首席補佐官をとりかえて再選シフトに入ったバイデンは、対宇軍事援助にも「商売」を絡めてくるはず。これからの「先読み」が大事だ。

 LOLITA C. BALDOR 記者による2023-1-28記事「How to fix a howitzer: US offers help line to Ukraine troops」。
   M777のトラブルシューティングはどうやっているか。ポーランド南東部に常駐する米兵が、オンラインのチャットルーム(通信は暗号化される)を経由して、アドバイスしている。端末は携帯とタブレット。
 ただし通訳の協力が必要である。

 これらリモート・アドバイザー要員の数も、急増中である。

 軍人だけでなくメーカーから民間人も出向してリモートアドバイザーのチームに混ざっている。

 最前線の通信環境は、むらがあるので、ビデオ交話は×。スチル写真を添えて、診断を請う。

 M777は軽量化のためチタン合金を砲架に使っている。そこにヒビが入ったらチタン熔接をしなければならない。そんな知識はウクライナ兵にあるわけないが、彼らは頑として兵器を修理のために後送させない。なんとしても前線で直そうとする。戦意が旺盛だから。だから米軍としても、リモートで手取り足取り教えるしかない。宇砲兵はいまや、チタン熔接にも慣れつつある。

 将来的には、生身の通訳者ではなく、グーグルの自動翻訳ソフトを肉声会話にかませられるようになることを、米軍は期待している。

 次。
 2023-1-27記事「Ukraine started serial production of self-propelled guns Bogdana」。
  トラック車体に155㎜加農砲を載せたウクライナの国内製自走砲。昨年、蛇島を砲撃した国産155ミリSPをさらに改善(特にキャビン部分)したものの量産が、始まったそうだ。

 シャシは「KrAZ-6322」。レンジはすでにロケットアシスト弾で42kmを達成している。

 ウクライナ国防相によると、もうじき前線に出る、とのこと。
 蛇島砲撃のときは、観測にはTB2を使った。

 ※十五榴の砲身も国産? それができるのなら、81㎜~120㎜の迫撃砲だって、量産ができるはずだ。ウクライナはすでに155㎜砲弾も内製化できている。

 次。
 Daniel J. Flynn 記者による2023-1-27記事「First Guns, Now Tanks, Then What?」。
   ナポレオンは、対英「経済封鎖」に協力しなくなったロシアをこらしめるために対露戦争をおっ始めた。
 日本は、米国が石油を禁輸し、対支兵器援助を拡大したので真珠湾を攻撃した。

 今日、米国がウクライナへ武器を提供しすぎれば、ロシアは対米戦争を始めるだろう。

 ※この記者のポジションは明瞭。そして反論はかんたんだろう。19世紀はじめ、英国はロシア軍とプロイセン軍に軍資金を援助することによって、ナポレオンを陸上で屈服させることができている。ぎゃくにWWII中の米国による対支援助は、とても効率が悪かった。蒋介石の頭の中の対日戦のプライオリティが低かったために、けっきょく米軍自身が空から爆撃する必要があった。贈った援助兵器はすべて無駄になった。この非効率はベトナム戦争中の対サイゴン援助でも繰り返された。しかし朝鮮戦争中の、ソ連による対支援助は、ものすごく効率が高かった。なぜなら毛沢東軍の戦意がとても高かったからだ。天下無双だった米軍が、38度線での休戦を呑むしかなくなった。同様、ベトナム戦争中の北ベトナムに対する武器援助も、至って効率がよかった。天下の米軍を敗退させたのである。今の宇軍は、朝鮮戦争中の中共軍や、ベトナム戦争中の北ベトナム軍に似ていることを、誰が疑うだろうか? ユーザーの「戦意」が、常に第一ファクターなのだ。西側による対宇武器援助の効率は、期待し得る最大となるであろう。

 次。
 2023-1-28記事「WW3 fears as Donald Trump says Western tanks to Ukraine could cause nuclear war」。

  ドナルド・トランプは「Truth Social」という自分用のSNSに書き込み、西側諸国がウクライナに戦車を送っていることを批判している。
 《最初は戦車。次は核が来るじゃないか。こんな戦争は今すぐおわりにしよう。やめるのは簡単だ》だと。

 ※問うに落ちず、語るに落ちてくれるのが、腑抜けに通有のパターン。

 ※雑報によるとロシアの首相は、露軍が占領併合したウクライナ領内に、25箇所の刑務所と3箇所の労働キャンプを建設するように命令を出した。これによって住民のサボタージュを取り締まる。

 次。
 Jeff Schogol 記者による2023-1-27記事「How Ukraine might maintain its Abrams, Challenger, and Leopard tanks to fight Russia」。
   元海兵隊のフィリップ・カーバーは、今は軍事アナリスト。彼はウクライナ国内のT-80の工場を3箇所、視察したことがある。そしていわく。ウクライナ人にはM1を整備できる能力は、ある。

 むしろ、レオ2の「モデル2」と「モデル7」の差異が大きいことが、戦車整備のネックになるかもしれない。

 もしウクライナに2個大隊分の戦車を送りたいのなら、それはすべて1車種(1モデル)だけに統一するべきだ。車種が変わると整備の準備もすべて違えねばならず、たいへんな非効率を招くことは必至なので。

 ※過去のイスラエルは、かきあつめた雑多な戦車を戦時中にも改造してフルに活用できている。他方、必要を感じて武器を援助する側としては、それを「使い捨て」にされてもしょうがないと思い切る必要があるだろう。その場合、新品よりも中古の在庫品を渡すのが合理的だと思われるが、なぜか米国はここにきて、あれこれ「新品」にこだわりはじめた。これは危険信号だ。選挙区対策だ。しかしトランプのような阿呆陣営からの国内口撃をかわすためには、必要になるのか。

 ※雑報によると、「PG-7V」(RPGから発射する飛翔体)の弾頭部分だけを、商品名不詳の――外装をはがしてスケルトンにして軽量化してある――クォッドコプターに吊るし、FPV操縦で敵戦車を狙う装備が、ウクライナ領内でガレージ生産され始めた。ネットで調べてみると、HEAT弾径が85mm、推薬の入った差し込み筒の径は40ミリ。その飛翔体は2.25kgもある。ただしそのうちの推薬部分(安定翼付き)を除去すれば、どのくらいの軽さになるのかは不明。装薬量も、数値を発見できなかった。