レオナルド社が、英空軍のタイフーン用に、すごいAESAレーダーを完成させたらしい。

 2023-4-25記事「Crimea solves everything, claims the American general」。
    かつてNATOの欧州司令官であった退役大将のホッジズは警告する。地図が読めない政治家どもはクリミア半島の不法占領状態を放置しても休戦ができたらいいじゃないかと考えているかしれないが、クリミアで妥協することこそ、大きな誤りだ。

 この戦争で、決定的な意味をもつ土地は、クリミア半島なんだ。クリミアよりも重要な場所はない。

 バフムトあたりで露兵を何百人殺しても、戦略的には小さな効果しかない。つまり戦争はぜんぜん終らない。ウクライナも欧州も、ちっとも安全にならない。

 しかしセバストポリ軍港に張り付いている露兵を殺傷し続けることができれば、歴史のコースは変わって、戦争は終結するんだよ。

 ロシアがクリミアを支配している限りは、ウクライナに安全なんてものはない。欧州にも平和は来ない。

 ではホッジスならばどうするか。
 まずクリミア半島への連絡線を遮断せねばならない。そのためにはウクライナ軍の攻勢が必要だ。ザポロジアからアゾフ海まで突出し、クリミア半島とロシア本土との陸路交通を、できなくする。

 同時に、長射程ミサイルによって、サキ、ドゥザンコイの補給結節点、ならびにヘニチェスクの露軍司令部所在地を打撃しなくてはならない。半島内にコンスタントに殺傷を生じさせることが、士気の低い現地露軍と住民にとって、著大な意味をもつので。この空気が、米本土の政治家には分からない。

 そして最後の仕上げは、ケルチ大橋の完全破壊だ。

 クリミア半島を奪い返されることにより、プー之介とそのとりまきたちの国内権威は地に堕ちる。どのような嘘宣伝をしようと、もはや彼らの大失敗は内外に明白となる。

 クリミア半島を喪失したロシア黒海艦隊は、アゾフ海に引っ込むしかないが、もはや彼らは、オデッサやルーマニア海岸、トルコを脅かす存在ではなくなるのである。アゾフ海の出口は、橋の残骸等で閉塞される。

 クリミア半島の露系住民は、なにがなんでも土地を守備し抜くという意思はもっていない。それが証拠に、宇軍がクリミアのあちこちを攻撃するたびに、彼らは大量に半島から逃げ出しているのである。
 無血でクリミアが露領化するなら歓迎だったが、そこが戦場になるのなら、命がけでしがみつく気は無いのだ。住民がそうであるのなら、派遣された露兵がそこを最後まで死守する気になるわけもないだろう。

 ※前線には「匂い」がある。ホッジスにはそれがわかっている。

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 David Hambling 記者による2023-4-25記事「The U.S. Army Won’t Buy Any More Switchblade 300 Kamikaze Drones」。
   どうやら米陸軍は、「スイッチブレード300」は、もう調達せぬことにした。値段のわりに性能が低いと分かったのだろう。

 国防総省はウクライナに対して、米軍のストックから700基の「スイッチブレード300」を供与した。その穴埋めもしないわけである。実戦場における評価が出たということだろう。

 「スイッチブレード300」は2012年から生産されている。
 最近だと、米陸軍は、2022年度予算で900基の「スイッチブレード300」を調達。2023年度予算では525基を調達しつつある。しかしここで打ち止めとなりそうだ。

 「スイッチブレード」を製造しているアエロヴァイロンメント社は、あの手投げ偵察機「RQ-10 レイヴン」のメーカーである。

 ※したがって技術でも経験蓄積でも申し分はない。おそらく、ちゃんと飛んで当たってくれるのだろう。が、当たったときの破壊力が、満足の行かぬものなのかもしれない。

 米特殊部隊は、アフガニスタンとイラクで「スイッチブレード300」を用いた。「空飛ぶショットガン」と評された。敵兵の頭の手前で自爆して、前方に散弾を飛ばすのである。しかし対車両の能力がない。トラックすら満足に破壊できない。炸薬量は手榴弾レベルでしかないからだ。ピックアップトラックの運転手なら殺せるのだが。

 このことは今次戦争まで世間は知らなかった。「スイッチブレード」はながらく極秘兵器扱いで、その戦場での成績についても報道はいっさい無かったのだ。こんかい、実力がバレたということ。

