《火炎放射ロボドッグ》は、地雷原啓開に使える!

 Robo-Dog の背中から自動小銃を発砲させると、AKクラスのセミオートであっても反動が強すぎて、ロボ犬がよろめいてしまって、これが戦場で実用的かどうかには、相当の疑問があった。

 ところが、至近距離に対して火炎放射をさせる機能にシステムをまとめるならば、(おそらく圧搾ガスによる)油脂射出の反動は合理的な範囲に抑制ができるようで、デモンストレーション動画のロボット犬は、よろめいていないことが、特に注目される。

 この「燃焼性の液体」を、「爆燃性のエアロゾル、または微粉末」(気体爆薬/炭塵爆薬の一種)に換えることができれば、ロボ犬の前方の地表面に、「幅60cm×長さ2m」ほどの、「地雷が爆圧処理された地積」をつくりだすことができるのではないか?
 もちろん点火直前に犬は「伏せ」の姿勢を取る。

 そんな爆破処理作業を反復しながらロボ犬を漸進させ続ければ、1匹のロボ犬に長さ100mくらいの通路を連続啓開させることができるだろう。あらかじめ多頭を準備しておいて、いれかわりたちかわり投入することも、もとより容易だと想像ができる。

 鉄条網も、この「爆裂マイト犬」に破壊させるとよい。もはやバンガロール破壊筒は不要になる。

 この「工兵ロボ犬」は、敵兵が残っているかどうかよくわからない塹壕陣地や、横穴トンネル陣地の内部を、生身の兵隊に代わって念入りに爆砕してくれる「戦闘工兵」ともなるだろう。地下陣地攻撃用には、口からエアロゾルを吐き出すのではなく、臍の下からパイプを下向きに刺し込んで、そこから地下洞内にエアロゾルを注入して、化学反応によって自動点火させればよい。「馬乗り攻撃」をロボットにさせるわけだ。

 敵の狙撃手が立て籠もっている家屋の壁を吹き飛ばしたり、IEDや不発弾の爆破処理にも、この「マイト犬」のおでましを願うことができよう。
 さいきん北海道で人々が迷惑している羆の冬眠穴を、春先に爆薬攻めすることも朝飯前であろう。

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 Joseph Trevithick 記者による2023-6-27記事「Canada Testing Big TOW Missile System On Little MRZR Buggies」。
    カナダ陸軍は昨年から、ごく軽量な4輪駆動バギーの「ポラリスMRZR」にTOWを載っけた全地形車両(ただし無装甲)で、何ができるだろうかという実験を続けている。きたる5月31日からオンタリオ州で始まる「リーサルウェポン」演習にも、この車両を出す。

 ※いきなりだがここで国ごとのカテゴリー名称の混乱について注記をしておく。カワサキが佐世保の水機団に提供している、縁石重量869kgの四駆車両(MULE PRO-FXT・KAT820D)は「オフロード四輪車」と称されている。これを「ATV(オールテラインビークル)」と呼ぶのはよくないらしい。というのは同じメーカーの製品として、1人乗りの四輪バイクのようなものがあって、「ATV」と言った場合にはそっちを指すことになるかららしい(個人の印象です)。しかしこの記事もそうだが、海外では「ポラリスMRZR」のような軍用バギーは all-terrain vehicle であると書かれる。すなわち日本国外の話なら、「ATV」というカテゴリー名称で問題なく通用する。

 実験ではMRZRに、TOWのほか、12.7ミリ重機関銃や、ヘックラー&コッホのGMGという自動40mm擲弾発射機(カナダ軍の制式名称は「C16」)を、暗視照準器付きでマウントしたものも、走らせてみる。

 TOWには最初から暗視サイトが付属している。しかもそのサイトは、夜間の高性能な前方警戒熱線センサーとしてISR用に駆使することもできる。バギーが偵察車両になるわけだ。

