『プリンスオブウェルズ』と『レパルス』の残骸を勝手に拾い集めた中国のサルベージ船を、マレーシアの海上警察が拿捕した。

 『ジェーン』の2023-5-28記事「Ukraine to receive up to 140 Excalibur Army Viktor MR-2 counter-UAS systems」。
   チェコにある「エクスカリブル・アーミー」社がトヨタのピックアップをベースに製造している対UAS自走高射機関砲。オランダ政府がカネを出し、とりあえず100セットがウクライナへ送られる。

 機関砲は旧ソ連設計の連装の14.5ミリ。

 レンジは2000mまで有効だという。

 サスペンションには手を加えてある。これは荷台から直接発射するので必要。
 エンジン排気量は4リッター級。

 給弾は各銃、300発入りのマガジンから行なう。それぞれ、予備マガジン×1個も用意。

 チェコのメーカー/ガレージ改造ショツプは「Gift for Putin」という新種のクラウドファンディングのスキームをうまく利用している。この制度は、NGOを介在させず、また政府の「同意」も待たない。世界中の醵金者が、工房に直接「この武器をウクライナへ送れ」と指定してオンラインでカネを振り込めば、指名されたメーカーがその武器を製造して、責任をもってウクライナ軍へ引き渡す。

 ※まさに日本に必要なのもこの制度だろう。火薬類は輸送の問題があって面倒かもしれないが、火器、あるいは通産省の言う「武器」にあたるもの、および、それらには該当しないがデュアルユースにとても役に立つ「アイテム」「システム」「需品」などはいくらでもあるはず。それを、有志のメーカーが公開的にカタログ化しておいて、カタログ番号で内外から「受注」すればいい。醵金されたカネがどのように製品となり、いつどのようにウクライナ政府(もしくは将来の台湾政府)の責任担当者に引渡されたのか、アカウンタブルに醵金者に説明する透明性が担保されなくてはならぬことは、これまた申すまでも無かろう。この制度は、ほんらいそのメーカーが得意とはしていなかった分野の製品を、製造に踏み切らせる動機付けにもつながる。たとえば、純然民需市場では海外工場と提携したライバル他社にコスト競争で負けてしまう国内工場やその製品も、援助専用品としたならば、信頼度勝負となり、俄然、受注が殺到するかもしれない。メーカー内部からの製品提案次第で、大ヒットにつながる可能性があるとなれば、わが国のモノづくり現場を活性化させることは疑いがない。援助ビジネススキームを、早く整えるべし。

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 Akhil Kadidal 記者による2023-5-26記事「LIMA 2023: Delivery of second batch of ‘Blue Sharks’ for Philippines delayed」。
   韓国製の対潜魚雷「ブルーシャーク」は、全重280kgで、深度450mまで潜り、速力45ノットで、6.5海里航走する。

 すでに比島海軍にファーストバッチを引渡し済み。まもなく、セカンドバッチを納品可能である。
 しかし、比島海軍の支払いの準備ができていないという。

 納品された暁には、レオナルド製の「AW159」対潜ヘリから、それを投下できる。

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 Joyce Lee and Josh Smith 記者による2023-5-29記事「Inside South Korea’s race to become one of the world’s biggest arms dealers」。
    韓国からの武器輸出が伸びている。2021年の韓国の武器輸出額は72億5000万ドルだったが、それが22年には170億ドルに増えた。めざましい。

 NATOの一員であるポーランドに対しては、自走多連装ロケット発射機、主力戦車、155ミリ自走砲、そして軽量ジェット攻撃機であるFA-50を、大量に売り込んだ。この規模の兵器輸出を一挙にやってのけた国は他に無い。

 「ハンワ・エアロスペース」社は世界の榴弾砲市場のシェア55%をとっていたが、対ポーランド輸出のおかげでその数字は68%になるだろうという。

 韓国からポーランドにライセンスを売り、ポーランドが製造した韓国設計の兵器を他の欧州諸国に輸出するというビジネスもこれから始まる。ポーランド国内では戦車820両、自走榴弾砲672門を製造したいとポーランド側では望んでいる。その製造は2026年からスタートする。

 重さ47トンの「K9」という自走榴弾砲。韓国・昌原市にあるハンワ工場では、大型ロボット6基と、工員150人が、その製造ラインに貼り付いている。

 熔接工程はロボットが7割やってくれるという。しかし人手も必要。工場ではあと50人は工員を増やしたい。すでに8時間労働では足らなくなっているので。

 韓国で製造した「K2」戦車の最初の10両のバッチは、24門の「K9」とともに、昨年12月にポーランドに舶着した。契約から数ヵ月の早業である。その後、12門の「K9」が追送されている。。

