ジョージアに発生したクサギカメムシがトルコまで襲来。果樹・野菜園に大被害。

 この対策としてSamurai Wasp(東アジア原産の寄生蜂)を3万匹、研究所で培養して野に放つという。

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 Ellen Nakashima 記者による2023-3-9記事「Biden to unveil nuclear submarine partnership with Britain, Australia」。
   米豪英の三国は、次の月曜日に、豪州海軍の原潜装備計画について共同発表する。

 2021-9にAUKUS構想が発表されたときは、米英どちらの原潜を与えるのか、決まっていなかった。

 最初の1隻は、米国製の最新SSNシリーズである『ヴァジニア』級を改良した新造原潜となる。中古の『ロサンゼルス』級などではなく。

 設計は、英国がする。『SSN-AUKUS』級と呼ぶ。
 豪州はそれを5隻、調達する計画。見込み予算として1隻が30億米ドル。

 1番艦は2040年代の引渡しになるだろう。
 そして2040年代の終わりまでには、豪州の造船所が、船殻を建造できるようにする。核動力の主機については、その後も米英に依存する予定。

 『AUKUS』級は、核兵器は搭載しない。

 豪州政府は、これから数十年のあいだ、総計1億米ドル以上を、この原潜のために注ぎ込むことになるであろう。多くは国内造船所への投資となる。

 しかし、専門家が疑問を投げかける。米国にしろ英国にしろ、その造船所は、自国海軍の新造需要を満たすので精一杯のはず。プラスして豪州を支援する余裕なんか、あるのか?

 乗員の訓練は2025以降に米海軍の『ヴァジニア』級を使ってスタートし、2032以降、豪州人の乗組員だけで操艦できるまでに育てる。

 核燃料関係の民間技術を豪州内に扶植することはない。豪州有権者の支持を得るためにはそれでいい。

 米国には原潜を建造できる造船所が2箇所ある。バイデン政権は、これをもう1箇所増やすべきかどうか、検討中だ。
 だが、増やすと決めたとしても、操業開始までには5年から8年はかかる話だ。

 ある専門家の疑念。原潜を建造できる造船所の立ち上げには、多数の核技師の雇用も必要。とうてい、10年未満で間に合う話じゃないだろう。また、既存の造船所でも、1隻の原潜を竣工するのには7、8年もかかっているのである。

 ※「防衛省オピニオンリーダー」という制度が令和四年度を以て終了と決まりました。この制度はたしか1999年からあって、その年の11月にいきなり「U4」で沖縄本島まで入間からダイレクト往復させてもらったインパクトはいまだに忘れられません。というわけで4月1日からは小生の肩書きはとてもシンプルになります。《名実ともにひきこもりの軍事評論家》と呼んでくれ。引き籠るからこそ、世界が読める。吉田松陰もそうだったろ?

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 The Council on Geostrategy’s online magazine の記事「Unseen but vital: Britain and undersea security」。
    英国は欧州大陸から海底ケーブルで電力を輸入している。露軍は必ずその切断を狙ってくるだろう。
 英政府は、現在、7440メガワットを輸入しているが、2030年までにそれを18ギガワットまで拡張しようとしている。ますます大陸依存度は高まり、ますます有事の英国の脆弱性は増す。

 これに、石油とガスの海底パイプライン網が加わる。英国からは、仏、ベルギー、オランダ、ノルウェー、そしてアイルランドに、海底パイプラインがつながっている。近々、そこにドイツとデンマークも加わる。露軍は必ずその爆破を狙ってくる。

 通信ケーブルは言うまでもない。英国からは60本の海底線が出ている。これを切られると国際金融決裁に重大な支障が出る。

 2017年にソマリア沖で1本の通信ケーブルが、船の碇によって切断された。これは事故であった。しかしインターネットが再びつながるまでに3週間かかり、そのあいだ、ソマリアは1日あたり1000万ドルを損し続けたと見積もられている。

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 Sakshi Tiwari 記者による2023-3-10記事「Russia Removed MiG-31’s Radar & Used A-50 AWACS To Strike Ukraine; Now Forced To Rely On Ground Control For Combat Ops」。
   ミンスク南方のマチュリシチ空軍基地を、ベラルーシのゲリラグループBYPOLが襲撃したのは2-26のこと。

 ロシア空軍が9機しか持ってないAWACSのうちの1機を損傷させた。この飛行機は3億3000万ドルする。

 この飛行機「A-50U」はすぐに飛行場を去ったことが衛星写真で分かっている。しかし『ユーラシアン・タイムズ』は、レドームと右主翼を小爆発で損壊させられているはずだと、やはり衛星写真から主張する。

