それでも野球は回っている。

 David Hambling 記者による2022-12-20記事「Ukraine Is Fielding A ‘Heinz 57’ Fleet Of Heavy Drone Bombers Against Russian Forces」。
    今次ウクライナ戦争の初盤では、宇軍は2機種の攻撃型マルチコプターを用いた。ひとつはDJIの軽量市販機から30ミリの「Vog-17」対人擲弾改造爆弾を投下するもの。もうひとつは、馬力のある特製「R-18」マルチコプターから、対戦車手榴弾改造爆弾を投下するもの。

 これにさいきん、「Heinz 57」シリーズのパワフルなマルチコプター爆撃機が加わった。市場調達の機体をもとにし、一回の飛行ミッションのうちに、できるだけ多くの目標に爆弾を投下してやろうとしている。

 なんと、82ミリ迫撃砲弾の改造爆弾を6個も吊るして飛べるのである。1発の重さは7ポンドある。

 あるビデオでは、それがホバリングしている間に、ユーザーの郷土防衛軍が次の6発を吊るしてやれることが示されている。

 6月に台湾製の「リヴォルバー860」という特製オクトコプターがウクライナに寄贈されると大々的に報じられたことがあった。60ミリ迫撃砲弾を8発投下できるというのだが、今にいたるも、これがウクライナ戦線で使用されているというビデオ証拠はSNSにひとつも上がっていない。

 8月にはSNSに、レイアウトの異なるオクトコプターが登場した。8発の迫撃砲弾をチューブから垂直投下するようになっているもの。

 11-16にはまた別な機体がSNSに紹介された。
 そのうち1機は、6軸マルチコプターで、「リヴォルバー860」に似た回転弾倉を2個、抱えている。国産の「カザン E20」というものらしく、ペイロードが20kgもあると公称されている。弾倉はウクライナ製である。

 7月には、DJIの「メイトリス300」に、30ミリ擲弾改造爆弾×8発を連続投下できる回転弾倉をとりつけた機体もSNSに出た。

 10月に、露軍側のチェチェン部隊が1機の重爆ドローンを撃墜した。映像をみるとこれは英国製の「Malloy T-150」である。50ポンドの荷物を20マイル先に配達できるものだ。5月に英国からウクライナへ複数機が送られたことは確か。

 宇軍のドローンから壕内に手榴弾を投下され、まず1個は外に投げ捨てたが、次の1個の炸裂で負傷した模様がビデオに同時に撮影された露兵。『プラウダ』によると、ルストマン・クダイヌロフというドネツクの民兵で、今は入院中であるという。クダイヌロフは、連続して3個の手榴弾を投げ捨てたものの、4個目で負傷したのだという。

 ※ここで物体の自由落下運動についての基礎データを書いておく。重さに関係なく、物体は、リリースから4.5秒で、99.3m、自由落下する。5秒だと122.6m。4秒だと78.5mである。したがって、手榴弾が、スプーン剥離後に、4.5秒延時フューズが燃える型式だと、ドローンから投下する爆弾としてちょうどよい。対地高度計で100mを保っていさえすれば、着地と同時に爆発してくれる。敵兵はそれを壕外に投げ出すことはできないのである。

 10月にUpされたビデオでは、DJI「Matrice」が、ベラルーシ人の義勇志願兵の頭上に120ミリ迫撃砲弾を投下している。1発25ポンドはあるだろう。

 パワフルなマルチコプターは単価が高い。市価で2万ドル以上だ。小型機は2000ドルで済むのだが。

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 2022-12-20記事「Taiwan military to lengthen boot camp training for voluntary soldiers」。
   台湾の志願兵は、基礎教程が5週間、230時間だが、来年の1-1から、これを少し延ばすという。火曜日に国防省が発表。

