消耗品だしね。
そろそろ、こう言い切っていいのではないか?
軍需品の準備と兵站の世界では、「ジャスト・イン・タイム」流儀を平時に理想視していたなら、誰も安全にならない。
これは、パンデミック対策品でも、工業製品用の集積回路でも、西側官民が、痛烈に学習させられたことの筈だ。
戦間期、ドイツの工業は「無駄がない」と他国から褒め称えられた。ではそのドイツ工業はWWIIで蓋を開けてみて米国工業に勝てたかというと、生産数競争で負けてしまった。「無駄を出さない」ことは戦間期のドイツにとっては必要事でまちがいないが、「絶対善」ではなかった。フォードのウィローラン工場の「バッチ」システムは、ドイツ工業から見れば無駄かもしれないが、「短時間で大量生産する」ための最善解で、大極的には、認容限度内の無駄で戦争に勝ったといえる。戦後のトヨタは、戦間期ドイツの工場の延長線上に「カンバン方式」を洗練したと思うが、「機敏に市場を獲る」ことを大目的とした場合、「ジャスト・イン・タイム」の破綻は「認容できない停滞」に直結してしまう。平時は会社が稼げない。戦時は国が亡びてしまう。
次。
Ellen Mitchell 記者による2023-6-30記事「US considering sending cluster munitions to Ukraine」。
DPICM=デュアル・パーパス・インプルーヴド・通常・弾薬 を米国内の倉庫からウクライナへ移送する話は、確かに進んでいる。米政府内の高官が肯定した。7月前半には搬入が始まるのではないかというくらいに。
DPICMは、地対地用のクラスター弾頭である。
2008年に多くの国がクラスター弾薬禁止条約に署名した。この条約は、クラスター爆弾が多くの不発弾(爆発しなかった子弾)を残留させ、それが民間住民を戦後も無差別に殺傷することになり、それは古い戦時国際法に抵触するから、禁止しよう――との趣旨であった。
批准国は、クラスター弾薬の使用、製造や貯蔵だけでなく、「移転」もしてはならない。
合衆国、ウクライナ、ロシアは、いずれも、この2008条約に署名していないので、今回の移転は違法にはならない。ロシアは最初から使いまくっている。
次。
Povilas M. 記者による2023-7-1記事「Drone Carrying Two Other Drones Spotted in Ukraine」。
米国のアエロヴァイロンメント社製の「Jump 20」という固定翼ハイブリッド無人機がウクライナ戦線で露兵によって目撃されている。この無人機は、兵装として「スイッチブレード300」を吊架しているという。
「Jump 20」は、VTOL離陸する関係で、そんなに重いペイロードはとりつけられない。総計13.6kgまでである。「スイッチブレード300」ならば、2発吊るしても5kgである。
メーカーは2022年から、この「親子無人機」の運用をテストしていた。
「Jump 20」の航続距離は185kmである。「スイッチブレード300」は、ロイタリングミュニションとして10km飛べる。
ということは、母機は往復して帰還するとして90kmまでは進出できるから、それプラス、兵装が10km突入するとして、母機の発進地点から100km離れた敵目標を攻撃もしくは撮影できるわけである。
「Jump 20」は、ウイングスパン5.7m、自重97.5kg、滞空14時間可能。
メーカーが「Jump 20」を宇軍に供給すると発表したのが5月であった。
宇軍からは未だ、ビデオ広報のようなものはリリースされていない。
※メーカーのプロモーションビデオを見ると、巡航用の牽引プロペラは内燃機関エンジンが駆動する。それを地上で始動するためには、オペレーターが、電動工具の手持ちドリルの先にカップラーをとりつけたような道具を押し付けて、スピナーを強制的に回してやっている。
次。
Defense Express の2023-7-1記事「rUssians Wanted to Ride a Tank Over Anti-tank Mines in Ukraine and Lost Their Rare T-62M」。
バフムト市の近くで、露軍のT-62Mのドライバーが、道路上にむきだしで2個置いてある地雷に、直前まで気付かず、なんとか2個の地雷の中間に履帯を入れようと操作したものの失敗し、地雷が轟爆するビデオが、SNSに出た。これは露軍が今次戦役で喪失した61番目のT-62Mになるという。
なお、「M」型というのは、T-62を輸出用に小改造してあり、いちおう「新型」だ。
このビデオは、T-62は対戦車地雷を踏んでも車内の乗員は助かるという例証になっている。乗員はただちに戦車を抛棄して逃げ出している。
この路上の対戦車地雷は、露軍自身が仕掛けていたものと考えられる。とにかく地雷だらけなのだ。
※あまりにも地雷が多いので、ドライバーは疲れてしまい、いちいちそんなことを気にしてノロノロ走ってはいられないという心理コンディションなのだろう。
次。
Marcel Niedermann 記者による2023-6-30記事「Russian gold trail leads to Switzerland」。
ロシアは2022-2以降げんざいまでに、総計75トンのGoldを含有するであろう金含有物をスイスに持ち込んだという。スイスには金の精錬工場がある。
「素材」はロンドン経由で持ち込まれた。
2019年なかばにロシアの中央銀行がゴールドを買わなくなり、その後、金塊にかける消費税を廃止した。これで、金の輸出が激増したという。
※Gold輸出による外貨稼ぎが、モスクワ政府から奨励されたということ。
スイスは、モスクワの軍資金のためにGoldのロンダリングをしてやっているとも言える。ロシアから持ち出されたときのまんまの金塊や合金素材なら、西側諸国は買ってはいけない。が、スイスで一回溶かされて、純金としてスイスが保証したインゴットに姿を変えれば、それらはふつうに取引可能だ。その金塊にはスイスの刻印だけが打たれているので。
スイスの極印が打たれた延べ棒には「トレーサビリティ」が無い。最初にどの金鉱山で掘り出されたかなどという情報は、得られなくなるのだ。
スイス業界からの反論。これらは本格侵略が始まる直前の2022-2にロシアから英国に運び出されていたものであり、違法性はない、と。
※日本は「スイスのような国」に、なってもいいのか? この記事はもともとはスイス国内のジャーナリストが、自国政府の没倫理に憤るあまり、すっぱぬいたものである。ところが政府も実業界も「ロシアマネーさまさま」なので、ロシアを困らせるような中古武器供与は、一貫して拒絶し抜く。これじゃ、世界に対して偉そうな顔もできないよ。そんな自己中の守銭奴としてさげすまれる国に、日本もなっていいんですかい?
次。
Stew Magnuson 記者による2023-6-30記事「Navy SEALs Seek New Tech for Covert Missions」。
5月に「SOF(特殊作戦部隊) ウィーク」カンファレンスというのがあって、その場で米海軍の装備開発計画部長の大佐が語った。もうじきロックマートが、SEALs用のミニサブを完成してくれる。潜入隊員をドライ状態で水中運搬してくれるものだ。隊員はその中に24時間いられる。ミニサブは深度330フィートを60浬、自航できる。
収容力は、乗員2名+お客が8名。
従来のシールズ用の「Mk 11」水中移動機は、ウェットスーツを着てしがみついていなければならない水中スクータータイプだったから、冷水で身体が疲労してしまう。とても連続して何時間も作戦できるもんじゃなかった。
新型の潜航艇は、まるごと、『ヴァジニア』級SSNに載せて運べる。