 「スイッチブレード300」は、少人数のゲリラを相手にする、対人専用弾であって、対車両や対器材の破壊力が求められたウクライナ戦争では、意義が小さすぎた。

 ※対人の精密爆殺なら、DJIの安価な市販ドローンから手榴弾を落としても実行できてしまうことを、ウクライナ人たちが証明してしまった。「スイッチブレード300」は、露兵相手にはコスパが悪すぎたのだ。

 それで、対戦車威力のある「スイッチブレード600」が創られた。こっちの量産が漸く立ち上がったので、「スイッチブレード300」のラインは閉じるのだろう。

 FY2022から計算するに、「スイッチブレード300」の1セットのコストは5万8063ドル。FY2023だと5万2914ドル。この1セットには、飛翔体が10個含まれるらしい。
 そして 地上リモコン装置にはそれと別に3万ドル、必要だったらしい。

 「スイッチブレード600」のコストについては全く情報は出ていない。ちなみに「ジャヴェリン」は最新予算によると18万4455ドルである。

 ウクライナ人が市販クォッドコプターを改造したFPV特攻機は、1機のコストが700ドル以下だと信じられる。

 ※最新のSNS写真に、ウクライナ兵が市販のDJIのクォッドコプター「Matrice 30T」に、93ミリ径の「PG-7L」のHEAT弾頭を下向きに吊架している図あり。これだと反復使用できるのでコスパはますます良好だろう。

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 Sebastian Sprenger 記者による2023-4-25記事「Germany drops $400 million on additional all-terrain vehicles from BAE」。
   ドイツ連邦軍は、BAEシステムズに、「BvS10」全天候装軌車を227両、追加発注する。

 じつはその前に、独軍は140両を発注していた。その発注は、英軍やスウェーデン軍といっしょにしたもので、英軍は60両、スウェーデン軍は236両を買う。3ヵ国でだいたい4億ドルになるという話だった。

 BvS10は、前後《重連》式の装軌車で、雪上でも、砂漠でも、泥濘湿地でも、急斜面の岩山でも、通行できる。浮航能力があるから、そのまま渡河が可能。短距離なら海も行ける。

 これを製造する工場はスウェーデンの東海岸にある。バルト海に面する。

 ドイツの発注分は、2024年から2030年にかけて納品されるであろう。

 米陸軍は昨年夏、「BvS10」の無装甲バージョンである「べオウルフ」を110両(2億7800万ドル)、発注した。それは北極圏で使う予定だという。

 ※北海道、殊に湿地が多い道東に駐屯する陸自旅団は、雪上車とAPCの二重装備をやめて、こいつを採用することだ。こいつがあれば、知床遭難船の捜索にだって陸自がすぐに加われたのである。車体は軽量だから、C-130でいちはやく先島群島まで輸送できる。

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 2023-4-24記事「Shipbuilding in russia is declining due to the lack of Western spare parts」。
    WSJの報道によると、ロシアの造船所では全面的に商船の建造が滞っている。西側から必要なスペアパーツが輸入できないこと、および、そのスペアパーツを取り付けてくれる西側の技師が消えたことが主因。

 輸入品を国産品で代用できるようになるまでには、最速でも数年かかるとのこと。

 ロシアにある「USC」という造船所は貨物船をてがける。2020年には同社は17隻を納品した。21年には16隻だった。だがその後は4隻しか完工できていない。
 じつはスクリュー関連のパーツはドイツから買っていたのだ。それが買えなくなった。

 侵略戦争開始前には米GE社が、ロスネフト社と合弁で、最新の大型スクリュープロペラ製造拠点を建設しようとしていた。GEは2022-3-8にロシアでの事業を中断した。

 ロスネフトは、原油タンカーやガス運搬船、それもしばしば砕氷船規格のフネを、何十隻も必要としている。ズヴェズダの造船所は、しばらくは、開戦前にとりよせてあったスクリューのストックを、韓国人技術者の助けを借りて取り付けていた。その韓国企業も手を引いた。

 輸入に頼っていたのはスクリュー関係だけではない。プリモルスキークライにあるズヴェズダの造船所では、エンジンの多くも輸入して取り付けていた。それを国産化するのには何年もかかるだろうという。

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 Nicholas Slayton 記者による2023-4-23記事「The Navy hasn’t learned many lessons about ship fires, report finds」。
   GAOは発見した。米海軍は、2012-5から2022-9の期間だけでも、1100件以上の大小さまざまなレベルの艦内火災事案を報告されている。しかしロクに調査記録を残さず、そのため、防火の教訓が汲まれていない。

 多くのボヤは、報告すらされていないようである。