 人々の疑問は、軽量バギーにTOWシステムのような重い兵装を搭載した場合に、兵器のプラットフォームとしての安定性は、だいじょうぶなのかということ。

 ※たとえば12.7㎜機関銃を発射すれば反動で車体サスペンションがグラグラし、集弾精度が甚だ悪いのではないかということ。この問題を解決するには、暗視装置のコストの半分をむしろ「AI照準メカ」に割り当てることだ。機械が銃身のリード角をとってくれて、最初の1弾は必中になるようなもの。これで対UAV用にもなる。「M2」重機が、単発の狙撃銃となるわけ。

 バギー車の重心が兵装のおかげで高くなれば、不整地を高速で走るときに横転するリスクも増すはずだ。

 MRZRの外寸は、CH-47の荷室内に、バックで自走して楽々と入れることができるコンパクトさである。

 しかも整備が容易なので、長期にわたって味方からの補給を期待できないような作戦に、向いている。

 デューン・バギーにTOWを載せてみようという試みは、早くも1980年代に米軍が「Chenowth」で開始していた。※ウィキを見るとスケルトンなのに自重は1600kgと重い。エンジンが160馬力もあるからだろう。そして今でもこのシリーズはシールズなどで現役らしい。ちなみにジムニーの2022年型の自重は1040kgという。

 米陸軍は「Chenowth」を大量採用することはなかった。敵が、火力の強力なソ連軍だと考えた場合、無装甲の車両では、砲弾が雨下する戦場で生き残れないと想像したのだ。

 リアルの戦場では、こっちの車両の存在が敵から見つかっていないのならば、その車両の上に敵の砲弾が正確に降ってくることはない。これは今次ウクライナ戦争で確認ができることなのだが、当時は適当な実戦データがなく、反対者を説得できなかった。

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 AFPの2023-6-28記事「Why Saudi Arabia’s “The Line” isn’t a revolution in urban living」。
   昨年10月、サウジアラビアで「ザ・ライン」の建設工事が始まった。
 長さ170km、幅200mの、一直線状の地下都市である。
 土地代はタダの砂漠だから、それはいいのだが、深さが500mという。どんだけ工事費がかかるんだ?

 この直線都市には、900万人が住むことを予期するという。ちなみに今、サウジアラビアに、住民900万人もの都市は、ひとつも存在しない。

 いくら、長さが170kmもあっても、そこに900万人を押し込んだら、人口密度は、1平方キロあたり26万5000人にもなってしまう。マンハッタン島よりも10倍も過密である。マニラ市の中心部よりも4倍過密ということだ。

 ※批判者も推進者も、ひとつの話題を避けている。「直線状に細長い地下都市」は、「核攻撃を受けたときに数学的にいちばん生き残りやすい」ということ。その視点を挿入しないなら、こんな不便な人工都市はない。しかしサウジの皇太子も側近に恵まれてないね。まず数分の一のスケールで、浅い地下に長さ1kmくらいの模型を建設して、問題になりそうなことを点検し、デザインを煮詰めるというステップを踏まないで、いきなり大工事の開始? 背骨の地下鉄をどうするのかということすら具体的に何も決まっていないのに。この事業予定地のどこかに、地下の核ミサイル基地を建設するカムフラージュに利用しているだけではないのかと、周辺国から勘繰られるぞ。

 ※諸報道によるとプリゴジンはショイグの身柄を拉致することを画策していたがそれをFSBに先に察知されたために叛乱を前倒ししたという。プリゴジンは国軍の一部には事前に根回しを進めており、それでロストフ市では国軍の抵抗が何もなかったという。しかも米政府はそうした事前の動きをすべて早々と承知していたという。このような言説と、今回の侵略戦争をプー之介にそそのかしたのはFSBであったことが推定されているのに米政府としてFSBをこれまで強く非難したことがない事実は、奇妙に符合する。FSBの内部に、CIAへの内通者がいるのだろう。だから米国政府にとっては今のFSBは《非常に利用価値が高いので潰したくない》機関なのかもしれない。潰したくない理由だが、やはりロシア崩壊後の核兵器の「始末」を米政府としては最も重視するからだろう。その協力者として、FSBを当てにできると考えているのだろう。