ロシアの独占ガス公社「ガスプロム」は、ロシア国内消費者向けの都市ガス料金を値上げすることにした。

 David Axe 記者による2023-4-19記事「What’s Perfectly Round, Made Of Metal, And Keeping Russia From Replacing the 2,000 Tanks It’s Lost In Ukraine?」。
   ロシアは今次戦争前、ボールベアリングを西側からの輸入に依存していた。その供給が断たれているため、今、深刻なジレンマに直面している。

 鉄道車両か、戦車か、そのどちらかに、限られたボールベアリングを配分しなければならないのだ。
 双方の需要を満たすだけのボールベアリングは、無い。

 ※ここで豆知識。ボールベアリングの発想は古代ローマ人も持っていた。しかし工業製品として世界に普及し始めるのは19世紀後半で、それはまず、自転車用として意義が認められたのである。驚くべし、欧州はあれだけ長い「馬車文化」「荷車文化」を有しながら、19世紀末まで、その車軸をボールベアリングなしで回転させていたのだ。鉄道車両用のボールベアリングが、自転車用ボールベアリングと無関係に創出されたのかどうかは、わからん。ステフェンソンの初学者向け案内書には、自転車の話は出てこない。

 ICSISの4人の研究者によると、2020年にロシアは4億1900万ドルのボールベアリングを輸入し、そのうち55%は欧米製だったと。

 ロシアの侵略を懲罰する最初の経済制裁品目にボールベアリングが含まれていた。おかげで、スヴェルドロヴスク州にあるウラル車両工場、ならびに、シベリアのオムスクトランスマシュ工廠では、AFVの製造やリファービッシュ工事が、ほとんど停滞しているのである。

 分析者は見抜く。ロシア政府は賢明にも、戦車製造を犠牲にしても、鉄道輸送力は維持するという選択をしていると。

 古いT-62やT-55をモータープールから引っ張り出してきているのは、戦車用のボールベアリングの内製化ができるまでの時間稼ぎなのだ。

 ロシアは、品質の劣った中国製やマレーシア製のボールベアリングを、かきあつめるようにして輸入している。しかしそれらは高品質でないのみならず、高くつくという。最新型戦車にそれを使えば、信頼性と耐久性はもはや期待ができなくなるのである。

 ※必要は発明の母なので、おそらくロシアからは「ボールベアリング無し車軸」のニュースがいずれ聞かれるだろう。たとえば、大量のグリスを常時、摩擦部分に押し出し続けるようなメカニカルポンプだ。油脂類をはなはだしく浪費することになるが、どうせ戦時の戦車の寿命は長くないから、かまわんだろう。近代以前の大型荷馬車の車軸も、そのようにして維持されていたはずだ。

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 Boris Mitov & Nikolay Lavchiev 記者による記事「Bulgarian Blasts, Russian Agents, And The War On Ukraine」。
    ブルガリアの官営兵器工場は今日、1箇所しか残っていないのだが、3-21にそこが爆破された。
 「VMZ工廠」である。

 爆炎は高さ200mまで噴出した。

 さらに4-14、同じ工場でまた爆発。

 VMZからは大量の弾薬が、ポーランドおよびチェコ共和国を経由して、ウクライナへ搬入されていた。ロシア工作員としては、爆破やサボタージュの優先標的になるのだ。

 前のブルガリア首相のキリル・ペトコフは、今次戦争の初期段階では、じつはブルガリアが、宇軍の弾薬の3割を供給したのだという。

 ブルガリアの有力な兵器商人であるエミリアン・ゲブレフは2015-4-28に殺されかけた。一時、人事不省に。彼の自動車のドアノブに有機リン系の毒剤塗布の痕跡があって、警察は、これがロシアのしわざだと結論した。

 3年後の2018、英国のサリズベリー市にて、神経毒ノヴィチョクを使ったGRU工作員による殺人事件が発生し、英警察は、これは2015ゲブレフ殺人未遂事件と手口が同じだと発表する。

 するとブルガリアの検察トップは、なにゆえか、ゲブレフが食べたルッコラのサラダに殺虫剤が混ぜられていた、といったでっちあげの追加情報を出す。要するにブルガリアの公安機関にはロシアを恐れる理由があり、英国から強く迫られでもしないとロシア人の犯罪者を名指しすることもできないのである。(2020年に漸く3人のロシア人容疑者を欠席訴追。)

 2022-7、ゲブレフの会社EMCOがカルノバト市に保有している弾薬倉庫が炎上した。
 ゲブレフ本人も、引き続き、命を狙われている。

 ※雑報によればメドヴェジェフは、「北鮮に最新兵器を供与してもいいのか?」と韓国を脅した。北鮮はむかし、「バックファイアー」を売ってくれとロシアに頼んで断られた過去がある。こんどはOKか?

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 Darin Gaub 記者による2023-4-19記事「Something Smells Fishy in Massachusetts」。
   トップシークレットを略してTSという。センシティヴ・コンパートメンテド・インフォメーションを略してSCIという。ふたつあわせて「TS/SCI」だ。このセキュリティクリアランス(秘密アクセス資格)を米空軍が19歳の高卒の二等兵に与えていたというのが今回のリーク事件の衝撃だ。

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 Alexander Motyl 記者による2023-4-21記事「Ukraine’s military advantage? How quick it treats its wounded」。
    ウクライナ兵が前線で負傷すると、その8割は「ゴールデン・アワー」以内に手当てを受けることができている。これは戦傷者を死亡させぬための要訣で、露軍に比べての絶大なアドバンテージだと言える。露兵は負傷しても必要な手当てを受けられずに長時間放置されるため、戦傷が戦死に直結しがちなので。

 この結果、露軍と宇軍が同じ数の負傷兵を出したとしても、宇兵は露兵の3倍の生還率で任務復帰する。

 宇軍の負傷兵が、後送中に死亡する率は1.35%と低い。おかげで負傷兵の82%は、その後、任務に復帰する。
 ハルキウ方面ならば、負傷兵は6時間から8時間で病院に担ぎ込まれる。キーウ周辺では、12時間である。

 イスラエルでは、すべての民間病院が、戦時には、軍病院になる。ウクライナは、このイスラエル方式を採用する。

 ※雑報によればプー之介は突如、ロシア太平洋艦隊のセルゲイ・アヴァキャンツ提督を解任したという。委細はまるで不明。