HIMARSのタングステンペレットの写真が投稿されている。径5ミリもないくせに、トラックのディフェレンシャルギアのケーシングに穴を開ける威力!

 これが曳火だと1万8200粒も頭上から降り注ぐとは……ソフトスキンはひとたまりもねえ!

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 Defense Express の2022-11-1記事「What is the Real Price of russian Missiles: About the Cost of ‘Kalibr’, Kh-101 and ‘Iskander’ Missiles」。
   『フォーブズ』の調べによると、「Kh-101」の単価は1300万米ドル相当。カリブルは650万ドル相当。イスカンデル(タイプは無視)は300万ドル相当。オニクスは125万ドル相当。「Kh-22」は100万ドル相当。「トチカ-U」は30万ドル相当――だそうである。

 じつにいいかげんな数値だ。

 『フォーブズ』は算出の根拠を示していない。ひとつだけ想像がつくのは、2006年にインドが28基の「Klub-S 3M-14E」(カリブルの輸出型)を1億8400万ドルで買っている。すなわち1基は650万ドル。

 しかしこのインドの輸入契約は、他のサービスもコミになっているものだから、その総額を28で除してもミサイルの単価にはならないはずだ。

 「Kh-101」の単価推定は、たんにカリブルの推定値を2倍にしただけだろう。これで原稿料が稼げるとは、いい商売だ。

 イスカンデルの弾道弾タイプ(9M723)と巡航ミサイルタイプ(R-500)を同額としているのもいただけない。弾道弾のほうがはるかに高額になるというのが相場の常識である。

 オニクスの値付けは低すぎる。インドでそれをライセンス生産している「ブラモス」の単価は485万ドルである。これはインドの『ビジネス・スタンダード』紙が報じている。今年9月の契約書の写真があるので正確だ。

 やはりインドの調達価額から、射程が300kmしかない旧型の「ブラモス」は1発のコストが320万ドルから350万ドルの範囲であることがわかっている。

 バックファイアから発射されている空対地ミサイル「Kh-22」は60年代から生産が開始され、80年代に製造は終っている。その単価について過去、ただの一度も報道されたことはない。

 参考の数値。2022年度予算で計上されている「トマホーク ブロックV」(最新バージョン)の単価は200万ドルである。

 そこから考えてカリブルが650万ドルという推定値は、高すぎないか。
 トマホークよりも単価は低いと考えるのが、むしろ穏当だ。

 われらの推定を示そう。カリブルはせいぜい高く見積もったとしても1発100万ドル以下で製造されている。ロシア国内のメディアは、その1発が30万ドルから35万ドルだと報じているのだ。

 イスカンデルの巡航ミサイルバージョンである「R-500」、ならびに空中発射型巡航ミサイル「Kh-555」も、カリブルと近似の単価だと考える。
 ツポレフ-92MSから空中発射される「Kh-101」は、外見をステルス形にしようという努力がされているので、それらより少しは高いであろう。

 イスカンデルの弾道ミサイルバージョンである「9M723」は、米軍のATACMSの同格品である。2012年にフィンランドは、70発のATACMS(M39 ブロック1A)を1億3200万ドルで輸入している。すなわち1発あたり188万ドルだ。その額には本体ハードウェア以外の雑サービスも按分されて上乗せされていることに留意が必要だ。

 イスカンデルの弾道弾は過去にアルメニアとアルジェリアに売られているけれども、どちらの商談も、価額は報じられていない。

 そこでわれらの試算値としては、イスカンデルの弾道弾型は1発が160万ドルから200万ドルの間だとしておく。

 まとめておこう。われらの推定では、「Kh-101」は1発120万ドル以下だ。「カリブル」の巡航ミサイルは、1発100万ドル以下。「イスカンデル」の巡航ミサイル型は、100万ドル以下。「イスカンデル」の弾道ミサイル型は200万ドル弱。「オニクス」超音速巡航ミサイルは、300万ドルというところだろう。

 プー之介は、戦時統制経済を発動させたらしいから、今後は、「値段」は発注者のロシア政府が一方的に決めることになる。メーカーの重役がその契約価額に文句を言えば、懲役10年が待っている。

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 Defense Express の2022-11-1記事「The russians Fired 83 Missiles and Kamikaze Drones at Civilian Objects in Ukraine on Monday」。
   ロシア狂犬軍は月曜日、「Kh-101」巡航ミサイルを55発と、「Kh-59」空対地ミサイルを1発、「S-300」地対地ミサイルを22発、特攻ドローン×5機を、ウクライナの民間目標に向けて放った。

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 Sergio Miller 記者による2022-11-1記事「Russian forces must retreat from the Dnipro before winter ? or face defeat」。
     ウクライナのサフチェンコ少将は予言する。11月末までに露軍はドニエプル右岸から撤退しないと、岸近くが結氷するために重門橋が使えなくなって、露軍部隊は左岸からの補給を受けられなくなると。

 ドニエプル河にはダムが6つある。その最下流のダムが、「ノヴァ・カホウカ 水力発電所」だ。露軍はこれを爆破することによってウクライナ軍が前進できないようにするつもりではないかという懸念。

 爆薬は4月から積み重ねられ始め、さいきんは閘門や支持構造にも爆薬を装置した。
 爆薬を荷台に満載した2台のKamazトラックも、常駐している。
 このダムが破壊されることにより、もっと下流にあるザポロッジア原発用の冷却水が干上がってしまう可能性もあるらしい。

