今度は「震洋」だ! ……次はそろそろ「回天」の番?

 Howard Altman, Stetson Payne, Tyler Rogoway 記者による2022-10-29記事「Ukraine Unleashes Mass Kamikaze Drone Boat Attack On Russia’s Black Sea Fleet Headquarters」。
   セバストポリ軍港内で夜間に大爆発があり、フリゲート+掃海艦が撃破されたというルーモアあり。

 経空ドローン特攻と、複数の無人爆装ボートによる同時攻撃だったようだ。

 爆装艇は、9月前半にクリミアの海岸に打ち上げられていたものと同タイプだろう。※サットン氏の9-21記事あり。


 その時点で、エンジンはジェットスキー用の転用だと見当がついていた。
 また、起爆信管は衝突ショックで作動するタイプであるということも。

 露側の発表では空からきたドローンはすべて撃墜した。また英国の特技者たちが関係しているに違いない、と、例によって何の証拠も挙げずに断定している。

 4月にミサイル巡洋艦『モスクワ』を撃沈されたあと、黒海艦隊の旗艦は、アドミラル・グリゴロヴィッチ級フリゲートである『アドミラル・マカロフ』に変わっていたが、今回(10-29夜)はそいつがやられたらしい。命中直前までの、特攻艇からのFPVビデオが公表されている。えらい時代になった。

 ※都市に対してカリブルを撃ちまくっていた艦である。

 小型の警備艇がこの自爆ボートをかろうじてかわすFPV映像も公表されている。

 ※波が立っている海面では小型のボートはどうしても突進がきかない。FPVを見ても、かなり「ヨーイング」にゆさぶられているのがわかる。昔の水雷艇の襲撃とはどんな具合だったのか、なまなましく擬似体験できる。

 ロシア国防省は認めた。掃海艇の『イワン・ゴルベツ』が小破させられたと。しかしフリゲートの方はやられていないかのように、シカトしている。いつもの大本営発表だ。
 ロシア国防省によると、現地の未明4時20分に攻撃があったそうである。

 セワストポリ軍港は、防雷網(boom net)によって入り口がガードされているのだが、無人艇がそれを乗り越えて中に入ったのかどうかは不明。
 ロシア側は、ユジナヤ湾の入り口を結界していたブームネットが爆破されたことを認めている。

 ロシア側発表では、同時に9機の航空特攻と、7杯の洋上特攻が試みられたと。

 例の「アリババ・ドローン」が使われたのかどうかは未詳だ。

 ※ブルームズバーグによると、カリニングラードから抽出されていた1万2000人は、すでにウクライナ戦線にて全滅した。

 ※HIMARSが射程ギリギリの敵の後方鉄道線を砲撃。石油タンク列車が大炎上している。

 ※ウクライナ軍発表によると、M777でこれまですでに2ユニットのS-400を破壊したそうである。

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 Bloomberg の2022-10-26記事「Ford, VW will shut Argo AI self-driving joint venture」。
   フォードの先端技術開発部長は、投了した。「アルゴ AI」という無人タクシーを開発するべく、これまで巨費を投じてきたのだが、混雑した市街地で流しのタクシーをAIにさせるのは、人を月面へ送るよりも難事業だと認定した。

 フォルクスワーゲンとも合同で努力してきたけれども、両社ともに手を引く。ロボットタクシーは無理だ。

 人間が操縦し、マシンはそれはアシストする。そういうシステムを当面は、めざすしかない。

 フォードは27億ドルの損失を計上することになるだろう。2016年から開発スタートしていた。

 ※お手元に2018年刊の『米中AI大戦』(並木書房)がある方は、41ページを開いて見て欲しい。そこに「アルゴAI」を紹介した写真と解説が載っています。とうじの個人的な予想として、「2殺択1」問題(広義のトロッコ問題)が大ネックになるだろうと書いておいたが、まず、当たったんじゃなかろうか? あと、近年の米国の大都市の場合、「窃盗対策」ですよ。商店がえらいことになってるからね。無人タクシーだって、堂々と部品どりされちゃうに決まってるんで……。ついでに今後の予想。無人交通システムは「鉄道」が有望。われわれは「鉄道を再発明」する必要があります。車輪の再発明じゃなくてね。ウクライナがそれに気付かせてくれたよ。

