推進モーターに電力を使うのではなく、「自立」を維持するジャイロに電力を使う、半無人の電動自転車ができるはずだ。馬子が紐をひっぱれば、その後をついてくる。200kgの荷を吊架して。

 ジャイロの慣性力を利用して、通電中は「自立」を保つようにする。このイナーシャ回転体は、いったん高速回転に達すれば、あとはわずかな電力しか消費しない。

 この自転車にはハンドルはあるがペダルはない。人が押したり引いたりして前へ進ませる「輜重駄載」専用車である。

 駱駝の隊商のように、この輜重自転車は、紐で繋いで縦列隊形にすることができる。4~5台の無人自転車を、一人の馬子が先導して、山間の細道を歩いて通過できる。

 最後尾の1台に大容量の電池を吊架させるようにすれば、全車に推進モーターを取り付けることもできるだろう。そこから、前の4台に給電して、坂道を登る。電池が空になったら、最後尾の1台は切り離してしまう。これは戦時の輜重縦列としての用法である。

 すなわちこのシステムは、《レールのない軽便鉄道》のようなものになる。

 イナーシャ用の電源も尽きたら、あとはベトミン/ベトコンの輸送用自転車のように、人が左右について押して行く。それだけ。

 車両のスピードを犠牲にすれば、日本社会が炭素排出量を劇的に削減することはいくらでも可能だ。《低速度交通社会》の構築を考える時が、来ているだろう。

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 Soyoung Kim, Ju-min Park and Hyonhee Shin 記者による2023-4-19記事「Exclusive: South Korea’s Yoon opens door for possible military aid to Ukraine」。
   ロイターのインタビューに、訪米目前の韓国大統領が答えた。

 ――これほどの規模での対市民攻撃や虐殺、戦争法規の蹂躙を、国際社会が大目に見ることは不可能だ。われわれ韓国人は、たんに人道支援とか金銭援助だけしているわけにいくまい。

 これはウクライナに韓国から武器弾薬を供与しますよという初の示唆だ。

 ――わたしの信ずるところでは、不法に侵略された国の防衛と国土回復をサポートするのに限度などあるべきではない。しかしロシアとの関係を考え、われわれは適宜の手段を選ばねばならぬ。

 訪米は来週に予定されている。

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 Mike Eckel 記者による2023-4-18記事「Sudan Slips Into Chaos. Russia Lurks In The Background」。
    スーダンで政府軍と戦闘状態に入った民兵組織RSFは、2017-11に、ダルフールの金鉱山を占領した。

 スーダンが外貨を稼げる唯一の物産がGoldなのである。それを押さえてしまった。

 2018-4-24に、プリゴジンが首都ハルツームに飛んだ。ワグネルの2個部隊を引き連れていた。

 2018-8、プリゴジンはふたたびハルツームに飛ぶ。そして、中央アフリカ共和国の複数の武装グループの頭目と面談したという。

 8-31、ロシア外相は「中央アフリカ・反政府連合」が結成されたと発表した。

 ワグネルは2017後半に、自由勝手にハルツームに入れる権利を得たようだ。これはスーダンの前の支配者がモスクワを訪れてプーチンに挨拶したのがきっかけ。

 プリゴジンが操っているネット謀略班の班長、ミハイル・ポテプキンが、スーダンにおけるワグネルの統括者にされているという。

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 Farangis Najibullah & Zarangez Navruzshoh 記者による2023-4-18記事「Russian Recruiters Target Central Asian Migrants At Mosques, Dorms To Join War In Ukraine」。
   ロシアに出稼ぎに来ている、タジクなど中央アジアの諸国民は、滞在や就労に期限があって、その更新ができなければ国外退去させられる。

 ここにロシア政府がつけこんで、露軍の「契約兵士」になりなさい、としきりに勧誘している。
 飴は、月3000ドルほどの給料と、6ヵ月の従軍後にもらえる「ロシア国民パスポート」。これがロシアでは市民権を意味する。

 入国管理局には外国語を話せる係員が窓口にいる。その事務員たちが母国語で勧誘する。
 入隊勧誘係は、モスクや、労働者食堂でも、一本釣りをしている。

 モスクワの中央政府は、ウクライナ戦争の完遂のためにこれから何十万人徴兵するつもりでいるのかを、公式にはアナウンスしない。世論がプーチンから離れると分かっているからだ。

 そのかわりにロシアの地方自治体政府が、数字を発信している。新たに40万人という膨大な人数だ。

 モスクワ市内のリクルーターは街頭でパンフレットを配っている。今軍隊に志願すると、一時祝い金として2390ドル相当が貰え、その上に、月々4160ドル相当の給料が出るぞと謳ってある。

 タジク人やウズベク人は、簡単にはロシア市民にはなれぬ。出稼ぎ人が国外追放された場合は、またロシアに再入国できるようになるのは5年後である。しかし軍隊に志願すれば、たった6ヵ月で、ロシア市民になれるというインセンティヴ。

 志願には、健康診断書も要らない。「わたしは健康です」と書いてあるペーパーに署名をするだけだ。

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 Brendan Cole 記者による2023-4-18記事「Russian Troops with ‘No Understanding of Where We Are’ Make Video Plea」。
    テレグラムの中に、「アストラ」という独立系の露語ニュースチャンネルがある。そこに投稿されている動画。モスクワと「Ivanovo」の連隊区で徴兵された新兵たちのボヤき。

