米中間選挙の直前に、大きな特殊作戦を一回演出すべきなのに、それをしなかった/できなかったゼレンスキー氏は、戦争指導者として残念な評価を受けるだろう。

 1968-1のテト攻勢は、同年末の米大統領選挙を大きく左右し、超大国の継戦意欲を打ち砕いてしまった。政治的な大勝利である。ベトナム人にできたことが、ウクライナ政府にはできないのか? 米英からの「助言」に従っているだけでは、戦国のリーダーとは言えないのだ。

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 Boyko Nikolov 記者による2022-11-8記事「‘Russian Bayraktar’ ? it’s the loitering Lancet that continues to reap」。
    「ランセット-3」が絶好調だ。記者はこいつを「ロシアのバイラクタル」と呼びたい。
 すくなくも4門の「M777」十五榴と、1両の「Buk」SAM、ウクライナ国産の多連装ロケット砲車×1、M109自走十五榴×1、ポーランド製の「クラブ」自走十五榴、「S-300」も1両づつ、こいつにやられてしまった。

 運用レンジは5kgなので、露兵はものすごく近くに居てこいつを操縦していることになる。FPVで特攻させる双方向リモコンなので。

 電池動力で、巡航速度は100km/時以下と遅いのだが、最終衝突直線コースにおいて300km/時まで増速するから、気付いた敵兵は走って逃げるしかない。対応可能時間はほぼ無い。

 ※イスラエルの長射程対戦車ミサイルで似たようなものがあった気がするのだが、まさかそこから発展している?

 ※雑報をみるかぎりでも、露軍の特攻自爆機「ランセット」は着実に当たっている。そしてウクライナ軍は、労力を惜しんでいるのか無知なのか、牽引野砲やSAM台車にバラクーダ上空遮蔽(対空擬装)をさしかけないものだから、空からまるみえの状態で「ランセット」の直撃をくらっている。今のこの展開から、近未来の需品需要を容易に予測し得る。まずバラクーダ・ネットの素材そのものを頑丈にして、有翼弾をトラップできるような機能をもたせた商品が、これから売れるはずだ。すなわち「防雷網」の対空版だ。空母のバリアーネットの素材を転用できるだろう。そしてもうひとつ。砲熕砲兵はかならず深い叢林中に陣地進入することが、これからは鉄則になるだろう。そのさい、大掛かりに「射界清掃」をすることももうゆるされない。必要最小限の射界清掃にとどめて、樹冠を天然のバリアネットとして残さなければならない。そのさい、森林中でいかにして迅速に、砲口先の邪魔な枝だけを刈り払う? すでに中共に製品がある。レーザーで街路の邪魔な高枝を焼き落とせる商品があるのだ。これのミリタリー版を工夫することになるであろう。もちろん、対UAVの幻惑兵器とのデュアルパーパスを謳うであろう。

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 雑報によると露軍はAFVの車体前面に下水マンホールを熔接して増加装甲にしている。

 ※どうやらウクライナ人には迫撃砲弾のことを「マイン」と英訳する癖があるようだ。「ボム」ではなく。

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 Boyko Nikolov 記者による2022-11-8記事「Japan may supply Ukraine never exported Type 91 surface-to-air MANPADS」。
   「grandfleet.info」というメディアの飛ばし記事だが、2023から日本の「三原則」が変更されるので「91式」MNPADSをウクライナへ援助できるぞ、と言っている。英語版の『Nikkei』の記事がそのヒントらしい。

 ※雑報によると珠海に「TB2」のマルパク無人機がシナメーカーから出展された由。またインドネシアはトルコ製の短距離SSM「Khan」を買うことにした。これは中共の「M20」と同じものだと。レンジ280km、弾頭重量470kg。さらにインドネシアは艦載用に主翼を折畳式とした「TB3」をトルコから買って、《無人機空母》を運用してはどうか、とトルコから提案されている模様だ。

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 2022-11-7記事「Ukrainian rail industry needs a new Marshall Plan」。
   ウクライナ鉄道会社のCEOが、《復興マーシャルプラン》の機軸は鉄道再建にしてくれと言っている。 国家のライフラインそのものであるから、と。

 欧州委員会でも考えている。ウクライナとモルドバの鉄道は、欧州標準軌に改軌しなくてはならん、と。

 ところがウクライナの農家は異論を唱える。むしろポーランドが、ウクライナと同じ広軌ゲージに改軌すればいいじゃないか、と、じつに手前勝手なことをぬかしている。

 ※ネットで確かめるとポーランド鉄道はすでに1435ミリを使っている。すなわち欧州スタンダード・ゲージ。ちなみに大昔にロシア鉄道のゲージを決めたのは米国人の技術顧問で、帝政ロシア初の実験鉄道が幅6フィートでそれだとカネがかかりそうだったので、ざっくり1フィート減じて5フィート幅を提案したというのが真相らしい。これがまったく偶然に、ドイツゲージ(欧州標準軌)とロシアゲージの互換性をありえなくし、ドイツ軍によるモスクワ攻略を兵站面から不可能にしてしまったのである。