 これと比較してドイツの軍需企業の仕事の遅さが際立つ。たとえばハンガリーから2018年に受注した44両の「レオ2」を、まだ納品できていないのだ。※残業させられないからな。

 欧州NATO諸国ぜんたいでは、輸入武器の65%は米国製。8.6%がフランス製。韓国製は4.9%だ。それでも第三番目になったというのはすごい。

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 Spencer Chin 記者による2023-5-18記事「AI Helps Create the Smart Stroller」。
   乳母車とAIの結合――。いろいろなことを考える人がいるものである。

 ベビーカーを自動走行させられたらいいなとは、誰しも考える。だが、それが万一にも事故を起さぬ絶対の確信が得られなければ、どのメーカーもうかつには手は出せぬ。

 ベンチャー企業のグラックスカインド社がこのほど開発した製品「エラ」は、下り坂ブレーキ安全機構や、上り坂アシスト機能付きの「スマート・ストローラー」を標榜する。

 しかしさすがに「操向」は人力を頼るようである。それ以外はスマホでコマンドできるという。

 ※この記事を読んでたちまちくだらないことを考え付いたのだが、「電動アシスト・リヤカー」は、できないものだろうか? あるいは「電動アシスト・猫車(1輪車)」。はたまた、「押し歩き」モード(時速6km)専用で最初からサドルもペダルもなく、シートチューブからはシートポストの代わりに「握り押し棒」が突き出している「ベトナム軍仕様重輸送電動アシスト自転車」。しかも、原則2人で左右から支えて押し歩く「ロング・ホイールベース」型はどうじゃ? そのまま担架×2を左右に吊るす、怪我人搬送車にできるだろう。まさに戦災地向きですよ。「押し歩き」専用だと割り切ってしまうなら、タイヤだって28インチとはいわず、前輪を直径1mにしたって可いはず。空荷なら、1人で押すのにも不都合が無い。さらに空想したい。このコンセプトで、エンジン+モーターのハイブリッドにしたらどうなる? モーターは前輪を駆動させるのだ。それは完全な軍用で、前後にサドルも2個そなえ、さらに、中間部分のフレーム左右には兵隊2人が足をかけてしがみつけるようにもする。4人乗りの低速機動手段だ。あるいは完全武装兵×2人+装具200kgでもいい。歩兵が徒歩で持ち運べない重量を楽々と運んでくれて、しかも、4輪車では通過できない錯雑地形を押し通れる。

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 Sofiia Syngaivska 記者による2023-5-29記事「The UK Defense Intelligence Explained Smoke on Crimean Bridge on May 24」。
   5月24日にケルチ橋から白煙が盛大にたなびいていたが、これは露軍の煙覆装置の仕業である。英国防衛情報部の解説。

 トラックに搭載された「TDA-3」という発煙機械。

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 ストラテジーペイジの2023-5-29記事。
    中共は、海南島から海底ケーブルを、複数の砂盛島まで、張りめぐらすようになった。

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 『Defense Express』の2023-5-29記事「The russians in Crimea Are So Afraid of Ukraine’s USV That They Deployed Rare DP-62 Damba Systems in Sevastopol」。
   SNSに出回っている写真から判断して、露軍はカムチャツカ半島の軍港から「DP-62」という多連装の爆雷投射機をもってきて、セバストポリ軍港の近くの海岸に並べ始めた。車載だが、ラーンチャーを無人にして完全リモコンでも発射させられる。

 爆雷ロケットは「BM-21」の派生型で、波打ち際から海に向けて飛ばす。最大レンジ5km。最短レンジ300m。

 径122ミリの爆雷は、深度3mから200mに対応できる。フロッグマンもこれで撃退できる。

 対潜用としては、1発の威力が弱いので、かならず20発ずつ、固め撃ちする必要がある。

 ※他資料にあたってみたが、信管がどういうメカなのかは分からなかった。想像だが、これは70年代にソ連自身が開発していた「海底クローラー式特殊工作ビークル」への対策として、浅海の底で爆発させるつもりの専用兵器ではないだろうか。したがってプリセットの時限信管しかないんじゃないか。1発の炸薬量は20kgで、それが総重量75.3kgの飛翔体の中に詰まっているそうだ。