イスラエルがアゼル領内からイランを無人機攻撃か?

 APの2023-1-29記事「Iran reports drone attack on defense facility in Isfahan」。
   テヘラン時間の土曜夜から日曜日午前にかけ、複数のドローンが、イランのイスファハンにある複数の施設を空襲した。

 イランはドローン×3機を撃墜したといっている。

 イラン国防省は、犯人が誰かについては言及せず。

 イラン国営テレビによると、タブリーズでも空襲による火災が発生している。

 ※これに関連する過去記事を以下に紹介する。

 Dorian Jones 記者による2022-11-29記事。
   イラン政府は、国民の関心を、国外の敵へ向けさせたくて必死である。隣国のアゼルバイジャンは、その対象としてちょうどよい。あとは、イラク内のクルド人。それと、アゼルの背後のトルコやイスラエル。

 トルコとアゼルの間には「シュシャ合意」というのがあって、アゼルがもし攻撃されたりその危険があるときには、トルコが無条件で助力することになっている。

 イラン北部には、多数のアゼル系住民が暮らしている。スパイが国境線を越えるのはどちらにとっても簡単である。

 ※さらに10年以上前の過去記事も見よ。

 Giorgi Lomsadze 記者による2012-12-4記事「Azerbaijan: No Israeli Attacks on Iran Allowed」。
   アゼルバイジャン政府は言明した。わが国は、イスラエル空軍がイランを攻撃するための発進基地にはならぬ、と。
 12月2日、英紙『サンデイタイムズ』が、イスラエルの「ターミネーター」という無人機がアゼル領内から発射されてイランの核施設を空爆できるし、その前にイランのSAMを無駄射ちさせるための囮機を多数、飛ばす算段だ、と報じたことを承けて。

 この時点でイスラエルの「ヘロン」無人機は、米国製のヘルファイアを地上に向けて発射できるようになっている。

 ※もうひとつ、10年以上前の記事も。

 Gabe Fisher 記者による2012-12-9記事「Iran claims Azeri drones are plying its border under Israel’s watchful eye」。
   イスラエルの技術支援でアゼルが組み立てた無人偵察機が、イラン国境内を偵察しているとイランは非難した。機種は「オービター」と「ヘルメス450」だと。

 10月には、イランの工作員となってアゼル内の米国やイスラエル関係のターゲットを攻撃しようとしたとして22人の被告が有罪認定され、懲役刑が宣告されている。

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 Defense Express の2023-1-29記事「Satellite Imagery From the Shahed-136 Factory in Isfahan Appeared After an Alleged Strike」。
    イスラエルのドローンが攻撃したイスファハンの工場には「シャヘド136」の製造ラインが含まれていることが、翌朝撮影の民間衛星「スカイサット」の写真で確かめられた。

 空襲は現地の1月28日の夜23時30分だった。

 ちなみにイラン国内の時刻帯は周辺国とはわざと違えてあり、「UTC+3時間30分」である。

 イランは、ロシアからの「シャヘド136」大量発注に応ずるために、製造ラインを急遽拡大した。飛行機格納庫のような建物が増設され、その中で組み立てられていることが、昨年11月下旬の衛星写真で把握されている。

 通常、イランは、大事な製造プラントは地下に建設する。しかし「シャヘド136」に関してはその時間の余裕がなかったようである。

 ※雑報によるとイランのTVが「損害は小さい」と宣伝するため、その工場建屋や、回収したドローン残骸の写真を公表している。ペラペラのビニールハウスのような外観だ。しかしなんと屋根板のその表面には「スペシャル・メッシュ」。すなわち金網で特攻ドローンの突入を食い止めるという配慮が、もうしてある! 早え! というか、日本が遅すぎるじょ~!

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 Greek NEWS の2023-1-29記事「Greece to send Leopard-2 tanks to Ukraine」。
   ギリシャ政府も「レオパルト2A4/2E EL/2A6」をウクライナに寄付するという。
 14両くらいだという。

 Evrosから積み出す。

 じつはギリシャはドイツ国外では最大の「レオパルト戦車」保有国。レオ2が350両あるほか、「レオパルト1」も500両も持っている。専門家によると、レオ2のうち古い「2A4」型が183両あるから、そこから40両とか80両ばかり、ウクライナにくれてやってもいいんじゃないかという。

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 Jerome Starkey 記者による2023-1-27記事「SHOCK & ROLL Army hammering out emergency plan to keep Putin’s hands off top secret British armour if tanks are damaged in Ukraine」。
    英陸軍は、「チャレンジャー2」が露軍に鹵獲されることは、なんとしても防ぐつもりで、すでに対策を練っている。チョバムアーマーの秘密は絶対に渡さぬつもりだ。

