陸自が廃止する予定の攻撃ヘリの後継には、いっそ、海自から「P-3C」を割愛してもらうのがマシではなかろうか?

 生きた人間が海へ落水した場合、しばらくは、海面水温と体表温度とが一致することはありえないから、かならずコントラストが生じ、ズーム付きの赤外線カメラで遠くから発見することができるはずだ。

 しかし今回、高性能のIRイメージカメラを搭載した自衛隊機がただちに下地島沖の海面を捜索したようには見えない。
 陸自の「LR-2」はいちおう「連絡偵察」機ということになっているのだから、本土から飛んで行って捜索に加わらなかったのは、おかしくないか? もしかして、赤外線視察装置を搭載していないのか? それで「偵察機」?

 もし双発固定翼の「LR-2」にとってすら、先島群島は遠すぎたんだということであるのなら、もはや陸自も4発機を使わぬかぎりは、先島群島の警備すらも覚束ないのでありますと、中共に対してバレてしまったようなものであろう。

 C-130に偵察ポッドを吊るすというのも一法かもしれぬ。が、偶然にも海自は「P-3C」の定数を減らそうとしているのだから、それを割愛してもらったらどうだ? すごい性能のズームカメラがついている上、長時間連続の捜索にも不便がない。燃料補給は下地島空港ですればいいだろう。

 那覇基地の海自が哨戒機を捜索に出せなかったのだとしたら、その理由は、近海をうろついているシナ空母の監視に、アセットが総動員されているせいだろう。

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 Ellie Cook 記者による2023-4-9記事「Russia Using Artillery to Cover Up ‘Key Shortcomings’」。
    ワシントンにあるシンクタンクのISW(戦争研究所)いわく。露軍はこのごろ、航空戦力不足、地上の突進能力の不足、偵察力の未熟さを、ますます砲兵の数量でもってカバーしようとする傾向にあると。

 とにかく目の前の地形を砲弾で平らにしてしまえば、もはや精密爆撃も歩兵の市街戦も必要なくなるんじゃ。
 しかしこの戦術にはひとつネックがある。砲弾は有限なのだ。

 英国防省の分析。ここ数週間、露軍の砲弾飢渇が深刻化していて、おそろしく古いストック砲弾も支給されるようになっている。
 それでも宇軍よりは砲弾は三倍多く発射できる。今のところ。

 宇軍としては砲力不足を補うためには、陣地を深く掘って防禦を固めるしかない。そこは砲兵を省略できる。しかし砲兵の支援がない正面では、攻勢はあきらめるほかなくなる。

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 Siobhan O’Grady and Kostiantyn Khudov 記者による2023-4-10記事「As spring offensive nears, Ukraine is drafting reinforcements」。
 ウクライナ政府は銃後市民のランダムな強制徴募を開始している。徴募隊が住宅地を回って訪問ついでに徴兵適齢男子に召集令状を手渡すというスタイル。路上で呼び止めた行きずりの男子にも、この令状は手渡される。
 ウクライナ政府は、同国軍の死傷者数を公表していない。
 ドイツ政府は2023-2に、おそらくウクライナ兵はすでに12万人が死傷しただろうという推定値を語っている。

 この欠員を、まず宇軍は補充されないことには、春の攻勢どころではない。

 キーウには、これから徴兵されるかもしれない人々が、基礎教練を受けられる私設スクールが1箇所あり、繁盛している。

 従来、召集令状は、登録された住所に郵送するだけであった。徴兵をのがれたいウクライナ市民は、登録された住所とは違う隠れ家に転がり込んで息をひそめていれば、令状はいつまでも届かないことになる。

 この徴兵逃れ対策として新ルールがつくられ、徴募隊がランダムに住宅を訪問して直接に令状を手渡せるようになっている。

 2022-2-24以降、ウクライナ全土に戒厳令が敷かれている。そして18歳以上60歳以下の男子は全員、応召の義務がある。
 免除されるのは原則として、学生、18歳未満の子どもを3人以上育てている男、要介護家族を介護している男、身体的にまったく軍役不能な男、などだ。

