ウクライナではいま、20の《私設学校》にて、7000人のUAV操縦士を速成教育中である。これがさらに1万人にまで拡大されるという。

 モスクワタイムズの2023-4-28記事「Moscow Baker Fined Over Anti-War Cakes」。
    2022-4にモスクワ市内のベーカリーのアナスタシアさんが、反戦メッセージをケーキにデコレートしてその写真をインスタグラムにUpした。

 このたび、その行為は、ロシア軍の活動をけなす《犯罪》であるとして、罰金刑が言い渡された。

 この法律は2022年に創られた。

 警察がタレコミによってウェブサイトを確認してアナスタシアさんを逮捕したのが木曜日である。
 裁判所が判決を下したのが金曜日である。
 罰金3万5000ルーブルは、米ドルにして440ドルくらい。

 アナスタシアさんはもういちどこのようなタレコミを受ければ、こんどは懲役刑に直面するであろう。
 今回は警告である。

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 Lidia Kelly 記者による2023-4-30記事「Ukraine says it controls key supply route into Bakhmut」。
   ウクライナ軍広報の土曜日発表。
 宇軍はひきつづきバフムトに至る主補給道路を確保し続けている、と。
 すなわち、西隣の「Chasiv Yar」町からつながる17kmの道。

 もしバフムト市が陥落するようなことがあれば、その次の露軍の攻略目標は、この「Chasiv Yar」となる。

 プリゴジンは土曜日に公表した。バフムトで150m弱前進するのに94名のワグネル傭兵が戦死した。これは、こっちに弾薬が足りないせいである。弾薬さえあったら、犠牲は五分の一だった、と。

 それとは別に、ロシアの軍事ブロガーのセミョン・ペゴフのインタビューにプリゴジンが答えた話も土曜日に公開されている。
 それによると、バフムトのワグネルには、あと数日分の弾薬しかなく、その補給が無いなら、退却は必至だという。
 このインタビューの日付は不明であるが、プリゴジンは4-28までに弾薬を寄越せとショイグには伝えたそうだ。

 プリゴジンはこうも語った。「我々は、すべてはうまくいっているかのように大衆をたぶらかす嘘話をもう止めるべきだ。正直に言わねばならない。ロシアは今、破滅の淵に立たされているのである」。

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 2023-4-30記事「Ukraine is developing a Trembita missile」。
    ウクライナ人の民間有志がPARSという兵器設計室を立ち上げているのだが、そこでは今、「トレムビタ」という軽便なミサイルが完成間近である。

 なんと「パルスジェット」エンジンの巡航ミサイルだ。「V-1」号を、小さなサイズで復活させたようなコンセプト。
 いまや民間人がガレージで「V-1」号を作れてしまうのだ。

 レンジは140kmになるという。低速であるうえ、エンジンからの赤外線輻射がかなり目立つが、敵のはるかに高額なSAMをひきつけて消耗させるであろう。

 PARSの試算では、ひとつの目標に向けて20発、このトレムビタを放てば、露軍のSAMはすぐ尽きてしまって、最後には妨害されずに着弾するようになるという。

 トレムビタの総重量は100kg。弾頭重量20kg。巡航速度は400km/時。巡航高度は最大で2000m、最低で30m。

 パルスジェットエンジンには「可動部品」がないので、安価に製造でき、メンテナンスは不要。飛翔中に機械故障で墜落することがない。燃料はガソリンである。

 射出は、カタパルトの上から圧搾空気による。

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 Defense Express の20234-30記事「Ukraine to Get New-Generation Weapons From Three Deals Signed With Turkish Baykar」。
    ウクライナ政府の戦略工業省は、トルコのバイカルマキナ社とのあいだで、あらたに3アイテムの導入契約を締結したという。しかし詳細は秘密だ。

 トルコの無人機には、すでにウクライナ製のエンジンが普通に搭載されている。「AI-450」「MS-500」は、双発プロペラ機の「アキンジー」に選択的に取り付けられる。「AI-322F」は、ジェット無人機の「キジレルマ」用に選ばれている。

