ウクライナ軍のSAMが味方の「ミグ29」を撃墜した。たぶんBukじゃないの? この問題はシースパロー供給後も続くぜ、絶対。

 SOFREPの2023-1-6記事「Ukraine Weapons Spotlight: M-109 Howitzer Fighting Russians in the Shadows」。
   ウクライナ軍にはかれこれすでに西側諸国から50両くらいも「M109」自走十五榴が寄贈されているはずだ。性能はともかく、数的には、155㎜SPの主力になっているだろう。

 ところがこのM109にかぎっては、なぜかほとんど動画が出てこない。目立たぬところで活躍していると信じられる。

 ※この記事にはM109の車内の発射動作のビデオがついていて、螺式閉鎖機を閉じた後に、ちっこい「火管」を挿入して拉縄のフックをひっかけて発火させる一連動作が面白い。車長がいちいち、信管の測合が正しいか、しっかりねじ込まれているかを目視と手触りでダブルチェックしている。こういうプロセスをぜんぶロボット任せにしてしまえば初弾は早く撃ち出せるのだろうが……。それよりも、SP1車に4人も5人も兵隊を詰め込まなくてはならないというところが、すでに現代軍隊向きではなくなっているのだろう。稀少な人手を贅沢に使い過ぎなのだ。

 ※ベースブリード式の新弾薬XM1128 がこのM109用にまもなく供給されるようである。レンジは30km以上になるようだ。もちろんM777からも発射できる。その場合のレンジは不明。

 ※米国はルーマニアにも相当の梃入れを進めている。第101空挺師団が現地に入ってルーマニア軍に稽古をつけているほか、コングスベルグとレイセオンが共同開発した最新型の地対艦ミサイル(亜音速だがステルス形状で100浬届く)の売却も決まった。

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 Jonathan Stempel 記者による2023-1-7記事「U.S. appeals court strikes down ban on bump stocks」。
   米連邦巡回控訴裁判所は金曜日、トランプ政権が2017のラスベガスホテル乱射事件(58人死)後に禁止した「バンプストック」(セミオートライフルを事実上、フルオートに変えてしまう特殊銃床)について、その販売禁止を決めるのは議会の法律であって、行政の匙加減(大統領の一存)ではないとした。つまり当分は流通が野放しになる。

 ATFの解釈では、すでに機関銃を禁止している連邦法があるので、それがバンプストックにも網をかけるのだとする。しかし今回の判決は、その解釈を否定したわけである。

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 Lisa Friedman 記者による2023-1-6記事「Biden Moves to End Doughnut Lures and Other Bear Hunting Tactics in Alaska」。
   米国立公園局は、アラスカの公有地で次の狩猟行為を禁ずる。ドーナッツを餌にして黒熊をおびきよせること、および、冬眠中の親子熊を、籠もり穴の中をライトで照らして射殺すること。これらの技法はトランプ政権が許可したのだが、それはもはや許可されない。すなわちオバマ時代の規則に戻す。

 また、新ルールでは、アラスカの野生保護区にては、オオカミの成獣・幼獣どちらも、巣穴内で殺すことはまかりならぬ。さらにまた、湖水上を渡渉しているカリブーを、モーターボートで追いかけて銃殺することも禁ずる。

 特に人間の喰う物で熊をおびき出そうとするのは、熊を人間社会に不自然に接近させることに直結し、甚だ有害。一般公衆を危険にさらす行為である。

 ちなみにトランプの息子のドナルドジュニアは、トロフィー(首剥製)集めに貪欲なプロ級ハンター。2020年にはアラスカでビッグゲーム(大物獣)を射ちまくる大会に出場した。

 しかしアラスカ州住人たちはオバマ=バイデンのこうした差し出口を愉快には思っていない。州権の侵害ではないかと怒っている。

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 ロイターの2023-1-4記事「Sources: Tokyo Gas Nears $4.6 Billion Deal to Buy US Natural Gas Producer Rockcliff」。
   東京ガスは、米国のロッククリフ・エナジー社が採掘する天然ガスを46億ドルで買い付ける。
 ロ社が掘っているのは、ルイジアナ州から東部テキサス州まで広がっているシェールガス帯で、「ヘインズヴィル・シェール」と呼ばれる地層。

