今、緊急に求められているデバイスは、安いサーマルビデオカメラの映像から、下界の「鉄道レール」を自動で識別できる、軽易なAIソフトだ。

 荒野や森林の中に鉄道レールだけが延びており、その付近には住宅などが密集していない場所。それを特攻自爆機が内臓しているAI回路が、空中にて、自律的に判別できなくてはならない。

 そのAIチップは、戦地別のMAPデータを入れたメモリーチップを、参照しながら飛ぶ。事前の衛星偵察によって、敵の鉄道線路の座標式は既知である。もし、MAPデータには無い場所に「線路のようなもの」が見えたとしても、MAPを参照し続けているAIは、それは露軍によるデセプションだと看做し、相手にしない。

 ユーザーは、露軍の後方鉄道輸送を弱めてやりたい地域の範囲を、簡易なコマンド入力によって概略指定するだけ。その入力をしてから、飛ばしてやれば、あとはドローンが勝手に仕事を遂行してくれる。

 安価に大量生産された固定翼の爆装ドローンは、暗夜にスウォームで放出されるが、AIのランダム回路は、長い線路の同じ地点に2機以上を次々落下させるようなことをしない。
 すべての特攻ドローンが、毎回、常に違う箇所を爆破しようとするのだ。もちろん、線路の敷地に接して民家が建っていない場所だけが自動的に選ばれる。

 ドローンの飛行コースは、1機ごとに異なる。一直線に攻撃箇所へ向かうものもあれば、迂遠なコースをとるもの、複雑な之字運動をするものなど、てんでバラバラに攻めかかる。

 飛行中、衛星のナビ信号を参照するのは、途中の1~数箇所のウェイポイントに於いてのみ。そのウェイポイントも、AIがランダムにじぶんで決める。よって露軍側は、どこらへんでGPS攪乱信号を出していればよいものか、絞り込むことはできない。

 ウェイポイント以外では、ドローンは内臓のINS(ジャイロ慣性航法)を用いる。最終降下局面でも同様。そのフェイズではビデオ映像だけを頼りにレールに向かって突入自爆する。露軍のECMやスプーフィングは、INSにもビデオ信号にも、何の影響も与え得ぬ。

 飛行コースはランダム。しかも、長い鉄道線路のどこを爆破するかは、機体内臓のAIがその日の「ノリ」で決める。したがって露軍の高射部隊は、どこか特定の地点で待ち伏せても無駄。射程の長いSAMを広くグリッド展開するか、CAP戦闘機のAAMを使わなければ、このスウォーム攻撃を阻止することはできない。

 露軍がこのUAVに向けて放つ1発のミサイルのコストは、確実に、1機の特攻自爆機よりも高くなるであろう。露軍は、そのような防空戦闘を持続することは、できない。そして、鉄道輸送に極度に依存している最前線のロシア軍諸部隊は、急速に衰弱するはずだ。

 これが、今次ウクライナ戦争を唯物的に最速で終結させる道である。
 最速であるだけでなく、最小コストでもある。

 次。
 2023-1-9記事「Prime Minister of the Czech Republic Fiala writes wishes to Ukrainian defenders on the modernized T-72 tank」。
    チェコ共和国の首相がツイッターに書き込んだ。まもなくまとまった数のT-72をウクライナへ供与できると。
 チェコは120両のT-72を近代化改修して「T-72M4 CZ」にしている。そのうち90両を移転できる。資金は米国とオランダが出している。

 チェコには「エクスカリブル・アーミー」という軍事企業があり、AFVを再建修理したり、改修するのを得意としている。
 T-72の改修は、ステルンベルク市にある同社の工場にて行なわれつつあり。

 チェコはこの戦車の他に、タトラの「T815」8×8トラックをベースにした、戦車回収車「トレヴァ30」も1両、オマケにつける。キャビンは小銃弾に対して防弾。最大50トンのAFVをウインチで持ち上げられる。

 次。
 Defense Express の2023-1-10記事「Germany to Deliver Ukraine Rocket Launchers Mounted on Pickup Trucks」。
   7km先の移動目標にも命中させられる、径70ミリのレーザー誘導式ロケット弾。これをベルギーのタレス社が作っていて、ドイツは199万2000ユーロで2022-1にそれを発注している。

