空気取調べ室、略して空調。

 Mike Stone 記者による2023-2-1記事「U.S. readies $2 billion-plus Ukraine aid package with longer-range weapons -sources」。
    ロイターが火曜日聞き出したところによれば、米政府がまた20億ドルの対宇の追加軍事支援を決めたが、その中には、長射程のロケット弾が初めて含まれることになる模様。いよいよATACMSを渡すのか?

 米議会が定めた「USAI」というのがある。「ウクライン・セキュリティ・アシスタンス・イニシャティヴ」。総枠17億2500万ドル。もしここから大統領がカネを引き出して使う場合、それを現有の装備や中古武器の転送のために使ってはならない。必ず、米国内の軍需産業に新規に発注して製造させ、新品を納品させねばならぬ。そのような縛り。それでM1戦車の供給も年内には間に合わなくなってしまったのだ。

 ボーイング社とSAABか共同開発した新兵器「GLSDB」も新品発注になるはず。射程は150km。
 それより長射程の兵器としては、300km弱届くATACMS。

 ※新造ということは、また1年かかるわけじゃないか。どうも各国は、今から2年後以降のウクライナ関係の商売スキームを考え始めたようだ。半永久に自国企業が儲かるようなスキームを。さもないと国内政治で足をすくわれるからね。

 米軍の現有装備の中古兵器を他国に供与してやれる枠組みは「プレジデンシャル・ドローダウン・オーソリティ・ファンズ」という。これはしかし緊急事態の場合にかぎられる。

 ※有事となったら弾薬は米国からの補給をたのめばいい……などとのんびり構えていたわが国は、いかに危うかったか。まさしくウクライナが他山の石となってくれていると思う。

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 『The Kyiv Independent』の2023-1-31記事「PM: Greece won’t send Leopard 2 tanks to Ukraine」。
    ギリシャの首相が『ニッケイ・アジア』紙のインタビューに答えた。ギリシャ軍保有のレオ2をウクライナに送ることはない。それらはギリシャの防衛に必要だから。

 ギリシャはすでにウクライナへはAPCを送っている。

 首相はトルコも非難した。ギリシャ国境にはりついてこっちを窺っている。またモスクワに対する制裁には加わろうとせず、むしろ経済協力し、スウェーデンやフィンランドのNATO加盟も妨害している。

 なおフィンランド政府は、コーランを燃やして騒ぎを起こした連中はロシア発の工作の結果だと言っている。


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 Boyko Nikolov 記者による2023-2-1記事「British Gulf War tanks may be modernized and sent to Ukraine」。
   ドイツのラインメタル社は、ヨルダン政府にオファーを出した。
 ヨルダン陸軍が保有する古い「チャレンジャー1」を買い取りたいと。
 それをドイツ国内にてリファービッシュした上で、ウクライナへ提供するつもり。

 ドイツの新聞『ハンデルスブラット』が報じた。
 ヨルダンには「チャレンジャー1」が数十両、まだ残っている(買った数はトータルで402両である)。

 おそらく2023年末までに、ウクライナ軍が手にすることになるだろう。

 ヨルダン軍は2018年に「チャレンジャー1」を引退させて倉庫におさめてしまった。なにしろ、1999年の購入いらい、使う機会はゼロだったという。

 しかし米国製の「M60A3」はまだ使っている。そっちの方がもっと古いのだが、整備性が良好なのだ。
 FCSは、レイセオン社の最新式にアップグレードされている。

 ※チャレンジャー1は湾岸戦争でその120ミリ砲の威力を示し、それで売り込みに成功した。だが施条砲身対応の120ミリ砲弾は英国製を買うしかないのでどうしても割高。しかもエンジンが1200馬力で非力。重すぎるので故障しやすく、故障すると動かすのがたいへん。捨てられた理由はそんなところだろう。しかしなぜ今回、ラインメタルが乗り出したのかは、謎。

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 2023-2-1記事「「Britain purchased 46 M113A1-B for Ukraine」
   ベルギーの民間軍事企業「OIP・ランド・システムズ」社は、その保有する多種多数のAFVのなかから、46両の「M113A1-B」を英政府に売った。英政府はそれをウクライナへ届ける手筈になっている。

 じつはウクライナ領内ではとっくに、同じ「M113A1-B」が目撃されている。それらもOIP社の所有品だったのだろう。

 ベルギーには「フランダース・テクニカル・サプライ」という中古軍需品の買取販売企業もある。2008年にベルギー陸軍が退役させた64両の「M109A4BE」を、そのとき買い入れた。

 それら私企業はいま、ウクライナ景気でうるおっている。
 「M109A4BE」自走砲の場合、英政府やベルギー政府がウクライナ援助用として買ってくれることから、売価は2021年の10倍になっているという。

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 2023-1-31記事「Finnish Armed Forces Obtain Anti-Tank Missiles From Eurospike」。
    ドイツのディール社とラインメタル社、ならびにイスラエルのラファエル社の3者JVである「ユーロスパイク」社。そこが製造しているトラック発射型の長射程対戦車ミサイル「スパイク」を、フィンランド軍が調達することを決めた。

