英陸軍はチャレンジャー主力戦車に「コープ・ケージ」――すなわちランセット避けの「屋上屋」構造を、正式に取り付けさせる意向であるらしい。ウクライナの戦訓はユニバーサルな戦訓だと評価したのだろう。
そこで提案がある。
第二次大戦中に、米軍だけが使った「カリオペ」。M4シャーマン戦車の砲塔の両サイドに支持架をボルト止めして、その上に径114㎜(4.5インチ)、全長84cm、弾重17kg、弾頭重量2.0kg(これは当時の105㎜榴弾砲の炸薬に匹敵したという)の「M8」というロケット弾をつるべ射ちできる多連装ラーンチャーを担がせたシステムだが、史実では60連装くらいもあったチューブの数を、1段のみの20連発くらいに抑制し、筒と筒のあいだに適度に隙間を設けたら、今日現用の西側主力戦車の砲塔天板をしっかりカバーする「Cope cage」の機能が期待できるであろう。ふだんはロケット弾など装填をせずに空にしておけば、昼寝中に敵UAVから手榴弾を落とされて誘爆するような心配もない。
調べてみると「M8」はじつに興味深いので、この機会に詳しく紹介しておきたい。もともと「P-47」のようなヤーボから地上を狙わせるための空対地ロケット弾として1941年に設計され、1944年までに253万7000発も生産され、1945年まで戦場で使用された。(250万発あればウクライナの前線を2年間、支えるに足り、今の露軍はそれに物量面で対抗は不能だ。ロケット弾は榴弾砲の砲弾よりはるかに簡単に町工場で量産できる。なんでこういうのをリバイバルさせない? それで戦争に勝てるのに。プラットフォームは安物の装甲車で十分だ!)
「M8」の推薬は固体燃料で2.15kg。
P-47から発射すればレンジ4.2km。これを地対地ロケットとした場合は3700mくらい飛ぶ。しかし狙った場所にちゃんと当たると期待できたのは、空対地でも800ヤードがMaxで、地対地とした場合は、ロケットの初期加速中の空力フィンの効きが悪いから、「狙撃」は考えても無意味だった。ゆえに、バラージ砲撃が大前提の多連装システムとなった次第。
ちなみに現代のRPG-7は、最初にスピン安定をさせるようにして、この弾道問題を解決している。「M8」の後継の「M16」というロケット弾(1945~)も、スピン安定であった。
M8の初速は865フィート/秒である。
「クラス1」の装甲鈑に対しては、厚さ1インチまでは破壊できたという。
強化コンクリートに対しては、厚さ1フィートまでは破壊できたという。
だがそもそも着弾がバラけすぎるので、狙っても滅多に当たることがなかった。それで、より強力な後継ロケット弾が模索されている。
私は知らなかったのだが、カリオペの円筒チューブは、ベニヤ合板製で、2~3回も発射すれば、焼けて壊れてしまう。だから、あの多連装ラーンチャーそのものが、使い捨ての投棄式だったのだ。
シャーマンに背負わせたやつは、陸軍の正式名が「T34 カリオペ〔蒸気式パイプオルガン〕 発射システム」という。
しかし、カリオペの他に「T27 シロフォン〔共鳴筒付きの大型木琴〕」という発射システムもあった。これは「2トン半トラック」の荷台に取り付けたものである。(沖縄戦の動画で斜めに乱射している、アレとは別か。)
米海軍は、水陸両用の装輪車DUKWにこの多連装筒を120本取り付けたことあり(俯仰も旋回もしない)。またLSTの上には144本、取り付けたという。(硫黄島の上陸前にやたらに発射している、アレだろう。)
「T34E2」という、レールが四角筒状を成している改良型ラーンチャーは、金属製である。
「M8」のフィンは、発射される前は畳まれており、発射直後に開く。6枚。
点火は電気式で、そのケーブルはコマンダーズハッチから戦車内につなげていた。
当初、カリオペの俯仰はシャーマンの砲身俯仰にメカニカルに連動させていたため、カリオペが載っている間は、シャーマンは主砲の発射をあきらめねばならなかった。この問題はじきに改良されて解決した。
今日の技術を適用すれば、「M8」類似の寸法・重量で、簡易ロケット弾の弾頭威力やレンジをそれぞれ数割も、増強することができるはず。ウクライナの最前線には、そういうもので十分なはずである。
2022-3からすぐに、西側の工業先進諸国が脇目もふらずにこの種の簡易ロケット弾に生産・補給努力を集中していたなら、今頃、宇軍は露軍を自国領土から叩き出せていたはずだ。最新戦車もF-16も、歩兵の訓練すらも必要はなかった。ウクライナ政府の戦争指導部は国家総力戦の勉強が足らぬためにそこへ気が付かず、空しく最新戦車やF-16を要求し、みずから望んで戦争をこんなにも長引かせたと評することができるだろう。
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Kenneth Payne 記者による2023-8-31記事「AI Spy」。
チャットGPTは人民の感情を読み取り始めている。為政者はそれを利用している。
断片的な「事実」からフィクショナルなストーリーを捏ね上げるプロセスは、人民が、与えられた「餌」情報から、何を連想し、何と思い込んでくれるかの、モデルでありヒントである。
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Joe Macey 記者による2023-8-31記事「Authorization to Operate UAV Beyond Visual Line of Sight」。
「スイスドローンズ」社の「SDO 50 V2」は、内燃機関で飛ぶ1軸ローターの無人ヘリ。
MTOWは191ポンド。センサーは30ポンドまで可。滞空2時間。
このほどFAAから、この機体を飛ばす予定のサービス会社「PAU(フェニックス・エア・アンマンド)」に対して、送電線点検のために、全米で視程外飛行してもいいよ、という特別許可が与えられた。
旧来、こうしたBVLOS飛行は、全重55ポンド以下の無人機に対してしか許可されなかった。
FAAには、送電線点検の無人機に限り、法規制を緩くする特例措置がある。それは従来、全重55ポンド以下のUAVに適用されていた。
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Howard Altman 記者による2023-8-30記事「Two Ukrainian Mi-8 Helicopters Crash, Killing Six」。
