結婚するって、本当でごわすか?

 ERIKA KINETZ 記者による2023-4-4記事「‘He’s a war criminal’: Elite Putin security officer defects」。
    プーチンの護衛者としてはかなりのエリートであるFSOの大尉、グレブ・カラクロフは、妻および娘とともに、カザフスタンからトルコに飛行機で飛び、ロシアを離脱した。 ※現在おそらく英国の保護下にある。

 カラクロフによると、プーチンは、携帯電話をまったく使わない。また、インターネットは絶対に見ない(首相は見ているが)。そのかわりにプーチンは、旅行先でも常時、ロシア国営テレビ放送を視聴している。
 あとは、側近からの直接の報告。
 それが、プー之介にとっての全《世界》なのだ。

 プー之介の新コロ恐怖はそうとうのものであり、15分といえども彼と同室する者は、例外なく、2週間の隔離期間を経た者でなくてはならぬ。蔓延の初期には、私邸の地下室にずっとひきこもっていた。

 2022-2の開戦以降、プーチンは飛行機に乗ることを恐れるようになり、今では、移動には、専用の装甲列車しか使わない。

 また2022-10には、カザフスタンにあるロシア大使館の地下室内に、通信内容が秘匿され保全される専用回線の端末局を開設するように命じた。逃亡の準備かもしれない。

 カラクロフの母は、熱烈なプーチン支持者である。テレビにすっかり洗脳されているのだ。だから亡命については一切相談はしなかった。これが多くのロシア市民の姿でもある。みんなが疑問を口にせず、黙ってしまうから、こういうことになった。

 カラクロフは、FSO(国家保安局)の通信技師で、プー之介および首相が出先で使用する端末と回線の設備ならびにデジタル暗号保全に責任があった。
 この職責の関係上、カラクロフは2009年いらい、プー之介の行動を間近に観察する機会が多かった。

 ロシア内務省は2022-10-26にカラクロフを指名手配している。その直前に亡命したわけだ。

 プーチンの移動先に、いつもカラクロフはKAMAZトラックで先行しなければならなかった。高さ2.5mの、秘話保全された「移動電話ボックス」とともに。
 そのような出張を180回以上、カラクロフはしてきた。

 カラクロフの証言によるとプーチンは、同年齢の平均人よりもずっと健康体である。予定された旅行を、体調を理由にキャンセルしたことが、数回しかない。

 プーチン列車に特別な塗装はされていない。識別されてしまうことを嫌うからだ。飛行機に乗らないのも、容易に位置を追跡されるから。撃墜されることを恐れている。

 プーチンは各地に、ローカルオフィスを設定している。しかもその内装は、壁の掛け物までも含めて、細部に至るまで、なにもかも同一。この凝った仕掛けにより、プーチンは簡単に影武者を仕立てられる。忍法影分身もできる。

 ある場所でプーチンが声明したとする公共テレビの映像は、じつは、まったく別の遠く離れた土地の秘密のオフィス内で録画したものであることなど、ザラにあるわけだ。

 あるとき、プーチンはソチ市にいた。テレビは、車列の移動や、特別機の離陸を放映する。しかしじつは本人はまだソチにいる。そういうトリックの現場にも、カラクロフは臨場した。

 しかし、そんなことをする動機は何だろう? プー之介は暗殺されることを極度に恐れているのだとしか、解釈できない。

 カラクロフはダゲスタン生まれ。愛国精神に満ちた両親であった。彼は陸軍士官学校を出てFSOに入る。
 FSOはプーチンのボディガード担当であるから、クールであると思ったのだ。

 しかしFSOに入ったことで、カラクロフは、この国の報道がいかにして一から十まで捏造されていたのかを知ってしまった。

 またロシア国家上層役人の官官接待の贅沢ぶりに呆れた。毎度、彼らは地方で《会議》を開き、それは短時間で終る。そのあと彼らは1週間、リゾート地での休暇を満喫する。そこで1人が毎晩散財する額が、カラクロフの月給よりも多い。

 もしこれが正規の予算から出ているのだとすれば、あきらかに税金の無駄遣いだ。もし簿外会計なのだとすれば、彼らの何らかの腐敗をあかし立てるものだろう。

 今次侵略戦争の開始を見て、カラクロフは妻と相談し、娘が小学校に入学してキチガイ洗脳されてしまう前に、国外逃亡することを決めた。

 カラクロフ本人も、ウクライナの最前線に送られる可能性が、2022-9以降は高くなった。先に派遣された同僚たちが、早くも戦死したという部内情報に接した。車両ごと吹き飛ばされたFSO班員の写真も見た。ところがその戦死公報が無い。おかしいじゃないか。

