ゼレンスキーは欧州行脚のついでに英国に足を伸ばした。スナク首相は、ゼレンスキーが要求する戦闘機をくれてやるかわりに、レンジ200kmの新顔の無人特攻機を数百機、与える約束をしたという。

 Boyko Nikolov 記者による2023-5-15記事「Swarm of drones wiped off the map an ammunition depot」。
    SNSに大爆発動画が出回っている。ウクライナ西部のヘメルニツキィ市の弾薬貯蔵所が吹き飛んだのだという。「プラネットLabs」の民間衛星写真により、現場の爆発痕が確かめられている。

 「The War Zone」では、この爆発は露軍のドローンのスウォーム攻撃によってひきおこされたと見ている。

 二次爆発を含むと思われる複数の爆発によって炎上した倉庫群の消火に、ウクライナは「消防ロボット」を投入している写真が、やはりSNSに出回っている。

 特殊な消火活動用ロボットが準備されている倉庫基地とは、いったい、何だ? 何がその施設内にストックされていたのか?

 何人かのアナリストは、ソ連時代の古い弾薬だろうと言い、別の何人かは、そこにはペトリオットが仕舞われていたのではないかと示唆する。

 ※ロシアは2015~2019に、6回も、潜入工作員によってウクライナ領土内の弾薬庫を爆破したと伝えられている。おそらくウクライナ軍が、ソ連時代の施設をず~っと使い続けているため、枢要な貯蔵施設の位置が、もうバレバレなのである。だったらそんなところに、大事な弾薬類を新規に集めてはいけない。逐次に、敵が思いもよらない別な場所に、貯蔵所を分散していかなくては……。これは野生の栗鼠やキツネでもできている、ごく自然な努力なのだが、なぜか人間にはこれができないのだ。古い砲弾なら末端で隠し場所は工夫できよう。しかし、高度な管理が求められるミサイルとなったら、政府中枢レベルで計画をして指揮しなかったら、できる話ではない。そこに気がまわる、政府高官がいないということなのだろう。末端将兵は奮闘していても、上にいくと「ダラ幹」がふんぞり返っている。上の方へ行くほど、有事に必要な人材が払底しているのだ。そもそもそれで、侵略を招いたと思われる。

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 2023-5-15記事「Poland receives first HIMARS with ATACMS missiles this Monday」。
    ポーランド国防省は同国議会に説明した。5月15日にポーランド軍は、HIMARSを受領する。それにはATACMSもついてくると。

 ラーンチャー車両は20台。GMLRSの飛翔体は270発。ATACMSは30発。これを2019年に6億5500万ドルで発注していた。

 露軍によるウクライナ本格侵略を承けて、2022年5月にはポーランド政府は、HIMARSを500ユニット、追加購入したいという希望を米国に伝えている。

 これに対して米政府は2023-2に、18両のHIMARS発射車両と、468基のカセット弾倉、そして1000発の誘導ロケット弾、プラス、500発の射程延伸型誘導ロケット弾、プラス、45発のATACMSの売却を承認した。

 並行してポーランドは韓国に対しても2022秋に、300ユニットの多連装ロケット砲を、35億5000万ドルで発注している。このラーンチャーからはレンジ290kmの大型ロケット弾も発射できる。

 ※ポーランドにHIMARSが届けられるというのなら、その少し前にウクライナ軍にも届けられたとしても不思議はない。Khmelnytskyi 市で大爆発したのは、HIMARSの弾薬コンテナではないのか?

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 Farangis Najibullah 記者による2023-5-14記事「Russian Recruiters ‘More Assertive’ Toward Central Asian Migrants As Dual Citizens’ Urged To Fight In Ukraine」。
   モスクワのサハロヴォ移民センター。旧ソ連の中央アジア諸国からやってきてモスクワで出稼ぎしたい者は、ここで就労や居住の許可証を交付してもらわねばならぬ。

 待合所であるホール内の壁には、タジク語、ウズベク語、キルギス語で「ロシア軍に契約兵士として入隊することで、かんたんにロシア市民権を得られることについて、あなたは関心がありますか?」と問いかけるポスターが貼られている。

 ※カザフ語が無いのは、カザフ人にはロシア語でそのまま不自由なく通じるためであろう。

 こうした許可証発行センターは、いまや、中央アジア人を露軍に入隊勧誘する拠点のひとつでもある。
 リクルーターは、同じビル内の別室に相談窓口を設けて常駐。

 今次戦争前から、ロシアと中央アジア出身国の、二重国籍をもっている出稼ぎ移民はたくさんいた。彼らは、徴兵されそうになると、中央アジア人であることを理由にそれを免れてきた。

 ロシア国会議員のミハイル・マトヴェイエフは、出稼ぎ労働者としてロシア国内で暮らしている二重国籍者を遠慮会釈なく徴兵できるように法令を変えるべきだと主張し、改正法案を準備中である。

