T-90の輸出バージョンである「S型」がウクライナで撃破されているのが4日に確認された。

 Matthew Roscoe 記者による2023-1-5記事「Nearly 1000 Russian soldiers reportedly killed in latest combat losses update」。
  ウクライナ国防省による最新の発表では、1月4日の一日だけで露兵が1000人近く死亡したと見られるそうだ。

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 Michael Drummond 記者による2023-1-6記事「Why is Bakhmut so important to Russia and a ‘thorn in the side of Putin’?」。
   ここ数ヵ月、なぜプーチンはワグネルを総動員してバフムト市に昼夜の猛攻を仕掛けさせているのか?

 位置が重要。ここからウクライナ軍がちょっと東へ進むと、クリミア半島全体が、ロストフやヴォルゴグラードの策源からトポグラフィックに切り離されてしまう。つまりクリミア半島全体をウクライナに回収されてしまうことになるのだ。プーチンが2014に得た戦果が、チャラになる。そうなったらプーチンの権威はゼロである。大衆によってモスクワの街灯に吊るされるまで5秒前ということになるであろう。

 プーチンの盟友のプリゴジンがバフムトの最前線を回って陣地工事を督励しているのもむべなるかな。プーチンが失脚すればプリゴジンの命もあるわけがないのだ。

 ※バフムトで露軍の残余を粉砕してしまえば、この戦争はウクライナの全面勝利で終る。勝利への道筋が見えてきたので、西側与国は対宇武器支援を加速させている。

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 Didier LAURAS 記者による2023-1-4記事「Deadly Ukraine strike reveals Russian tech weakness」。
   電波発信源をとらえて敵の位置を絞り込んで高価値目標を撃砕する戦法は、今にはじまったことじゃない。

 1996年、ロシアはチェチェンの分離派大統領のデュダエフをミサイルで爆殺した。デュダエフは、衛星経由の携帯電話を使っていたので、その位置を特定されたのである。

 あやうかったのは、2018年1月に在外の米軍が使用禁止した、フィットネスアプリの「ストラヴァ・ラブズ」だった。アフガニスタンとイラクとシリアに展開していた米兵たちがこれをモバイル端末に入れていたのだが、自己位置をリアルタイムでダダ漏れさせる機能が伴っており、敵が悧巧だったら、駐屯地内のフィットネスジムにピンポイントで砲弾が落下し、皆殺しにされていたところだった。

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 2023-1-6記事「Report: Private US Firm Feeding Illegal Spy Tech to British Intelligence to Target Russian Troops」。
 ※注意。この記事を出しているのはテヘランのメディアで、内容の出元はスプートニクである。そのスプートニクは「ザ・グレイゾーン」という聞いたことのない独立調査機関から話を聞いたという体裁になっている。すなわち一から十までロシア人の捏造宣伝だと疑えるパターンの拡散技法。

 米国のCIA本部の近くに「アノマリー6」という民間会社があり、ここが世界中のスマートフォンのデータを集めている。
 そこが、ウクライナに侵攻する前からロシア軍部隊のスマホ位置情報をすべて収集していて、英国政府にもその情報を売っている。

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 Matthew Mpoke Bigg 記者による2023-1-3記事「Ukraine Keeps Downing Russian Drones, but Price Tag Is High」。
   ウクライナ国防省のための助言機関の長がいわく。イラン製のドローンを80機も落としたのはけっこうなことだが、それを撃墜したSAMは、1発の価格がドローンの値段より7倍も高いじゃないかと。

 すなわち、「シャヘド136」は、1機が2万ドルだろう。
 それに対して「S-300」は14万ドルだろう。
 米国供与のNASAMSだと、1発が50万ドルだ。

 だがその比較は筋違いだと「戦争研究所」のアナリストは言う。発電所が破壊されたら多数の人々が不便を強いられる。その苦しみのコストと比較するべきである。ミサイル代の方が、安いはずだ、と。

 ウクライナ空軍のスポークスマンいわく。露軍は、「シャヘド136」をできるだけ撃墜されにくくするために、夜間、低空で、ドニプロ河の流れに沿って、放ってくる。川筋ならばギリギリの低空飛行となるので、遠くからのレーダー探知は難しくなるのだ。

 ※雑報によると「オルラン-10」が「VOG」擲弾改造爆弾を2発、収納して投下できるようにする小型コンテナーを〔左右翼下に?〕吊下するようになった。宇軍が電波妨害で墜落させた「オルラン-10」を調べて分かった。

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 Defense Express の2023-1-5記事「Сhair of German Bundestag Defense Committee Called to Send Marder IFV to Ukraine」。
   ドイツ連邦軍の「国防委員会」の長シュトラックツィンマーマンが、マルダーIFVをウクライナへ供給すべし、と政府に勧告した。

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 ストラテジーペイジの2023-1-5記事。
   ドイツが2015年から350両調達した「プーマ」IFV。重さ31.5トンあり、これだけあれば、14.5ミリ弾からの全周防禦が可能になる。兵装は30ミリ機関砲で、その砲塔は完全無人である。1両の値段は、100万ドルを少し超える。

 車体後部の天板にはTSWAという市街地自衛装置がついており、メイン砲塔とはまったく独立して、殺傷力ある40ミリ擲弾や、ノンリーサルなガス弾、閃光弾を、半径400mに投射できる。

 メルケル時代の大スキャンダルは、独軍主力IFVだったこの「プーマ」がスペアパーツ予算をつけられずに酷い整備状況になってしまい、調達から間もないのに、使い物にならぬコンディションのものが多数あることが隠せなくなったこと。

 さいわい、独軍にはその前の世代の大量のマルダーIFVもまだ残っている。最終的には2020年代のなかばまで使われる予定だが、退役も始まっている。

 ※プー之介を今のように狂わせてしまった主要な犯人のひとりとして、メルケルは歴史に刻まれるだろう。世界中がこいつのために尻拭いさせられているようなものだ。そのメルケルを選んだのはドイツ国民なのだから、ドイツ国民は税金をきっちり使って武器支援するのがとうぜんではないか。

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 2023-1-3記事「GTT halts operations in Russia」。
   液化天然ガスを輸送する専用タンカーや、専用貯蔵設備の技術サービスを提供している仏企業GTT社は、ロシアでの営業を終了した。次の注文は、もう取らない。

 同社は、砕氷型LNGタンカーを15隻ばかり、ロシアのために設計してやっていた。

 ※雑報によると、スロヴェニアから寄贈された「M-555」が、すでにウクライナ軍によって前線で使用されている。T-55の主砲を西側の105mm砲に換装し、FCSも西側製にし、付加装甲で防護力を増したもの。

 ※ここにフランス製の装輪戦車が加わるので、西側の105mm戦車砲を搭載するAFVがすくなくも2種、ウクライナ軍によって運用されることになるわけ。としたら、日本に余っている105mm戦車砲弾を譲渡できるチャンスではないか。米軍の輸送機で運んでもらえばいいだけだよ。何の問題もない。法律は後からついてくる。

 ※雑報によるとベトナム軍が、VTOLと固定翼のハイブリッドUAVを開発し、洋上でテスト飛行させた。4軸ローターで垂直に離陸し、1基のプッシャープロペラで水平飛行する。水平飛行用エンジンが電動なのか内燃機関なのかは写真からは不明。ベトナムですら立派なものが製作できているのに、わが日本軍ときたら……。