セバストポリにはキュービックなコンクリートの掩蓋トーチカがトラックによって続々と搬入されている。

 Sergio Miller 記者による2023-2-10記事「Armata ―― the story is over」。
    2015年の5-9パレードにT-14を初めて走らせるとき、リハーサルで何度も故障していた。
 これは不吉な前兆であった。

 T-14の起源は、キャンセルされたT-95(計画148番)にある。

 T-95は1990年代からトラブルを抜け出せず、2010年に最終的に放棄された。

 砲塔を完全無人化する戦車の素案は1980年代まで遡る。CIAは1984-12-1にその戦車計画について概観した秘密リポートををまとめている。

 T-95の車体は、T-14とは関係がない。引き継がれたのは、T-95のエンジンであった。

 ソ連戦車には、〔液冷シリンダーをV形に並べた〕「V-2」ディーゼルエンジンという、大成功した動力の流れがある。このエンジンは1931年にハリコフ機関車工場が完成させた。(この工場はげんざい、プーチンによるミサイル空襲でズタズタにされている。)

 T-72戦車用の「V-84」エンジン、T-72B3およびT-90用の「V-92S2F」エンジン、装甲車のBMP-1/2用の「UTD-20」エンジン、BMP-3用の「UTD-29」エンジンは、すべて「V-2」を祖先にいただく直系子孫たちである。

 ところがこの「V-2」系列に属さない変り種エンジンが別に存在する。それがT-64戦車に搭載された「5TDF」エンジン。
 WWII中のドイツの爆撃機用エンジンを陸用に改造したのだったが、失敗作であった。

 ※他資料で補うと、5TDFは、水平対向の液冷2ストでインジェクション式のディーゼルだった。700馬力~1050馬力。

 ロシアはT-64戦車のうち2000両から3000両を、まるまる捨てるしかなかった。エンジンがダメすぎたので。

 T-14のエンジンも、「V-2」系列とは無関係な新系列であった。「ポルシェ Tour 212」としても知られる、X字形の気筒配列のドイツの「Simmering SLA 16」エンジンをコピーしたのである。
 ロシア人はそれに「A-85-3」と名を付けている。

 トランスディーゼル設計局は、しかし、この内燃機関を戦車用に開発したのではない。もともと、石油や天然ガスをパイプラインで圧送するためのコンプレッサー動力として設計したものであった。
 しかしこのポンプも輸出実績はない。見本市には何度も出展されたが。

 どういう経緯によってなのか謎であるが、ウラルヴァゴンザヴォド社がこの内燃機関をT-14用に使うと決めた。

 凡そ戦車というものは、まずはじめにエンジンがあって、そのエンジンに合わせてすべてのコンポーネントをまとめあげるようにする。

 「A-85-3」は、T-72B3やT-90が載せている「V-92S2F」より重いものの、容積がコンパクトで大馬力であった。
 ※ポンプステーション用なのにどうして容積を小さくする必要があったんだ? そこが不思議。

 彼らにとってまずかったことに、「A-85-3」は複雑すぎ、すぐ故障し、そして整備は簡単ではなかった。調整と修正のための多大な時間が必要で、その見通しも悪かった。

 さりとて、「A-85-3」を諦めて、あらためて「V-92S2F」に換装するという解決も不可能。なぜなら「V-92S2F」の容積の方が大きいから、T-14のエンジンルームに入りはしないのだ。

 2021-1にロシア国防省の広報テレビ局である「ズヴェズダ」が、T-14特集番組を放映した。
 そこには車内の初公開映像も含まれている。

 ロシアの軍需工業の直面するネックは、2014以前には直輸入できた西側の電子パーツを、まともな手段では調達ができなくなっていること。そのため、いまや中共のネット通販である「アリエクスプレス」こそが、ロシア防衛産業の最大の部品サプライヤーとなりつつある。

 経済制裁の影響で、戦車の装甲鈑を供給していた「ヴォルゴグラード赤い十月」プラントは2018年に倒産した。

 T-14用の、アッセンブリ・ラインは無い。ということは、パーツのいっさいがっさいを、素材から手動の旋盤等で削り出し、組み立てる必要がある。プラモデルをスクラッチビルドするようなものだ。

 T-14の量産ラインのためには6400万ルーブル以上の予算がつけられ、工場の建物はできたのである。ところが、その中に据え付ける工作機械が来ない。それらは西側の200社におよぶ機械メーカーから輸入する必要があった。それが経済制裁で、輸入できなくなった。だから建物の中は、ガラーンとしている。

 ウラル車両工場は、T-14を量産できないかわりに、T-72B3とT-90Mを目一杯増産しようとしている。
 また、オムスクトランスマシュ工場では、T-62Mのリファービッシュを懸命に進めている。

 ロシア人軍事ジャーナリストのロマン・スコモロコフも認める。T-14はこれからもプロトタイプのオモチャであり続ける。量産される可能性はゼロだと。

 それでは、せめて、T-14用に開発された新しい強力な125粍加農の「2A82-IM」を、T-90Mに搭載することは可能だろうか?
 ブリーチブロックが異なるために、それも無理だろうという話である。

 ※戦車用の工作機械もだが、イランがロシア国内に建設してやるという「シャヘド136」用の工場に据える工作機械を、イランはどこから調達するつもりなのだろうか?

