とつぜんプー之介が「シベリアには1200万人しか住んでいない」と口走った。公式人口統計では2700万人だということにされているのに……。

 ロシア政府が出してきている数値がいかに嘘まみれであるか、プー之介自身が明らかにしてくれた形。

 ※と、雑報が報じているのだが、甘い。じっさいには「数百万人」しかいないのだ。プー之介は、その真実が白日の下にさらされてしまう前に、先手を打って、第二段の嘘数字を出したと思う。300万人くらいしか住んでいないと判明したとしても、私は驚きません。

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 Robyn Dixon 記者による2023-3-15記事「A railroad fan photographed Putin’s armored train. Now he lives in exile.」。
    31歳の撮り鉄、ミハイル・コロトコフは、プーチンのデラックス装甲列車を狙い続けているプロ。2018年からその写真がSNSに投稿されている。

 「不死身の男はこんな列車では旅行しないよ」といったコメントも添えられている。

 客車の天板に「ドーム」状の構造物が載っていたら、それは衛星通信用のパラボラをカバーしたレドームだ。
 プーチンは身の安全には病的にこだわる。特に新コロ流行後はひきこもりがちとなった。
 彼の住まいには「汚染除去トンネル」がしつらえてあり、そこを通る間に消毒薬が噴霧され、紫外線が照射される。

 何週間も屋内に引き籠っていて、たまに長距離移動するときは、特別列車を仕立てる。これもパンデミック中に定着したパターンである。

 プーチンの列車利用指向は、2021から徐々に強まった。その理由を、ロシアの体制批評家のコドルコフスキーは、「飛行機は位置がすぐバレるが、列車なら特定されにくいからだ」と説明する。

 コロトコフは、モスクワに近い田舎町で育った。そしてパソコンを私有すらしていなかった大学2年生のときに、「Railway Life」というブログを立ち上げた。

 自動二輪車や、4輪バイクで長駆遠征しては、特別列車を追い求める。時に、珍しい飛行機も撮影する。

 プーチン列車の撮影に成功したときは、多数の写真を投稿したりはしない。ほんの数枚だけにとどめておく。これが当局を刺激しないコツだ。

 もちろんコロトコフは、プーチン護衛隊からは不快に思われているであろうことは、間違いないだろう。

 2021-5のある日、コロトコフのユーチューブのページに、不気味なコメントが投稿された。コロトコフが別な列車撮影マニアとハイキングの相談をした電話の一言一句を、テキスト化してあったという。FSBが「監視しているぞ」と伝えたかったのだろう。

 これを警告と受取ったコロトコフは、10年続けてきたブログを、慌てて店仕舞いした。

 2022年、事態はますます暗くなった。コロトコフのブログは、反国家のテロ・ゲリラ活動であるとみなされかねない。事後法によって身柄を刑務所に送られるかもしれない。

 コロトコフの本業は、フィナンシャル・アナリスト。副業で、物理学の教師もやっている。

 コロトコフは大学を2015に卒業しているが、ほとんどの同窓生たちは、2014のクリミア侵略以降、ロシアの未来に見切りをつけて、外国に出てしまった。しかしコロトコフは、プーチン列車を追いかけるのが趣味だったから、出国をためらっていたのだ。もはや、ぼやぼやしている時ではない。

 彼は自動車を運転してカザフスタンの国境を越えた。
 ほぼ同時に、彼を軍隊に招集する令状がアパートに郵送されたという。
 さらにコロトコフは、バックパックにPCを入れて、インドを彷徨った。

 げんざい、彼はスリランカの海岸近くに住む。そこからオンラインで、ロシア企業のためのIT訓練コースを引き受けている(元いた投資会社は、彼が国外逃亡した直後、彼を馘にした)。

 また、専ら飛行機を対象に、趣味の撮影を再開している。

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 Isabelle Khurshudyan, Paul Sonne and Karen DeYoung 記者による記事「Ukraine short of skilled troops and munitions as losses, pessimism grow」。
   米欧の推定によれば、ウクライナ軍将兵は2022-2の開戦いらい、12万人が死傷している。かたや露兵は20万人が死傷しただろうという。

 ウクライナ政府は、自軍の死傷数を、支援してくれる諸国に対しても厳重に秘密にしている。

 しかし明らかな変化が観察されている。ベテラン兵が戦死し、代わって訓練未熟な新兵が増えて、野砲と迫撃砲の弾薬も足りないことから、ウクライナ軍のキャラクターは開戦直後とは違う。

