なんで初回はペイロードを半分にして、のこりの重量で緊急回収用のパラシュートやエアバッグやエジェクト用火工品を添えておくという用心深さを持てないのか?

 すくなくも衛星のパーツの一部は海上から拾い上げて「資源回収」ができるだろうに。

 いきなり1個数百億円の単体の新型衛星をかんぜんに海の藻屑にしてしまう博打を敢て選ぼうとする、その「自信過剰」が理解できない。

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 2023-3-2記事「SYPAQ Supporting Ukrainian Armed Forces」。
   豪州国防省がカネを出してメルボルンの「SYPAQ」社に開発させていた「PPDS」という固定翼ドローン。
 これを量産し、ウクライナ軍に寄贈することに。

 なんと、主翼と胴体は、厚紙でできている。

 それゆえ安価で、使い捨てができる。物品を味方に届けてもいいし、敵めがけて特攻自爆させてもいい。片道だと割り切ってしまえば、小型UAVでもレンジはずいぶん延びるものである。

 飛行速度は120km/時である。ポテンシャルとして60kmくらい飛ぶ。
 試用をすませたウクライナ軍は、とりあえず偵察用に使いたいと言っている。

 安価な自爆機がしごく大量に投入された場合、戦場の敵軍に及ぼすそのインパクトは、高額な有人戦闘機や高性能無人機が1機で与えるインパクトを凌ぐかもしれない。

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 AFPの 2023-3-7記事「Belarus Says Detained More Than 20 Over Attack on Russian Plane」。
   火曜日にルカシェンコが発表。露軍機に破壊工作を仕掛けた容疑者20人以上を拘束した、と。

 ベラルーシ国籍の者と、ロシア国籍の者。

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 Sviatlana Tsikhanouskaya 記者による2023-3-7記事「Western allies take note: if you want to beat Putin in Ukraine, target his wicked little helper in Belarus」。
   ロシア空軍のAWACS機である「A-50」を攻撃したわがゲリラ市民はすでに国外へ逃げおおせた。

 ※記者は2020の選挙でベラルーシの大統領に当選したのだが、プー之介の工作隊に支援されたルカシェンコ一派によって逐われている。

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 Jonathan Landay, Simon Lewis and Olena Harmash記者による2023-3-8記事「U.S. says intel indicates pro-Ukrainian group hit Nord Stream pipelines, NYT reports」。
   火曜日にNYTが報じたところでは、ノルドストリームを爆破したのは、ウクライナに肩入れする、何者かであったという。

 米政府が承知するところでは、ウクライナ政府中枢は、この件には関与していない。

 どうも下手人は、ロシア国籍もしくはウクライナ国籍の私人で、プーチンの所業に怒り、個人的に海底パイプラインを爆破したようだという。

 バフムトでは、ゼレンスキーは、攻勢的防禦を指導している。すなわち、露軍がわざわざこっちの塹壕陣地や特火点に人海突撃してくれているのだから、そのトーチカ陣地帯を土工で強化し、ますます多数の露兵を吸引して無限に出血させてやろうとしている。

 ※第二次上海事変の呉淞クリークの考え方だね。ファルケンハウゼンは失敗したのだが……。

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 Paul Goble 記者による記事「Moscow’s Cutback on Icebreaker Construction Opens Door for China in the North」。
   ロシアの砕氷船を建造している造船所は「アトムフロット」社というのだが、このほど、新造を計画されていた原子力砕氷船×3隻のうち2隻が、キャンセルされることになった。この決定は2月末になされた。
 計画では、3隻の就役は数年後のはずであった。

 ロシア政府は、その代わりとして、7隻の小型の、非核動力砕氷船を建造するという。ただしサイズが小さいので、薄い氷にしか対応できない。そうなると、北極海航路には使えない。

 これは何を結果するか?
 2017年から構想されている中共の「北極シルクロード」が現実の話になるだろう。中共も核動力の大型砕氷船を複数、建造しつつある。こっちの計画はノンストップなのである。

 げんざいのロシア沿岸寄りの北極海航路よりも、ずっと沖へ離れたところを、中共は自国船のための航路として開拓したいと思っている。そうなればロシアにまったく遠慮が要らなくなるのだ。

 中共が建造しようという砕氷船は1隻が3万8000トン。ロシアの大型砕氷船よりも5000トンも大きい。

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 Joseph Trevithick 記者による2023-3-6記事「Winged JDAM Smart Bombs Are Now Operational In Ukraine
Australian Defense Force」。
    翼を展張して滑空し、指定されたGPS座標に自律誘導で突っ込む投下爆弾「JDAM-ER」が、すでにウクライナ空軍機に取り付け可能になったようである。弾薬も米国から供給されつつある。

 ただのJDAMは高空から落としてもせいぜい水平距離で15マイル先の目標しか狙えない。しかし「JDAM-ER」は、最大45マイル離れた目標をヒットできる。

 これを投下するウクライナ空軍機は、まず「ミグ29」か、「スホイ27」戦闘機となるだろう。これらはすでに「HARM」の発射ができるように機体を改造されているので、話は簡単なのだ。

