Missy Ryan, Evan Hill and Siobhan O’Grady 記者による記事「Egypt nearly supplied rockets to Russia, agreed to arm Ukraine instead, leak shows」。
リーク文書でばれた恥。
エジプト政府はモスクワの要請にこたえてこっそりとロケット弾を輸出するつもりでいたが、米国政府から3月に警告されてその企てを一擲し、逆に、ウクライナ軍へ弾薬を融通することにした。
ロケット弾は122ミリの「Sakr-45」で、数量は4万発である。
エジプトは米国から年に10億ドルもの軍事援助を受けていながら、このような裏切り行為を画策した。米露両国からうまい汁を吸おうとした。
お詫びのしるしにエジプトは、手持ちの152㎜榴弾(ソ連系の重砲用)と、155ミリ榴弾(西側系の重砲用)を、米国に差し出す。米国はそれをただちにウクライナへ搬入するであろう。
エジプトには弾薬製造能力もあるので、これからそれをウクライナ支援に役立てるという。それによって米国からさらなる援助を引き出したい。
リーク文書によると、まずロシアがエジプトの国防大臣に、1万5000発の122ミリロケット弾を、1発1100ドルで買いたいともちかけた。1月から2月にかけてエジプトはそれに応ずる動きを始めた。
シシ大統領は部下に対し、4万発製造できるだけの材料を調達せよと命じた。そして1月31日より前、国防大臣は、真鍮の値段が上がっているから、単価を1500ドルにしてくれとロシアに要求した。
2月後半、ホワイトハウスと国務省は、ベレット・マグーク、バーバラ・リーフらをカイロに派遣して、エジプト政府にこの秘密取引から手を引かせた。
さらにオースティン国防長官が3月上旬にカイロに乗り込み、エジプトはウクライナのため榴弾砲の弾薬を製造せよと迫った。
3月9日、エジプトは152㎜砲弾と155㎜砲弾の対米売却を承認した。それはウクライナへ転送されることも承知である。
エジプト政府はこの好意を示す見返りとして、米国からF-35とペトリオットを買いたいと望んでいる。
またエジプトは、あたらしい砲弾工場をエジプト国内に建ててくれと米国に頼んだ。技術も移転してくれと。
なおエジプトは2020年以降、ロシアからSA-23を買っているが、ロシアはこれを買い戻したがっているともいう。
※狂気の新法がまたロシアに施行されそうだ。個人の資産の上限額をロシア政府が決め、それを越えた分はぜ~んぶ政府が公収するという。そしてまたおそらく今、ロシア政府は、公務員と兵隊の給料や、国民の年金を、デジタル・ルーブルで支払えないかどうか、検討しているのではないか? 財政破綻を回避するためには、それはとうぜんのオプションのひとつだから。
※ヘルソンの戦況を報告しようという将官たちにプー之介が会った、とのニュース映像。あっけらかんと「替え玉」が臨席した。死闘をくりひろげている軍人に対して、その対応は正気かよ? すでにロシアは1916に似ているとの評者あり。革命が起きますぜ。
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2023-4-18記事「Number of M109 howitzers in Ukraine substantially increased, after the latest arrivals」。
もっかウクライナ軍は、「M109」系列の155ミリ自走砲を80両近くも、運用中である。
たとえばイタリア軍は、より新式の155ミリ自走砲である「PzH 2000」を採用しているから、古い「M109」はウクライナへ供与してもよくなった。それでいちどに30両を寄贈している。
「M109L」であっても155ミリ砲弾は24kmから30kmも飛ぶ。
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2023-4-18記事「Ukraine weaponized pickups ―― tiny Grad on the go」。
ウクライナ軍は1984年に国産の「S-8」という径80ミリのロケット弾を導入した。もともと航空機用だった。
それが今では、民間仕様のピックアップトラックの荷台から、こいつを多連装で発射する。
レンジは3kmから5kmである。
これより大型の「BM-21 グラド」という122ミリの地対地ロケット弾は、52kmも飛ぶ。さすがにピックアップトラックからは無理。
※ウクライナの戦場で鹵獲された最新型のT-90を1両、米本土まで運んで、米軍のベテラン戦車兵たちが調査しているところなのだが、まず車内を一見して、驚倒。乗員が器材を少しでも整備したという痕跡がない。それどころか、ただのいちども清掃をした様子が無い。どこもかしこも汚れ放題。これほどの埃油の蓄積は、数十日ぐらいではきかない。どうしてこれで我慢ができるのか? また露軍の戦車部隊には1年を通じてインスペクションはないのか? とにかく、おわっている。
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2023-4-17記事「Russian Prisons ‘Lost’ Up to 17,000 Convicts in 2022」。
