駱駝の本はなんとかなりました(九拝)。あとはベトナムの自転車の本を宜しくお願いします!

 Jeff Schogol 記者による2022-12-9記事「Who is Paul Whelan, the Marine veteran left behind in Russia in the Griner-Bout prisoner swap?」
   元海兵隊員の犯罪者ポール・ウェランはひきつづいてロシアの監獄の鉄格子の中だ。
 ウェランはモスクワにて、自動車部品メーカーのセキュリティ担当部長として働いていたが、2018年にスパイ容疑で逮捕された。2年後、裁判所で16年の強制労働刑を言い渡されている。

 家族も、あまり彼の救出活動には熱心ではない。

 ウェランは1994から2008まで、海兵隊の予備役であった。2004-2~2004-8、そして2006-2~2006-12の二度、イラクに出征もしている。

 しかしウェランは素行が悪く、2008-1-14に、曹長から二等兵に降等された上で除隊させられせられた。
 軍法会議によると、こやつは窃盗、職務放棄、公文書偽造、他人の社会保険証番号の悪用、小切手詐欺、などを在職中に繰り返していた。

 NYT報道によれば、当初ロシアは、もし米政府がウェランを釈放してくれと頼むなら、そのかわりにヴァディム・クラシコフを釈放せよと要求した。クラシコフは殺人罪でドイツの刑務所に無期服役中の男。ベルリンにてチェチェン分離主義者を暗殺したのだ。

 またロシアは、このクラシコフの釈放を条件に、グリナー(バスケ選手)+ウェランを交換釈放する、とももちかけていた。しかし11月になり、提案を改めた。こんどは、グリナーとひきかえにボウト(武器密輸商)を交換釈放せよと。

 というわけで、このたびはホワイトハウスが「グリナーかウェランか」の選択をしたわけではないのである。
 ※米国内のキチガイ右翼は、ウェランを愛国者のようにもちあげてバイデンを叩いている。たしかにグリナーは反米スタンスのしょうもない人物だろうが、ウェランとは比較にならん。

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 Adam Taylor and Claire Parker 記者による2022-12-9記事「Who is Viktor Bout, Russian arms dealer swapped for Brittney Griner?」。
    ヴィクトル・ボウト〔ニコラス・ケイジ主演の映画のモデルとされる〕は55歳。元、露軍の通訳。ソ連崩壊後に国際航空運送業に進出。

 ボウトは2008にタイで逮捕された。ひっかけ捜査だった。
 コロムビアの革命軍に武器を供給した嫌疑について有罪とされ、そこで米国人の命を危なくしたというので、裁判で有罪を宣告され、イリノイ州の刑務所に刑期25年でブチ込まれていた。

 クレムリンは長年、ボウトの釈放を働きかけてきた。

 ※モスクワのショッピングモールを爆破したのはルカシェンコかもしれんぞ。外相をFSBに暗殺されたままで泣き寝入りはできぬから。やられたらやり返す。是大原則也。

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 ロイターの2022-12-10記事。
   カンサス州で、径36インチの原油パイプライン(油田から精油所へ向けて送り出している)から環境中への大漏出が始まってしまい、えらい騒ぎになっている。

 パイプラインを保有し運営している会社は「TCエナジー」社。

 パイプラインは全長が4324kmもある。2010年の運開いらい、漏出事故はこれで三度目だという。前回の事故では、漏れを止めるのに2週間を要した。

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 Boyko Nikolov 記者による2022-12-10記事「US allies pay $1B for new F-35’s computer ? twice as planned」。
   『ブルームバーグ』が12-9に報じた。F-35を買った諸国は、総額で10億ドル、追加でロックマートに支払わねばならぬ。というのは7億1200万ドルで開発できるはずだった新コンピュータ機能にどんどん追加費用が発生し、最終的に、それプラス、6億8000万ドル必要になったから。

 ※まさかこのおかげで空自がカニバリズム整備をしているわけ? でも最初から読めてたよね、こうなって行くであろうことは……。

 ソフトウェアを刷新したF-35の納品開始は2023-7と設定されていたが、それが大幅に遅れることも避けられないそうだ。

 すでにF-35を買っている諸国は、ソフトウェアのアップグレード費用の請求書を見て、これから、目玉が飛び出すはずである。

 ひとあし早く、豪州ジャーナリストが、F-35を買ったのは大きな誤りだったと政府を糾弾している。

 ※この流れの中から、日英伊共同開発のFXが正当化されるわけか。ネットテック企業大手による世界支配にひとびとが目を奪われていたあいだに、じつは、「ロックマート」という、米政府にも米議会にもまったく制御できなくなっている「スーパー越後屋」(おぬしもワルよのう)が成長していたと考えられる。外国政府の顧客にハードウェアを買わせたあとで、無制限にソフトウェアのアップデート費用を毟る合法スキームを、彼らは完成してしまった。

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 Joseph Trevithick 記者による2022-12-9記事「Russian Su-35s Could Soon Be Delivered To Iran, Pilots Trained Last Spring」。
   イランがロシアから「スホイ35」を来年の春に調達するのは確実だ。イラン人パイロットの飛行訓練を、来年春からロシア国内で開始するという。

 ※そのチップはどこから入手するんだよ? また真空管に戻すか?

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 Defense Express の2022-12-10記事「India Purchased French Carrier-Based Rafale M Fighters Instead of russia’s MiG-29K」。
  インド政府は26機買うことを決めた。フランスのダッソー社製「ラファールM」艦上戦闘機を。

 「マルチロール母艦搭載戦闘機」、略して「MRCBF」を、インド海軍は探し求めていた。候補としては、F/A-18 スーパーホーネットと「ミグ29K」も挙がっていた。

 ラファールMは、ミグ29Kより小型である。

 ※イタリアやトルコはもう無人機空母の建造に動き出している。インドはパキ相手に有人機+空母で買った勝利体験があるから、この古い路線からのがれられない。日本も同じだね。

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 Rojoef Manuel 記者による2022-12-9記事「Japan to Replace Armored Personnel Carriers With Patria’s Modular Vehicles」。
   AMVとは、「装甲モジュラー車両」の略号である。

 フィンランド企業のパトリア社が日本国内の工場で製造する。
 AMVの系列を採用するのは、日本が9ヵ国目である。

 パトリア社は、2018年から、日本の次期装輪APCに関して、日本と協働してきた。日本国内に支社を置いて。

 日本側にパトリア社の技術を移す、ライセンス交渉がこれから始まる。

 ※雑報によるとモロッコが初めて対ウクライナ武器支援に乗り出す。数十両の古いT-72を放出する見込み。

 ※ある考古学者がこんなことを書いている(ラクダの本の冒頭に引用されていた)。古代中東で製造されて遠くシナまで波及した、2頭曳き~4頭曳きのチャリオット。土地がよほど平滑でしかも無植生でもなければ、こうした多頭曳きの「戦車」は使いづらいものだ。むしろ1頭曳きを工夫した方が現実の役に立ったはずである。しかし古代人は敢てそうはしなかった。なぜか? かれらはまず、リアルのチャリオットに先立って、「神の勇姿」として、多頭曳き戦車のイメージを確立してしまっていたのだ。地上の王たちは、是が非でもその神の姿に似せて行かないと、どうにも権威が伴わぬように思われたわけである。……いやこの話、現代にもあるでしょう。MBTとか有人艦上戦闘機とか、こだわる必要がどこにあるんですかい?