リーク文書でわかったこと。2023-2-25に中共は「東風27」を試射し、それは2100kmの距離を12分で飛翔した。

 ハイパーソニック滑翔である。これはおそらく米国の現有MDでは阻止できない。あとは対空母の照準をどうつけるのかが課題だね。

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 Alex Horton 記者による2023-4-14記事「Russia’s commando units gutted by Ukraine war, U.S. leak shows」。
   このたびのディスコード・リーク文書により、世間に知られたこと。露軍のスペツナズは今次戦争でズタボロにされてしまっており、その再建はとうぶんできないであろう。

 ほんらい、少人数での隠密奇襲作戦(たとえばゼレンスキーの捕殺)等に使うべき特殊部隊員を、露軍の無能な上級指揮官どもが、地上攻勢の第一波の歩兵尖兵部隊として宇軍の防衛ラインに正面からぶつけ、ことごとく磨り潰してしまったようなのだ。

 米軍は2022後半にこう結論していた。もはやロシアは、世界中で「特殊作戦」する能力がなくなったと。

 スペツナズの駐屯地を撮影した衛星写真が良い資料になった。2022-2の出征後、2022夏にまた原隊に戻ってくることができたスペツナズ隊員は、5人に1人ぐらいの割合だと分かるのだ。この時点でもう、全滅的損害を受けているのである。

 2022-11に駐屯地を撮影した衛星写真からは、どうやら各スペツナズ旅団が9割の損失を蒙っているらしいと判定できるという。

 スペツナヅ隊員は、最低4年間の特訓を経て育てられる。これをまた再建するには、10年はかかるであろう。

 リーク文書は言う。第346スペツナヅ旅団は、900人が前線に送られて、無事に戻ってきたのは125人だった。

 ロシア南部にある、第25スペツナヅ連隊は、出征いらい、駐屯地に、いまだに1人も戻っていない。おそらく、この連隊は、1人残らず全滅した。

 2023-2月にスペツナヅの旅団長が1人、最前線で戦死している。これも異常事態だ。旅団長がいなくなったら旅団の機能はガタ落ちになるのは当然だから、むやみに前に出ていてはならないのに、前に出るしかないような圧力が、かけられたことを意味する。

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 Maura Zurick 記者による2023-4-23記事「Wagner Group Accused of Making Russian Soldiers Disappear」。
    先週、100名の正規ロシア兵が、ワグネル部隊に移籍するように勧誘されたが、拒否したところ、暴力的に脅迫されたので、露軍はこの100名を、ルハンスク州の某演習場に避難させねばならなかったという。
 この醜聞は水曜日にISW(戦争研究所)が発表した。

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 Niha Masih 記者による2023-4-14記事「Ukraine live briefing: China secretly agreed to provide weapons to Russia, documents show; suspected leaker arrested」。
    リーク文書は示す。ことしのはじめ、米国は掴んだ。中共は、民需品にみせかけて、軍需品をロシアへ送ることを決めている。

 この情報はNSAがロシアのFSBを盗聴して掴んだ。
 だから米国政府はしきりに中共にむけて、「武器援助をするなよ」と繰り返し警告していたのかと分かる。

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 Robin Mitchell 記者による2023-4-14記事「Putin’s Miscalculation: How Sanctions are Sabotaging Russia’s Electronics Industry」。
   プー之介がさいきん命じた。64億ルーブル(およそ8000万ドル)の新しいファンドを作る。それで半導体とドローンを国内で開発させる。無人輸送機など、今のウクライナ戦線に必要なものを研究するのだ。

 それはいいとして、どうやってそれらの試作品を量産に移す気だろうか? 西側の制裁がかかっていて製造機械を輸入できぬ以上、新世代チップの量産など、絶望的である。できることは、数十年前の集積レベルの原始的な模倣製品の供給量を増やすことぐらいだろう。

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 2022-1-12記事「Russia plans to develop a wheeled version of Sprut-SDM1 125mm amphibious light tank」。
   ※古い記事だが、ロシアがこれから注力するはずの「簡易型大量生産兵器システム」のイメージが得られるので、ここで紹介しよう。

 2021-12下旬にロシア国営ROSTECにインタビューしてわかったこと。

 ロシアはもうだいぶ前から、弾薬が主力戦車と共用の125粍砲塔(無人で自動装填)を、アルミ合金製シャシで浮航のできるBMD装軌空挺装甲車の車体に無理やりに載せた「スプルト-SD M1」という全重18トンの「戦車駆逐車」〔タンクデストロイヤー〕を研究しているのだが、さらに一歩を進め、この砲塔を、むりやりに8×8の「ブーメラン」装輪装甲車(機関砲のリモコン砲塔付きで34トン)に載せることも検討しはじめているという。やはりそれも浮航ができるという。