 10月になり、カザフスタンの首都にて、たてつづけにFSOの《会議》があると知った。これぞ逃亡の大チャンスであろう。

 妻と子どもを、2日ずらして、別なホテルに投宿させた。

 10月14日の昼飯後、「土産物を買ってくる」と言って同僚と別れ、タクシーで空港へ。
 飛行機は1時間、出発が遅れた。午後5時、同僚たちはカラクロフが逃亡中だと確信した。
 トルコまでのフライトは5時間半かかった。気が気じゃなかった。

 プー之介の侵略を公然と批判して辞表を叩きつけ、今はスイスに亡命中のプロ外交官のボリス・ボンダレフは、再就職に苦労している。どこのシンクタンクも「ロシア専門家ならウチは間に合ってます」との返事だという。

 しかし彼は後悔していない。朝9時から夕方6時まで、ウクライナがロシアを攻撃したのだというストーリーを捏造する日々など、願い下げだ。

 ※プー之介がいつもテレビしか視ていないのなら、NATOとしては、その国営テレビの電波をジャックして、AIキャラのルカシェンコに、あることないこと語らせる「フェイク放送戦」を仕掛けるのが勝利への捷径だろう。というか、ウクライナがとっととそれをやれよ。位置的にモスクワに近いんだから。

 次。
 Ellie Cook 記者による2023-4-4記事「Putin Eyes New Wagner Group as Prigozhin Feud Continues――U.K. Intel」。
    英軍情報部の分析。いま、プー之介とショイグは、ワグネルに代わる、別なPMCを欲しているところだという。

 PMCは戦闘員の給与を国費とは別に自前でどこかから調達してくれる上、正規軍よりもよく戦ってくれるから。

 プリゴジンはショイグやFSBの批判者であるので、ショイグとしてはなんとか、ワグネルを潰してやりたい。
 プー之介はショイグの側についた。プリゴジンは切り捨てる気だ。最前線であんなに尽くしてくれているというのに……。

 しかし、言うは易し。ワグネルほどの規模と実力を備えたPMCが、おいそれともうひとつ、みつかってたまるものではない。プリゴジンのような強烈なキャラと才覚を兼備した創業経営者がいなければ、そんなものはできやしないのである。

 次。
 Stanislav Krasilnikov 記者による2023-4-4記事「Russian Copper Billionaire Bankrolling Military Unit Fighting in Ukraine」。
   プリゴジンの後釜として期待をされている男がいる。銅鉱山の経営者で富豪のイゴール・アルトゥシキンだ。『フォーブズ』によると資産は34億ドル。
 こいつが私財を投じてウラル地方で1個大隊規模の義勇軍をこねあげた。国家が兵隊たちに給料を払わなくていいのだから、モスクワ政府としては大助かりだ。

 2月の報道によると、この「ウラル大隊」は、ウクライナのクレミナ市の近くに投入されている。
 アルトゥシキンは、ワグネルに倣って刑務所から男たちを集めようとした。しかしプリゴジンがそれを阻止したという。

 アルトゥシキンは、金属回収業者から身を起こして成功。エカテリンブルグ市に2004年に銅山経営会社を設立した。げんざい、彼の会社は、ロシアで三番目に大きな製銅業者である。なお鉱山はカザフスタン領内にも所有する。

 アルトゥシキンの妻と、息子のひとりは、ちゃっかり英国市民権を保有している。ロンドンには豪邸も私有。

 この戦争前には、ロシア正教会に気前よく寄付して、モスクワ中央政界に取り入らんとしていた。

 次。
 2023-4-5記事「Ukraine might start using its own missile system Sapsan very soon」。
   ウクライナ国産の地対地弾道ミサイル「サプサン」。トラック上に2発を載せて発射する。レンジはイスカンデルを凌ぐ。モスクワまで届くかどうかは、ひ・み・つ……。

