今次戦争が終るときには、DMZというより「No-man’s Land」帯を広く設定しなくては、とうてい安定化を期待できないだろう。

 「mil.in.ua」の2023-5-31記事「Ammo Shortage Looms Over russian Forces: Kremlin Forbids Small Arms Ammunition Export」。
    ロシア政府が、三種類の弾薬の対外輸出を禁止した。
 具体的には「5.45×39」㎜弾、「7.62×39」㎜弾、「7.62×54」㎜弾、「12.7×108」㎜弾である。

 このことは、歩兵用自動小銃のタマ(それも古いAK用まで)、中隊用軽機のタマ、汎用車載重機のタマが、不足していることを物語っている。

 このほか、西側規格の小火器用弾薬もロシア国内では、狙撃用・スポーツ用・猟用等にさまざま流通しているのだが、その国外輸出も禁止された。

 いずれも、国外の露軍やワグネル、旧ソ連邦の諸国軍に引渡すことは、無問題。

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 Guy Faulconbridge 記者による2023-5-31記事「Prigozhin asks prosecutors to probe ‘crime’ by top Russian defence officials」。
    バフムトから撤退するプリゴジン(61)が水曜日に声明。本日、ロシアの調査委員会および、検事局に書簡を送った。今次戦争の直前の準備、および、今次戦争の遂行において、露軍の上層幹部が「犯罪」に関わっていないかどうかを、当局は捜査してほしい――と。

 ※故・マーガレット・サッチャーいわく。「権力」は「レディ」の称号に似るという。というのは、もし人々に、自分のことを「レディ」だと説明しなければならないのなら、その人は「レディ」じゃないので。

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 Pyotr Kozlov 記者による2023-5-30記事「Downed Drones Near Putin’s Residence Rattle Russia’s Elite」。
   火曜日のドローン空襲では、ノヴォ・オガリョヴォ村にあるプーチン別荘の近くでも、無人特攻機が2機、未明に撃墜されたという。1機はイリニスコエ村、もう1機はラズドリ村に墜落した。どちらもプーチン離宮から数kmの位置。

 プーチン別邸の囲りは「パンツィリ-S1」が固めているので、撃墜したSAMもそれだろう。

 SAMの爆発音はかなり大きかったようで、近隣の別荘で寝ていたロシア・セレブたちが驚いて飛び起き、めいめいインスタグラムに投稿している。

 また、それとは別の1機のドローンが、メドヴェジェフの別荘のある「ゴリキ-9」地区の数km手前で撃墜された模様だ。

 モスクワの支配階級の別荘は、西へ伸びた「リュブリョフカ公道」に沿って散らばっている。いずれも豪邸群である。

 さらにもう1機のドローンは、ガスプロムの親玉、アレクセイ・ミラーの構える屋敷の近くに落ちたそうだ。

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 Sofiia Syngaivska 記者による2023-5-31記事「Russians Blow Up Road at Ukraine-russia-Belarus Border, Fearing Offensive on the Country」。
   ロシア・ベラルーシ・ウクライナの三国国境地帯に近い、露領内の三叉路ロータリー。そこからモスクワまで公道が延びているのだが、そのロータリーを露軍の工兵隊が爆破した。
 爆破は5月30日の昼飯時に実行された。

 ※これは象徴的な「絵」を撮ったにすぎないだろうが、私はこれを視て背景事情にピンと来ました。クラウゼヴィッツは『戦争論』の「第8章」(最終章)中で何を主張していた? 《プロイセン軍が次にフランスと戦争するときは、パリまでの最短距離をまっすぐに行け。ほかのことは考えたらアカンぞ》と、さんざん強調しているのである。ウクライナの反転攻勢は、南へ行くと匂わせておいて、じつはモスクワを直撃しようというのじゃないか? ベラルーシ側の「翼側」がほとんど空虚だから、これはとんとん拍子に進むかもしれない。もちろん、モスクワの一歩手前で停戦交渉に入るのが大目的である。モスクワの西側で滞陣をきめこみ、モスクワとベラルーシの中間地域にウクライナ軍が蟠踞する。そんな事態を長期化させれば、ロシア本国との連絡線を切り離されたベラルーシ内で政権転覆が起きるだろう。

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 AFPの2023-5-31記事「China factory activity declines further in May」。
   中国国家統計局が数字を出した。5月の「PMI生産指数」は48.8だった(50ポイントよりも低かったのみならず、ブルームバーグの予想である49.5よりも悪かった)。2ヵ月連続で、中共経済の「復調」ペースは鈍化している。

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 2023-5-30記事「The World’s Ultimate Cinema Drone DJI Inspire 3 Goes On Sale Globally」。
   映画のマスターフィルムとして使える高画質グレードの、動画撮像専門クォッドコプター「インスパイア3」の販売が公式にスタートした。DJI社によるプレスリリースによると。

 本体価格は1万4999ユーロから。

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 2023-5-30記事「BAE Systems expands weapons production in Ukraine ―― Zelensky」。
   英国のBAE社は、まずウクライナ国内に事務所を開き、逐次に同国内での兵器生産工場を立ち上げんとす。この第一報は、ゼレンスキーのSNS公式ページ上で発表された。

 BAEシステムズのてがけている製品は、タイフーン戦闘機からチャレンジャー戦車、M777榴弾砲まで、じつに幅広い。たとえばブラドリーIFVやM113APCも、BAEでライセンス生産しているのである。自社開発品のCV90というものがあるのに関係なく。

 ※雑報によると、ポーランドの学生たちが、ウクライナ軍のメディヴァックに寄贈するための「ATV+幌付き2床担架トレーラー」を試験中。被牽引のトレーラーは2輪である。しかしこのような「牽引」流儀では、不整地でぴょんぴょん跳ねるから、負傷兵輸送用としては不都合だという話は既にした通り。その用途ならば、サイドカーが適していると思われる(軽量オフロード4輪車ならば、ロールケージ上にストレッチャーを固縛できるようにすべきだ)。このSNS動画で興味深いのは、むしろ牽引トラクターであるATVの方だ。このATVが6×6なのだ(操縦者はオートバイ式にまたがる。後部には大きな荷台があり、人間2人くらいその中で座れそうである)。しかも、シャシが2分割のように見える。前2輪の部分と、後4輪の部分が、ユニバーサルジョイントかなにかで結合されているかのような動きをするのだ。

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 Boyko Nikolov 記者による2023-5-31記事「US and UK seek retired pilots of Soviet fighters for Ukraine」。
    ウクライナ空軍は、旧ソ連機(ミグ29、スホイ24、チェコスロヴァキアのL-39系対地攻撃機、ミル8系の各種ヘリコプター)を飛ばすパイロットを、外国から雇おうと考えている。
 スーダン、リビア、エジプト、アンゴラの(元)パイロットに声がかかっている。さらには、旧アフガニスタン政府軍で空中勤務者だった者(とうぜん2021に国外脱出している)にも。