APKWSは実は昨年9月にヘルソンの最前線で試用されていたという証拠写真が発掘された。

 その製造の日付は2022-4だった。対戦車弾頭ではないのにT-80BVの正面に当てたものだから、まったくの無駄射ちになった。

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 Hamish de Bretton-Gordon 記者による2023-5-9記事「Russia’s losses are worse than anyone thinks」。
    記者は、英陸軍の第1戦車連隊を指揮していたことがある大佐。英紙『テレグラフ』に常連として寄稿している。

 新しい現実。
 ウクライナ軍だけでも、1万人の兵隊や民間人協力者が、戦場でドローンを飛ばすようになった。

 その多くが、野砲や迫撃砲の「間接照準射撃」の観測を助けている。

 ドローン観測が砲兵運用とガッチリ結びついた結果として、戦場に、あたらしい「比率」が生まれている。
 すなわち、負傷者数に対する戦死者数の比率は、いまや、第一次大戦中とは同じではないのだ。

 われわれは過去の戦場の統計から現今の露軍の戦死者を類推しているが、これは間違っている。おそらくウクライナ国防省情報部が発表している数値(西側推定の約2倍)が、真相に近いのだと思う。

 記者は現役時代の2008年に、アフガニスタンで「精密目標決定」にかかわっていた。大きな「ニムロッド」哨戒機に20人くらいもが乗り込み、高度2万フィートから、たった1台の高性能ビデオカメラで戦場を俯瞰した。地上では、そのライブ動画を、5人か6人くらいが、モニターに受信して睨んでいた。吹き飛ばすべき価値のある敵目標が発見されると、精密誘導爆弾を抱えた友軍の戦闘攻撃機が呼ばれた。そのような「精密爆撃」が、1週間に数回、なされたものである。

 その後、ニムロッドは「MQ-9 リーパー」に代わり、リーパーから直に、ヘルファイアで重要目標を精密攻撃できるようになった。それでも、攻撃が実行される機会は、めったになかったことを記憶する。

 今のウクライナ戦場は、これとはまるで違う。
 常時、狭い戦線に数百機の観測ドローンが乱舞して、味方砲兵のために敵目標を見つけ出し、その弾着の修正に情報協力している。

 今、両軍ともに弾薬不足をかこっている。しかしもし、記者の推理が当たっているなら、露軍はこれから、大砲を発射するための「人員」が、いなくなる。タマがあり、大砲があっても、それを扱う「砲兵」が、いなくなってしまうはずだ。

 ※プリゴジンは先手を取って次のような公開通告を発してしまうべきであった。「拙者儀、今般、国防省へ尋問の廉[かど]これあり、明日バフムト発程、突撃隊の者共随行致し候あいだ……云々」。さらに理由の説明もできるだろう。ワグネルはPMCであり、法的に国防省の指揮系統には入っていない。国防省が正規軍以上に善戦中のPMCに対して「国家反逆罪」の言辞を弄して督戦すること、それじたい「国家反逆罪」の疑いがある。ゆえにワグネルはショイグを尋問しなくてはならない。……とSNSで宣言しておいてモスクワに「大返し」し、その途中で正規軍や市民も糾合して行く。

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 Phoebe Grinter 記者による2023-5-8記事「New VTOL Commercial Delivery Drone Launched 」。
   また野心的な、荷物配達用の無人飛行機が開発された。デンバーの見本市に展示予定。
 メーカーは「A2Z ドローンデリバリー」社。
 その製品名を「RDSX ペリカン」と称す。

 固定翼機に、4軸VTOLローターを追加した、ハイブリッド式だ。
 水平飛行時の推力は、機体尾端のプッシャー式プロペラを電動モーターで回して得るようだ。

 斬新なのは、主翼に「舵面」が一切無いこと。V字尾翼も無可動だ。
 動かす部品がなければ、故障も発生しない道理。構造は単純かつ頑丈になり、コストを抑えられる。

 それでどうやって水平飛行中の姿勢を安定させるのか? そのために、垂直の4軸ローターを駆使するらしい。
 なお、2翅ブレードをひとつの軸の天地端で2重に回す形式なので、ローター回転面は8面ある。