 宇軍のある大隊長が説明する。前線で6ヵ月生き残るということが、とても大事なのだ。半年、弾の下を潜れば、そいつはプロフェッショナルであり、めったなことではもう戦死などしなくなる。しかし、新兵教育隊から補充されてきたばかりの兵隊だと、そうはいかない。老兵は死なないが、若兵はすぐに死んでしまうのだ。

 死なない老兵も、負傷することはある。長期戦で、彼らがどんどん後送されてしまえば、その部隊は素人兵のあつまりに近くなる。これは、まずい傾向なのだ。

 前線に悲観主義が生まれ、そのムードは必ずキーウに伝わる。

 人と兵器と砲弾が足らないから、攻勢はむずかしく、どうしても守勢になる。それがウクライナ軍の現状だ。
 砲弾さえあれば、局地的に攻勢は取れるのに、西側はそれを届けてくれない。

 ロシア軍も砲弾が足りないが、人は余っている。3倍の犠牲を覚悟すれば、人の多さで攻勢が取れる。それがロシア軍の現状だ。人命を惜しまざるを得ないウクライナ軍には、その真似はとてもできない。

 目撃者証言。ワグネル相手の最前線ではウクライナの新兵の士気が低い。手榴弾や小火器を扱えるという自信が全く無いレベルの未教育兵なので、ともすれば持ち場を離れようとする。

 1年戦った大隊長の中佐。部下は500人いた。そのうち100人が戦死。残り400人は負傷。つまり総員が入れ替わった。今は自分1人を除き、大隊には、素人兵しかいない。それを率いねばならぬ。

 戦闘しながらである。100人の素人が補充されてきても、そいつらに特訓をほどこしてやる余裕がない。
 こういう素人新兵は、すぐに武器を捨てて逃亡する。どうしようもない。
 テッポウを射つ音が、そもそも怖くてたまらないというレベルなのだ。まともな新兵教育を受けていれば、そんなことにはならないのに、その初歩教育なしでいきなり最前線へ補充されてくる。三流軍隊だ。

 歩兵用の弾薬では、迫撃砲弾と手榴弾(米国製のマーク19)が圧倒的に足りない。
 これでは、こちらが塹壕陣地に布陣していても、ワグネルの攻撃圧力に対抗できない。

 ※陣地の接近戦でいちばん頼りになるのは手榴弾。それがなければ敵はどんどん肉薄してくる。手榴弾くらい十分量を国産できないのかよ、と思った貴男。自衛隊の現状はもっと酷いよ。ストックもないし生産能力もないのだから。ウクライナと同じことになるよ。

 ドイツの高官いわく。宇軍は12万人死んでいると思う。しかし連中はぜったいに真の数字はこっちに教えようとはしない。われわれを全く信用していないのだ。

 ウクライナ青年の間では徴兵忌避の動きが見られる。

 ※クラウゼヴィッツの大昔から、長期戦になって新兵のトレーニングが追いつかないときは、歩兵や騎兵ではなく、「とにかく砲兵を増やして凌げ」、というのが鉄則セオリーである。それができていない。大砲も砲弾も、部材規格と工作とが、高度且つ精緻になり過ぎてしまって、「戦時量産」が効かないのだ。阿呆じゃないか? 規格を下げればいくらでもこのネックは越えられるのに、そうした「簡易兵器化」を指導できる人材、加減を即断できる技師が、いないらしいのだ。スチール加工が間に合わないのなら、厚紙でロケット弾をつくりゃいいんだよ。その弾頭炸薬の中に、ありあわせのスチールベアリングを混ぜておけばいいだけだ。炸薬が7kgあれば、十五榴と破壊力に遜色は無い。信管だって要らない。導火線+「袋入りのカーリット」でいい。着弾ショックで導火線か「厚紙の熾き火」がカーリットに燃え移って轟爆、鈍感なTNT爆薬を殉爆させる。輸送コンテナは、塩ビ管を利用。それがそのまま、即席のラーンチパイプになるだろう。それを「水蓄」の鉄道コンテナ内に詰めて運べば、とりあえず最低限の安全性も期待できよう。同様、厚紙でグライダーをこしらえて、その胴体に7kgの炸薬とボールベアリングを抱かせ、長さ数十mのゴム紐で発射したっていいはずだ。

 ※それにしても西側首脳がこんなに無能揃いとは予想もしなかった。第二次大戦中、米国は、大小の有人飛行機を10万機単位で生産した。今日の資本と工作ロボットを使えば、無人特攻機を毎月数十万機生産することに何の障壁も無いはずである。手榴弾も同様だ。「雑でも速くやってしまえる」という非常時向きの「才能」を持った人材が、平時社会の中堅~上層から、淘汰・排除されているためなのであろう。