 会社では、それを輸出商品とすることを念頭している。そのさい、バイヤーの希望に応じて、いろいろな出来合いの8×8車体に、125粍砲塔を載せてさしあげますよ、という商売だ。

 ※この商品を当初構想のままで量産するのも、とうてい不可能だろう。最新の製造設備を輸入できないからだ。しかし、思い切って「簡略兵器」のコンセプト見本と考えるなら、ここから、間接照準専用の対戦車自走砲が、生まれるかもしれない。用法として、現におこなわれているように、常に最大レンジで野砲のように発砲し、しかも照準の修正を完全にドローンに依拠するなら、FCSはWWII時代のアナログ式でよいわけだ。回転砲塔も無用である。それにはもうひとつの有力参考品がある。すなわち1944年に英国が急造した、装軌式で全重17トン、3インチ対戦車砲を車体に後ろ向きに無砲塔式に装載し、天板も省略し、操縦席が砲尾の真後ろに位置していた変り種「アーチャー・17ポンド自走砲」(バレンタイン17ポンド自走砲)である。今のロシア戦車兵は、対ドローン警戒のためなのか、すばやい脱出のためなのか、理由は不明だが最前線でハッチをいつも開けている。これは宇軍に「曳火」榴弾がないから可能になるのだろうが、ということは、そもそも天板は要らないのである。膠着した戦線や、防禦局面での使い捨て兵器と割り切れば、エンジンも非力なものでよい。農業トラクターで牽引してもらったっていいのだ。クルスクで後退を禁じられた76.2ミリ野砲のことを考えたら、これでもずいぶんマシな兵器と思ふべし。

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 ディフェンスエクスプレスの2023-4-14記事「Ukrainian Heavy Drone Kazhan: Multirotor Aerial “Artillery”」。
    ウクライナ国産の「カザン」というマルチコプター。6軸のものと4軸のものとがある。どちらもデカい。
 戦場のあちこちでみかけるのだが、詳細が報道されたことはこれまでなかった。

 滞空時間は20分以上という。
 水平最大速力は120km/時。
 最大20kgのペイロードあり。つまり120ミリ迫撃砲弾なら1発吊るせるし、60ミリ迫撃砲弾なら多数吊るせる。

 距離6kmのところに敵AFVが発見されたという場合が、こいつの出番。こっちの野砲の弾薬を無駄にせずに、1発で片付けてくれる。

 さいきん分かったことは、このメーカーは「ウクルテクノ・アトム・エンタープライズ」というらしい。

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 ディフェンスエクスプレスの2023-4-14記事「Difference Between Older Shahed-136 and New Batch Revealed by Ukrainian Trophy Researchers」。
   宇軍がさいきん回収した「シャヘド136」から、早くも部品のグレードを落としている事情が看取された。

 LSIの代わりに古いトランジスター、30年前に製造された共振器、リレーなどが組み込まれているという。

 また無線機のかわりに、3Gや4Gでデータのやりとりができる「GSMトランシーバー」がとりつけられていた。

 シャヘド136のエンジンのスパークプラグに「MADO」というマーキングがあって、イラン製の「MADO M550」エンジンであることが確かめられている。ようするにドイツ製「Limbach L550」のコピー品だ。

 ※いま、ドローン戦争は、マルチコプターに急降下爆撃をさせて、無誘導の爆弾を精密に標的に命中させるところまで来ている。ではその次はどうなるか? まちがいなく、固定翼ドローンが、高速で「緩降下」(45度より浅い降下)して、無誘導のHEAT弾をAFVに直撃させるようになると思う。日本はこのシステムを早く量産しなければならない。というのは、このシステムこそ、雲霞のごとく押し寄せる中共軍の上陸舟艇/水陸両用戦車に対する、我が軍の切り札になるからだ。トマホークやハープーンは開戦から1週間でタマ切れとなるだろう。米国にはそれを緊急増産する力もない。となったら日本は何に頼れるのだ? 特攻機ではなく、何度でも生還する無人「天山」に、ストックに余裕のある無誘導の砲弾(155ミリ野砲弾もしくは120ミリ以下の迫撃砲弾)を運搬させ、緩降下爆撃させることしかないはずだ。その信管は、VTと、0.1秒遅延を、切り替えられるようにする。まずVTで敵甲板上の有人AAを制圧し、次に水中爆発至近弾で水線下に穴をあけるのだ。このコンビネーションならば、水陸両用戦車/装甲車を片端から沈めてやることもできる。WWII中には考えられなかったような精密な緩降下爆撃は、今のドローン技術なら楽々と可能なのだ。『大和』ですら、緩降下の徹甲爆弾によってアーマーを貫徹されてしまっている(米海軍は今もこの徹甲爆弾のスペックをオープンにしていない)。ドローンは、必ずこれを再現するまでに進化するはずだ。