 彼によると、2016年いらいこのかた、タジク人は50万人以上もロシアの労働ビザを得ている。カザフ人は31万人。アルメニア人は23万人。ウズベク人は17万人だ。

 2022の開戦以降、世界的に不景気なので、中央アジアからの労働移民の流入数はむしろ増えている。第1四半期で比較すると、2023年は2022年の1.6倍になっている。最も多いのがウズベク人、ついでタジク人、ついでキルギス人。

 じつはロシア政府はこうした流入移民を基本的に歓迎してきた。総人口の減少が止まらないからだ。たとえばタジク人の出稼ぎ労働者に、ロシア市民権を与え、妻を呼び寄せることを許可する。その妻には1万ドル相当の「出産祝い金」も与える。育児補助金も、定期的に貰える。

 この制度の恩恵を受けている帰化人たちは、複数人の育児中であることが多いので、これまではさいしょから招集令状の対象外と考えられてきた。
 これら、中央アジア出身者たちの本音。もし、ロシアが外国から攻撃されたのであったなら、露軍に加わってもいい。だが、今次戦争はあきらかにロシアから隣国を侵略している。そんな戦争に加わるのは嫌だ。

 ※雑報によると、ウクライナ兵が「UZI」サブマシンガンを持っている写真が複数、SNSに上がっているようである。想像だが、これは旧西ドイツ軍が大量に買った装備が、さいきんでは要らなくなったので、ごっそりと対宇援助に回されているのではなかろうか?

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 Jon Grevatt 記者による2023-5-11記事「Japan’s biggest defence firms position for growth」。
   三菱重工と川崎重工は5月10日、2022年度の防衛関係の売り上げと収益の伸びは堅調であったと公表した。

 この2社はどちらも、軍用機、陸戦兵器、電子装備、ミサイル、潜水艦と水上艦艇を幅広く開発・製造する。

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 Shane Harris and Isabelle Khurshudyan 記者による2023-5-14記事「Wagner chief offered to give Russian troop locations to Ukraine, leak says」。
    ディスコード・リーク文書によると、プリゴジンはウクライナ軍と勝手に交渉していた。バフムトから宇軍が兵を引いてくれるのなら、露軍の配置情報を提供しよう――と、宇軍の情報部長に対して持ちかけたという。プリゴジンはそのような内密の提言ができるチャンネルを前から持っているのだという。

 HURという符牒で呼ばれている宇軍情報部の幹部と、アフリカのどこかで接触することを希望したともいう。

 プリゴジンによる個人工作の動きは米情報部も察知している。そんなのを相手にするなよとウクライナ政府に警告していたようだ。

 ※支那事変が泥沼化するといくつかの和平「工作」が特務機関をなかだちに画策されたものだが、その当時を彷彿とさせる話ではないか。

 1文書によるとプリゴジンは、宇軍に、クリミア半島への反攻を促したという。そっちの兵隊は士気が最低だからだそうだ。

 文書はバフムトのワグネル将兵の士気が激下がり中であることにも言及。誰もそっちの前線へは行きたがらないそうだ。

 ※プリゴジンはこれについて、モスクワのエスタブリッシュメント層が仕組んだ罠だと反論している模様だが、彼もまた「反近代主義空間」に棹さしたツケを払っている。かりにロシアで誰かが半分本当のことを語ったとしても、もう誰も真に承けてはくれないのだ。これはロシアの公人、中共政府、その係累の面々、すべてについてあてはまること。公人は公的に嘘をついてはならない。そこにしか近代空間は成立しない。公的な嘘が許容される社会では、自身と他者との間に対等の関係が担保されなくなる。たちまちにして、個人の自由もどこにもないことになるのである。ゼレンスキーが、露領を攻撃しないと公言すれば、それは「公人による公的な嘘」になってしまう。ロシア人や儒教圏人の同類に堕ちてしまうのだ。早くそこに気付くことを願う。

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 『北海道新聞』の2023-5-16朝刊を見たら、感心する記事あり。
   朱鞠内湖畔で14日にベテランの釣り人を食い殺した羆を、15日、悪天候で警察ヘリが飛べぬなか、北海道庁の職員が持参したドローンがたちまち見つけ出し、同行した幌加内町など地元の猟友会員が射殺することに成功したというのだ。

 ドローンの機種は不詳なるも、市販のハンディなクォッドコプターだろうと想像できる。ボートで彼岸に上陸する前にまず飛ばし、岸にヒグマはいないと確認してから皆で上陸。さらにその岸から空中偵察範囲を広げたところ、たちまち殺人熊を見つけ出した。そこへ猟友会員を誘導して、手際よく駆除できた。

 これは今後の害獣対策のモデル・ケースになるだろう。

 道警ヘリが飛べなかったのは、有人ヘリは有視界飛行なので、低空にちょっとガスがかかっただけでも、安全のために飛行をあきらめるしかないのだ。
 それに対して、湖上や地上から飛ばすミニ・ドローンには、その制約がなかった。

 陸上自衛隊は、このお手柄の道庁職員氏から、詳しい話を聞くべきだ。部内で講演をしてもらうといい。そっくりそのまま、将来の特殊部隊の特殊作戦に、応用ができるだろう。