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 2023-2-11記事「New nanoscale 3D-printing material could offer better structural protection for satellites, drones and microelectronics」。
   スタンフォード大の研究室が、ナノスケールの3Dプリンターを開発した。

 同じ密度なのに、従来品の2倍の衝撃を吸収できる緩衝材料を、これによって生成できるという。

 しかも、毎秒100㎜のプリント速度だという。

 ※これは高分子樹脂系のプリントだと思うが、金属プリンターでnanoスケールの仕上がりに一発で決まってくれるようなものが早く出来てほしいものだ。それがあれば、小型ドローン用の内燃エンジン部品や、ゲリラがありあわせのチューブから発射できる107mm径クラスの地対地ロケット弾(1963年の中共の技術でも射程8kmを達成できている)の弾殻を、全自動で町工場で量産できることになる。仕上げの切削工程が無用で、ロボット作業だけで量産できるならば、そのラインを平時には工廠で寝かせておき、重大事変発生時等にそれを急速動員して一挙に大量弾薬生産体制に移すこともできるようになる。その準備が西側にあるというだけでも、ロシアや中共は、次の侵略計画を考え直すしかなくなるはずだ。

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 2023-2-8記事「British weaponry could be manufactured in Ukraine ―― The Telegraph」。
   英『デイリーテレグラフ』紙の報道によると、英国の軍需企業の幹部たちがいま、ウクライナの国営兵器メーカーと協同で、ウクライナ国内の工場で英国製兵器を製造するJV事業につき、合議中である。

 これには車両の製造も含まれる。

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 Chris King 記者による2023-2-11記事「New Tory party chairman Greg Hands claims Russian spy tried to recruit him in London」。
   英国トーリー党(保守党)の新議長グレグ・ハンズが、2004年にロンドン市内のパブで、ロシアのスパイに一本釣りされそうになった思い出を「チャンネル4」で語った。

 最初は路上清掃、空き缶・空き瓶回収の話をしかけてきたが、とつぜん、下院議会図書館からイランの核開発計画についての文書をもってきてくれと言い始めた。もちろん断った。

 新人議員と素早く関係を作ろうとするのがロシア大使館の手口のようであったと。

 ※ロシアの地上波TVで、連日、威勢のいい戦争犯罪肯定発言を繰り返して大衆を扇動しているウラジミール・ソロヴィヨフの21歳の息子は、ロンドンに住み、ロン毛のチャラいモデル業をしていることがあばかれ、写真がバズりちゅう。息子には徴兵逃れをさせているわけなり。

 ※雑報によると、これまでに5000人以上のロシア人の妊婦がアルゼンチンに飛び、そこで出産をする予定。子供は出生地国の国籍を自動的に取得できるから、ロシアを捨てて生きられる。

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 2023-2-12記事「Russia is allegedly recruiting foreign mercenaries to operate kamikaze drones ―― Defence Intelligence」。
    ウクライナ国防省によると、ロシアは、「シャヘド136」の運用のために、2人の外国人を雇用しているらしい。これは2月10日の無人機空襲時に、露軍内部の無線交信を傍受した結果、わかってきたという。突入させる目標について、相談・確認をしている肉声だ。

 その言語は、クルド方言のかかったファルシ語(ペルシャ語)であるという。

 ロシアはシリアの内戦で、クルド人やアフガン人傭兵を長年、使っている。だから、ロシア語とペルシャ語の両方がわかるクルド人をつれてくることは、雑作も無い。

 ※雑報によると、ウクライナは現在、鋭意、「シャヘド136」のコピー生産にチャレンジしているところらしい。

 ※雑報によるとウクライナはイラン製特攻ドローン「アラシュ2」の縮小コピーに成功した。「アラシュ2」は270kgの弾頭を搭載して1600kmも飛行できるスグレ物。プッシャープロペラだが、離陸のみ補助ロケットを使う。そのロケットはすぐに切り捨てる。

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 Defense Express の 2023-2-12記事「Could russia Get ‘Kamikaze Boats’ From Iran or What UUV Does It Even Have」。
    ついに露軍は無人特攻艇を橋梁攻撃に投入してきたが、ウクライナ軍の総司令官は、次は露軍はこうしたリモコン爆装艇で民間商船を攻撃してくるだろうと予測している。そのあとに続くのは、水中ロボットの作戦投入だ。

 こうした攻撃への対処術としては、艦船や重要港湾施設を「防雷網」で結界して、無人ボートが物理的に突入できないようにすることや、機動的な警備艇を多数、パトロールさせることしかない。

 じつはロシア海軍は、フランスからUUVを買っている。それは「アリステル9」と命名されていて、外見は、黄色い「短魚雷」。『アレクサンドリト』級の掃海艇が、海底偵察機として運用中だ。

 そして今回の無人特攻艇は、イランから買ったのではないかと疑われる。

 『アレクサンドリト』級掃海艇はぜんぶで6隻あり、うち3隻が黒海に所在。それぞれ、「アリステル9」を4基積むほか、「K-Ster」という水中調査機も備えている。

 イランはみずから爆装リモコン艇を配備しているだけでなく、イエメンのフーシにそれらを供給している。

 H I・サットンのブログによれば、その大型のものは全長10m。市販の船外機がついている。

 キャビンが備わるものもあって、目標の近くまでは有人操縦して、そのあとに無人特攻モードに切り替わるようになっているという。

 特攻ボートの先駆者はイタリアである。「人間魚雷(ヒューマン・トーピドー)」というのは最初にイタリアの自爆艇に付けられた仇名なのだ。
 早くも1941-3-26に英巡洋艦『ヨーク』を、みごと撃沈している。もちろん操縦のフロッグマンは衝突の前に水中から離脱するのだ。※日本の対米開戦より8ヵ月も前である。

 WWII後はイスラエルがこのイタリアの兵器を採用した。そしてエジプト海軍の『エミール・ファルーク』を1948-10-22に撃沈することに成功している。

 フーシの10m艇は、2016~2017に、サウジの警備艇を数度、攻撃しながら、まだ撃沈はできていない。それに対してイタリアの自爆ボートは全長がその半分以下の小さなものなのに、武功に輝いているのである。