ウクライナの国内で量産されているFPV操縦による自爆クォッドコプターに装着できる弾薬重量は800グラムらしい。筒径は63ミリ。

 それは対歩兵用で、スチールボールが飛散するタイプだという。

 次。
 Vijainder K Thakur 記者による2023-5-2記事「Russian Decoys Trick Ukrainian Air Defense While Kh-101 Stealth Missiles Deliver A Painful Blow」。
    ※記者は元インド空軍パイロットで、ジャギュアに乗っていた。この人が書いていることは全部読む価値がある。

 ウクライナのパウログラド市(ドニプロペトロウスク州)には、ミサイル燃料や弾頭炸薬の生産工場があったという。そこが5-1に多数の空対地巡航ミサイルで空襲された。
 大きなキノコ雲が発生したのは、ケミカル材料に引火したからだという。

 通例、軍用ロケット燃料や爆薬材料は、工場の地下に格納して、空襲されても簡単には火がつかないようにしているものだ。しかし原材料や半製品の搬入/搬出時には、露天に危険物が山積みされる時節がある。その時節をスパイが通報したのだろう。それでピンポイントの集中空襲が奏功した。

 報道を綜合すると、このたびの空襲には、「ツポレフ95」×9機と、「ツポレフ160」×2機が発進。ところが驚くべきことに、空から発射された巡航ミサイルは、たったの18発であったという。

 宇軍の把握しているところでは、最初の空対地ミサイルがリリースされたのは、深夜の2時半だったという。

 そして宇軍は、飛来した「Kh-101」と「Kh-555」、合計18基のうち、15基を途中で撃墜したと主張している。

 「Kh-101」のレンジは4500kmであると報じられている。全重2.4トン、弾頭重量400kg。比較的に新しい巡航ミサイルなので、形状はステルス配慮。

 「Kh-555」は、古い巡航ミサイルで、形状にステルス配慮がなく、自己誘導精度も劣るという。爆発威力は同等。

 宇軍は主張している。3基の「Kh-101」を迎撃しそこない、それが着弾したと。

 ところで、1機の「ツポレフ95」重爆は、最大で14発もの「Kh-101」を吊架することができるのである(6発は胴体弾倉内に。8発は主翼下に)。

 また1機の「ツポレフ160」は、12基の「Kh-101」を弾倉内に格納できる。
 また今回、ロシア国防省は、数発の巡航ミサイルは海から発射したと公報している。

 これは何を意味するか?

 おそらく、大量に離陸した重爆撃機のほとんどは「囮」だったのだ。
 巡航ミサイルを積まずに、宇軍の防空機能を麻痺させるために陽動したのだろう。あるいは、専用のデコイ飛翔体を、放出したかもしれない。

 露軍は「Kh-55」という、専門の囮ミサイルをもっている。これを重爆から放って先行させると、大きなレーダー反射で目を惹き、敵のSAMをそっちに吸引することができる。その直後に真の重爆が安全に前進し、ステルス形状の巡航ミサイルを放てば、敵の防空システムをかいくぐれるだろう。

 ウクライナ領土内で「Kh-55」の残骸は回収されている。SNSにその写真がUpされている。露軍が実用していることは確かだ。

 「Kh-55」はソ連時代に完成された。レンジは2500kmと、戦略級。
 もともと200キロトンの核弾頭付きの空対地ミサイルなのだが、いまではその核弾頭をはずして、ただのデコイとして飛ばしている。宇軍情報によると、ロシアはこの「弾頭無しKh-55」が囮機として重宝であると評価して、生産を再開させたという。

 宇軍の防空システムを麻痺させるためには、この「Kh-55」を数発、放つだけでいいという。飛行は、ウェイポイントを何箇所か入力した、プリプログラムによる。したがって、SAM陣地から微妙に遠いところを縫うように飛びまわって宇軍を翻弄するわけである。

 「こいつはデコイではないか」と疑っても、宇軍のSAMはこれを無視するわけにはいかない。というのも、「Kh-55」には、通常爆薬を410kgも仕込むことが可能だからだ。