 なんと、民間軍事会社の社員を前線へ特派しておき、「チャレンジャー2」の戦場回収を確実にさせるという案も、検討されている模様だ。

 ちなみに英軍の「チャレンジャー2」の保有総数は227両。うち、すぐに戦場で使えるのは6割だという。
 30両は前からエストニアに置かれている。そこから14両をウクライナに搬入するのだろう。

 かつてイラクで「チャレンジャー2」の120ミリ砲は、敵戦車を射距離2.5マイルで破壊した。これは世界レコードである。

 英国はMBTを縮小する方針で、現有「チャレンジャー2」のうち149両だけを「3」にアップグレード工事させることにしている。

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 Boyko Nikolov 記者による2023-1-29記事「Japan and India may be invited by the UK to join ‘NATO 2.0’」。
   英国議会の国防委員会の委員長、トビアス・エルウッドは、「日本とインドをAUKUSに入れよう」と主張した。AUKUSとは、豪州に核動力潜水艦を持たせるための必要な技術移転をする、英米協働の枠組みである。エルウッドは保守党である。

 ※つまり今や、日本に原潜を持たせたくてたまらないのは、米英なのだ。えらい時代になった。あらかじめ言うが、こんな話に乗ってはいけない。中共が滅亡するペースの方が早いので、日本の投資は逆に未来のお荷物になってしまうから。それと、インドは今次ウクライナ戦争で、ハッキリと《ロシアサイド》だとバレただろう。信用できないにも程があるんだよ。

 スカイニュースによると、エルウッドは《NATOのインド太平洋版》を夢見ている。

 ※中共は国家大戦略における「スピード」の緊要性を理解できていると思う。敵より遅い政策スピード(optempo をもじって politempo とでも呼ぼうか)では、長期グローバル競争で敗退必至なのだ。ところが案外なことに、米国人の国家安全保障プランナーの中には、ここを理解できてない者がたくさんいるのだ。理解していれば、ウクライナにはM1戦車なんかではなく、無人特攻機をまず援助しようという話がすぐにまとまるはずだ。


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 Dan Lamothe 記者による2023-1-28記事「US general warns troops that war with China is possible in two years」。
    マイケル・ミニハン大将は、米軍の「航空輸送コマンド」の長。国外での輸送機や空中給油機を統括する。

 彼は2月1日に、数千人の部下たちを前に次のような檄を飛ばす気らしい。

 ――間違っていてくれればよいが、オレの全身直感が教えてくれる。2025年だ。2025年に米中は開戦する! 台湾の2024選挙が、熊プーに、米国との開戦理由と機会を与えるのだ。熊プーの幕僚たちはすでに2025に照準を合わせて準備をしているぞ。

 航空侵攻作戦では、兵装の命中精度がすべてだ。敵の頭を狙って殺せ。その腕の練磨を怠るな。

 漫然と訓練するな。始める前に緊張でガチガチになるくらいでなかったら、お前は何のリスクも取ってない証拠だ――。

 このメモをすっぱぬいたのはNBCニュース。メモの日付は2月1日となっている。

 ミニハンはインド太平洋地域にはかかわりが長い。2019-9~2021-8のあいだは、インド太平洋コマンドのナンバー2だった。

 ちなみに2021年にインド太平洋コマンドの長、フィル・デビッドソン提督は、熊プーが台湾侵攻を開始することによって始まる米支戦争は2027年だろうと予言している。これいらい、2027年は「デビッドソン・ウインドウ」と称される。

 ミニハンは、空軍に入ってまずC-130のパイロットになった。そこが経歴のスタート。
 彼は、米国建国いらい、最も多数の敵国人を殺したのは、空軍なのであ~る、と昨年9月に軍人の集まりにおいて演説し、「リーサリティ」をしきりに強調した。

 『タスク&パーパス』誌にはこうも語っている。お前が敵を殺せるとき、お前の人生はすべてOKだ。メシはうまいし、結婚生活はより鞏固になる。
 ……つまりはそういう人らしい。

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 2023-1-29記事「300 wounded Wagner mercenaries brought to hospital in Luhansk Oblast, but ‘doctors refuse to treat them’」。
   ルハンスク州の「Yuvileine」病院にワグネルの負傷兵300人が担ぎこまれてきたが、医師たちは施療を拒否した。理由は、ワグネルの傭兵たちがエイズ、梅毒、結核などさまざまな伝染病を持っていて、接触する医療従事者や他の患者にとって危険であるから。