 ロストフ~クルスクあたりで基本教練。すぐに輸送機でルハンスクへ空輸されるという。行く先も、配属先部隊名も、知らされない。

 ※まあ、ふつう、知らされないよ。

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 Mack Tubridy 記者による2023-4-18記事「Wagner Graveyard for Ukraine War Dead Discovered in Siberia」。
イルクーツクから11km離れたところにワグネル墓地ができていることを地元民がつきとめた。
 五十数人が埋まっている。ほとんどバフムトの戦死者と考えられる。

 ツンドラに墓穴を掘るためには地面に鉄板を敷いてその下で火を燃やすのだという。

 ※BMP-1の備砲をつるべ射ちする車内動画がSNSにUpされていて興味深い。縦置きの弾薬は砲尾の下方の右側にズラリと整列して、回転寿司のように押し出されてくる。その端の1発を、砲尾左側に位置する装填手が右手で取っては砲尾へ押し込む。ハッチを開けっ放しな理由もよくわかる。砲尾から出てくる白煙がものすごく、それが狭い戦闘室内に充満してしまうからだ。たぶん「後ガス」には一酸化炭素が含まれている。ハッチを閉めていたら全員、具合が悪くなってしまうだろう。

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 Tom Watling 記者による2023-4-19記事「Russia using ‘ghost ships’ to prepare for major conflict with Scandinavia」。
    過去6ヵ月間、ロシア軍は、AISを切った諜報工作用の特殊船舶を駆使して、バルト海ならびに北海の、ガスパイプラインと通信ケーブルと送電ケーブル網の海底精密地図を作成中である。これは対欧州の本格開戦時に一斉に切断するための下調べだ。

 北米と欧州をつなぐ海底ケーブルもロシアは全部切断する気でいる。

 これら工作船は国際法で外航船に義務付けられているAIS装置を切っている。よって「幽霊船」と呼ばれる危険な状態で、デンマーク沖の混雑した海域をうろついているのである。

 隠密活動船のうち1隻の船名は『アドミラル・ヴラディミルスキー』。
 ロシアの軍港に対しては、無線で時々刻々の自己位置を報告している。

 H.I.サットンによると、ロシアの特殊工作船は、対欧開戦と同時に、洋上風力発電タービンをなぎ倒す使命も帯びており、そのための特殊海中索を装備しているという。

 ノルウェーのメディアによると過去10年、この手の工作に従事していると疑われる船舶が50隻もあるという。とつぜん海底ケーブルが切断され、その海域を不審船が航行していた、というパターン。しかもNATO演習になると、そいつがただちに顔を出す。

 これら工作船は有事には機雷敷設にも任ずる。

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 READE LEVINSON 記者による2023-4-19記事「More women describe enduring forced abortions in Nigerian Army programme」。
    ナイジェリアの辺境で、ゲリラのボコハラムに誘拐され、そののちナイジェリア軍が奪回した住民の女子たちに対して、ナイジェリア政府は、本人の同意なしに堕胎薬を投与している。

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 Graham Warwick 記者による2023-4-18記事「Whisper Aero Targets Defense First For Ultraquiet Electric Propulsion」。
    電動ドローンをもっと静粛化する方法はないのか?
 テネシー州にある「ウィスパー・アエロ」社は、革命的な「ダクテド・ファン」を完成しつつあり、これを使えば問題は解決される。且つ、いままでの飛行機はすべて「T型フォード」並に古くなると豪語している。

 全重55ポンドの偵察機の試作機あり。推進装置は1基で、その装置の重さは10ポンドである。

 高度200フィートでこいつを飛ばすと、地上からは音がまったく聞こえない。比較として、全重わずか2ポンドのマルチコプターは、高度200フィートであってもハッキリと耳で探知できてしまう。

 音がうるさいということは、そもそも偵察機には向いてないということなのである。

 この会社のチーフ・エンジニアにいわせると、同社の電動ダクテドファンは、ターボファンエンジンよりも効率的なので、さらに大型化することによって、静粛な空中タクシーを実現できるという。その開発資金を政府から得たい。

 伝統的に、推進ノイズの軽減策としては、回転面荷重(ディスク・ローデーィング)を減らすか、回転翼の先端スピードを抑制するか、ぐらいしかなかった。 ※空気をかきわけるしごとをヘリコプターのローターよりも固定翼飛行機のプロペラに近くしてしかも回転を遅くするという、不満必至の妥協。

 ところが、元NASAの技師らが苦心数年、試行錯誤した結果、先端回転スピードを低速に抑えつつも、空気を超音速で押し出せるダクトファンが実現したのだ。

 われわれが発見したテクノロジーは、100万ドルの無人機だけでなく、500ドルの「枯葉ブロアー」にまで適応できるものです。静かな掃除機ができてしまうのですよ。

 さらには、飛行機のコストは十分の一に下がるかもしれない。

 というのは、電動ダクトファンには、重い減速歯車が要らない。また冷却装置のために空気抵抗増を甘受する必要もない。