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 Gary Mortimer 記者による2023-1-6記事「DJI is not allowed to exhibit at CES 2023」。
   国防総省は2022-10-5にDJI社を禁止企業リストに加えた。これによってDJIは、2023年のCES(一般消費者向け電子機器商品見本市、於ラスベガス)には出展ができなくされた。

 ※「CES2023」の開催は現地の1月5日〔あるウェブサイトは6日とす〕から1月8日だそうだ。

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 Boyko Nikolov 記者による2023-1-7記事「Ukrainian MiG-29 and Mi will fire the American 5-inch Zuni rockets」。
    このたび米国がウクライナに追加で援助すると決めた28億5000万ドルの物品。内訳としてたとえば、50両のブラドリー、100両のM-113、50両のMRAP。18両の「パラディン」SP。36門の牽引砲。

 RIM-7ミサイル。
 暗視装置、アサルトライフル、狙撃銃までも含まれている。

 注目されるのは「ズーニ」ロケット弾×4000発。これはヘリからぶっ放せるやつだが、ウクライナ軍の「ミグ29」にも吊下させるのではないか。空対空用途にも使えるロケット弾なので、これで「シャヘド136」を迎撃する足しにするのかもしれない。

 ズーニは、最大8km飛翔する。径5インチ。近年、これをレーザー誘導できるキットもある。
 米政府は、これが誘導式か非誘導式かをあきらかにしていない。しかし外野は、誘導式なのだろうと見ている。
 2010年代に、誘導式のズーニで移動標的を当ててみせている。

 機載とするばあいには、それぞれ専用のポッドも必要になる。

 ※雑報によると、レイセオンは、ポーランドのメーカーと2007年から、古い「SA-6」のシステム資産とスパローを合体させる開発研究を進めており、SA-6の後継である「Buk-M1」に適用するのは、お茶の子であろうとのこと。またチェコ企業も西欧企業と組んで類似の研究をしていたという。ウクライナは「Buk」を90両弱、保有しているので、防空能力は大強化される。

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 Sakshi Tiwari 記者による2023-1-7記事「Russia Wants Its Liaoning Aircraft Carrier Back That China Purchased From Ukraine For ‘A Few Bottles Of Vodka’」。
   ノヴォスチの報道。ロシアの自由民主党(という名の極右政党)の党首、カルギノフが1-5に吠えた。『遼寧』を買い戻そうじゃないかと。

 そして艦名を『ウラジミール・ジリノフスキー』にしようと。彼の党の創始者である。

 ※雑報によると、バフムトの近くには、岩塩と石膏の大貯蔵施設が複数あり、プリゴジンは、褒美としてそれを私有してもいいぞよとプー之介から言われている。だから必死でワグネルを戦闘させているのだという。

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 Defense Express の2023-1-7記事「Poland is Considering a Request from Ukraine to Donate its German-made Leopard tanks – Media」。
    ウォールストリートジャーナルのインタビューにポーランドの外交官が答えた。
 ポーランドはすでにウクライナに、T-72系の戦車240両を寄贈している。
 そしていま、ドイツ製の「レオパルト2」の供与を検討中である。

 ポーランド軍は240両以上の「レオ2」を保有している。これは2個戦車旅団分に相当。

 韓国と米国から届く戦車のペースが速まれば、この「レオ2」をそれだけ早くウクライナへ譲渡できる。

 どうやら、「レオ2」がウクライナに流れ込む流れは、かなり、固まりつつあるようだ。

 ポーランド軍が西暦2000年から持っている「レオパルト2PL」は、ドイツ軍の「2A4」型とイコールである。ちょっと古い。

 いま、西側諸国が保有している「レオ2」をぜんぶ数えると、1300両くらいになるはずだ。

 ※フィンランドの防衛委員会の長も、欧州諸国がやるならフィンランドも「レオ2」を供出すると、ものすごい積極的に発言している。

 ※インドネシアのニュースによると、三菱キャンター(ダンプトラック)にインドネシア軍が装甲鈑を貼り付けて改造した魔改造車両が、インドネシア領パプアに投入されている。

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 Clare Fitzgerald 記者による2023-1-7記事「Chinese Military Officials Reportedly Concerned Over US Air Force’s Rapid Dragon Palletized Weapon System」。
   中共がいまビビっているのは、米空軍が2022-11にノルウェー沖で実弾を使ってやってみせた戦術。
 C-130J輸送機から、最新式の空対艦ミサイルであるJASSMをバラバラとスウォームで放つ。

