スペインからの売り込み。アルキメアというメーカーが、「Q-SLAM-40」というカミカゼ・ドローンを完成したので、ウクライナ軍で買いませんか、と。

 内臓弾頭が口径40ミリだというので、これは「スイッチブレード300」の後出しコピー商品か。

 次。
 Jeremy Binnie 記者による2023-5-17記事「IRGC confirms specs for Shahed-136 attack UAV」。
   IRGC(イラン革命防衛隊)が「シャヘド136」のポスターを製作していて、そこにスペックが書いてある。
 レンジ2500km、自重200kg、弾頭重量50kg、エンジンは四気筒の「MD550」、飛行速度は185km/時であると。

 次。
 Boyko Nikolov 記者による2023-5-17記事「US refuses replacement F-16s to Bulgaria, recommends MiG-29s」。
    ブルガリア空軍は、現有のミグ29をF-16で更新したいと願っていたが、このたび、ハッキリと米国から断られた。米国いわく、あなたがたは、ミグ29を使い続けた方が良い、と。

 NATO加盟国は義務として空軍を維持しなくてはいけない。
 しかるにブルガリア空軍は古い11機のミグ29を運用している。そのうち何機かはエンジンを大修理しないかぎり使えぬ状態。

 そこでブルガリアは2019年に「F16 ブロック70/72」を8機、FMSでロックマートに発注し、FMS規定により前金でその費用全額を振り込んだ。ところがロックマートは、新コロの流行を理由に、納期を勝手に延期して、初号機の引渡しは2026年になる予定だという。

 ブルガリア空軍からは、F-16の操縦者要員が渡米し、とっくに、その訓練を済ませて、帰国しているという。しかし、人数はとても少ないそうだ。その人数では、かりにすぐにF-16が引渡されても、運用は無理なレベルだという。

 エンジン整備能力も、ブルガリアには無い。イスラエルやポーランドは、自国内でF-16のエンジン整備ができるのだが……。
 旧ソ連機を使っている東欧諸国の多くは、これまで、エンジン整備はロシアに頼めばいいと思って、自前での整備能力に投資してこなかった。それが祟っている。

 今、ブルガリア空軍は、しかたなく、ミグ29の寿命延長策を、鳩首協議中である。

 次。
 英語版『ルモンド』の2023-5-15記事「Macron says ‘door is open’ to train Ukrainian fighter pilots」。
   月曜日にマクロンいわく。われわれはウクライナ空軍のパイロットに戦闘機の訓練を提供しないとは言っていない。その門戸は開いている。しかしウクライナに戦闘機を供与することはできないのである。

 訓練ならば、いますぐ開始したっていい。しかしフランスからは戦闘機は贈らない。

 ことし2月にAFPは仏軍高官から、理論上の可能性として「ミラージュ2000C」を13機、ウクライナに提供できるという証言を引き出している。しかしそれは現実的ではない。パイロットの訓練に時間がかかりすぎるからである。

 ※その懸念の中心も、じつのところは、仏製エンジンのメンテナンス費用を誰がもつのか、だろう。あるいはその技術流出か。

 ※雑報によると、『ル・モンド』は、英国政府とオランダ政府が合同で、ウクライナ空軍のためにジェット戦闘機を買ってやる話が進んでいる――とすっぱぬいたそうなのだが、その記事は検索できなかった(有料記事らしい)。しかしこの話は、英国からさいきん、スウェーデン製「グリペン」戦闘機推しの話がなぜか頻出する兆候に、符合するように感ずる。なおそれとは別にベルギー政府は、ウクライナ人パイロットのためF-16の操縦訓練を提供するという。

 ※雑報によると、オランダ政府による対宇援助額の対GDP比は、ポーランドよりは小さいものの、チェコより大きい。すなわちバルト沿海諸国に次ぐ熱心さで、大努力中なのである。その背景には、ロシアのSAMで民航機が撃墜されて多数のオランダ国民が散華したあの事件の恨みを晴らす決意があるのだと。あと、ドイツの対宇援助のGDP比が、小さい。それだけ分母のGDPが大きいわけで、ドイツ政府にとっては、今はまさに「はした金」をくれてやっている段階なのだ。その「のびしろ」の巨大さを考えたら、ロシアには万に一つの勝ち目もないとわかる。ドイツが「生かさず殺さず」の調節をしているおかげで、体面を保っているだけだ。

 次。
 Seth Robson 記者による2023-5-17記事「Russia welcomes Chinese shipping to Far East port for first time」。
   ウラジオストック港のウェブサイトによれば、この港には2300人の労働者がいて、埠頭は15箇所、クレーンは45基ある。毎年2000隻が利用し、昨年の荷扱い量は1300万トン/年であった。

 『日刊ペキスポ』によると、この港は6月1日に中共の貨物船に対して利用が開放される。

 ウラジオストックは、1860年以前は清国領で「海参【山かんむりに威】」と呼ばれていた。
 第二次阿片戦争の結果、香港が英国に割譲されたのも同年の北京条約。