人を増やさずに戦争する方法は、あります。

 Matthew Impelli 記者による2023-3-15記事「Pornhub Removes Wagner Ad Recruiting Soldiers for Russian War」。
   エロサイトの「Pornhub」は、ワグネルの募兵広告をずっと掲載してきたのだが、それを中止した。
 同サイトの方針で、政治絡みの広告は、すべて断る。

 ※2024の共和党大統領候補レースの有力馬、フロリダ州知事のロン・デサンティスが、《ウクライナ戦争は領土戦争に過ぎない》という大失言をして、トランプ並の卑小人物感を露呈したのを、すかさずペンスが叩き、他の共和党の大物らもペンスに続いた。投票は来年だが、ペンスがいい線に行くのではないかと今から予想しておく。

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 Colin Demarest 記者による2023-3-16記事「Downing of MQ-9 Reaper is latest US drone lost in contested zone」。
   スホイ27による体当たりは、3-14の現地時刻7時AMに起きた。

 ※露軍機は、まずジェット後流のタービュランスでリーパーをストールさせることを試みただろうと想像する。そしてそれは成功しなかったと考えられる。そのため、燃料の空中放出(その前にアフターバーナーも試したことだろう)などという苦肉の策に出て、また失敗。けっきょく、プッシャー・プロペラに後方からじかに体当たりすることになった。この一件でバイラクタルTB2のレイアウトの巧妙さがまた見直されるかもしれない。双胴と水平尾翼で囲われているから、プロペラはアンタッチャブルなのだ。あと、タービンエンジンではなくレシプロエンジンを搭載していた場合、エンジンストールは更に起きにくくなるとも考えられたけれども、今回のケースは、そこまで心配する必要はないのだという参考例?

 ※CNN報道によると、このリーパーを墜落させる前に、米軍は、機上搭載チップ内の、秘度の高い最新ソフトウェアを、完全消去する措置を講じているそうだ。露軍はこの「最新版」機体のサルベージを最初から狙っていたかもしれない。もちろん狙いはソフトウェア。

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 Oishee Majumdar 記者による2023-3-16記事「DSEI Japan 2023: Ghost Robotics to supply Vision 60 UGVs to JSDF」。
   千葉の幕張で「DSEIジャパン2023」が開催中。
 フィラデルフィアに本社がある「ゴーストロボティクス社」は、無人陸上車両の「Vision 60」を6台、自衛隊に納品すると発表した。
 これは、防衛省との共同開発品だという。

 その3両は陸自に、別な3両を空自に納める、と。
 基地の外柵警備に使うらしい。

 ※「それじゃないだろう」感が、メッセに蔓延してないか? 情けないぜよ。

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 2023-3-9記事「Polish Army to receive 80,000 composite helmets」。
    ポーランド国防相は、郷土防衛軍(WOT)用に、アラミド繊維製のヘルメット×8万個を調達すると発表した。
 支給は今年から開始されるであろう。

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 Defense Express の2023-3-16記事「The Combat Part of the Lancet Kamikaze Drone Is the KZ-6 Engineering Cumulative Charge」。
   「KZ-6」というロシアの工兵用の爆破資材について。
 全重3kgで、その中に1.8kgの成形炸薬が入っている。AFVのアーマーも貫徹するし、飛行場の滑走路爆破にも使える。水中破壊に用いるときには、さらにこれに鋳鉄の部品を付け加える。

 ※初めて理解したのだが、どうやらウクライナ人記者は「HEAT」の意味で「cumulative」を使う。タンデム弾頭の意味ではなく、単純な成形炸薬のことだ。

 この「KZ-6」がランセットの中に仕込まれている。

 ※雑報に、初めて「フェニックスゴースト」の全容が分かる残骸写真が出た。ウクライナ兵が「ミコラ-1」のコードネームで呼んでいるという。なんの変哲もない牽引式電動プロペラの無人機だ。折畳式には見えない代わりに、胴体と主翼・尾翼は、簡単に着脱ができる感じ。