ロシア国内には多数の刑務所があるが、独立メディアがその35施設について調べたところ、2022年には、その収容者数が、トータルで1万7248人、減ったという。
おそらくワグネルが、それだけの人数を刑務所から調達したということなのだろう。
まだ調べのついていない他の刑務所からも、同じくらい調達しているであろう。
サマラにある刑務所の場合、2022年には、人数が2723人、減った。その前年には、300人増えていたのに。
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Ian Garner 記者による2023-4-18記事「Russia’s Youth Army is recruiting」。
※記者は軍事史家で、露軍のプロパガンダ文化に詳しい。
ロシア国防省は2016年に「少年軍団」を設立。6歳以上の少年少女に入団を勧奨し、いまやはメンバーは130万人。中央政府からは毎年8000万ドルの補助金を交付している。
異常なのは、マリウポリなどウクライナの占領地から拉致し去ったウクライナ人の少年少女たちが強制的に入団させられ、そこで洗脳を受けていること。
じつは2016年の創設と同時にクリミア半島の住民の少年少女を強制入団させているのだ。このプトラーユーゲントは、占領政策の一環なのである。
「こどもソルジャー」というアプリが団員の端末にインストールされる。少年団員はそれで愛国的なゲームを楽しむ。
すっかり洗脳された団員は18歳になればロシア軍に進んで志願することはいうまでもない。
露軍占領地では、「志願」は「強制」なのである。
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Steven Erlanger 記者による2023-4-17記事「Russian Invasion of Ukraine Revolutionizes NATO Military Strategy」。
NATOは大きな方針転換を決めた。
従来、最前線国の国境近くの地域は、いったんロシア軍に占領されることを想定して、それをまた押し返すのだという防衛腹案であった。
この方針は、一擲する。
ほんの数日でも露兵たちに同盟国の国境村落を占領させてはならない。それをゆるしたがさいご、ブチャ市のような惨害を座視することになってしまうと、皆が理解できたので。
そこでNATOは、ロシアと対峙する国境諸国には、最初から、有力な8ヵ国の部隊を駐屯させておく。
露軍が侵略してきたなら、第1日目のうちにそれを撃攘し、国境外へ追い払う。
NATO加盟国は、総体の無駄も排さなければならない。たとえばデンマークは、自前の潜水艦など持つ必要はない。有限予算の無駄遣いである。ぎゃくにカナダは、空中給油機をもたねばならない。それを持たないでいることは全NATOに迷惑をかけることなのである。そういう踏み込んだ勧告をこれからどんどんして行く。
ポーランドには貨物輸送のための鉄道網の拡充投資が求められる。現状ではトラックが緊急輸送力の不足をおぎなわなければならないが、避難民でごったがえす道路をトラックがすいすい走れると思うのは甘い。鉄道が最強である。
※自転車のすぐれている点は、大混雑した道路もすり抜けて通過できること。今こそもっと見直さなくてはいけない。
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Rob Verger 記者による2023-4-15記事「A new kind of Kevlar aims to stop bullets with less material」。
デュポン社は、旧来のケヴラーより3割軽く、それでいて防弾性能は同等の、新繊維を開発した。
旧来のケヴラーは1平方フィートあたり1ポンドの重さに織らないと弾丸を止められなかった。
※織り方にも工夫の余地があるはずだ。「組み紐」の中には異常な引っ張り強さや靭強性を発揮してくれるものがあるだろう。素材を「糸」に紡績する段階で「組紐」状の構造にできないか、メーカーは試すべきだ。組み紐のような構造は生物界で自然に進化することなどないと思うので、バイオミミックの限界を突破できる可能性がそこにある。
防弾ヴェストは、無限に伸びる布であっては困る。それではタマが布ごと人の体内深くめりこんでしまって、何にもならないからだ。
弾丸がもっている運動エネルギーを、弾丸自体の内部に反射させて、弾丸をマッシュルーム状に変形させる機能が、総体に求められるのである。
防弾衣類の素材には、パラ・アラミド系のケヴラー、Twaron(帝人製だという)、および、ポリエチレン系がある。
このたびデュポンが開発したのは、やはりパラアラミド系だが、従来、2つのモノマー(重合前の単位分子)でポリマーとしていたものを、3つのモノマーに変えたという。
従来のケブラー布は、厚さが0.27インチはないと不安だったが、新ケブラー布なら、それを0.19インチに薄くできる。
※米軍はまたヘルメットを更新するようだ。その材料に、この新ケヴラーが使われるのかもしれない。