《続・読書余論》アンリ・ベルクソン著、岡部聡夫tr.『物質と記憶』1995年刊


ウクライナの戦訓 台湾有事なら全滅するしかない中国人民解放軍