最近捕虜にした露兵のポケットから、「ナチスの捕虜にならないためにはどうするか」という印刷されたリーフレットが出てきた。「手榴弾を取り出し、安全ピンを抜き、防弾ヴェストの中へ首の隙間から押し込み、顎で上からしっかり押さえるべし。」「死は恥よりも良し。」などと書かれている。
さらに雑報によると、プリゴジンがSNSにビデオ投稿し、5月10日までに弾薬が補給されないならワグネルはバフムトから撤退する、と宣言し、ついでにショイグ〔発音はショイーーグらしい〕とゲラシモフを口汚く罵った。これを視て思ったのだが、チャットGPTでこのレベルの動画(背景は夜の暗闇)は捏造できるんじゃね? 「いまから逐次に各個後退を開始せよ」と、ビデオを通じてフェイク命令を出したらどうなんの? それはともかくとして、この調子で行くとプリゴジンは「ポスト・プーチン」として有力株になるんじゃないかと思う。
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AFPの2023-5-4記事「Ukraine Arrests Odesa Mayor in Corruption Case」。
ウクライナ警察は、オデッサ市長を逮捕した。開戦前からの汚職が理由という。
この市長は2014年から現職。同年に、ウクライナの反汚職運動も始まった。EUに加盟するためには、行政が腐敗していてはならないのだ。
こやつは経営破綻した工場を、適正価値の2倍の公金で買収した。金額は220万ユーロ相当。
もともと、プロ・ロシアのヤヌコビッチの子分で、素性が怪しかったのである。
オデッサはウクライナ最大の港であった。同時にそれは、密輸ビジネスの巣窟であることも意味した。
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Phoebe Grinter 記者による2023-5-4記事「Sky Power Showcases Drone Engines at XPONENTIAL 2023」。
デンバー市で5-8から5-11まで開催される商品見本市。
ここに、フランクフルトに拠点がある「スカイパワーインターナショナル」社からエンジンを供給された「UASグローバルサービス」社(テキサス州)の新作無人機が2機種、出展される。
その1つは「アンゼン EG-1250」というバートル型の無人輸送ヘリ。飛行中に幾度でも物料投下できる。最大離陸重量250ポンド。EGという記号は、電動モーターと、ケロシン燃料の内燃機関の両方を備えることを表すという。
内燃機関はヴァンケル機関(ロータリーエンジン SP-180 SRE)である。
同社は、他の機種用には、ピストン・エンジンのラインナップも用意しており、対応に隙は無い。
※スカイパワー社はさすがに良い処に目を着けた。世界中の輸送用の無人機の市場はこれから爆増する。その機体システムを売るのではなくて、エンジンだけを各国の地元機体メーカーへ供給しようという路線だ。そのさい、小型ロータリーを押し出すことで、ライバルのカナダのレシプロエンジンメーカーとは、出力/重力比の性能勝負ができる。VTOL機なら決定的な意味をもつスペックだ。他方で、小型ガスタービンのライバルメーカーには、燃費で勝てるわけだ。電動モーターとは勝手の異なる、経験蓄積のハードルも高めて行けようから、中共のメーカーなどが後から参入しようとしても、追いつかれるおそれはない。何故、これと同じことをサクッと考えられる日本の経営者/機関投資家が現れないか、ほんとうに理解に苦しむ。世界市場を支配できる最短コースの、好見本だろう。
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Mike Stone 記者による2023-5-5記事「Drones over Kremlin likely launched from inside Russia, experts say」。
ダナ・ゴワードは、GPSはもっと妨害に強いものにしなければダメだと主唱している米国内のNPOの代表。彼いわく。
2015年いらい、モスクワ市心にはGPS攪乱のための電波妨害設備がフルセットで揃っているから、国境外から無人機が悠々とそこへ到達できるとは思えない。
またいわく。
今回のクレムリン突入UAVのサイズは中型だ。おそらくGPSを頼りにはしていなかった。おそらく目視リモコンで操縦されていただろう。ということは、すぐ近くから発進したのである。リモコンをしなかったという可能性もある。すなわち、飛翔するアジマス方位角を最初に確定し、その方位角をひたすらキープさせる。そしてプリプログラムによって、時刻ごとの高度を変化させるのだ。
このようにすれば、GPSスプーフィングや、リモコン電波ジャミングを、はねのけられる。
ロシアのSNSで公開されているビデオによると、UAVは2機、たしかに飛来したようだ。
2機とも、同じコースでやってきている。
どちらも、クレムリン「上院」のドームをめがけてきた。
1機目は、煙をちょっと噴き出した感じで、自壊した。
2機目は、炎を上げ、残骸をドーム上に遺した。
ドローン・メーカー「BRINC」社の設立CEOである、ブレイク・レズニックいわく。
GPSを頼りにせず、また地上からリモコンもしないようにすれば、ジャミングやスプーフィングをかわせますよ。
垂直離着陸機協会の専門家、ダン・ゲティンガーは言う。400km以上を飛行できる無人機を製造している国は多くありません。ウクライナには、製造できます。
しかしもしロシア国内から発進させればよいのであれば、今回のようなミッションを実行できる小型UAVは世界中に無数にあり、どれを使ってもいいでしょう。