 「スパイク」は射ち放し式。オペレーターは、発射後は、誘導のことは忘れてよい。
 飛翔距離は、短射程型で4000m~5500mというところ。
 フィンランドは、中射程型と長射程型も購入する。

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 CNNの2023-1-31記事「Wagner Commander Who Fled Russia Details Summary Executions 」。
   ワグネルの下級隊長だったロシア人がノルウェーに越境して亡命申請中。
 その証言。
 戦闘を拒否した隊員2名を、他の全員の前に引き立ててきて射殺したのを見た。
 こういうケースはたくさんあるんだと。

 ワグネルはロシア本土に、彼ら専用の墓地を用意している。その拡張ぶりは、衛星でモニターされている。

 この亡命希望隊長、生まれはシベリアのトムスクで、孤児として育ち、何件もの強盗事件にかかわった。ワグネル志願は2022-7である。

 下っ端だったからプリゴジンと直接口をきいたことはない。しかし訓練センターで見かける機会はあった。プリゴジンは何か病的な男だという印象を受けたという。

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 Ashish Dangwal 記者による2023-2-1記事「US Offers MQ-9 Reaper Drones To Ukraine! General Atomics Ready To Sell ‘Cutting Edge’ UAVs For $1 ―― WSJ」。
    ジェネラルアトミクス社が政府に対して積極提案。政府と議会が許してくれるなら、我が社は2機の「MQ-9 リーパー」を総額「1ドル」でウクライナ軍に納品する用意がある、と。

 これは『WSJ』紙が、GA社の書簡を入手して報じた。

 ただし、タダほど高いものはない。GA社は、トレーニングとメンテナンスサービスを有償で提供する。ウクライナ政府は、初度支度金として1000万ドルを寄越さねばならず、また、爾後毎年、800万ドルのメンテナンスサービス料を払いなさい――という、いい気な提案だ。

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 Sakshi Tiwari 記者による2023-2-1記事「1st Time In History, US Deploys F-35 Fighters To Greenland Where Russia & China Are Boosting Military Presence」。
    米空軍はF-35を初めてグリーンランドのトゥール基地に展開した。

 1月31日まで2週間、NORADの演習があって、それに参加した。
 機数が非公開なのだが、常識で考えて4機であろう。

 カナダ空軍はCF-18を参加させたようである。

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 The Maritime Executive の2023-1-31記事「Report: Workers Glued Sheared Bolts Back Together on Nuclear Sub」。
   英海軍のトライデントミサイル潜水艦である『ヴァンガード』の修理にごまかしがあり、英政府は怒っている。下手人はデヴォンポートの王立工廠のバブコックス。

 『ザ・サン』紙が報じた。

 原子炉冷却系のパイプを断熱のために浮かせてあるボルト、すくなくとも7個の頭を、工員が捻りすぎて剪断してしまったのに、そのボルトを交換せずに、接着剤でごまかしていたという。

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 NICK PERRY 記者による2023-2-1記事「US opens embassy in Solomon Islands to counter China」。
   合衆国は木曜日に「ソロモン諸島」に大使館をオープンした。中共の外交攻勢に対抗するため。
 前にも大使館はあったが1993に閉じていた。冷戦後に大使ポストを大削減したため。

 別な朗報。フィジーの新大統領は、それまで続いていた中共との「警察合同訓練」をもう止めると地元新聞に語った。先週。

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 ストラテジーペイジの2023-2-1記事。
    2022年の中共国内でのスマホの販売台数は、2021年より13%少なく、2億8600万台であった。
 はじめて3億台よりも減った。

 全世界では、スマホは、2022年に12億台売られた。それも、前年より11%少ない。

 世界不況よりも中共不況の方が深刻だということ。理由はいくつかある。中共の労働者人口が急激に減りつつある。だから買い手は減り、造り手も足らない。追い討ちをかけたのが、政府。新コロ閉鎖がムチャクチャであった。

 ロシアの独立系メディアはどうやって政府による通信弾圧をかいくぐっているのか?
 「Telegram」という暗号アプリにシフトしたのである。ロシア政府は「テレグラム」のブロックに未だに成功していない。それで、ロシア国民は誰でも閲覧できる。

 ウクライナ国内での露軍の、旅団レベル以下の軍内通信は、スマホ頼りになっている。ウクライナ軍は、それを傍受することができている。
 露軍の部隊長は、戦闘地域では、音声通信はしない。スマホでテキストメッセージをやりとりする。それは電波送信時間を最短化するので、敵から位置を標定されるリスクを局限できる。しかし、内容は、やはり、読まれてしまう。

 専用の、暗号化される軍用無線機を支給すればいいのに、露軍はそれができていない。そんな実態も、独立系メディアが内外に報じている。

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 Maya Villasenor 記者による2023-1-31記事「Why Military Leaders Need to Rethink Battlefield Intelligence in a Smartphone Era」。
    2014年から2016年にかけて、露軍のハッカーは一枚上手だった。ウクライナ軍砲兵隊が持っていたアンドロイドのスマホにマルウェアを仕込み、彼らの刻々の位置を把握できるようにしていたという。