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 Ashish Dangwal 記者による2022-10-29記事「‘Historic Kill’: German Navy Successfully Shoots Down UAVs Using High-Energy Laser Weapon Mounted On A Frigate」。
  10-27ドイツ軍発表。フリゲートの『Sachsen』に搭載したレーザー高角砲によって、ターゲットドローンを撃墜することに、初めて成功せり。

 この実験はバルト海にて8-30に実施されていた。それをようやく、発表。
 出力や撃墜距離は、非公表のようだ。

 ※ロシアは人工衛星を地上からのレーザー照射で機能損傷させてやるための基地を1箇所、建設中だという。

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 Seth Robson and Hana Kusumoto 記者による2022-10-28記事「Air Force to replace F-15s on Okinawa with more advanced fighters on rotation」。
   嘉手納にこれまで常駐していた米空軍のF-15戦闘機の2個スコードロンは、これから2年かけて全機撤収する。
 そのあとは、アラスカのF-22スコードロンが、ローテーションで嘉手納に飛来するように変わるであろう。

 ※過去10年以上、ローテーション展開専用部隊として研究が重ねられてきたF-22が、いよいよ沖縄に「半常駐」を開始する。有事になったら嘉手納以外のあちこちの滑走路も使うつもりは満々と見た。家族を帯同しない。これは本気だ。

 嘉手納のF-15C/Dは、かれこれ三十年以上も使っているものなので、これにて「退役」となる。くたびれているのだ。

 F-22は、さっそく11月から飛来する。配備期間は半年となるであろう。したがって嘉手納所在の米軍戦闘機の数は、これからも減ることはない。むしろ、一時的には、F-15の退役ペースを、F-22の増派ペースが上回って、在沖の戦闘機数がサージするはず。

 嘉手納にはいま、第18ウイング麾下の、第44戦闘機スコードロン、ならびに第67戦闘機スコードロンが常駐していて、F-15は定数として計48機。
 米空軍は、この嘉手納以外の基地には、F-16を三沢に常駐させている。それが空軍の戦闘機のすべてである。(あとは海軍と海兵隊の航空隊。)

 常駐からローテーションになれば、なにが変わるか。まずDoDは、カネを節約できる。空軍将兵のたくさんの家族を沖縄に住まわせておく経費は莫大なのだ。

 ※対支有事となれば沖縄のすべての飛行場には数百発のミサイル攻撃が降り注ぐわけで、嘉手納周辺に米軍の家族なんか置いているとそれが「人質」になってしまって、米国政府として手足を縛られてしまう不都合があった。なにしろ沖縄では分散的な「地下壕」を整備することもできぬ。日本政府もそんな面倒は背負いこめなかった。すべては良い方向に動いている。在沖米空軍の主力が、ユニットごとに田舎飛行場を利用できるように研究されているF-22で置換されることにより、これから中共軍は何千発のSSMを用意しようが、米空軍の活動を止められなくなる。めでたし。

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 AFPの2022-10-27記事「US says atomic arms to deter conventional as well as nuclear attacks」。
   木曜公表の戦略文書でペンタゴンは要求した。これからは民間の原発が通常兵器で攻撃されることも想定し、各社はその対策をすべし。もちろん、原発が核攻撃されることも想定して対策を講じなさい。

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 Boyko Nikolov 記者による2022-10-22記事「What did Moscow give Tehran to get thousands of Iranian UAVs?」。
   イランはロシアからどんな代価を貰うのだろうか?
 エジプト工場でのノックダウン向けに製造されたスホイ35の部品を24機分、イランに売ったという話がすでにある。

 イランはS-400/500 級のSAMも欲しいはずだ。

 ※雑報によると、スロヴェニアがウクライナへ寄贈した「M-55S」は、T-55の主砲を「105mm L7」に換装したものである。これが実戦場でどのくらいの抗堪性を発揮できるものなのかを注視したい。わが「七四式」を改造した場合に、生存率がいかほどになり得るのか、そこから占うことができよう。



米中「AI大戦」


ウクライナの戦訓 台湾有事なら全滅するしかない中国人民解放軍