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Defense Express の2023-5-5記事「Russia Manufactures Wooded Drones For Reconnaissance And Ukraine’s Air Defense Distraction」。
5月4日にウクライナ軍が1機の露軍の固定翼ドローンを撃墜したところ、それが「全木製」であったのでビックリ。中味には、市場で調達されたカメラなどが搭載されており、レッキとした偵察任務機であった。
動力は、モーターハンググライダー用と思われる小型のレシプロエンジンを串形に双発配置。
ところで、ロシアには「E95M」という、巡航ミサイルをAAで迎撃するための訓練に用いられる標的無人機がある。これはガソリンのパルスジェットエンジンで30分だけ飛行する。コストは、開戦前の話だと、1機5万ドルしかしない。「ペニー・ドローン」と言っては大袈裟だが……安い。
「安く大量にドローンを生産する競争」が、すでに始まっているのである。
敵の防空アセットを飽和させ、敵の高額なSAMを無駄射ちさせるのに、それはとても役に立つのである。
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2023-5-5記事「The launch of the Chinese DJI Mavic drone on the front line. Photo from open sources」。
ウクライナの民間技師が、市販の「Mavic 3」を有線テーザー式に改造している。地上から給電することにより、上空35mに、時間無制限に浮いていられるのである。
いまのところ、操縦信号は無線のままで、手をつけていないのだが、これもいずれは有線操縦に改造してしまうつもりでいる。それができれば、もう、こっちからは無線電波を輻射しないので、敵のESMにも探知されなくなる。電波妨害も効かないわけである。
本体には緊急着陸用の小型バッテリーは残す。それにより、有線給電が事故で途絶えた場合にも、自動で機体が安着することができる。
この改造によって余計に増える本体重量は100グラムでしかない。
給電は220ボルトでも、12/24ボルトでも可能。
操作員が感電しないプロテクトも、考えてある。
ケーブルはウインチから最大で500m、繰り出される。
通常は高度25mに浮かせておく予定。
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Tom Porter 記者による2023-5-5記事「Putin has given up on ambitions to conquer Ukraine after military losses that could take a decade to repair, says US intel」。
米国の国家情報局長が上院の軍事委員会で証言。プー之介は、ウクライナ征服は諦め、次等の目標として「ウクライナをせめてNATOには加盟させない」ことを、再設定した。
※これでますます戦争の短期終息は見えなくなってきた。バイデンの選挙対策本部としては、大統領選が本格化するタイミングで、対露の直接交戦が今にも始まるような危機が醸成されてくれるのが理想的であろう。つまり、あと1年半、プーチンに粘ってもらった方が、米政府としては嬉しいのだ。ただし、一寸先は闇とも言う。もし突如としてプーチンが暗殺されたり病死したりすれば、米大統領選挙前の劇的な「手打ち」が起きるかもしれない。その場合、クリミアは勢いで奪回され、ロシアの頭首はプリゴジンになっているだろうと私は予想するが、それはともかく、そうなった場合には、バイデンは選挙で負けてしまうであろう。また全然かんけいないが、米共和党員はいったい何を考えているんだ? 英国王の戴冠式に米大統領は参席するべきだ――とトランプが発言しているんだぞ。《リパプリック》とは何だ? それは君主を戴かないという精神の標榜である。トランプは、自分は王党派だと自白したようなものだ。いやしくも「米国共和党員」なら、そんな発言できるわけがない。即時、追放に値するであろう。
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Irene Wright 記者による2023-5-4記事「Coast Guard helicopter nearly plunges into sea during rescue, terrifying video shows」。
クルーズ客船『カーニバル・ドリーム』内にて76歳の老人が心臓麻痺の症状に陥り、米コーストガードのメディヴァック・ヘリがホイスト救出のため米本土から飛来。
アラバマ州沖300海里。4月29日の早朝。気象は、よくなかった。
機種は「ジェイホーク」――すなわちブラックホークのバリエーションたるMH-60T。
この模様が、上甲板から、他の船客によってビデオ撮影されたが、たまたま現場海域は強風が吹いていて、ヘリはウインドシアにとつじょ押し付けられ、危うく海面に突っ込むかという、きわどいハプニング。甚だ貴重な映像資料が偶然に得られた。
※陸自のUH-60がやられた原因も、まずコレでしょう。あっという間の急落下だからパイロットにもコーパイにもメイデイを叫ぶ余裕などない。そもそも急降下の原因が咄嗟に理解できぬはず。機械のせいなのか? 気流のせいなのか? それをまず把握しようと全力を五感に集中する間、ついでに通信なんかしてられるかっつーの。
1機目のヘリはホイストを諦めた。船の真上にホバリングすることすらできぬ乱気流。
当該急患は、2機目のヘリがホイストに成功し、ニューオリンズの病院まで空輸され、そのご容体は安定しているとのことである。