The Maritime Executive の2022-11-28記事「Italian Navy Assists Disabled Tanker After Pirates Steal Cargo」。
ナフサやディーゼル油などの石油製品を運搬する韓国のタンカー『B.オーシャン』は先週(11-23)、ギニア湾にて海賊に乗り込まれ、航行不能になっていた。それをイタリア海軍の警備艇(コルヴェット)『コマンダンテ・ボルシニ』が救助中。
コートジボアールのアビジャン港を目指しているものの、今週なかばの到着は無理だろう。
海賊は11-24に同船から去っている。
船長は韓国の船会社には事件を連絡していた。しかし水曜日から近辺コーストガードとの交信ができなくなっていた。
伊艦によると、現場に着いたところ、同船はアフリカ本土海岸から300海里沖を漂流していた。エンジンがかからないらしい。
伊艦からはヘリコプターを使って海兵隊員が同船に乗り込み、状況を確かめた。
19人の乗組員は負傷はしていないが金品を強奪されたという。
2022-1にもこの同じ船『B. Ocean』が海賊に襲われ、977トンの燃料を盗み取られたという。今回も同じパターンらしい。今回、海賊は、航法計器と無線機も破壊したそうだ。
当初は同船は日曜日(11-27)にアビジャン港に至れるのではないかといわれていたが、エンジンがかからない。それで伊海軍は、航洋タグを手配中。11-30にはアビジャンに着くだろう。
イタリア海軍は2019年からギニア湾の警備に出動している。
2022-4には、バラ積み貨物船が海賊に襲われかけていたのを、フリゲート艦で護衛した。
2020には、ベニン沖で海賊に乗り込まれたタンカーを救出するためにヘリコプターで海兵隊員を送り込んでいる。海賊はそれを見て逃亡した。
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Mike Stone 記者による2022-11-28記事「Exclusive: U.S. weighs sending 100-mile strike weapon to Ukraine」。
ボーイング社からペンタゴンへ提案中。
射程150kmで、しかも安価でコンパクトな、地対地ロケットを作れまっせ。これをウクライナに援助したらどうだす?
ボーイング社では、GLSDB=陸上発射式小径爆弾 と名づける。
米国はすでに、レンジ297kmのATACMSの供与はしないと決めている。
その代替案をボーイング社が考えた。
弾頭部分は、F-35から投下する小径爆弾(SDB)である「GBU-39」をそのまま転用する。そしてロケットモーターには、「M26」という既存のありふれた量産品を組み合わせる。
ある評者いわく。アフガンから撤収していらい、米軍には、航空機から投下する爆弾が腐るほど余ってしまっている。これを活用しない手はない。しかしウクライナ空軍機から投下させたくとも、あの戦場では有人機は飛べない。だから活用するとしたら、これらのストックの爆弾を、ロケット筒体と組み合わせるのがいい。
GBU-39は、単価が4万ドルである。
折畳翼を展張することでグライダーとなり、水平距離で100kmくらい遠くに落とすことができる。GPS誘導により、狙った点から1m以内に落ちる。
これを航空機からリリースするのではなく、ロケットにとりつけて腰ダメ発射にてまず高空へ到達せしめ、そこで切り離し、滑空させて150km先の露軍陣地を襲撃させればいい。終末誘導だから、ロケットじたいは無誘導でいいのだ。
※パラグライダー形の物量傘をGPS誘導化したものがあったよな? あれをストックの爆弾にとりつけて、てきとうなロケットで角度70度くらいで打ち上げて、前方数kmの敵陣に落下させてやれるのではないか? 重迫撃砲の代わりに。塹壕の真上で、火工品の爆発ボルトを発火させてコードを切断すればいい。
※雑報によるとウクライナ軍は「Google Meet」というソフトウェアを活用し、DJIの商用UAVが送信してくるライブビデオ画像を諸方で共有している。もし味方砲兵の位置が好適ならばそれを受信しつつ標的の座標を射撃すればよく、もし味方ATGM部隊の位置の方が好適ならばそこに移動して奇襲すればよい。
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Defense Express の2022-11-28記事「Russians “Stole” the An-2 to Convert It Into an Electric “Partizan”, But Something Went Wrong」。