 露軍の空襲目標は、すでに、ウクライナのインフラ(変電所など)から、宇軍の前線補給デポへ、シフトしているようである。これは「反転攻勢」が近づいていることと関係がある。宇軍が攻勢に出ようとしている方面には、燃弾などの物資が大量に推進されて貯蔵される。そこを焼き払おうとしているのだ。4月28日の巡航ミサイル空襲は、まさにそれだったという。

 5月1日の空襲も、最前線のロケット砲兵への弾薬補給の根本を断つという決意でなされたのだろう。

 次。
 David Axe 記者による2023-5-1記事「Ukraine Is Really Muddy Right Now. It’s A Risky Time For A Counteroffensive」。
    ウクライナ語で「ベズドリッズィア」とは「道路無し」の意味で、春と秋の大泥濘期のことを指す。

 秋の泥濘と春の泥濘では、春の方が酷いという。しかも今年は長引いていて、4月末までどうにもならなかった。

 次。
 Aleksandr Avilov 記者による2023-5-1記事「Calls in State Duma to Increase Length of Russian Military Service」。
    ロシア議会の国防副委員長 アレクセイ・ズラヴレフが、一般徴兵年季の延長を提案した。

 ズラヴレフ自身は過去にいちども軍役に就いたことがないくせに、いろいろと高邁な演説をしている。給与や諸手当て目当てに軍隊に入るような精神ではダメだ、とか。

 では何年にするのかについては、ニコライ・ヴォルコフが代弁している。現行の1年では短かすぎるので、陸軍は2年、海軍は3年にするべきだという。

 この件について国防大臣ショイグはまったく沈黙している。世間の反発をじぶんにはあつめたくないので。

 以前にはロシア軍の徴兵は2年現役だった。それが2008年から、1年現役に短縮されているのである。

 ヴォルコフによる、追加の提案。志願兵には入営と同時に、寝室が2部屋あるアパートを褒美として与えるべし。また任期満了除隊時に、彼が望む大学へ進学するのに必要な授業料の充当小切手を与えるべし。

 ※プー之介の代弁者どもは、《現役服役期間を長くすることでロシア軍部隊の質が上がる》といった高説を正面に掲げるわけだが、もちろんそれはとってつけの言い訳で、もはや誰もそんな未来があるとは期待していない。単純に、現役年を2倍、3倍と長くすることで、政府が兵隊の頭数をかき集める手間が、劇的に省けるのである。まさに北朝鮮が辿ってきた道だ。

 次。
 Andrei Lyubimov 記者による2023-5-1記事「Twitter Restricts Dmitry Medvedev’s Account Over Offensive Poland Tweet」。
    ロシア国家安全保障委員会のナンバー2であるメドヴェジェフが「ポーランドは存在するべきではない」と暴言をSNSに書き込んでいるので、ツイッターは彼の英語アカウントを凍結した。

 次。
 Ellie Cook 記者による2023-4-30記事「Russia Reported to Be Punishing Soldiers in Medieval Zindans」。
   19世紀の中央アジアで、地面に穴をオープンカットし、天蓋に鉄格子を伏せ、中に人を入れて懲らしめる施設をZindansと呼んだ。

 このごろ露軍は、飲酒酩酊の悪癖ある兵隊たちを、まったく同じ構造の地下牢にとじこめることで、反省を促しているという。トラ箱、兼、懲治房だ。

 次。
 Thomas Kika 記者による2023-4-30記事「Russian MLRS Weapons Factory Bursts Into Flames: Reports」。
   モスクワから1500km東にあるペルム市に、「PJSC モトヴィリカ」という工場があり、そこでは露軍の多連装ロケット弾を生産しているのだが、そこが火災に罹った。工場内の変電施設が火元で、出火は午後8時頃という。