 延長後の新兵教程は、8週間、380時間になる。

 実弾射撃も、現行では86発だが、来年からは160発にする。しかも寝射ちだけでなく、立射、膝射、夜間射撃もやらせる。

 なお志願兵ではない徴兵は、いままで通り。基礎教程が5週間で、そのあと中隊配属。

 2021年の数値で、台湾軍は21万5000人。うち志願者は16万人。残りを徴兵で埋めている。

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 The Maritime Executive の2022-12-18記事「Russian Fishing Vessel Goes Aground, Leaving Cargo of Crab for Locals」。
    占守とパラムシル島のあいだの海面には60ノットの強風が休まず吹き、雪で視界は利かず、波高は13フィート。蟹漁船の『オストロヴィノイ5』は走錨してパラムシルに座礁してしまった。木曜午後。
 乗員13名は無事。

 15トンの蟹は生きていたので逃げるに任せた。島の住民が拾うのも自由。

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 Tanmay Kadam 記者による2022-12-20記事「US Takes ‘Ukraine War’ Strategy To China; Will Equip Taiwan With Weapons From Its Own Military Stocks ? Reports」。
    ロックマートのCEOは、10-18にこう語っている。HIMARSの年産数を、今の60ユニットから96ユニットにしたい。しかしそれには数年かかる、と。

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 2022-12-20記事「Tandem solar cell achieves 32.5 percent efficiency」。
   シリコンのソーラーセルを一枚目、チタン石のソーラー石を二枚目にして、それらをタンデム構造にすると、太陽光を電力に変換する効率が32.5%にも達するという。

 一枚目で青色光を利用し、二枚目で赤色光を利用するのだという。

 ※こういうのも《エコ贔屓》の記事なのかもしれない。いつ実用化するかは謎なのだ。

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 Anna Nemtsova 記者による2022-12-18記事「Russia Can Finally See That Putin’s ‘Days Are Numbered’」。
   チェス名人のカスパロフは『デイリービースト』に対して語った。われわれはすでにプーチンの「終盤戦」に入っている。ロシアは戦争に負け、プーチン体制は崩壊する。問題は、それまでにあと何人が死なねばならないかだ。

 カスパロフいわく。プーチンはチェスをしたことはない。彼は政治にポーカーを適用することを好む。支配者となって22年、彼の頭は狂ったが、つぎのことはわかっている。この先、前線から、怒った将兵が武器を手に帰郷すれば、もはや彼はロシア支配を続けることはできない。

 先週、BBCのロシア語放送と、ロシア国内の一ローカル・メディアは、露兵の死者が1万人を超えたと報じた。
 またBBC解説によれば、真の数値は2万人を超えているはずで、全治し得ない負傷兵とトータルすると、9万人の損害ではないかという。

 カスパロフの提案。CIA長官のバーンズは、クレムリンの若手高官であるニコライ・パトルシェフをプーチンから離反させるがよい、と。

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 Daniel Boffey and Pjotr Sauer 記者による2022-12-20記事「‘We were allowed to be slaughtered’: calls by Russian forces intercepted」。
   露兵が禁止されている携帯電話で前線から郷里(モスクワから北東のコストロマ市)の母親へ話したこと(傍聴)。
 11月初旬のリマン市戦線。飲み水がまったく補給されないので、水溜りの水を濾して飲んでいる、と。

 リマンは5月に露軍が占領したが10月に宇軍が奪回している。ドネツク州。

 この兵隊のママへの通話。
 真正面の高層ビルを吹き飛ばしたいのに、その手段がない。「カリブル」巡航ミサイルでなくてはダメだ。しかしそれが無い。

 傍聴しているウクライナ軍の人いわく。
 2013年にロシア国防省は、スタッフのスマホをアイホンからロシア国産の「Yoto」に切り替えさせた。しかし人びとはアイホンも保持し続けた。けっきょく今では元の木阿弥。傍聴する側としては特に困難は生じていない。
 省の上層部の通信保全意識が低いのに、末端将兵にそれを期待できるわけがあろうか。