 ラインメンタル社はタレス社とともに、このロケット弾を7連装にして無人車両に搭載する発射システムを開発している。
 有人のピックアップトラックの荷台にも載せられるものだという。
 それをとりあえずドイツから20セット、ウクライナへ届けるであろう。

 ※L3ハリス社製の類似品が完成目前で足踏みしているのを出し抜いて戦場デビューするのか。

 次。
 Dipanjan Roy Chaudhury 記者による2023-1-9記事Pakistan set to dispatch 159 containers of ammunition to Ukraine」。
   パキスタンはコンテナ159個分の弾薬を、ポーランドのグダニスク港経由で、ウクライナへ運び入れる。

 カラチ港から船荷として送り出す。1月後半に。船名は『ヴェスヴィウス』号。

 コンテナの中味は、155ミリ砲弾や、その装薬である「M4A2」など。

 この供与の見返りに、パキスタンはウクライナから、「ミル17」のエンジンをアップグレードしてもらえる技術サービスを得る。

 次。
 Boyko Nikolov 記者による2023-1-9記事「Britain: Five Su-57s are deployed 500 km from Ukraine and strike」。
   露軍は5機の「スホイ57」を、国境から500kmのアフチュビンスク基地に展開し、専ら、長射程のAAMによって、見通し距離外から、宇軍機を撃墜させようと試みている。

 次。
 Jack Dutton 記者による2023-1-9記事「Russia to Start Producing Iranian Shahed Drones Themselves, Ukraine Claims」。
    ロシアは、「ゲラン-1」(シャヘド131)と「ゲラン-2」(シャヘド136)を、自国内で量産するための準備にかかっている。

 工場をどこにするかはもう決めている模様。『キーウ・ポスト』紙による。
 そのひとつは、トグリアッティ市だという。モスクワの南東、ヴォルガ川沿いにある。

 ウクライナ国防相のツイッター書き込みによると、金曜日の時点で露軍の手持ちの「シャヘド136」は90機あるだろうという。そしてロシアがイランに発注した無人機のトータル数はすでに1700機だという。

 ※敵地にある鉄道のレールをCCD画像だけで識別するAIソフトが完成したら、次は、飛行場にある敵軍用機の機体を、低性能なCCD画像を手がかりに確実に識別できるようなAIソフトを開発しなければならない。敵が置いたデコイ飛行機(や、偽の滑走路)に騙されないようにするのは、そうとう難しいだろう。が、敵飛行場をスウォームで襲撃させ、ランダム回路により同じ標的には2弾以上が重複突入しないようにしたならば、畢竟、敵はその航空基地の利用を諦めるしかなくなるだろう。これはわが国の対支戦争には絶対に必要なものだ。鉄道レール破壊用と違って、対飛行場用のスイサイドアタックは、弾頭重量を軽小にしても敵に与えるダメージは十分大きくできる。なにしろ地上の飛行機に小型爆弾がダイレクトヒットするのだから。機体に小穴が開いたり、破片が刺さって信号ケーブルが中で切れたかもしれない軍用機で、そのまま離陸出撃しようなんて思う敵クルーは居ない。日本がもしこのAIソフトを開発しないでいれば、中共軍で先に実用化してしまうだけである。ドローン量産に何の制約もない中共に、ソフトでも先手を取られたら、こっちに勝ち目などあろうか。今すぐかかれ。

 次。
 Ellie Cook 記者による2023-1-10記事「What Are U.S. Stryker Armored Vehicles? Transport That May Go To Ukraine」。
   米国は、次は「ストライカー」APCをウクライナへ送るんじゃないかという噂が飛び交っている。
 8×8の装甲車だが、18種類ものバリエーションがある。

 収容できる兵隊は9人。
 基本の固有武装としては、12.7ミリ機関銃と、40ミリの自動グレネードラーンチャー「マーク19」。

 ※雑報はもっと踏み込んでいる。バリエーションのひとつ「M1128」モビルガンシステムは、ストライカーの天井に背負い式に105mm戦車砲を載せたものだ。これが今、100両以上も、一挙に退役のプロセスに入っている。米陸軍はこいつをウクライナへ送り出すのではないかという。