 ルカシェンコは、この飛行機が損傷したことを認めているという。そのことは英政府情報局が3-9に公表した。

 英情報によると、同機は、タガンログにある露軍の修理工場へフェリー飛行した。そのさい高度が通常よりずいぶん低かった。これはキャビンの与圧ができなくなっていることを示唆する。

 別の「メインステイ」がベラルーシにやってくるまでのあいだ、同国基地からの露軍機の作戦は、地上の管制レーダーだけを頼りにしなくてはならないだろう。攻撃機も、護衛戦闘機も、シチュエーションがわからぬままに飛ぶことになり、命がけだ。

 空対地ミサイル「AS-24」やキンジャルを運用するミグ31K戦闘機も、同様だ。

 英情報部の把握によれば、ASMの発射母機となるフォックスハウンドは、機首のレーダーを降ろしてしまっているのだ。近代化改修工事の途中なので。
 いままではA-50があったから、それでもなんとかなったが、これからは外部情報ナシ飛行を強いられる。

 ミグ31はいま、3機がベラルーシ内に置かれているという。

 かたやウクライナ空軍は、米軍とNATO諸国のE-3やE-8ジョイントスターズから、ふんだんにISR情報を提供されている。この差が更に開いた。

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 Boyko Nikolov 記者による2023-3-10記事「Russian Su-27 was set on fire at an airport near Vladivostok」。
   ウラジオストク近くの空軍基地で、駐機中の「スホイ27」の首輪下の地面にゲリラがガソリンを撒いて着火し、炎上させるビデオがSNSに投稿されている。
 「自由ロシア連隊」を名乗る、反政府ゲリラの活動だ。

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 2023-3-10記事「Belarus to mobilize 250 reserve officers」。
   ルカシェンコは、予備役の将校を250人、召集した。現役復帰だ。

 年齢27歳以下の230人を今年じゅうに陸軍に編入。別に20人を国境警備隊に編入する。

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 Thomas Escritt 記者による2023-3-10記事「Fake bombs and failed coup: Moldova smolders on border of Russia’s war」。
   モルドバでは、露系工作員が、「偽の動員令」で民衆を不安に落としいれ、政府を揺さぶろうとしている。
 この国の有権者は中立志向なので、こうした宣伝に影響を受ける。

 モルドバのGagauzia地方では、人々はトルコ系のGagauz語を母語とし、ロシア語でも教育されている。だから冷戦時代にレーニン主義の信奉者になり、冷戦後の世界について行けない。熱狂的なプーチン支持者が多く、そこが分離運動の中心だ。

 ※世界最貧国のなかでも、さらに民族差別を受けかねない集団があって、それがたまたまソ連時代の発電所のおかげで、人並な生活ができている。それを失いたくない。ただし住民の動機は後ろ向きなので、モルドバ政府軍と全力戦争する気もさらさらない。そこに露軍がつけこんで部隊を駐留させた。

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 Alison Bath 記者による2023-3-10記事「Retired Navy leaders pan proposal for early decommissioning of 6th Fleet flagship」。
    第7艦隊の『ブルーリッヂ』は2039まで現役予定だが、第六艦隊の『マウントウィットニー』(今はナポリ軍港が母港)は退役させる。艦隊の指揮専用艦である。

 他の強襲揚陸艦やドック内臓水陸輸送艦を改装すれば、その艦隊指揮機能は代置可能なのだという。

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 ドイチェヴェレの2023-3-10記事「Most Germans want compulsory military service return ―― poll」。
   ドイツは徴兵制を2011に終わらせたが、最新の世論調査によれば、61%のドイツ国民は、徴兵制を復活させるべきだと考えている。しかも三分の一以上の人は、女子も同様に徴兵するべきだと。

 この調査はパリにある「MORI」が実施した。

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 Defense Express の2023-3-10記事「Based on Ukrainian Military’s Experience, the US Army is Experimenting With Dropping Grenades from Drones, China Begin Production of ‘Flying’ Mortars」。
   米陸軍の戦技開発コマンドDEVCOMは、ウクライナ人の実践から着想を得て、マルチコプターから小型爆弾を正確に投下するシステムの研究に本腰を入れる。
 2月22日から24日にかけて、手榴弾をどのくらい正確に落とせるかの実験をした。

 投下母機にはSkydio社の「RQ-28A」というクォッドコプターが用いられた。
 投下メカニズムはDEVCOMが自作した。

 いっぽう中国でも、大型のマルチコプターから82ミリ迫撃砲弾を連続して8発、投下できるようにするシステムが、開発中である。