 ダムの爆破の悪影響は、一帯の露軍部隊も蒙る。左岸の露軍は水浸しとなる。右岸所在の1500名は、孤立するであろう。まさに自爆テロだ。

 ヘルソン市も洪水被害はまぬがれないであろう。

 スターリンは1941-8に、ドニエプル河の水力発電所の爆破をNKVDに命じた。そのときの住民の水死者の数には、推計の幅があるが、2万人から12万人といわれている。しかも、ドイツ軍の前進は「洪水作戦」では止められなかった。

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 Boyko Nikolov 記者による2022-11-1記事「China to load its fighters in the future at Formula 1 box-stop speed」。
   ユーチューブにおめでたいビデオが投稿された。中共空軍は将来、着陸した戦闘機への燃弾補給を1分以内に完了させて再び離陸させるという。

 インド空軍のテジャス戦闘機は2018年からホットリフューリング、つまり地上でエンジンを回し続けている状態で燃料を満タンにする方式を演練しているが、中共空軍はいままでそれをやったことはないのである。できもせぬことをフカしているのだから、いい気なものだ。

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 Daily Sabah の2022-10-30記事「In-house built engines to power Turkiye’s cruise missiles」。
    トルコは、射程240kmの空対艦巡航ミサイルの動力とする「KTJ-3200」ターボジェットエンジンの大量生産に入る。メーカーはロケトサン社。

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 Lawrence Chung 記者による2022-11-1記事「Tsai Ing-wen tours facility set up with Lockheed Martin to service Taiwan’s F-16 fleet」。
   台中にはロックマートが2020-8に建設した、F-16のメンテナンス・センターがある。このたび、中華民国総統の蔡英文(民主進歩党)が工場訪問した。

 工場は台湾航空工業開発公社AIDCとの合弁である。
 この工場があるおかげで、米本土からスペアパーツが届くまで何ヵ月も待つようなことにはならずに済んでいる。修理は最速でなされる。

 ※一般徴兵を教育してやろうという意欲がぜんぜんないらしい不健全な「国軍」の文化伝統が残滓として沈殿している以上、台湾の基盤的・重層的な抑止力構築は難題である。この積弊を廓清するには、一般徴兵を国軍とは別建ての、新編の「地方防備隊」に入隊せしめ、そこで4ヵ月間、基礎教練させるように改革するのがよいだろう。その地方防備隊には米国の州兵が協力できるはずだ。ミリシャの伝統が無いポーランドで成功させた方式である。この方式に切り替えたならば、徴兵の服役年限を1年に延長する必要もない。4ヵ月でじゅうぶんだと思う。そうと決まれば、事態は明朗化し、現与党も次の地方選挙/国政選挙で不人気にはならずに済むだろう。国軍に志願したい者は、地方防備隊の4ヵ月を修了したあとで正規兵に編入し、こんどは国軍の兵営にて「後期基礎教育」を受ける。このような仕組みにすることで、台湾軍内の党派的分裂は長期的に解消される。

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 Sakshi Tiwari 記者による2022-11-1記事「Ukraine Selects English-Speaking Pilots To Train On Western Warplanes; Is US Sending Fighter Jets To Kyiv?」。
   ウクライナ空軍のスポークスマンいわく。英語ができる若いパイロットを数十名選抜し、国外に出張させて、西側製戦闘機の操縦を仕込んでもらうつもりだと。

 この数十名は初心者ではなく、すでに実戦の経験もある、最優秀の空中勤務者である。
 なお、どの機種を教えてもらうのかは、未定という。

 ※モルドバ上空を航過してウクライナ領に向かっているロシアの巡航ミサイルをなぜモルドバ軍は撃墜しないのかというと、それを撃墜できるSAMをひとつも持っていないからだそうだ。

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 The Maritime Executive の2022-10-31記事「Russian Forces Strike Two Tugboats at Ochakiv, Leaving Two Dead」。
   ヘルソンとオデーサの中間にあるオチャキウ。ドニエプル河口の穀物輸出港だが、ここの民間タグボート×2隻が露軍からの砲撃を受け、水夫2人が死亡した。

 ※雑報によると、ロシアのバシュキラ州(昔のキプチャク汗国)では動員ノルマが果たせないため、ついに医師までが二等兵にされつつあり。ステリタマク市で小児神経外科だった医師が10-25に即日招集。鉄砲を持たされて最前線へ。

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 Boyko Nikolov 記者による2022-11-1記事「Ukrainian weapons flood Suomi, gangs with branches in Ukraine ? KRP」。
   欧州には「バンディドス MC」という暴走族組織があって、ロック愛好会を装っているが実態は組織犯罪青年予備校である。このグループに類似した半グレ集団が他に複数ある。それらは全欧ネットを形成しており、最近では、ウクライナ国内から、火器、手榴弾、ドローンを西欧各地へ「密輸出」している。フィンランド、スウェーデン、オランダの「港」で摘発の報告が増えてきた。空港よりも官憲のチェックが甘いのだ。

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 Joseph Trevithick 記者による2022-11-1記事「Second U.S. Ballistic Missile Submarine Makes Unusual Appearance In Just Two Weeks」。
   異例にも、アラビア海のSSBNとは別のSSBNが、浮上してジブラルタルにわざとらしく寄港してみせ、「地中海にももう1隻あるからな」とプー之介を脅している。



ウクライナの戦訓 台湾有事なら全滅するしかない中国人民解放軍