 ※故・宗像和広氏は、ヒトラーはアウトバーンを作るカネがあったらトラックを量産させるべきだった、とおっしゃっていたが、近年の鉄道史研究は、それとは違う結論を導き出してくれている。モスクワ攻略にはどうしても鉄道が不可欠であった。スターリンはすべての機関車と貨車をウラル以東へ撤収させていたので、それを埋める広軌仕様のディーゼル機関車、貨車の事前準備、そして鉄建連隊がドイツには多数、必要だったのだ。だいたい石油がないのがドイツの弱点なのだから、自動車に頼る対ソ戦の組み立ては、初手から間違いだったということにならざるを得ないのである。

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 2022-11-4記事「Why the Chinese see Budapest as the ideal rail freight entry to Europe」。
   中共の鉄道屋たちは、ハンガリーのブダペスト駅を、欧州と接合させる貨物路線のハブにしたいと念じている。

 現在、鉄道シルクロードは、〔ポーランドの?〕マワシェビチェ駅〔紙の地図上で見つけられぬ〕に経路変更を余儀なくされている。ウクライナ戦争のせいで。※そこで広軌を標準軌に積み替えるという意味だろう。とすればポーランドの東国境のどこかにあるはず。

 ウクライナ戦争の前は、ブダペストまで列車を簡単に乗り入れられたのだが。

 中共の「西安」駅が起点だ。そこからカザフスタンを横断して、露領、ウクライナ領と縫って、ハンガリーのザホニー駅(ブダペストの東にあり。リビウまで鉄道がのびている)にて、欧州標準軌に貨物を積み替えるようにしていたのだ。この戦争の前には。

 ザホニーまわりのルートは、マワシェビチェまわりの伝統的なルートよりも、日数が7日も節約できる。
 すなわち西安からブダペストまで、最速で14日で貨物を運べる。
 ザホニー駅は、高速道路とも接している。
 ブダペストからは、コンテナをルーマニアのコンスタンツァ港に出すこともできるし、ハンブルクまでドナウ河を遡行させても3日で荷物が着く。もちろん欧州標準軌の鉄道は四通八達。

 ※ハンガリー政府は今次戦争に関して異端的にロシア寄りのスタンス。その理由は、中共からのインフラ投資と貨物通関料収入が巨額だからなのだろう。

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 2022-11-4記事「A 3rd railway port between China and Kazakhstan: where is it?」。
   カザフと中共の国境には、三番目となる国境の駅が新設される。鉄道の新ルートとともに。
 新路線のゲージは1435ミリである。

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 2022-11-6記事「Aluminum-based material can scrub CO2 from coal-fired power plants’ exhaust」。
   ALFという素材。水酸化アルミと、蟻酸からつくる。有孔金属塊である。
 原料はすべて、ありふれた材料ゆえ、キロあたり1ドルもしない。

 しかしその機能が注目されている。これを石炭火力発電所の煙道に使えば、二酸化炭素が除去されるのだという。
 従来の二酸化炭素吸着プロセスよりも、コストが百分の一になるかもしれない。

 この物質は、二酸化炭素分子は通り抜けられるが、煙道ガスの主成分である窒素分子は通り抜けられないサイズの孔が無数に開いている立体構造だという。

 捕獲された二酸化炭素を使って、さらに蟻酸を生成できる。それによりサイクルのコストも下げられる。

 ※これで蒸気機関車も復活するだろう。

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 Deborah Haynes 記者による2022-11-8記事「Russia flew ?140m in cash and captured Western weapons to Iran in return for deadly drones, source claims」。
   ロシアはイリューシン76をイランに飛ばすついでに、戦場で回収した「NLAW」「ジャヴェリン」「スティンガー」の無傷のサンプルを手土産としてイランに進呈。1億4000万ドル相当の現ナマとともに。

 ※イラン人の能力からして、今から5年もすると、イラン版のジャヴェリンが登場するだろうね。

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 2022-11-8記事「Powerful Tandem of American Legendary TOW ATGM, HMMWV Armored Vehicle Spotted on Battlefield in Ukraine」。
   TOW発射専用仕様のHMMWVがウクライナの前線近くで撮影された。

 ※車体色は砂漠仕様のまま。中東向けのをそっくり転用させたのか。

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 Tanmay Kadam 記者による2022-11-8記事「Saudi F-15 Crashes Just Like Russian Su-30 Fighter; Catastrophic Loss Of Control Or Iranian Connection?」。
   サウジアラビアのキングアブドルアジス空軍基地にて、F-15Sが墜落した。ルーチンの夜間飛行訓練中に。事故は6日に起き、公報は7日になされた。

 搭乗員2名は安全にエジェクト。地上に被害は無い。

 ところが謎がある。CCTVが、10月25日に「タイフ」で墜落したというサウジのF-15の墜落動画を報道しているのだ。これについてサウジの広報は無い。

 これについてさらなる興味。イランの国防技術担当副大臣は10-23、ロシア製の「クラスカー」に似た、超長距離の電子妨害システムを400km先の偵察機に向けて作動させた、と発表しているのである。

 動画の墜落途中のF-15にはエンジン火災の兆候がない。

 「タイフ」はしかしイランから1000km以上、離れている。

 別の興味深い指摘。タイフのF-15の墜落状況は、イルクーツクでこの前おっこちた「スホイ30」と同じなのではないか。
 飛行制御チップが悪さをしているのではないか。

 ただしインド空軍のジャギュアパイロット氏は別な見解を持っている。「スホイ30SMのあれはマイナスGをかけちまって視力がうしなわれたんだよ」と。領収飛行テストで急なダイブをしたために。