今こそこの不気味な「前史」が再注目される価値があるのに、どの出版社もそこに気が付かぬとは……。なにからなにまで同じパターンであの国は「崩壊」へ向っている。
ウイッテによれば、ロシアが破滅するときには、ロシアの朝野に「オカルト」言説が満ちるという。それが兆候であるそうだ。
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Defense Express の2022-11-18記事「The russians Got Japanese Toyota HMV BXD10. How It Could Have Happened」。
トヨタの子会社の日野自動車製のメガクルーザー(HMV BXD10)を装備していた露軍部隊はブリヤートから来た第11空挺襲撃旅団。
ロシアはこの「HMV BX10」を「雪上車」の名目で輸入している。買い手にはトラクターの免許が要求されるという。
ロシアではこの手のSUVの市価は200万ルーブルというところ。
※重迫撃砲も牽引できるというので、中古とはいえなぜこんなものを日本がロシアに輸出させているのか、ウクライナ人がプンプン怒っていることが伝わってくる筆致だ。なおまたこの記者は、陸自が使ったあとのサープラスが中古車輸出にまわされていると信じている模様である。
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James Glanz and Marco Hernandez 記者による2022-11-17記事「How Ukraine Blew Up a Key Russian Bridge」。
ケルチ橋の爆破ポイントは、橋脚と橋脚のちょうど中間だった。それによって落橋という大ダメージを与えることができた。
しかし、米海軍の退役准将で、海軍史&ヘリテイジ・コマンドの長、サミュエル・コックスいわく。橋を落とすというのはすこぶる難しいことで、一発でこのような破壊に成功した例は過去には無い。
というのは橋梁の設計強度には安全係数がたっぷりととってあるからだ。異常なパワーの暴風波浪にすら耐えるので、爆薬ぐらいで攻撃されても小破で済むことがほとんどである。
依然としてわからないのが、起爆のタイミングをどう決めたのか。
もし自爆トラックだったなら、車道がアーチになっている高いところで起爆させないと、おいしくない。そのほうが、もっとはるかに損害を大きくできたのだ。
いずれにせよ、道路橋の修理は2023-3までかかり、鉄道橋の修理は2023-9までかかる見込み。
※雑報写真によれば11-18にドネツクのイロヴァイスク村の鉄道橋(立体クロスの陸橋?)を1発のHIMARSでヒット。みごとに軌間の中央で爆発し、RC陸橋桁に1.5m径の孔をあけたが、2本のレールはちょっと外側に広がっただけだ。すぐに修理できそうに見える。レールじたいは2kgのTNTでもねじまげられるものなのだから、これでは高額なミサイル資源の無駄遣いではないか? 鉄道破壊専用の弾頭を開発しなくてはいけない。弾殻を薄くして炸薬を増やし、信管は瞬発にするべきだろう。
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Isabel van Brugen 記者による2022-11-18記事「Russia Fires Mock Nuclear Warhead at Ukraine Kyiv」。
木曜日にキーウ上空で撃墜された、ロシアの空対地巡航ミサイル。なんと、核攻撃専用の「X-55」であった。
その核弾頭はもちろん入っておらず、同じ重量の計測装置が入っていた。これはテスト用もしくは訓練用のしつらえである。
つまり、敵は、爆発力はゼロと知っていて、敢えて「擬製弾」の核ミサイルを発射したのである。
SAMの吸引役にでもなれば良いと思ったのかもしれない。
通常弾頭の空対地巡航ミサイルが、ロシア空軍の弾庫からも、涸渇しつつあると見ていい。
※雑報によると「X-55」は1発が1300万ドルもする。ツポレフ95から発射する。
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「Former Russian mercenary: the truth about the Wagner Group」という記事。
2015年にワグネルに加わった男の証言。
プリゴジンには「ドンバスの王」になるという夢がある。それが彼の行動を説明すると。
しかし男は予言する。この戦争がおわったらプリゴジンはFSBによって始末されるだろう。その時期は、一般の予想よりも早いであろう。
この男は2016の米選挙向けの世論工作にも加わった。
こういう仕事の目的は、ロシア好みの米大統領を当選させることよりもむしろ、ロシア国内の大衆に向けて、俺たちはこんなにクールなんだぜ、と自慢することにある。ロシア大衆は、じぶんたちが米国政治の中枢にまで影響を与えていると信じさせられることで、チープなプライドを満足させられ、プーチン政体批判を忘れるようになるのである。
それで先日プリゴジンも「選挙工作はしたよ」とわざわざあらためて語ったわけ。すべて国内向けなのだ。
このような世論工作には、何の中味がある実りはないものである。2024にもね。