 いちおう、ワグネルでは、エイズ持ちには赤いリストバンドをさせ、肝炎持ちには白いリストバンドをさせているのだが。

 ※雑報によるとこの9月より、ロシアの中学校で軍事基礎教育が必修になる。AK自動小銃の分解組み立て。手榴弾用法。停止間動作や隊の動作の演練。学科課程名目は「生活安全の基礎」学習だと。

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 GMA Integrated News の2023-1-28記事「No fishing gear found on Chinese vessel rescued in Eastern Samar – PCG」。
    サマール島の東沖の比島領海内で、しごく怪しいシナ船が救助された。漁船形状なのに、漁具が皆無なのである。
 フィリピンの沿岸警備隊が、調査を進めている。

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 Brady Kirkpatrick 記者による2023-1-27記事「How to choose a red dot for your shotgun」。
    購入した散弾銃に、レッド・ドット・サイトを後付けしたい人に、アドバイスする。

 「ホロソン 507c」という商品がある。マルチプル・レティクルである。これは自宅防衛用として、最適なレッドドットサイトだ。
 丸印の表示のひろがりが「32MOA」である。〔ミニット・オブ・アングル は、全周360度の「60分の1」を「1分」と数える単位法。〕

 このMOA値は、家庭用銃撃戦が起こる至近距離に、マッチしている。

 3MOA、6.5MOA、8MOAも、近距離の銃戦に向いている。

 鹿撃ちをするために散弾銃を持っているのなら、常用射程は最大級だから、レッドドットは「1MOA」に表示されるものが理想だ。しかし、もっと安価な「2MOA」を好む人もいよう。

 MOA値以外の機能面では、いざというときに、電池が切れていないと信じられるものがよいぞ。
 レッドドットサイトは高額である。それが、かんじんなときに電池切れで役立たないことがあるのでは、悔やんでも悔やみ切れまい。
 この点にメーカーがどれだけ配慮をしてあるか? それはカタログには現れ難いものだ。

 発射反動で照準機が壊れてしまうことはないか?
 多くの商品は、12ゲージの反動では壊れないようになっている。

 夜間も役に立つか?
 レッドドットは、むしろ夜間において調子がよい。
 標的そのものが見えないとしても、いま自分の銃が、風景のなかのどこを照準しているのか、射手に確かに教えてくれるからだ。つまりは、それだけキミも仲間も安全になるわけ。

 グリーン・ドットの商品もあるが?
 グリーン色は、人間の注意を惹く力が赤色よりも高い。だからそっちを好むユーザーもある。
  ※そのかわり電池の減りが早いはず。

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 Kirill Buketov 記者による2021-1-29記事「Are Russia’s plans to reform its army realistic?」。
    ロシアの徴兵改革。あと35万人増やして総勢150万人にするというのだが、それには根本から制度をいじくらなくてはならない。

 まず、徴兵年齢。現行は18歳~27歳だが、これを、21歳~30歳に変更する。それによって、大学にもぐりこむことによって兵役を逃れるという手を使えなくする。

 法令改正はまず、徴兵上限年齢をこの春から30歳にする。そして後日に、徴兵下限年齢も引き上げる。

 ちなみに新兵は毎年、春か秋のどちらかに入営する。年季は1年だ。

 ウクライナ海軍の軍令部長のリュゼンコはしかし、指摘する。頭数ばかり集めても、今ですら、新兵に渡す兵器・装備・弾薬・被服が欠乏しているのがロシアの実情。どうすんの? そこへ35万人も追加して。

 リュゼンコによると、1人の新入隊員にすっかり軍装を整えてやるためには、8万ドルかかるのだそうだ。

  ※この数字は初めて聞いた。被服とテッポウだけでなく、ボディアーマー、ガスマスク、耐化学外被、アトロピン静注キット、止血キットなどもコミなのか? しかし、暗視装置や軍用無線のような電子デバイスが加わらなければ、数百万円は増えないとも思うが……。おそらくこれは、新兵の年俸総額と事務経費がコミだな。

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 2023-1-29記事「The Ministry of Defense of Ukraine ordered 105 Vector UAVs in Germany」。
   ドイツ政府は、ドイツの予算で、ドイツ製の「Vector」という偵察ドローンを105機、ウクライナにくれてやる。

 ※このニュースの見出しは、あたかもウクライナが「買う」ような書きぶりだが、カネはドイツ政府が出す。


 メーカーは「Quantumシステムズ」である。

 ウイングスパンは2.8m、巡航速度は15~20m/秒、最高速度は72km/時。12mの風が吹いていても、VTOLできる。歩兵1名がバックパックにかついで運び、最前線で組み立て、垂直に離陸させ、固定翼で巡航し、回収は垂直着陸による。
 無線は15kmまで通じる。特別な基地局を使えば25km先まで飛ばしていい。滞空は2時間可能。