 しかし「スホイ24」も、使えないわけではない。理想的とは言えないが……。
 また、理論的には「スホイ25」も、JDAM-ERを投射可能であろう。

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 Defense Express の2023-3-7記事「The U.S. Air Force Confirmed Successful Use of JDAM-ER by Ukraine, But so Far There are Not Enough of Them」。
    NATO空軍の司令官を兼務している在欧米空軍のジェイムズ・ヘッカー大将いわく。すでにウクライナ空軍は「JDAM-ER」を受領しているよ、と。投弾もされており、それはうまくいったそうだ。

 最初の爆弾は3週間前に引き渡された。ただし、数は少ないようだ。

 攻撃機は、低空で飛び、ホップアップして爆弾を投げ上げるようにリリース。あとは爆弾が滑空して敵目標を襲う。

 JDAM-ERの実用上のMaxの飛距離は72kmである。ただしそのためには、投弾機は、高度1万2000mを、亜音速の上限で飛ばなくてはならない〔A-10には出せない速度である。だからウクライナ空軍はF-16を欲しがる。A-10は要らないとしきりに騒いでいる〕。そんな高度では逆に敵のSAMにやられるリスクが大。よって現実には、超低空から投弾するしかなく、したがって、72kmも先の目標は攻撃できない。

 ウクライナ空軍保有の戦闘機が低空からJDAM-ERを投弾した場合、この爆弾は40km滑空してくれる。

 ※記事に添えられている図解によると、地上目標のターゲティングのためには、はるか後方の高空に、SARイメージ画像レーダーを持ったISR支援機が必要である。そのISR支援機がキュー出しして、低空の戦闘機に投弾をさせる。やはり優先標的は、敵の防空レーダー車両であるように見える。そして、爆弾の滑空距離は10~20浬(18km~37km)と書いてあるように見える。

 JDAM-ERの弾頭重量は、2000ポンド爆弾タイプで429kgもあり、それが厚さ3.3mのコンクリートを貫徹した後に爆発する。これで露軍の強化された前線指揮所を爆砕できる。HIMARSの90kgの弾頭では、それは不可能であった。

 ※雑報によるとヘッカー大将はこんな数字も明らかにした。2022-2以降、ウクライナ空軍は60機を破壊されている。かたやロシア空軍は70機を喪失したと。

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 Jonathan Landay 記者による2023-3-7記事「Exclusive: Ukraine seeks US cluster bombs to adapt for drone use, lawmakers say」。
   米軍が保管している大量のクラスター爆弾をバラし、その中味の240個の「子弾」をとりだし、ウクライナ軍のマルチコプター型ドローンからその「子弾」を露軍にAFVに対して1発ずつ投下したいのだが……というリクエストを、米連邦議会議員を通じて、米政府にしている。

 このクラスター爆弾は「マーク20」。別名「CBU-100」。航空機から投下するタイプ。
 リクエストを逓伝しているのは、下院軍事委員会に属するジェイソン・クロアとアダム・スミス。

 その前からウクライナ軍は、155ミリ砲弾のクラスター・タイプも要求しているという。
 DPICMという、HEATと破片発生を兼ねた子弾が88個、飛び散るタイプ。

 ウクライナ側は、先月のミュンヘンで、米下院議員たちにこの件を頼んだ。

 テキストロンシステムズ社は2016年をもって「マーク20」の製造を止めている。その以前はサウジ軍へ輸出もしていたが、やはり停止。それで、米軍が抱えている在庫は100万発以上だという。

 ロシア軍もウクライナ軍も、2014年のクリミア侵略からこのかた、クラスター弾を使っている。

 だから155ミリ砲弾のクラスタータイプ「DCIPM」を米国から供与してもいいじゃないかという話になる。それで宇軍の深刻な砲弾不足が緩和される上、米本土で廃棄処分するための費用もかからなくなる。米国はDCIPMを含めた古い弾薬の廃棄処分のために毎年600万ドルも費やしているのである。だったらそんなのはウクライナ軍にくれちまえよ、と人々が思うのは自然だ。

 すでに地雷や不発弾だらけになっている露軍の占領地に、この上すこしばかり不発弾が増えても、メリットはデメリットを凌駕するだろう。

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 Francis P. Sempa 記者による2023-3-4記事「China’s Leading Ideologist: Wang Huning」。
   『ニッケイ・アジア』によると、ことし67歳の王滬寧〔→2021-11-7の過去記事を見よ〕が、台湾攻略の方法についても熊プーから立案を任されたという。

 ※熊プーは人民解放軍を抑える理論を何も持っていないので、そこをカリスマ理論家の王滬寧に頼ろうというのだろう。だとするとこれから日米がいちばん警戒しなければならないのは、台湾国内の国民党(蒋介石一派の残党)だ。国民党陣営が大陸からの利権工作を受けて、台湾の自衛力をなしくずしに破壊する工作に励むだろう。昨年いらい、台湾徴兵の無意味無内容な訓練内容が暴露され、その背後には台湾軍の上層に巣食う国民党一派の意向があると強く推定される。米軍もそこに気づいたから、これから州兵教官を送り込んで「郷土防衛軍」「市民軍」の構築にかかると思う。軍隊の政治的腐敗を下のほうから浄化して行くしかないのだ。それがウクライナでは有効であった。