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 Sakshi Tiwari 記者による2023-3-15記事「1st Video Of Russian Long-Range ‘TrAMP’ Drone Surfaces Online; Can Be Used For Combat Ops & Travel Upto 600 Km」。
   ノヴォスチがビデオ報道。
 ロシアで開発中の、固定翼の無人小型輸送機。直線矩形の三分割高翼、ボックス形胴体(両側面にドロップ用ドア)、牽引プロペラ、直線のV字尾翼。製造を簡易にすることに撤していて、空力にはさして頓着していない。が脚は引き込む。残雪ある飛行場にて地上滑走試験中の段階だが、このコンセプトはすばらしい。ひるがえって、日本のベンチャーは何をやっているんだ?

 名称を「TrAMP」という。「輸送・飛行機・多機能・プラットフォーム」の略だ。
 初飛行は4月を予定している。

 荷室容積は2650立米。
 250kgの荷物を600km先に投下配達できる。

 この無人輸送機を開発している、という第一報は、2023-2だった。

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 2023-3-15記事「Russia is struggling to modernize T-62 tanks」。
   チタにある、第103機甲修理工場は、月に23両の「改修T-62」を納品せよと要求されていたが、それができていない。

 国家との契約は「3年で800両の中古T-62を新品化せよ」である。ということは毎月22.2両を竣工しないと間に合わぬ計算だが……。

 3交替制で仕事を進めているが、10月中旬から3月前半までの竣工数は36両であった。すなわち、1ヵ月に7両を納品するのが、精一杯なのだ。

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 Laura Heckmann 記者による2023-3-14記事「Robotic ‘EELS’ Ready For Tunnel Warfare」。
    EELSは、「実在生物形・生命探査機」の略である。
 このほど、パサディナのジェット推進研究所のオノ・マサヒロが開発した。

 ※私はず~っと以前に、地上で敵歩兵を襲撃させるロボットは「蛇型」にするしかないのだという結論を本に書いている。理由は次の通り。「待機」姿勢で電力を喰わない。移動中に、敵から視認され難い。敵と不期遭遇したときに、地面に張り付いた二次元形状であることが、最も被弾のシルエットを小さくしてくれる。敵が生身の兵隊ではなく、自動発射式機関銃ポストであった場合も、同様。そして、弾痕だらけの野外やガレキまみれの屋内で、あらゆる障害物に遭遇しても、前進もしくは潜伏が可能な形状は、蛇形以外にあり得ない。塹壕内、トーチカの銃眼、地下トンネルの通気孔、下水溝にも入って行ける。兵装は、頭部に単発のショットシェル+尾部に自爆薬、で可いだろう。敵歩兵を決して安閑とさせないことが、主機能である。長距離移動はしない。敵陣直前までは、他の方法で運ばれる。しかし、長時間待機は、できる。

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 2023-3-15記事「Mesh saved Gvozdika self-propelled guns from the Lancet kamikaze drone」。
   市販資材の「菱形金網」は、ランセットの阻止に有効であることがまたも実証された。
 ポーランドから寄贈された「2S1」という122ミリ自走砲の頭上をこのひし形網の針金で覆っていたところ、ランセットが突入。しかし弾頭は不発で、機体は勝手にぶっ壊れた。

 その前には、2023-1に、宇軍の「Krab」が、やはり菱形金網のおかげで、ランセットを不発におわらせている。

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 2023-3-15記事「In Kharkiv, an FSB agent “was hunting” the pilots」。
   ウクライナの保安局であるSSUは、ロシアFSBの工作員がテロを起こそうとしてハルキウに潜伏していたのを逮捕した。工作員の狙いは、宇軍のパイロットの命だった。

 ウクライナ軍の兵舎の近くに爆発物を隠してある倉庫も見つかった。
 工作員はウクライナ国籍の住民。ロシアにカネで雇われていた。

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 Kevin Knodell 記者による2023-3-14記事「Sen. Mazie Hirono concerned about lack of missile defense for Hawaii」。
   ハワイ州選出の連邦上院議員、メイズィー・ヒロノ(日系のおばさんである。Mazieを「まじ恵」と書くのだとしたら面白い。おまえマジかよ~、まじ恵……みたいな)は、ハワイにMDがないのはまずいじゃないかと唱え始めた。

 ※雑報によるとエルドアンは、フィンランドのNATO加盟だけを承認することにしたようだ。