むしろ函館本線の函館駅を廃止してしまうことで、活路が開けるのでは?

 今の五稜郭駅を函館本線のターミナルにすればいいじゃないか。JRの「五稜郭車両所」は2023末に廃止になる。その敷地を駅舎拡張に利用できるはずだ。

 五稜郭駅から函館駅までの線路敷地を売ったら、その費用くらいは湧いて出るだろう。なにしろこの市ときたら、少数の大地主が土地を売らないので、どんな再開発も不可能だったのだ。そこに風穴が開く。

 函館市が、インバウンド向けの何かの施設をそこに設けてもいい。個人的には、「路面電車」は走らせて欲しいが……。

 この着想をもった市長候補が出てくれればいいと思う。新幹線をむりやり引き込もうとするよりも、ずっと筋は好いはずだ。

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 2023-4-9記事「Russia will not be able to produce 1,500 main battle tanks per year」。
   オリックスによるとロシアはすくなくも1925両の戦車を、2022-2以降、喪失した。
 これは画像で確認された分だけなので、撮像されていない破壊戦車が他に多数あるはず。

 ウクライナ軍は、露軍戦車を3633両やっつけたと主張している。ということは、リアル値は、1925と3633のあいだのどこかだろう。

 メドヴェジェフは、ことしじゅうに戦車を1500両製造せよとの無理な命令を下しているが、できるわけがない。今次開戦前の2021年の製造実績が、250両くらいしかなかったのだ。

 ショイグによると、戦車工場を「無休」体制に変えさせた結果、生産量は30%増えたという。もしかりにそれが60%増しとなったとしても、ロシアは年に400両しか、戦車を製造できない計算だ。

 ならば、古いT-62やT-54/55を改修する能力は、いかほどか? ウラル車両工場では、月に8両しか、それを仕上げられない。すなわち、年に96両だ。

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 James Bickerton 記者による2023-4-8記事「Leaked U.S. Documents Spark Fear in Russian Pro-War Blogging Community」。
    今回のリーク情報に対するロシア国内の軍事ブロガーたちの反応が面白い。全員、これは作戦開始前の揺さぶり工作であって、内容は真実ではない――と考えているご様子。

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 Karen DeYoung、Alex Horton and Serhiy Morgunov 記者による2023-4-8記事「Leaked documents warn of weaknesses in Ukraine’s defenses」。
    リーク文書のうちAAについての懸念内容。
 今の調子だと、宇軍のSA-11は、4月13日にはタマ切れになる。NASAMsは、4月15日にタマ切れになる。SA-8は5月までにタマ切れになるだろう。

 すなわち宇軍はドローンのような低価値目標に対してSAMを濫費するのをやめなくてはいけない。露軍のジェット戦闘機や有人ヘリを射撃できる場合にのみ、SAMを発射するという、ミサイルの節約規律が必要である。

 ※これを宇軍上層に伝えてもぜんぜん守られる気配がないので、リークすることで宇軍の末端将兵の意識を改めてもらうことにした……といった、穿った見方も可能かも……。

 ある評者いわく。どんなに努力しても、旧ソ連製の弾薬は、やがて、尽きる。これは不可避である。

 米軍はそれで、SAMよりも節約的で持続可能なAAシステムとして、トラックに25粍機関砲を載せた簡易AAGを供給することを決めたのだ。

 リーク情報によると、宇軍は、西側から貰った155ミリ砲弾も、すでに百万発近くも射耗してしまったようである。

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 ストラテジーペイジの2023-4-9記事。
   ロシアは、占領したウクライナの土地についてそれは自国領だと違法に宣言しつつ、ロシア本土には構築できている、ラジオ・テレビ・インターネットに対する検閲システムを、占領地に於いては未だに構築できずにいる。

 この検閲の実施機関はMRFC(主力無線周波数センター)という。

 MFRCには、支配下の放送局が天気予報を流すときに、新占領地をロシア国土の一部として呼称し扱うように強制する仕事もある。しかしこの作業も進捗がない。簡単な話ではないからだ。

 被占領地区の住民は、まだ露軍に占領されてはおらぬウクライナ本土の放送局からのニュースに、ひきつづき、いくらでもアクセスできる。ロシアの嘘ニュースなど聞いたところで一益も無いからである。