 今年、あらたに18歳になる男女は、ウクライナには25万人ちかくいる。
 18歳になる前であれば、さっさと出国して徴兵を逃れる道もあり得たが、18歳になってしまってからは、もう国外へは勝手に出られない。

 大学で「軍事コース」を取った者は、徴兵されると下級将校になれる。まったく銃器に触れたことがなくとも、だ。

 46歳の食洗機修理工は、喧嘩騒ぎを起こして警察を呼ばれ、そのついでに召集令状を手渡されてしまった。

 ある教官いわく。俺はロシア兵を10人殺せる。だが、俺が10人の初年兵に、正しい殺し方を教えてやったならば、俺たちぜんたいで100人のロシア兵を殺せるわけだ。新兵のモチベーションは高いよ。彼らのエネルギーに接すると、俺は震えるね。彼らの殺気が、俺のエネルギーになるんだよ。

 さいきんの若者はシャベルで地面に壕を掘るやりかたすら知らないので、教えるべきことはゴマンとある。

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 Andrew E. Kramer 記者による2023-4-10記事「Lethal Surprises Hidden in the Grass: Russia’s Trip Wires and Land Mines」。
   最前線になっているLymanという村。犬の屍骸や山羊の屍骸には気をつけなくてはならない。そこには紐が結び付けられていて、その紐は手榴弾のピンにつながっている。露軍が仕掛けたブービートラップだ。

 トリップワイヤーは草叢の至るところに張られている。足をひっかければ、やはり手榴弾が爆発する。

 一層強力な「クレイモア」も、トリップワイヤーで起爆するように仕掛けられている。

 跳ね上がり式の対人地雷もある。これまたトリップワイヤー式で、歩兵の顔面の高さまで地雷が飛び上がって轟爆し、半径25mに致死的な破片を飛ばす。WWII中にドイツ軍がよく仕掛けた「バウンティング・ベティ」をロシアが模倣。「OMZ-52」という。

 これに動物がひっかかって死ぬのである。その屍骸を、さらなるブービートラップに役立てる。

 対戦車地雷にも、仕掛けがある。それを除去しようとして動かすと、紐が引っ張られ、一層下の爆薬が轟爆する。

 「POM-3」という緑色の茶筒状の地雷は、地表に立てて置いてあり、人が歩いて接近するとその地面の振動を感知して炸裂する。だからこいつを除去するためには、近寄らずに、遠距離からライフルで破壊するしかない。

 トリップワイヤーに、フック付きのロープを遠くから投げて引っ張り、爆発させてしまう――という、てっとり早いブービートラップの処理方法も、場合によっては、あり。

 ※ウクライナ軍の「ミル8」は、122ミリの空対地ロケット弾をポッドから乱射する戦法しかすることがない様子だが、それを味方地上部隊の前進と連動させないのなら、まさにまったくの無駄撃ち。いつまでそんなことを繰り返す気か? 創意工夫がなさすぎる。このロケット弾にもやはり、VT信管が必要だと思う。VT信管と組み合わせれば、威力が違ってくる。

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 「mil.in.ua」の2023-4-10記事「Romania plans to buy 54 Abrams tanks」。
    ルーマニアの国防省が議会に要請。
 米国から「M1A2」エイブラムズ戦車を54両買いつける契約をしたいので、予算を承認して欲しい、と。

 そのうち12両は、米陸軍のストック品をリファービッシュしたものとなる。

 契約総額は1億ユーロになるであろう。これには弾薬や訓練用シミュレーターも含まれる。

 NATO軍の戦車大隊は、戦車54両から成っている。つまりは1個大隊分を買う。

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 マリタイムエグゼクティヴの記事「Canadian Navy Makes Plans to Replace Aging Victoria-Class Subs」。

