3月にツーラを空襲した無人自爆機と同じものが5月30日にも露領内の各地で発見されたという。

 これは名称不明で、全翼機型。単発の内燃機関エンジンで牽引プロペラを回す。垂直尾翼×2。内臓の炸薬は「KZ-6」という1.8kgの出来合いのHEAT爆薬。レンジは600km~1000kmという。

 しかし5-30のモスクワ郊外では、普通に尾翼がある単発固定翼(無人特攻機)の飛来が地上から撮影されている。異なる型である。

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 Defense Brief の2023-5-29記事「Canadian Armed Forces receive new Sig Sauer pistols」。
   カナダ軍将兵に対する「C22」拳銃の支給と訓練が始まった。「P320」をベースにした自動拳銃で、ハンマーレス。
 薬室に装填されているか否か、どの角度から見てもわかるインディケーターが備わっている。

 すでに、デンマーク軍、フランス軍、米軍は、「P320」のユーザーである。

 カナダ兵は、従来は、ブラウニングの9㎜を使っていた。その弾薬に、変更はない。

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 2023-5-29記事「German defence ministry purchases C-UAS SMASH sights for army rifles」。
   ドイツのメディア『ゾルダト・ウント・テヒニク』によれば、連邦軍の「G27P」自動小銃(7.62㎜)に、対ドローン射撃が可能になる「SMASH X4」というイスラエル製のハイテク照準器がとりつけられる。その調達が始まっていると。

 「クラス1」のUAVに対処できる。すなわち、自重150グラムより軽量のドローンを、小銃で撃墜するのだ。
 メーカーは「スマートシューター」社。

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 Boyko Nikolov 記者による2023-5-30記事「After salvo, the M777 cannon ruptures and kills soldiers」。
    M777の砲身が裂けた事例。砲側員複数が死亡したという。ただしソースはTASS。

 M777を急射すると、過熱のため装填装置が動かなくなってしまうのは事実。

 いくつかの西側の榴弾砲は、1日に100発までしか、射つことを想定していない。

 あるM777は、これまで四回、砲身をとりかえて、累算6000発を発射しているそうだ。

 連続して30発を急射すると、西側製の十五榴は、駐退機が壊れたり、鎖栓が焼き付くなどのトラブルが起きる。

 イタリアが供与したFH70の場合、平衡器内の窒素ガスが抜けてしまうことあり。

 ※この記事は貴重なまとめになっている。結論は単純。西側各国から6種類の榴弾砲が供給されているけれども、どれも、連続急射すれば、壊れてしまうのである。さすがに旧軍の加農のように、脚が折れてしまうという事故はないが、閉鎖機はどれほど頑丈に設計しても、焼き付きは起きてしまうのだろう。やはり将来的にはPULSのようなロケット砲システムを中軸に、砲熕砲兵は脇役にして行くのが正解なのだと思われる。

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 Vita Spivak 記者による2023-5-29記事「How Sanctions Have Changed the Face of Chinese Companies in Russia」。
    欧州委員会は、ロシアにデュアル・ユースの工業品を輸出している複数の中国企業に対しての新制裁について、5月8日から討議中である。
 そのいくつかの企業は、すでに米国が先に制裁を課している。特に半導体メーカー。

 ロシアからはこれまで1000社を超える外国企業が脱出しているが、中共企業は残っている。

 西側企業はロシアからの撤収が遅ければ世論から叩かれる。ところが中共企業はその逆だ。たとえば昨年、レノヴォとDiDiが、ロシアからのひきあげを検討中――と報じられたとたんに中国内のSNSがこの2社を袋叩きにした。

 中共の自動車メーカーは昨年、ロシア市場を乗っ取った。侵略開始前には60社がロシア国内にひしめいていたが、侵略後に残ったのが14社。そのうち3社がロシアのメーカーで、11社はすべて中国企業である。

