有益な映像資料が急速に集まり始めた。

 野砲弾が次々落ちてくる林縁の農道で、明るい時間帯に漫然と停車していた「レオ2A4」が、至近弾を受けて車内に火災が発生、その後、内部爆発したように見える、高空からの俯瞰ビデオ(編集済み)がSNSに出た。
 さすがに砲塔が吹き飛ぶことはなくとも、西側戦車でも車外からの衝撃波によって搭載弾薬の誘爆が起きることは、確からしくなってきた。

 小型クォッドコプターを爆装させたものが「レオ2」にFPV特攻する動画も複数上がってきた。しかしそれを偵察UAVから俯瞰で写した動画は出されていない。その意味は? 命中はしたものの、ほとんどカスリ傷で終ってしまったので、俯瞰では絵にならなかったことを暗示するだろう。

 ランセットが「レオ2」の側面に命中する俯瞰動画がひとつ出てきた。車体下部に当たったように見える。車内弾薬の誘爆は確認できない。

 例のブラドリー×4両遺棄現場の、宇軍側の長回し動画(おそらく車載カメラ)が出てきた。地雷を踏んだ車両を回収しようとしたのではなくて、小銃射程距離内のボカージュに露兵がいて、擱坐車両めがけて撃って来る情況なので、2~3両の残留ブラドリーの乗員をエバキュエートするために、健全なブラドリーが1両、駆けつけたようである。機関砲で牽制射撃しつつ、乗員が下車して発煙手榴弾を1個放り投げて敵歩兵からの照準を不可能にし、そのあと、車載の「発射発煙筒」の投射によって濃厚なスモークスクリーンを展張。一挙に残留乗員をピックアップしている。

 少し前、T-62/55の戦車の前に乗員が3人しかいない写真がSNSに出て、西側からの笑いものになっていた。「野砲として使うから3人でもいいのだ」と解釈された。すると今度は、その嘲笑を打ち消すかのように、T-62の車内へ4人の乗員が「APFSDS」弾をリレーして搭載している作業の動画が出た。これについて、またも「T-62用のAPFSDS弾なんてないだろう」という大向こうからの野次あり。

 次。
 Isabel van Brugen 記者による2023-6-9記事「How to Spot Putin’s Body Doubles, According to Ukraine’s Secret Service」。
    ウクライナ軍情報部のスポークスマンが、木曜日、ウクライナのオンライン新聞のインタビューに答えて、その中で、プーチンの《影武者》を見分ける方法を伝授した。

 影武者は居る。こっちは人相学者も動員して、識別している。しかし人相学の前に、本人がやるわけのない行動というものがあるのだ。
 たとえばプーチンは、自動車の中に座ったまま、大衆の前に現れたりしない。

 明瞭な例だと、2023年3月にウクライナ南部の占領地を訪問しましたという報道があった。住民と会話したりしていた。
 それは全くの嘘。彼はそこにやって来ていない。代役の役者がカメラの前で演技したのだ。

 プーチンから距離数mまで近付ける者は、数週間前から隔離されて、新コロを患っていないことを医者から証明されていなくてはならない。政府中枢の役人であってもそうなのだ。予告なしに訪れたよその土地の知らない住民とアドリブで面談したとしたら、それはプーチンご本人ではありえない。

 ロンドンのシンクタンクに属するK・ジャイルズ氏も、マリウポリにやってきたプーチンなる者は偽者だと断言する。

 ウクライナ軍情報部長の少佐いわく。耳を見比べることです。指紋と同じで、人間の耳の形はひとりひとりが異なる。同じものはありませんから。
 「歩様」も識別の役に立ちます。

 次。
 2023-6-10記事「Strike sites discovered by the Osint community. Photo from social media」。
   露軍のドニエプル司令部を、宇軍発射の「ストームシャドウ」巡航ミサイルが複数発、直撃したと見られる。
 その建物は、4月にプーチンが訪問したとされているところ。ヘルソン地区にある。
 現況、最前線からは140km離れている。※よってHIMARSは届かない。

 次。
 Joseph Trevithick 記者による2023-6-9記事「U.S. Infrared Early Warning Satellites Help Investigate Ukrainian Dam Destruction: Report」。
    米軍が宇宙に配置している、他国のミサイル発射をリアルタイムで察知し警戒するための、赤外線監視衛星群「SBIRS」。
 これが、先日決壊したダムを露軍が爆破したときの赤外線も記録しているはずだとという。NYTによるすっぱ抜き。