古い「アントノフ2」のエンジンはソ連製の「ASH-621R」ピストン発動機だった。これをハネウェル製のターボプロップ「TPE331-12」に換装し、プロペラはハーツェルの5枚羽根にし、機体をカーボンファイバー化したのが「TVS-2TDS」。ウクライナ製のSTOL複葉輸送機。
それをロシアがまたコピーして「TVS-2MS パロチザン」をこしらえようとしていたのだが、西側部品が調達できなくなり、頓挫している。
計画性能。荷物2.45トンを満載した場合、レンジ450km。空荷なら、4500km。
※雑報によると「殲20」がすでに200機も揃っているという。大増産中。また、各種戦闘機用のエンジンも、いまやすっかり国内製に切り替わりつつあると。
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Philip Obaji Jr. 記者による2022-11-27記事「Russia’s Secret Recruits Allegedly Abandoned, Starving, and Missing in Action」。
ワグネルは中央アフリカ共和国の反政府ゲリラをリクルートして8ヶ月前、つまり2月の開戦よりもさらに遡る2021-12から、ドンバス戦区に投入していた。その時点で約100名。
その成れの果てとみられるアフリカ兵の戦死体がすでに多数、発見されている。ワグネルは死体を回収せずに戦場に遺棄している。
『デイリー・ビースト』の調べでは、彼らはここ数ヵ月、給料を貰ってないし糧食補給も受けてないという。そのため住民からの略奪によって自活している。
※先般来ベラルーシに訓練駐屯させていた露兵は、ウクライナ東部戦域に転送されている模様。露兵は1日に600人戦死している。さらにその奥の露領の市では地下の公共防空シェルターをおびただしく掘っているところだと。
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Gemini News の2022-11-27記事「First-of-a-Kind Fishing Vessel Gently Vacuums Shellfish off the Bottom」。
『アークティック・パール』号は、地震探査船を改造し、世界初の装備を搭載した実験漁船である。
海底からパイプで、ヨーロッパザルガイ(食用二枚貝)を吸い上げんとす〔記事タイトルに「甲殻類」とあるのだが、ノルウェー語から英語に訳した者が貝=シェルフィッシュだと誤解していると疑われる。シェルフィッシュにはエビ、カニの意味しかないはず〕。今、バレンツ海に向っている。
ノルウェー政府は領海内での底引き網漁を、30年前から禁止している。
しかしこのシステムなら、底生生物の生態系を破壊しないだろうと期待されている。
この新システムは、非接触式に海底の貝をウォーターポンプで吸い上げる。選別メカが組み込まれていて、サイズの小さいものや混獲物は海中にて即、リリース。だから漁場を荒らさない。
開発したノルウェー・チームでは、完成までにこれまで5年を費やした。
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The Maritime Executive の2022-11-24記事「Startup Plans Alternative to Panama Canal with Automated Maglev System」。
フロリダ州にあるスタートアップの「ゼルグラトラン」社が提案。
コロムビア領内の、パナマ運河のちょっと南側に、運河と平行して、コンテナを電磁気浮動方式で移送する特別なトンネル(全長80~100マイル)を建設する。
太平洋側の港と、大西洋側の港には、特殊な埠頭施設が必要である。満載のコンテナ船から全自動でコンテナを次々に卸下し、トンネル入り口の荷物コンベヤー(リニヤモーター式)に載せる。トンネル出口ではぎゃくに、それを全自動で掬い上げて、待機している空のコンテナ船に積んでやれなくてはならない。
ゼルグラトラン社によると、リニアモーターの搬送速度は時速400マイルになるので、たったの30分で、反対側の海港にコンテナが届くという。
※大間と汐首岬の間にこの専用トンネルを掘るとすると陸地部分も含めて30kmでいいだろう。そこを時速340km以上で搬送するなら、5分とか10分のうちに、津軽海峡を越えて荷物を渡せる。ワープも同然だ。