 2022年において、ロシア国内で売れた新車の20%は中国車だった。前年の6%から飛躍的に伸びたわけである。

 ある予測では、2023年にはシェア40%になるのではないかという。

 「Hongqi」というブランドは、中共の特権階級用の高級車ブランドだが、それが今年、ロシア市場に進出した。
 また「Omoda」も進出した。「Chery」の子会社で、もともとロシア市場向けに特化した部門である。

 22年末、ロシアの家電小売店は、いまや洗濯機、冷蔵庫、ラップトップPC、スマホの部門では、中国メーカーが筆頭供給者であると報告した。

 中共側の輸出統計もそれを裏付ける。22年の洗濯機の対露輸出は前年比35.5%の伸び。冷蔵庫は6.4%の伸びであった。

 ハイアール社はげんざい、ロシア国内の4番目となる工場を建設中だ。

 2022-6にハイアールは、ロシア国営開発融資銀行であるVEBから2億5000万ルーブルの資金を借り出した。VEBは今次戦争勃発直後に西側から制裁を喰らっている。
 ハイアールの冷蔵庫は昨年、ロシア市場の20%以上を支配した。

 アップルもサムスンも撤退したロシアのスマホ市場は、2022年、70%が中国製品で占められた。
 シェアをリードしているのは、「Xiaomi」「Realme」「Tecno」ブランド。

 ファーウェイは何のアナウンスもしていないが、2022-3月早々に、黙ってロシアから抜けたようである。
 同社はそれまでロシアの携帯電話基地局設備の30%のシェアをもっていたのだが、それを捨てた。

 DJI社は、2020年から米政府により投資禁止対象に指定されている。2022-3にロシアのフェドロフ副首相が、DJI製品がウクライナ戦線で露軍によって使われていると発言したとき、DJI社はそれは事実ではないと必死で否定した。しかしすぐ事実を認めるしかなくなった。

 2022-3にVISAとMasterCardがロシアから撤収したので、いまや中共の「UnionPay」が、ロシア人の決裁カードの命綱である。しかし同社もロシアの制裁対象銀行との取引は縮小している。

 ディーゼルエンジンメーカーの「Weichai」グループは、ロシアのKamazトラックに対するエンジン供給を停止した。米国とEUが2022-6にKamazを制裁対象に加えたので、巻き添えを喰ってはたまらないからである。

 Sinopecは、2022-3に、ロシアの石油ガス分野に対する5億ドルの投資計画を、凍結した。

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 2023-5-29記事「Russia’s Krasnodar Bans Signs in Foreign Languages」
    ロシア南部のクラスノダール市当局は、市内の看板に外国語表記を用いることを禁止した。

 会社や商店は、外国語表記を1年以内にロシア語化しなければならない。

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 ストラテジーペイジの2023-5-30記事。
    5月6日に出されたプーチン命令。無人機を67万機、年内に国産せよ。そのために590億ドルの予算を付ける。
 67万機のうち1万6000機は、自重500kg以上の大型機であること。

 まず、実現は不可能だろう。外国からの部品入手努力を排除するならば。

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 Fabien ZAMORA 記者による2023-5-30記事「How drone warfare has evolved in Ukraine」。
   AFPの取材に対してある匿名の仏軍幹部は語った。いまやドローン戦争は「数の戦い」のモードに入った。ウクライナ戦線は、「TB2」のような少数の「MALE」(中高度で長時間滞空する無人機)が戦勢を左右するような戦場ではとっくにない。

 宇軍が飛ばす「Furia」と、露軍が飛ばす「エレロン-3」は、どちらも50kmくらい航続できるリモコン偵察機だ。そして次々に消耗することを覚悟している。

 英国のシンクタンクRUSIの推定ではロシアは長射程SAMを月産40発製造できるだけだ。40機を越えるドローンで空襲を仕掛け続ければモスクワは丸裸になる。

 RUSIまたいわく。長大なウクライナ戦線の任意の「10km幅」の中には、露軍と宇軍がそれぞれ、25機から50機のUAVを互いに飛ばし合っている。それが一千数百km続いているのである。