 ※写真を見ると、独創的な製品である! メーカーは、これを世界に自慢&宣伝したくて、ウクライナにプレゼントするのだなと分かる。左右の主翼前縁と、垂直尾翼の前縁に、電動のティルトローターがついている。これが90度首を振ることによって、VTOLと水平飛行を両立させる。離着陸時だけ、3軸のマルチコプターとなるわけ。だから「車輪」を備え付ける必要がない。着陸ギアのための「死重」と、空気抵抗を、まるっと追放できるわけだ。これは「コロンブスの卵」じゃないか。なお垂直尾翼前縁のローターの下向き気流と干渉させないように、水平尾翼は垂直尾翼からは大きく離れている。アスペクト比は、ドイツ人が得意なソアラー級のグライダーを彷彿とさせる。モーターグライダーをVTOL化したのだ。設計者のドヤ顔が目に浮かぶようだ。

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 Sabine Siebold and Anneli Palmen 記者による2023-1-29記事「Rheinmetall eyes boost in munitions output, HIMARS production in Germany」。
   ラインメタル社は、弾薬の大増産体制を整える。HIMARSの発射装置も量産するという。

 ラインメタル社のCEOいわく。ウチは120ミリ戦車砲用の弾薬を年に24万発生産することが可能。それだけあれば、全世界の120ミリ戦車砲の需要は満たせるはず。

 またいわく。わが社は、155㎜砲弾については、年産45万発~50万発に拡大できる。その場合、世界最大の十五榴の弾薬メーカーということになろう。

 ちなみに2022年のラ社の製造実績は、120㎜戦車砲弾も155粍砲弾も、6~7万発というところであった。

 ※社長の一声で4倍に拡張できるラインを維持しているのか! 真の「モノづくり大国」はドイツだった……。

 ゲパルトの35ミリ砲弾の量産工場は、今年の半ばに立ち上がるだろう。

 ちなみに独軍はゲパルトを2010年にすべて退役させてしまっている。

 2月中旬にミュンヘンで防衛系の西側要人があつまる年次会合がある。そのときロックマートと話をつけ、ドイツ国内でHIMARSを生産開始するつもり。
 ロケットも、弾頭も、発射台トラックも、ぜんぶ作る。

 東独にあるザクセン州には、火薬工場を新設したい。そのために独政府が7~8億ユーロばかり用立ててくれることを期待する。
 現状、特殊な火薬〔爆薬なのか推薬なのかは不明〕の製造能力が足りず、それが戦車砲弾や野砲榴弾の増産のネックになっているという。

 CEO氏いわく。510億ユーロのドイツの国防予算では、必要なモノは揃わない。特別ファンド1000億ユーロも、インフレを考慮すると、こころもとない。ちなみにその1000億の中に、弾薬調達費は含まれていないのだ。

 ハッキリ言おう。3000億ユーロが必要だ。それでないと、間に合わぬ。

 2021年末の時点でも、ドイツは弾薬の備蓄量が、NATOの掲げた目標値に200億ユーロ分も不足であった。

 弾薬の需給ギャップを埋めるためだけでも、独連邦軍は、毎年、30億ユーロから40億ユーロの支出を必要とする――とCEO氏。

 ※対支有事を数年後に控えているわが国は、これに倍する努力が必要かもしれない。砲弾製造は、かけた国費がぜんぶ日本国内に落ちるから、日本の景気をダイレクトに支えてくれる堅確な財政投資だ。弾薬庫は、前にも書いたとおり、「フクイチ」近傍の地下につくることにすればすぐに完成する。専用桟橋も、フクイチから伸ばせばいい。その間を専用の貨物鉄道で結ぶ。八戸の近くにできるなら、八戸でもいい。米軍のC-17によって飛行場から遠隔地まで搬出しやすいから。どっちにしても財源は震災復興費から出せる。部隊や兵器を増やすわけじゃないので、人件費が膨張してそのまま未来まで固定するという悪いパターンにもならない。もちろん法律の整備は必要だ。自衛隊が当面必要とする以上の砲弾を、年中、休み無く、工場で製造させ続けることが、自国の安全保障上も、自由世界へのわが国の貢献の上でも、とても理に適っているのである。使わずに余る分をどんどん地下の弾薬庫に貯め続ける。そこまでしてでも砲弾の製造ラインを動かし続けることは、将来のいつ起きるかわからない有事の兵站の「弾撥性」を確保するためには必要不可欠で、日本の戦争抑止力を直接的に高め、平時の調達価額を最も合理化する道でもあるんだと、法令の文言の中でさらりと謳うがよい。