台湾国産の潜水艦の初号艦が9月に進水する。X舵。3000トン弱。同型は8隻、建造される予定。

 Pavel Luzin 記者による2023-4-27記事「Russia’s Changing Navy」。
   ロシア海軍の編制は大きく変わる。
 太平洋艦隊、北海艦隊、バルト艦隊、黒海艦隊、カスピ海小艦隊は、従来は、各地域の《方面軍/大軍区司令部》のようなものに分属させられていたのだが、それをやめ、《ロシア海軍中央司令部》がまとめて統率することになるであろう。

 この決定はまだ公式発表はされていない。

 なぜ、軍区に艦隊を分属させる、これまでの流儀は捨てられるか。じつは今次ウクライナ戦争中に、黒海艦隊の内部から、ウクライナ方面軍区司令部に対する猛反発が生じているのだ。

 とくに海軍の所属水兵を陸戦要員として都市にぶつけて磨り潰してしまう司令部の拙劣な用兵には我慢がならない。

 艦隊には常にメンテや訓練や補充や再投資が必要である。ところが、ウクライナ方面軍区司令部が今のような長期戦に没頭しているさなかに、隷下の艦隊の細かな保守整備や教育などに配慮がしてやれるかといったら、そんな余裕があるわけないのである。この状態を放置すれば、黒海艦隊は誰からも面倒をみてもらえず、放置されて立ち枯れするのは必定。

 ひいては、ロシアの全水上艦隊を将来の対欧米の脅しに使うことができなくなってしまうであろう。

 各艦隊司令部は、手持ちの水兵を、大消耗必至の陸戦に安直に投入されることを非常に嫌う。それで「水兵からなる陸戦旅団/大隊を新編して○○正面に提供せよ」といった方面軍司令部からの命令には、公然と抗命することになる。そのような陸海軍間の対立が相次いでいるから、あちこちの艦隊司令官が、矢継ぎ早に更迭されているのである。

 それと併行して、フィンランドのNATO加盟は、バルチック艦隊と北海艦隊に衝撃を与えた。大幅な梃入れが必要になったと、この両艦隊の司令部は考えている。補強するには、他艦隊から資源を回してもらうしかない。それには、海軍の組織が地域ごとにバラバラでは、よくない。機動的に、資源を必要とする方面を補強できるようにするには、中央一元統率が、あらまほしい。

 あきらめわるく廃艦にせずに繋留し続けていたキーロフ級核動力巡洋戦艦の『ピョートル・ウェリキー』も、けっきょく廃艦となりそうだ。このたびのリーク文書によれば、すでに乗組員を『アドミラル・ナヒモフ』(来年にメンテナンスが終る)へ転属させ始めている。

 しかし『アドミラル・ナヒモフ』も、大金をかけて1999年から延々と改装工事をさせたはよいが、それが2024年に戦列復帰しても、その火力は、タイコンデロガ級の非核の米巡洋艦1隻と同じか、それ以下でしかない。

 人手がますますなくなる近未来に、省力化のすすまないロシア海軍をどう改革すればいいのか、ロシア海軍の上層部は、頭が痛いだろう。

 次。
 Alex Wilson and Hana Kusumoto 記者による2023-4-28記事「US, Japanese coast guard academies agree to mutual training, exchanges」。
    米コーストガードのアカデミーと、日本の海上保安大学校は、学生を交換留学させることになった。

 今年の夏から、巡視船『こじま』と、コーストガード艇『イーグル』に、それぞれ米人と日本人が乗るであろう。

 次。
 2023-4-27記事「Russia has removed all military equipment from northern Crimea base ―― Radio Liberty」。
    露軍はクリミア半島を防衛しきれないと判断して、半島北部のエリアから、重要装備を次々に、ロシア本土へ移送中だという。

 同じ塹壕を撮影した衛星写真を経時的にながめると、いつのまにか、もぬけの殻になっている。配備していた部隊を撤収させたのである。

 次。
 Aaron-Matthew Lariosa 記者による2023-4-27記事「Kill Chain Tested at First-Ever Balikatan SINKEX」・
   「バリカタン2023」におけるSINKEXの詳報。

 実験海域はザンバレス沖の南シナ海。
 標的にしたのは、WWII中設計のコルヴェット『パンガシナン(PS-31)』。2021年に除籍されている。
 冷戦中に米国から供与された9隻のうちのひとつ。