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 Samuel P. Porter 記者による記事「A Solution for Japan’s Military Mismatch」。
   ※記者は敗戦後の国共内戦に旧日本軍がどう関わったかについて1冊書こうとしている、軍事史学者。

 げんざい自衛隊は23万754人。うち陸自が13万9620人。
 海自は4万3435人。定員は4万5307人なのだが、2000人ばかり足りぬ。

 日本の師団は1個が6000人から9000人。それが9個ある。
 近年、2000人から4000人の旅団を新編した。これは離島で機動的に支那軍と交戦させる部隊。

 記者の主張。日本に台湾防衛させるため、師団を廃止して旅団だけにすればいい。そして浮かせたカネを海自強化に使えば、台湾防衛がしやすくなる。

 陸自の師団は、海外作戦はできない。その師団をまるごと国外へ輸送し、兵站を維持するための手段が伴っていないので。海外派兵は、常に小部隊の分遣としかならないのである。

 半島有事で、近くの韓国に出て行くこともありえない。韓国政府が拒絶するからだ。だったら陸自の師団は、廃止していいはずだ。

 日本政府は対支の関係で海自の艦隊をもっと増勢しなければならない必要については分かっている。
 しかし、そのために海自のヒューマン・リソースを確保してやろうとしていない。
 これは無責任である。
 軍艦のオペレーションをいくら省力化しても、軍艦のメンテナンスは省力化できないのだ。オペレーションも、ギリギリの人数では、有事にたちまち持続不能に陥ってしまう。演習や観艦式とは違うのだ。

 つまり海自を増勢したければ、どうしても海自の定員を増やす必要がある。そうしないで日本海軍を台湾有事に働かせることは、できぬ。

 その「定員変更」の汗を、日本政府は、流そうとしていない。それは陸自の定員削減か、自衛隊の総定員の増強を、意味するからだ。陸自定員削減に陸自が同意するわけがない。そして自衛隊の総定員増に、大蔵省が同意するわけがない。試みても拒絶され、じぶんに得することが何もないと予測するから、政治家も誰も関与したがらない。

 2022-12に、陸自から2000人を海自&空自に割愛して、海空の電子戦力を補強させる――と発表された。それだけ。

 無人潜航艇は、無人オペレーションではない。多数の人員がその機能維持のために常時、張り付いている必要があるのだ。日本はどうやってそれを増やすつもりでいるのか? まったく謎だ。

 記者は提言する。さらに1個から3個の師団を旅団化せよ。それで3000人から9000人を、海自の定員に回せるだろう。そのくらいなら意味がある。

 この措置は早く始めるほどよい。のんびりやっていたら、台湾近海で実戦が始まった日に、日本政府は、後悔するだろう。

 ※ウクライナ国防大臣からEUに送られた手紙の中で開かされた。宇軍は今、毎月11万発の十五榴を発射している。これは露軍の四分の一である。EUはウクライナに、毎月25万発の十五榴の弾薬を供給して欲しい、と。

 ※敢て強調したい。「人を増やさずに戦争する方法」が、じつは今次ウクライナ戦争では発見されているのである。それは、平時から各種の膨大な弾薬を地下に分散的に備蓄しておいて、それを、被侵略国や、同盟与国に、機動的に融通してやることだ。弾薬の調達や備蓄にはほとんど人手は必要ない。PGMなら大概、窒素ガス封入になっているので、何十年でもメンテナンスフリーだ。もし日本国が兵隊9000人分の人件費に相当する弾薬を今次戦争前に備蓄していて、それを米軍の輸送機に運んでもらっていたならば、いまごろロシアは亡び、中共も北鮮も大弱りとなり、電気代もガソリン代も安く、世界は著しく明朗化していただろう。人を増やさずにカネで戦争する方法が、じつは、あったのである!