 次。
 ANDREW MELDRUM記者による2023-1-10記事「’What madness looks like’: Russia intensifies Bakhmut attack」。
   岩塩坑の地下トンネルが四通八達しているという、ソレダー市に対する露軍ワグネルの猛攻。文字通り仲間の死体を踏んで敵兵は前進してくる。その頭上に、容赦なく味方の支援砲撃が降り注ぐ。ほとんどWWII中の露軍戦法だ。

 地下坑道は総延長が200kmもあるという。ソレダー市はバフムト市からは10kmしか離れていない。

 ※プリゴジンが岩塩鉱山が欲しいのだという話の根拠は何か。じつはワグネルはアフリカの各地で、地下資源利権のあるところでばかり、活動しているのである。かならず地元の一派と結託して、カネになる鉱山や油井を押さえて行く。そのヤマの臨時支配者(やくざボス)からのみかじめ料によって、ワグネルを養う。これがプリゴジン流のビジネスモデルなのだ。アフリカで慣れているやりかたを、ウクライナでもしようとしているだけなのだ。カネのないところに傭兵なし。

 次。
 Natasha Bertrand, Oren Liebermann, Alex Marquardt 記者による2023-1-10記事「Russian artillery fire down nearly 75%, US officials say, in latest sign of struggles for Moscow」。
    CNNの取材によると、露軍の砲撃が極度に衰えてきており、ある正面では、数ヶ月前のピーク時にくらべて飛来する砲弾量が75%も少なくなっている。

 プリゴジンは、ロシア正規軍は将軍が無能でどうしようもないので、装備は優先的にワグネルに回せ、と要求し、その要求は通っているようである。

 しかしその代価としてワグネルは直近2ヵ月で数千人単位の戦死者を出している。
 バフムト周辺では文字通りの屍山血河。

 それでも、1日に4000発から7000発を平均して発射しているウクライナ軍砲兵よりも、露軍の発射弾数の方がずっと多いという。

 米軍の分析とウクライナの分析とのあいだには、大きな不一致がある。

 米軍は、露軍の砲撃はピーク時の2万発/日から、現在、5000発/日に落ちたすとる。

 これに対してウクライナ軍は、露軍の砲撃はピーク時の6万発/日から、現在、2万発/日になっている、という。

 ※「ZhZL-74」というソ連時代の防刃ヴェストが最前線に持ち出されているというビデオがSNSに出た。ライフル弾が貫通しており、おそらく着用者は死んだ。このヴェストはアルミ合金(アルミ91%+亜鉛6%+その他)の薄い円盤を、古代の鎧のように鱗状にビッシリ敷き詰めたもので、屈撓性は確保できている。

 次。
 Dan Lamothe 記者による2023-1-10記事「Pentagon to train Ukraine on Patriot missile system at Fort Sill」。
   ウクライナ兵に対する、ペトリオットSAMの運用訓練は、米国内の「フォート・シル」で行なう。オクラホマシティの南西である。
 今月中に、教練は開始されるという。

 ただし訓練の修了まで、半年以上もかかるであろう。

 ※ホッジズ大将がメディアにコメントしていて、10ヶ月前、スティンガーをウクライナに供与したらエスカレーションになるからやめるべきだという愚かしい議論が米国内でもあった、と指摘し、防禦用の武器ばかり送ろうとするのはこの戦争をコスパの悪い泥沼長期戦にするだけでまったく愚かしい戦略だぞと示唆している。しかしペトリの供与には、もうちょっと遠謀があると思う。ウクライナの上空に将来、NATO空軍が介入するようになったとき、ウクライナの防空部隊には、敵味方識別をしっかりしてもらわないと困ってしまうわけだ。Bukみたいな、スイッチポンで見境無くなんでも撃墜するシステムでは困るのだ。その識別の手順、特に、暗号化された防空情報の伝達と共有法について、みっちり教育をしようとしていると考えるべきだと思う。