 こんな様式とすることで、機体のメンテナンスのために運航ができない「ダウンタイム」は局限できるのだという。

 最大離陸重量は55ポンド(これはFAAが定めている許可等級と関係がある)。
 ペイロードは5kg。
 往復40kmの連続運航可能。
 巡航速度は45ノット。

 同社は、独自のドローン用配達ウインチを持っている。荷物は、投下するのではなく、ホバリング中に機体の腹の荷室扉を開けて、ワイヤーで吊り下げる。

 そのワイヤーも特製(特許出願中)で、下で荷物を受取る人が手を触れなくとも、荷物を接地させたらリモコンで解纜できる。これで「置き配」が容易だ。

 未知の配達先で、ドローン本体が立ち木や電線にひっかかる事故を回避するのに、ワイヤー吊りおろし配達方式は、適している。

 ホバリングしながら逆に荷物を吊り上げる作業も可能だ。その場合の最大ペイロードは5kgである。

 もしケーブルが何かに絡まってしまったような場合、機体からケーブルを切り離してしまうこともできる。

 ※SNSに上がっている空撮動画。塹壕にたった1人生き残った露兵に対して、クォッドコプターから勧降紙片で包んだ石ころを投下。紙片には「このドローンに従い来たれ。君の命は助かる」とマジックで書かれている。露兵は投降に成功したという。

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 Defense Express の2023-5-10記事「Machine Gun Goes Haywire in the Last Minutes of This T-90M」。
    「Mavic」の市販ドローンにRPGの弾頭を固縛したものが、露軍のT-90Mに特攻して破壊する動画が、ウクライナ側によって公開されているのだが、このT-90Mのリモコン銃塔がどうも不具合を起しておかしくなってしまった様子がありありと映し出されているという。

 なおT-90はこれまで累積20両の撃破が確認されている。

 ※SNS動画。ウクライナ軍はようやく120ミリ迫撃砲陣地に対空遮蔽をかぶせる知恵をつけた。葉が繁っている木の枝を「巨大団扇」状にカットし、起倒式の天蓋カモフラとし、照準中はそれを伏せておく。そして、発射の瞬間だけ、ロープを使って「団扇」をめくりあげ、すぐにまたかぶせてしまう。陣地そのものは、叢林中に浅く土を掘った塹壕だ。

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 Randy Bolig 記者による2023-3-14記事「Meet The M1030-M1 Diesel-Powered Two-Wheeled Freedom Fighter」。
   ヘイズ「M1030-M1」は、北米で長く売られている水冷単気筒652cc.オフロードバイク「カワサキKLR650」を、ディーゼルエンジン化したものだ。

 すなわち「JP-8」燃料で偵察&連絡オートバイを走らせられるようにした。

 米陸軍はその燃料体系からガソリンを追放する方針なので、従来のままのオートバイだと軍用にならないわけである。ちなみに陸軍用の無人機のエンジンにも同じ要求があるから、「グレイイーグル」はディーゼルエンジンになっているわけなのだ。

 カワサキのオリジナルのエンジンのケースと5速トランスミッションは流用されている。が、あとはぜんぶ、ヘイズの工房でとりかえた。

 すなわち652cc.の単気筒エンジンに、新しい冷却水容器やシリンダーヘッドを合体させた。コネクティングロッド、ピストン、燃料噴射装置、排気管も別物に換えた。

 馬力としては30馬力くらいだが、トルクは十分になる。最高時速は85マイルくらい。

 なお、米陸軍と海兵隊は、軍用オートバイには次のスペックを求めている。深さ2フィートの渡渉能力。対空遮光前照灯。固有燃料タンクだけで400マイル航続できること。

 ※陸自は海外で米軍と共闘するつもりであるなら、偵察オートバイをディーゼル化しておく必要があるが、日本国内での作戦ならば、ガソリンのままでOK。というのは、戦場で最も手に入り易い燃料を使うのが、補給計画上の王道だから。

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 Tim McNulty 記者による2023-5-10記事「Russian troops injured as explosive drone attack hits military training ground」。
   ウクライナ国境に接するロシア本土ヴォロネジ地区の軍事基地で爆発。火曜日の夜。
 宇軍の2機の無人機が空襲した。ロシアのSNSによれば、露兵14人が負傷。