 実艦撃沈演習は、初弾で沈没してしまうと訓練にならないので、最初は弱いやつから撃って行く。

 今回はまず、比島海軍のフリゲート『ホセ・リサル(FF-150)』が発砲した。

 ついで、陸地から比島陸軍が射撃。火砲は「ATMOS2000」「M-71 ソルタム」「M101」であったという。

 また米陸軍のHIMARSと、第25歩兵師団所属の火砲(名称不明)も発砲した。

 HIMARSは6発が発射され、その全部が、はずれたという。

 リムパックの標的艦と違って、今回の標的艦は、固定せずに、漂流状態にしておいたという。それで、当たらなかったのだという。

 着弾の景況は、比軍の無人機「ヘルメス900」と、米空軍の「RQ-9 リーパー」が、それぞれ上空から撮影した。

 攻撃ヘリのコブラとアパッチも実弾射撃に加わった。最後はF-32Bが、GBU-12とGBU32を合計10発投弾。煙が晴れ渡ると、コルヴェットの艦影は水面に無かった。

 次。
 Defense Express の2023-4-27記事「APKWS In Combat Conditions: Why There Should Be More Such High-Precision Missiles For Ukraine (Video)」。
   APKWSは、2022-8にウクライナに供与することが決定され、2023-1月に初回バッチとして24両がウクライナに搬入されたと公表されていた。が、その実戦稼動ビデオが公開されたのは、今回が初。

 APKWSは、既存の「ハイドラ70」ロケット弾の弾頭部とモーター部を切断し、その中間に誘導部を嵌め込んだものなので、オリジナルの「ハイドラ70」より長くなっている。格納状態での筒径は不変。
 これを車両の荷台などに架設した4連装のラーンチャーポッドから、1発ずつ発射する。もちろんRWS。

 飛び出すとすぐに、4枚の後退角のキツい誘導動翼を展張する。その動翼の前縁に4つの光学センサーがついていて、それが、「ピューマ」などの固定翼無人機から目標に照射されて反射しているレーザー散乱源に向けて、ロケット弾のコースを導く。

 値段が比較的に安いから、塹壕の底に隠れている敵兵に対して、惜しげもなく頭上から突入させてやることができる。ラーンチャーの側から攻撃目標は直視できなくても可い。

 弾頭にはバリエーションがある。高速で衝突させて、運動エネルギーによって貫徹させる弾頭もある。装軌装甲車の側面に対してなら、有効。

 次。
 Ashish Dangwal 記者による2023-4-28記事「US Installing ‘Atomic Sensors’ Across Ukraine To Detect Use Of Nuclear Or Dirty Bombs By Russian Military」。
    NYT報によれば、米国のNEST(核緊急事態サポートチーム)はウクライナの全土に、「核攻撃検知センサー」を設置した。核爆発もしくは放射能散布があれば、ただちにそれを探知する。ダーティボムにも対応。

 このセンサー網を設けておくことにより、ロシアは核関連の「ファルスフラッグ」工作を仕掛けられなくなる。放射性物質にも地域ごとの《個性》があって、それはNESTには識別容易なので、なにかやればすぐに下手人がロシアだとバレるからだ。

 ロシアが核/放射能兵器を使ったら、米大統領は即座に対応政策を決めなくてはならない。NESTはその正確ですばやい反応に貢献する。

 NESTを派遣したのは、NSAと国家核安全委員会(NNCA)である。
 同時に、ウクライナの政府役人に対しても、核爆発が起きた時の対処法の手ほどきをしてやっているところ。


 ※雑報によると、デンマーク海軍の警備艇『Nymfen』が、ノルドストリームの爆発事件の4日前に、特殊潜航艇を搭載して現場海面をウロウロしているロシアの潜水艦救難艦『SS-750』の写真を、海と空から撮りまくっていた。

 次。
 2023-4-28記事「Russia arrests army colonel accused of stealing T-90 supertank engine」。
   T-90のエンジンを7基、勝手に転売していたというので、露軍の大佐が逮捕された。
 ロシアの新聞『コメルサント』が報じた。

 エンジンは「V-92S2」である。12気筒。7基だと値段は25万3000米ドルくらいだという。
 このエンジンは、チェリャビンスクで製造されている。

 エンジンの重さは1トンで、出力は1000馬力。※T-90は西暦2000年以降に戦列化したというのに、1980年代設計の西側MBTよりも500馬力弱いわけである。

 闇転売は2021-11から2022-4にかけて実行された。

 大佐は南部軍管区(ロストフあたり)の戦車修理の責任者だった。逮捕されたのが先月。しかし大佐は無実だと主張しているという。

 ※雑報によると、イルクーツクでは、露軍の航空用燃料(ケロシン)を360トン以上も闇へ横流ししていた6人の兵站部将校が逮捕・訴追されて有罪。こやつらは犯罪の証拠を隠蔽するために油脂倉庫に火をつけようとしたが、それは未遂に了ったらしい。

 次。
 ロイターの2023-4-29記事「Russia to stop publishing stats on oil, gas output until April 2024」。
   タス通信によるとロシア政府は2024-4-1まで、石油とガスの生産統計を発表してはならぬ――と金曜日に命令した。

 ロシアの国家統計局はロスタットという。ロスタットはすでに水曜日、月例の経済リポートから、石油とガスのデータを消している。すなわち今年3月以降のデータは世間に対しては隠されている。