火曜日に、ウクライナ軍所属の「ミル8」輸送ヘリ×2機がバフムト近郊で墜落した。内部の工作が疑われていて、調査中。
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AFPの2023-8-25記事「First geosynchronous orbit SAR satellite enters working orbit」。
中共は昨2022年には、200機以上の衛星を打ち上げている。
2023-8-13に、中共は、「L-SAR4 01」衛星を打ち上げた。それは静止軌道に投入される。なんと、静止衛星なのにSARで測地するのである。ものすごい遠いところからレーダー波を出してその反射を解析するのだ。
そのアンテナ展張が無事に成功したので、ニュースリリースした。
常識的には、SAR衛星は、高度1000km以下で周回運用される。すなわちLEOである。
これに対して静止軌道は、地表から3万6000kmも離れている。レーダー波の送受には、まことに都合がよくない。
ただし絶大なメリットもある。地表の特定点を、常続的にそのレーダーで観測できる。通例のSAR衛星だと、次に同じ地表の上空に差しかかるまでには、1日回さなくてははならない。その待ち時間が、理論上、静止衛星ならば、ゼロである。
こんかいの中共の静止SAR衛星は、開発に15年かけているという。
特にフェイズドアレイ機能のある巨大な円盤アンテナの設計に苦心した。もちろん製造も楽じゃない。
※遠い静止軌道からアクティヴレーダー観測して得られる情報などたかが知れているが、おそらく彼らにはそれはどうでもいいのだ。真の価値は、宇宙での巨大アンテナのメンテナンスに慣れること。それを逐次に実用的に改良し、パッシヴ電波受信機とするための経験を蓄積することにあるだろう。その技術は、ELINT/SIGINT衛星に不可欠だったが、中共はそっち系の衛星の開発で出遅れていた。ELINT衛星の質と量を充実させることでしか、洋上の米空母の位置を知ることはできない。ようやくその結論に到達したかと思われる。
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Kyle Mizokami 記者による2023-9-1記事「Chinese Scientists Think They’ve Found the Secret to Detecting U.S. Subs. It’s a Bunch of Baloney」。
潜水艦のスクリューは微細なキャビテーションの泡を発生させており、それは超低周波音源になっている。この低周波を掬い上げることで米潜の位置は絞り込める、と中共のチームが言っている。
より正確には、泡が潰れるときに微少な電磁エミッションが生ずるのである。
スクリュープロペラは、水中でゆっくり回ったとしても、そのブレードの直後に微少ながら著しい「低圧」なエリアをつくりださぬわけにはいかない。そこでは急減圧によって液体の水が一挙に気化し、ミクロな泡になる。その泡はしかし、すぐに潰れる。そのときにエネルギーが放散される。
ただし米英の最新世代の潜水艦は、もはやむきだしのスクリューを採用していない。ポンプジェット推進にしているので、スクリューの回りはシュラウドで囲まれている。キャビテーションノイズをそこから拾うのは至難だろう。
キャビテーションの泡がつぶれるときに、水素が海水中に混じるから、その水素の痕跡の帯を探知することができれば、米潜の動きを追えるだろう、という仮説も立てられている。
※この中国語論文が学会誌に公表されたということは、それが実用レベルには程遠く、プロパガンダの役にしか立たないという見極めを、中共軍上層がしているということだろう。
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2023-9-1記事「A Polish Mi-24 attack helicopter allegedly violated Belarusian airspace」。
ポーランド軍は「ミル24」を使ってベラルーシ領空を侵犯させた。8月1日にやられたことを、やり返した。
超低空で、距離1200mばかり、侵犯したという。
※やられたら、やり返さないとね。ところで日本政府は中共にどのようにやり返すつもりかな? 何もしないなら、大衆は岸田政権を見放すよ。もちろん、中共は「チャットGPT」でそこをよく計算できている。日本の大衆は漁民のファンではないから、漁民を困らせても日本国内は団結しない。かたや大衆は、無能農水相を切ることができない岸田にも不満を抱く。そういうことがよく分かってやっているのだ。日本政府は、いつまでロシアに「出漁費」を貢ぎ続けるつもりかな? それはモラル的におかしくないか? 断ち切れよ。中露との関係を。
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Boyko Nikolov 記者による2023-9-1記事「Russia’s new P-750B sub will have a compartment for drone attacks」。
ロシアが構想中の有人潜水艦。前方の上甲板がクラムシェル式に開き、そこからかなり大型のUUVを発進させるようになっている。
※ウクライナ政府に告ぐ。コロムビアの麻薬密輸組織がコスト数億円で製造できているような、搭載量7トンの「半没艇」をFRPと木材でこしらえて、ロシアの軍港前まで深夜に近づき、そこから「段ボール自爆UAV」を放つという運用構想を実験しなさい。そして帰りがけには沈底機雷を撒いてくること。
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Ryan Pickrell 記者による2023-9-1記事「Ukrainian snipers hunting top enemy commanders are exploiting one of the Russian military’s biggest vulnerabilities」。
ロシア軍の部隊指揮官は、双眼鏡で「ブーツ」に着目すると、遠くからでもすぐ見分けがつくという。宇軍は、そいつを狙撃手に優先的に狙わせている。