 これが、完成の一歩手前まで漕ぎ付けているという。

 「サプサン」の開発は2014年にスタートした。サウジアラビア政府が開発資金のうち4000万ドルを援助している。発射台となるトラックは2017年にできあがった。

 しかし2019年に開発資金が尽きた。完成までにあと3億ドル必要だという。

 当初の計画では、「サプサン」は50km~500km飛ぶ、短距離弾道ミサイル。弾頭重量は500kg。

 2022-8-9にクリミア半島内のサキ飛行場で起きた爆発は、じつはこの「サプサン」だったのではないかという人がいる。

 ロシア人は、サプサンはイスカンデルのクローンだと言っている。

 ※ベラルーシとウクライナの国境から、モスクワまで、五百数十kmというところだろう。間違いなく届くだろう。その発射の前後にテレビ電波をジャックして、ルカシェンコが「自衛」のためにモスクワを攻撃するというストーリーを流布せしめることができるだろう。

 ※雑報によると、ウクライナの兵器産業は、ペンスリット(=ペンタエリトリトール・テトラステアラート)をカミカゼ無人機の自爆薬として使うつもりだと。それでTNT不足を乗り切る。おそらくこれは、ペンスリットと可塑材を混ぜた「プラスチック爆薬」の意味だろう。ちなみにペンスリットとTNTを混合した爆薬はペントライトという。また、ペンスリット単独でできている火工品としては、導爆線がある。あらためてネットで検索したところ、ペンスリット粉末がごく普通に流通しているようなので驚く。汎用のケミカル原料だから、品薄になるおそれがないということなのか。ちなみに爆薬としては鈍感で、おそらく正規の雷管を使わぬかぎり爆発はしない。

 次。
 2023-4-5記事「Ukrainian Armor resumes production of 60mm mortar rounds」。
   「ウクライニアン・アーマー」というウクライナ国内のメーカーが、60ミリ迫撃砲弾の製造を再開しており、すでに10万発を同国軍に納品しているという。

 同社は2022-2の今次戦争の前半において製造施設の一部を破壊され、また一部を露軍に占領されるなどしていた。

 「UB60」というこの迫撃砲弾。弾重1380グラム。迫撃砲からのレンジは2500mである。
 砲弾は木箱に12個ずつ格納。
 NATO各国軍が使っている60ミリ迫撃砲からも、問題なく発射できる。

 ソ連時代には、箱入りの迫撃砲には装薬も信管もついていなかった。
 しかし同社の製品には、工場出荷時からすでに最大装薬がとりつけられており(必要に応じて発射前に減装することができる)、信管もついていて、その1発ずつが密封筒に入っている。
 前線では、届いたらすぐに発射できるのである。

 もっかのところ、ウクライナ国内で完全国産できている迫撃砲弾は、この60ミリ砲弾のみ。

 ※市民を即席動員した素人軍のために将来、日本が援助してやる重火器としては、こういうのが善い。射距離2500mなら、直接照準の限度ギリギリなので、無駄射ちも少なくなるだろう。できれば、この迫撃砲弾を、RPGラーンチャーから水平発射もできるように考えておいてやると、ますます善い。その場合、HEATと破片の両方の効果を狙った、汎用弾があることも望ましいが、そのぐらい、すぐにできるだろ。

 次。
 APの2023-4-5記事「Spain: Alleged smugglers of defense material to Russia held」。
   スペイン警察は水曜日、EUの禁輸に違反してロシアに航空機用のデュアルユース部品を密輸していた2人の男を、バスク地方において逮捕したことを公表。1人はロシア国籍、1人はウクライナ国籍。

 こやつらは2021-6から警察に眼を着けられていた。密輸組織網を解明するため、今まで泳がせられていた。

 密輸の手口は、対露制裁をしていない第三国〔それは中国のことだろ〕へ荷を送ってそこからロシア国内へ持ち込ませる。

 次。
 Rojoef Manuel 記者による2023-4-4記事「Germany’s EGV Berlin Replenishment Ship to Receive Hospital Facility」。
   ドイツ海軍工廠は受注した。『EGV ベルリン』の改修を。
 1999進水の戦闘支援用の補給艦であるが、大改修工事により、来年から、病院船機能も兼備することになる。

 ドイツ海軍全体の海上中央病院となるレベルだという。

 もちろん、世界中の災害救助にも、差し向けることができる。

 ※わが海自も、病院船機能をいつでも付与させられる、多機能・派遣用の大型補給艦を二、三隻、用意しておくべきだろう。これなら誰も文句は言わない。補給艦の内部にはとにかく余裕がある。また陸地との間で舟艇を往来させる機能が整っている。もちろん大型の重いヘリコプターも楽々と着艦できる。長期間、単独で、遠隔地にもとどまれる。専用の「病院船」を常備させるなどという無理すぎる発想より、何百倍も筋が善い。ドイツ政府は、おそらく《次のパンデミック》を考えているのだろう。