ポーランドの有志ファンドが、宇軍特殊部隊に対して、固定翼無人特攻機の「ウォータイム」を16機、贈呈した。

 あちこちで有志ファンドによる「兵器買い&対宇寄贈」が進んでいる。開戦から1年以上過ぎて、ようやく、あたらしい《兵器経済》が回り始めている、との印象を受ける。
 政府ではなく、民間の有志団体が資金を集めて、ちょくせつにベンチャーの兵器メーカーに発注する。特に、いままでどこの国の軍の正式装備にもなっていないドローン系の新製品だと、こっちの方がずっと話が速く進むと想像できる。

 ただし今回の「ウォータイム」は、ポーランド軍が以前から正式採用しているものである。ポーランドとしては、その性能宣伝もしたいであろう。

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 「mil.in.ua」の2023-5-15記事「AGM Fuzion LRF thermal imagers purchased for the Ukrainian army by the Come Back Alive Foundation」。
 ウクライナ兵の生還のために少しでも役立つ装備を民間で買って寄贈してやろうという団体「カムバックアライブ」が、740個の暗視サーマル・イメージ・スコープを調達し、このたび寄贈した。

 この暗視スコープは「AGMフュージョンLRFレーザー・レンジ・ファインダー」という。測遠機と一体化したものだ。

 総額59496000フリヴニャ。
 ※3.68円のレートで計算すると2億1883万円になる。その場合1個が30万円くらいということになる。

 先に「カムバックアライブ」基金は、ブルガリア製の7.62ミリ機関銃「MG-1M」を1460梃調達して宇軍に寄贈している。その総額は650万ユーロ。
 ※9億6000万円くらい?

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 「mil.in.ua」の2023-5-15記事「Czech volunteers launch a fundraiser for 10 tons of explosives for the MIA of Ukraine」。
    チェコの民間基金が「プーチンへの贈り物」と称して、爆薬10トンを自主調達してウクライナ軍に寄贈した。これは特殊部隊が挺進爆破工作などに使うプラスチック爆薬である。

 雷管1万個と、延長10kmの導爆線(超音速で燃える導火線)も、同梱した。
 総額は、60万ドルほどだという。

 プラスチック爆薬の製造元は、チェコの「STVグループ」。

 こうした爆薬は、不発弾処理作業にも重宝する。

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 The Maritime Executive の2023-5-15記事「Colombia Stops Largest Semi-Submersible Loaded With $100M of Cocaine」。
   コロムビア海軍が、太平洋上にて、過去30年で最大サイズの「低乾舷ボート」を拿捕した。船体はドラッグカルテルが密林の秘密の工房で製造させ、麻薬の密輸に使う。

 ほとんど乾舷というものがない、半没状態で低速航行する密輸艇なので、普通の軍艦のレーダーではなかなか遠くから探知できないが、米空軍が協力して、空から探知したという。

 艇の長さは98フィート。巾は10フィート。3人の乗員(貧民)が、カルテルから運航を命じられていた。

 拿捕したさいに乗員が証拠隠滅の自沈措置をとったようで、艇は確保できなかった。

 特殊な性能の密輸艇は1993年から麻薬カルテルが建造しはじめた。94年には最初の1隻が拿捕されている。これまで、半没艇や、全没可能半没艇は、228隻も、途中でインターセプトされている。

 コロムビア政府は2009年の法律で、これらセミサブ艇の建造、販売、所有、移動を違法化した。違反すれば懲役6年~14年である。

 ※2012年時点ですでにコカイン10トンを内臓できる全没艇が運行されていたから、それを凌ぐ輸送力なのかと思われる。しかし現物の確保に失敗した以上、積載可能量の測定値も無いわけだ。艇体は木骨+FRP外皮で、自動車用のディーゼルエンジンをシュノーケル換気で回して走らせるものだろう。大嵐や外国の警備艇に遭遇したときには、何時間も全没してやりすごせるタイプもある。ところで今日のリモコン操縦技術を使えば、10トン級の半没艇に、安価な硝安油剤爆薬10トン弱を内臓させて、古いバッテリー多数を積み、電動モーター推進にしてケルチ橋梁下まで無人で微速航行させるのに、何の困難があろう? たぶん問題は、それを建造している場所をすぐにロシア人スパイに嗅ぎつけられて、進水させる前に爆破されてしまうと予測ができることなのかもしれない。