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 Dan Lamothe 記者による2023-4-9記事「Russia nearly shot down British spy plane near Ukraine, leaked document says」。
    ロシアがリークした文書によると、2022-9-29に黒海の公海上空にて、英空軍の無線電波収集機「RC-135 リベットジョイント」に2機の露軍のスホイ27戦闘機が迫り、1機は15フィートで意図的にニアミスした。また1機がAAMを放ったがそれは故障して落下したという。

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 Jeong-Ho Lee 記者による2023-4-9記事「South Korea dismisses report of US spying on allies, says ties strong」。
   韓国がウクライナを支援する気があるのかないのかを知るため米国が韓国政府内の通話を盗聴しているというNYT報道について韓国政府は特に言うこと無し。

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 Lara Jakes 記者による2023-4-9記事「Europe Has Pledged a Million Shells for Ukraine in a Year. Can It Deliver?」。
   ノルウェーにある、欧州でも最大規模の弾薬メーカー「Nammo」社は、2028年までに155ミリ砲弾の年産力を20万発にもっていきたいとしている。一方でウクライナ政府は、「ロシア軍の前進を撃退するためには、毎月25万発の砲弾が必要だ」と叫んでいる。どーすんの? このギャップ……。

 ちなみに「Nammo」社の今の製造ペースは、年に1万発でしかない。

 欧州ぜんたいでは、11箇所に、砲弾工場がある。そのすべてを合計しても、ウクライナの要求量にはとうてい足らないという。

 ※大きな潮流を整理して解説しよう。今起きている事態には、「量か質か」の択一設問はあてはめ得ない。生物の生存競争には、質も量もどちらも物を言うにきまっているのである。このたびは、「サボった側は、サボらない側に負けてしまう」「油断した者は、油断していない者に奇襲されてしまう」という、むしろ定性的な単純法則が、「砲弾のストック量」について、発動した。およそ、量であれ、質であれ、何であれ、もしも、敵陣営がその整備努力を30年間怠ったならば、それはただちに「敵の弱点」=「我に対抗することが不能な分野」となる蓋然性がある。その見極めに、こんかい、西側が集合的に失敗した。ロシアは冷戦時代の膨大な砲弾ストックを1発も捨てずにすべて保持していた。西側は、ストックを減らしてももういいだろうと90年代に油断し、以来、古い弾薬をどんどん処分してしまい、しかもその上に、砲弾の生産能力も削減し続けた。その予算を削って社会福祉に回した方がいいと判断したのだが、いっけん何の役にも立たない、古い砲弾のストックであっても、隣のキチガイ国より著しく減らしてしまえば、たちまち戦争抑止力は消え、むしろ侵略行動を誘出する「隙」があらわれて、社会福祉の理想とは正反対の事態が、眼の前にやってきてしまう。これが、今、起きていることだ。

 Nammo社の本社はオスロにある。ノルウェー政府はその大株主である。またフィンランドの半官企業も大株主だ。
 ノルウェー政府はNammo社の155ミリ砲弾製造能力を年産3万5000発に引き上げたい。その予算は出す。しかし時間がかかる。3年かかるだろう。

 「Nammo」社は製造能力を非公表としているものの、今次戦争前、155ミリ砲弾を、年に2万発以下(low tens of thousands)しか生産してなかったと明かしてくれた。

 ※工業製品には、需要の変動に弾撥的に対応しやすい製品と、し難い製品とがある。「風邪マスク」のような軽工業製品ですら、とっさに大量の需要には応じられぬ事実を、われわれは2021年に思い知らされた。砲弾は、ロケット弾以上に精密に製造されなければならず、いまだにロボット任せのマスプロはできない――というかその設備投資を西側はしなかった――分野であり続けている。

 リーク文書によると、韓国は今次戦争の勃発直後、ポーランドに33万発の155ミリ砲弾を売れると言ったようだ。それでも需要量のほんの一部にしかならない。

 ※では西側が今すぐにできることは何なのか? 短期的には、155ミリ砲弾ではなくて、ロボット任せのマスプロがしやすい、ロイタリングミュニションや軽迫撃砲を傾斜生産して宇軍に供給することだ。それなら市井の遊休工業力を急速に総動員できよう。その片道特攻自爆機は、ロシア本土の鉄道線路だけを執拗に攻撃するように、構造と機能を特化させること。それが露軍の砲弾輸送を有効に邪魔し、敵の優越分野である砲弾ストックが、最前線の前進圧力にダイレクトに結びつくことを阻害してくれるだろう。そのUAVには双方向の無線のやりとりは不要なので、安価・大量に製造もしやすい。