 10平米に火が燃え拡がったところで、消防隊が到着。
 火は消し止められたという。4-29のSNS書き込みによれば。

 実はこの工場、露軍のMLRSを一手に製造していたらしい。
 また2018年には、倒産5分前まで行ったこともある。

 ルーモアが拡がっている。焼失被害はもっと大きいのではないか? また、もしこれがウクライナ特殊工作員の仕事だとしたら、狙いとして秀逸である。と同時に、内部のサボタージュという可能性にも一定の信憑性がある。中央から押し付けられたノルマに応ずることができぬ責任を免れようとして資材倉庫に放火すれぱそれは火薬庫爆発に準ずる大災厄になる。他方、古い変電施設からの発火偽装なら、騒ぎはコントロールしやすく、しかも、納期遅れの言い訳もできるであろう。

 次。
 The Maritime Executive の2023-5-2記事「Fire on “Shadow” Tanker off Malaysia is Extinguished, Search Continues」。
   アフラマックス社の原油タンカー『パブロ』がマレーシア沖で大火災を起こしていたのだが、鎮火した。
 船長はロシア人。

 火災は月曜日の昼過ぎに発生したという。
 煙が出てきて、やがて爆発。船のアンテナがぜんぶ吹き飛んだので、船長はトランシーバーで緊急通報した。脱出ボートもなくなってしまった。

 船員たちは、ライフジャケットだけで海に飛び込んだ。
 25人の乗員は通りがかりの船に救助されたが、3名(インド国籍の甲板員×2と、ウクライナ国籍の士官)は行方知れず。船内の気密区画に取り残されている可能性あり。

 この船は「シャドウ船隊」に属する。荷主が誰なのか不明。海上保険はまずかかっていない。

 イランの核武装を監視するグループによると、この『パブロ』号は、2019年からイランの石油密輸船として暗躍しているという。
 2022年にはイラン原油を積み込み、2023-1にシナの港へ届けた。

 今回は、シンガポール港へ向かっていたという。そして別な貨物船に、積荷の原油を分ける予定だったという。それが不法な「瀬取り」行為なのかどうかは、船長は語らず。

 ※上甲板がガス爆発でまるまる吹き飛び、船倉の底まで、上から覗ける状態になってしまっている。これでも沈没しないのだから現代タンカーの船殻構造(三重底?)はすごい。誰も言わないけど、これはシールズによる報復作戦でしょ? あるいは北鮮と、原油と砲弾のバーターでもする予定だったのかな?

 次。
 ストラテジーペイジの2023-5-2記事。
    ギリシャは買った。

 イスラエル製の「オービター3」無人偵察機が、高価値目標を発見して、そこにレーザー照射する。そこに大射程対戦車ミサイルである「スパイクNLOS」を指向させる。

 この無人機とミサイルを、セットで4億ドル分。

 「オービター3」の通信可能距離は50kmである。「スパイクNLOS」の最大レンジも50kmである。

 次。
 Defense Express の2023-5-2記事「Disorientation and Malfunction: Challenges With $22 Billion Program’s High-Tech Goggles」。
    兵隊にハイテク・ゴーグルを装着させて、そこに戦場情報をぜんぶ映示させれば未来っぽくてカッケー、と安直に発想された「IVAS」。試作はできているのだが、不評。
 めまいがする。頭痛がする。方向感覚が狂う。目がおかしくなる。肩凝りも酷い。視野も狭いじゃないか。

 ゴーグル1個で6万ドルするのだが……。

 開発にはマイクロソフト社が全面協力している。「メタバース」の仮想現実の仕上がりを見れば、楽観はできないと思える。

 次。
 Boyko Nikolov 記者による2023-5-1記事「Legal ‘war’ begins in Germany over ownership of Leopard 2 tanks」。
   レオ2の車体は、クラウスマッファイウェグマン(KMW)が製造している。砲塔と主砲はラインメタル社である。

 KMWは次世代のMBT開発でフランス企業と組もうとしている。それはラインメタルが開発中の次期MBTと、商売の上で激突する話である。

 ここから、揉め事が起きている。