 遠距離スタンドオフなので、敵のSAMはこの投射母機(低速輸送機)を攻撃できない。しかも飛来するミサイルはスウォームなので、敵の防空システムは確実に飽和されてしまう。

 これを可能にする搭載パレットのシステムをロックマートでは「ラピッド・ドラゴン」と名づけている。
 こいつはC-17にも搭載できる。

 ラピッド・ドラゴンは、輸送機が高度3000フィートを飛んでいる状態で作動させる。

 ※この高度が絶妙だ。敵の艦載レーダーからすれば、はるか水平線の下となっていて探知ができない。C-130は輸送機としては敏捷だから、急な下降気流に遭ってもリカバリーできる。理論的にはもっと低く飛んでもいいが、それだといったん自由落下する巡航ミサイルが自力推進飛行を開始する前に波頭に叩かれてしまう。

 今はラピッドドラゴンはJASSMにだけ対応しているが、他の巡航ミサイルにも対応はできるだろう。

 この運用研究にかかわっている中佐いわく。母機としてMC-130Jは理想的だ。長さ3000フィートの自動車道路があれば、そこを臨時の滑走路にしてしまえるのでね。

 ※正面装備よりも弾薬が大事、とはまさにこのことだ。九州の基地から飛び立つ少数のF-2やF-35から少数の対艦ミサイルを放つのと、先島群島の直線道路に散在したC-130から数百発の対艦ミサイルを放つのと、どちらが中共はおそろしいと感じるのか。数百発の対艦ミサイルは、金額的には目玉が飛び出る桁になるが、多数の次世代型の戦闘攻撃機を調達・維持するよりはずっと安いのである。

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 Scott Savitz 記者による2023-1-7記事「Could Taiwan Defend with Uncrewed Surface Vessels?」。
    台湾はその防衛費200億ドルの1%チョイを割くだけで、無人爆装リモコンボートを1000隻、運用できる。これと機雷を組み合わせれば中共軍にはとても侵攻などできない。メンテナンス費用もとても安い。F-35などと比較にならない。しかも3年あればぜんぶ、揃ってしまうだろう。

 ※最近、ワシントン州立大学の学生たちは、3Dプリンターを使って、北太平洋の荒波にも平気な「半没艇」のミニチュア版を製作した。南米の麻薬組織は、今から十数年も前から、大西洋を横断できる有人潜航艇をFRPで建造できている。同じことがこれまで台湾国家になぜできなかったのかを考えることだ。問題は技術ではないのである。台湾国内の政治が前々から、どうかしているのである。機雷原もずっと以前には整備されていたのに、中共と宥和しようという勢力が、それをなくしてしまったのである。このように国内が分裂していて、平時工作に弱いことが、侵略者の目にはまことに好ターゲットと映る。まずそこから何とかしないとね。

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 Jake Epstein 記者による2023-1-7記事「Take a look at the Bradley, the battle-tested armored fighting vehicle the US is sending to Ukraine」。
    米国は50両のブラドリーをウクライナに供与するだけでなく、それ用の弾薬も供給しなくてはならない。とりあえずTOWは500発、25粍機関砲弾は25万発をつけてやるそうである。

 ※ブラドリーがウクライナ領内で撮影されたというのは嘘で、ブルガリア国内の映像であるという。ソースは「9 GAG」の「レイテストニュース」。

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 Boyko Nikolov 記者による2023-1-7記事「Russian tank crew compares T-72 and T-90M performance in Ukraine」。
   『イズヴェスチア』がT-90Mの車長にインタビューしたビデオが露国防省によって1-6に公式リリースされた。
 T-72との最大の違いはFCS「1A33-1」だという。FCSが良くなったということは、それだけ速く照準がつけられるということだ。
 後方監視カメラ付き。これはT-72にはなかった。おかげで車長は前だけ睨んでいればよくなった。

 また車載機関銃のNSVTは、軍でも警察でも使っている「Kort」に替わっているという。12.7ミリだが純国産(12.7×108㎜)で、初速860m/秒、有効レンジ2000m。

 FCSは「音声案内」付きだという。ドライバー用にも「音声案内」があるという。たとえばエンジン過熱を警告してくれるという。