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 James Jay Carafano 記者による2023-5-16記事「India tilts West as Russian ties cool」。
    今次侵略戦争の開始前、インドは輸入兵器のうち6割をロシアから買っていた。今は45%に落ちた。

 ロシア製兵器は、本体の初期取得費用は比較的安くても、部品寿命が短く、スペアパーツを次々に必要とするので、稼働率やライフサイクルコストで不利なんだと、インド人も分かってきた。

 ※インド人は独特のバランス感覚を保持しているので、ロシアの兵器メーカーと縁を切ることは今後もないと思う。しかし、こっちで必要な、いざというときに、ロシア側の都合で補給がやってこなくなる、そんなおそれがあるとわかった武器・弾薬に関しては、今後、敢てロシアからの輸入品に期待しようとはすまい。

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 ストラテジーペイジの2023-5-16記事。
   中国からやってくる貨物列車の戻り便。その貨車内に北鮮人がこっそりと潜り込んで、国外逃亡を図るケースが増えているというので、北鮮政府は15日に、警備員たちに対し、駅構内で人を見かけたら即、射殺するように命じたそうだ。

 5月11日、韓国メーカーが「KTSSM」の実射実験を成功させた。これは径40cmのロケット弾で、飛距離は180kmに達する。HIMARSよりコスパを良くして、これから欧州諸国へ売りまくるつもりだ。
 さらに「KTSSM」の2型では、飛距離を300kmにする。※こちらはたぶんATACMSの違法コピー品。

 ※業務スーパーに行ったら、ラトヴィアから輸入された「オートミール」500グラムが1袋89円だったので、2個を大人買いしてしまった。以前あった、ポーランド産のシリアルと違い、何の味付けもしてない。まったくの燕麦、そのまんまである。片手鍋に味噌を溶き、葉もの野菜をちぎった断片を投入して短時間、加熱。丼のほうには、あらかじめこの「ひきわり大麦」状の乾燥オートミールを二摘み投入しておいて、そこへ片手鍋の中味を移す。というのは、オートミールを鍋で煮るとたちまちに泥状となってしまうので、私的にはそうしたくないのだ。これにてあっというまに、人間様用の猫マンマができあがる。猫マンマにすれば「麦めし」臭さも気にならない。しかもガス代もミニマムに抑えられる。電気代の値上がりには、こういう対策だってあるぞと、すべての貧乏人諸君に教えたくなる。と同時に考えた。この500グラム袋×1個で、旧軍兵士は1週間は生存できたのではないか? 旧軍の野戦兵食の定量は1日分が「胚芽精米+精麦」860グラム。それを作戦発起時に7日分とか2週間分、背嚢に詰め込んだようである。ざっくりと8kg、持って往ったと仮定しよう(ちなみに最近の小学生はランドセルが重い時には7kgにもなるそうだな。BAR自動小銃と同じかよ!)。その重さを、この現代の500gオートミール袋に代えたなら、16袋だ。それで16週間、食いつなげた可能性がある。史実のインパール作戦は4ヵ月続いた。つまり16週間強だ。おい、誰か実験してみないか!? ビルマにだって自転車はあった。そこにベトミン式にオートミールを合計80kg分ほど縛り付けて1人の兵隊が押して進むとする(史実のベトミンは100kgを超えるコメ袋を縛り付けたが、アラカン山地の険しさを考慮する)。この量であれば、たんに生存するだけでなく、16週間戦闘し、あるいは仲間の兵隊に分けてやることも可能ではないか? 本人の個人装具の重量もその自転車に分担させられるので、疲労しない。机上計算には限度があるので、どうしても実験してみなくては、これ以上のことは言えない。しかし直感では、日本軍はガダルカナルでもニューギニアでも、飢える必要はなかった。自転車活用の着眼さえあったならば……! それを「押して進む」専用と割り切っていたら、空気タイヤもチェーンも必要なかったと思っている。木製車輪、竹フレームの「ドライジーネ」でもどうにかできたはずだ。それも民需統制品の枠外で生産できたのである。