   カナダ海軍は12隻の非核動力潜水艦を調達するつもりである。
 現用の『ヴィクトリア』級は2030年代半ばに退役となるので、それを更新したい。
 『ヴィクトリア』級は1998年に取得され、いま、4隻ある。うち1隻(コーナー・ブルック)は過去5年、稼動していない。

 カナダ海軍の担当海域は、北極海。だから長距離行動力がなくてはならず、安価な小型潜水艦は選べない。
 維持費も高くなりそうで、あたまがいたい。

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 Julian E. Barnes, Helene Cooper, Thomas Gibbons-Neff, Michael Schwirtz and Eric Schmitt 記者による2023-4-8記事「Leaked Documents Reveal Depth of U.S. Spy Efforts and Russia’s Military Struggles」。

   このたびのリーク騒動で、ペンタゴン最上層の秘密保持能力に、まったく信用がなくなった。米政府の他の機関は今後、国防総省へ分け与える機密情報を、制限するようになるだろう。

 こんかいの漏洩は、総量で100枚前後の、ペーパー資料である。
 それらをカメラで撮影したものが、SNSにUpされた。

 写真に写っている机には、狩猟雑誌のようなものがあり、その上にペーパーが広げられている。
 明らかに、誰かの私室だろう。
 とんでもなく杜撰な機密文書管理がなされていたのだ。ペンタゴン内では。

 会議室等の外へ持ち出してはならない機密ペーパー資料を、誰かがポケットに入れて、管理されない場所へ持ち出していたのだ。

 FBIは犯人探しを開始している。

 今回のリークで、2023-2月時点での両軍の人的損害の推定値が世間に知られた。
 露軍は18万9500人から22万3000人が死傷した。うち、死亡したのは4万3000人である。
 かたや宇軍は同時期に12万4500人から13万1000人が死傷した。うち、死亡したのは1万7500人である。
 以上が、これまで公表されたことのない、ペンタゴン内部の見積もり数値だ。

 リーク文書から分かったこと。韓国政府は、バイデン大統領から直接に電話で、武器弾薬の対宇支援を求められる事態を、恐れていた。

 「Discord」というプラットフォームは、ビデオゲーマーの溜まり場。そこにリーク文書がUpされた。三月に。

 多くのSNSは、ハッキング等で不正取得された文書等の掲示は削除するポリシーを持っているが、ツイッターはこの件に関しては削除せぬ方針らしい。

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 Ashish Dangwal 記者による2023-4-10記事「Russia Overestimates Its Su-35 Fighters; Ex-F-16 Pilot Says Moscow Using ‘Identical’ Tactics In Air As They Do On Ground」。
    群山[クンサン]の米第8戦闘機ウイングは、そのF-16を最新式に改修した。APG-83というレーダーに換えた。

 ウイング司令官によると、F-16は2040年代まで現役であり続ける。

 元F-16操縦者である退役中佐のダン・ハンプトンいわく。

 「スホイ35」のレーダー技術は30年前のもの。F-16に対抗しようとしても、接近する前に勝負がついてしまう。

 F-16は、機体がコンパクトであるために、接近してもなかなか肉眼で発見できない。ミグ29よりも、視認しにくいのである。

 ハンプトンまたいわく。ロシア空軍の者は「数」を過信している。陸戦と同様に、数で押し切れると思っているようだ。

 古い世代の戦闘機のFCSは、いちどに多数の敵機が出現した場合、情報処理が追いつかなかった。ロシア空軍の者は、どうもそこに望みをかけているようである。ところがF-16の最新のFCSは、敵機がいくら多かろうとも、そのぜんぶを、同時に追尾できてしまうのだ。F-16は搭載ミサイル数も多い。空戦の結果は、一方的だろう。

 またハンプトンは希望する。戦前にあったような「航空義勇兵」を許可してくれれば、俺はいつでもウクライナ空軍のために戦闘機を操縦し、露軍と戦うよ、と。PMCが契約する「航空傭兵」でも、いいぜ――と。