 全重35kmの「ケマンケス」ミニ巡航ミサイルは、今年から製造が始まる。50kmまではリモコン可能。攻撃レンジは200kmになる。弾頭重量は6kgだが、このくらいで、敵レーダーの破壊用には十分なのだ。

 「キジレルマ」の製造は2024年からスタート予定。

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 Defense Express 記者による2023-4-29記事「Shahed-136 Has a Stolen Engine Technology, As If That Wasn’t Enough, russians Fill It With the Wrong Fuel」。
    すくなくも1機の「シャヘド136」が、ほぼ無傷の状態でウクライナ軍の手におちている。機械故障によって途中で墜落した際に、衝突のインパクトが弱かったので、弾頭が起爆しなかったのだ。

 英国の「CAR(紛争兵器調査)」グループがこの機体の解析を手伝ったところ、いろいろなことが分かってきた。

 まず、墜落の原因はエンジンのせいではなく、ユーザーのロシア軍が、グレードの低い燃料を注入したせいであった。

 エンジンは「MD-550」で、これはイランのマド市で製造している。

 2019年にサウジアラビアが特攻無人機で攻撃されているが、その無人機にも「MD-550」が使われていた。

 イランは2006年に、1基のドイツ製の「Limbach Flugmotoren L-550」というエンジンを得た。それを違法にフルコピーした製品が「MD-550」であることに間違いない。

 「L-550」は、4気筒の2サイクルで、水平対向配置になっている。燃料はガソリン・ベースの航空混合油。それをスパーク・プラグで点火する。

 ※まさかと思うが露軍は潤滑油を混ぜずに4サイクル機関だと思ってガソリンだけ入れたのか? あるいは混ぜ方をテキトーにしすぎたか。

 このエンジンは、超軽量リモコン飛行機用として1980年代から定評があるが、同時に、そのメンテナンスには細心の注意が必要だ。

 「L-550」の市価は、1基が1万2000米ドルから1万7000米ドルといったところである。
 イランがコピーしたところでそれより大幅に安くなるものではない。手抜きはできないからだ。

 イランも国際的な経済制裁を食らっている。エンジン原材料の調達にも余計なコストがかかっていないはずがない。

 このことから、「シャヘド136」が1機2万ドル以下で売買されるという以前の話は、まったく過小見積もりであったと断言できる。エンジンだけで2万ドル近くしているのだ。

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 Jeff Poor 記者による2023-4-28記事「Lawmakers Tout Effort to Prevent A.I. from Launching Nuclear Weapon」。
    共和党の下院議員ケン・バック(コロラド州)と、民主党の下院議員テッド・リュー(加州)は呼びかけた。AIが核ミサイルを発射させるような未来を防ぐため超党派で努力しようじゃないか、と。

 スタンフォード大学のアンケートによれば、AI専門家の36%は、AI自動システムが核戦争の引金になり得ると心配している。

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 「Enter Kornet」という記事。
    「9M133 コルネット」は、露軍歩兵部隊の主力対戦車ミサイルである。レンジは5500mまで。秒速250mで飛ぶので、最大距離まで22秒で到達する。誘導は、射手がレーザーで照射した、その反射源にホーミングして行く、セミアクティヴ誘導。無線も赤外線も使わないから、妨害され難い。

 2007年にはシリア領内で、トルコ軍装備の「レオパルト2」が、ISの発射したコルネットにやられている。

 コルネットは茶色の排気煙の尾を引きながら飛ぶので、目立つ。1970年代からイスラエルの戦車兵が教えられている「サガー・ワッチ」が有効である。周辺で排気煙が立つのを見逃すなということだ。

 だいたい、煙を発見してから11秒の余裕があると考えていい。11秒でコルネットは2750m飛ぶ。シリアやシナイ半島あたりでは、それより近いところにATGM班が隠れていることはあまり無い。