9月1日にアゾフ海で「カモフ52」が1機、墜落した。

 濃霧が原因だという。場所は海岸から1.5km沖。
 乗員2名は救助された。

 おそらく操縦者が計器を信用せずに高度をどんどん下げてしまい、気付いたときには海に突っ込んでいたのだろう。

 次。
 雑報によると、ロシアがフラックタワーを採用。

 モスクワ周辺の土地が、ひたすら真ったいら過ぎて、低空用SAMのレーダーの覆域が狭すぎる(周辺の針葉樹林に邪魔される)ため。
 樹高の2~3倍の高さのトラス組み鉄骨の上にSAMシステムを載せていると思しい。

 こうでもしないと、低速&低空で飛来する特攻ドローンを早期探知できないと判断した模様。

 他方、プーチン別荘のあるノヴァ・オガリョヴォ村では、フラックタワーの代用として、野原に「人工台地」を築山して、自走SAM車を斜路からその台地のてっぺんへ登らせるようにしている。
 この写真を当局はモスクワ市防空の努力だと宣伝したが、西側マニアが、それはプーチン別荘防禦用であることを写真の背景照合から看破してしまった。

 見たところ、人工山の高さは、周辺の針葉樹の樹高にも及ばないような感じ。

 なぜ、鉄骨製のフラックタワーを建てないのかは、謎。プー之介が、屋敷内を高所から見下ろされるのが厭なのかもしれない。

 ※1977年にスウェーデンのSAAB社は「Giraffe(ジラーフ=麒麟)」という近距離防空用の対空捜索レーダーを完成した。アウトリガー付きのトラックの荷台から13mもレーダー檣をせり上げるコンセプトだった。私は80年より前にこれを知り、とても感心した。ところが不思議なことに、その後、このコンセプトに追随した他国の兵器メーカーを、ほとんど聞かぬ。わが国であったなら、地形が起伏だらけだから、必要ならばホークのレーダーを山上に担ぎ上げればよかったのかもしれない。かたや、ポーランドやソ連のような地形では、ジラーフの設計思想は即座に真似する価値があったはずである。しかるにSAAB社でもその後、地上から13m以上、レーダーをもちあげる試みはしていないようだ。後から出した製品で、高さを8mに抑制しているものもある。ここから想像をするに、レーダーが横風や車両通過の振動を受けてフラフラするような華奢な檣(マスト)構造では、精密な遠距離探知は難しくなるのかもしれない。

 次。
 Milan Czerny 記者による2023-8-31記事「Having Fled War, Russian Emigres in Israel Find Themselves Drafted to IDF」。
    今次ウクライナ戦争が始まったあと、少なからぬ若いユダヤ系のロシア人が、プーチンに動員されるのを嫌ってイスラエルに出国した。どういうわけかこの者たちは、イスラエルには男女ともに兵役義務があることを知らなかったらしく、招集令状が届けられて面食らっている。

 イスラエルの国内法令では兵隊たちは勝手に外国メディアのインタビューに応じてはならない。しかし『モスクワ・タイムズ』は匿名で取材することに成功した。

 イスラエルの法令では、22歳以下の若者で新しく市民権を得たのならば、そもそもイスラエルにやってきた理由がなんであれ、兵役を免れることはできない。

 免除されるのはごくわずかなケースに限られる。良心的兵役拒否も不可能ではないが、ヘブライ語も話せない新移民にはまずそれが許される可能性はゼロ。

 2022年の1年間で、ロシアからは4万3000人がイスラエルに移住したという。
 イスラエルの法令では、新移民は、入国の1年後から、早速、徴兵の対象になるのだ。

 そしてじっさいには、入国して数ヵ月目にして、早々と招集令状が届くこともある。

 義務兵役の年限は、男子が2年と8ヵ月、女子は2年である。

 超原理派のユダヤ教徒と、アラブ系の市民には、兵役は最初から免除される。

 次。
RFE/RL’s Ukrainian Service による2023-9-3記事「’New Approaches Needed’: Zelenskiy To Replace Ukraine’s Defense Minister In Surprise Move」。
   3日にゼレンスキーが発表した国防相の更迭。57歳の眼鏡のラズニコフの後任は、ルステム・ウメロフ。
 クリミア・タタール系の政治家である。

 この人事には、議会の承認が必要。

 41歳のウメロフは、「ホロス(声)」党の副党首。昨年、国家資産管理庁の長官に任命されていた。

 ラズニコフは2021-11-4に国防大臣になっていた。

 噂では2023-2に早くもラズニコフは、キリロ・ブダノフ将軍に交替するだろうと言われていた。

 ことし1月、ウクライナ・メディアは、国防省が某ガスケット会社から、不正な上乗せ価格で製品を調達していると報道している。

 次。
 Parth Satam 記者による2023-9-4記事「India Tests Ukraine’s Warmate Loitering Munition Near China Border That Can Easily Hit Armored Bunkers」。
    インド軍は、中共が領有しようと策動している国境のラダク高原で、ポーランド製の固定翼特攻無人機である「ウォーメイト」をテスト中である。

 『ジェーン』が7月に報じているところでは、イランは「ウォーメイト」をコピーした製品をお披露目している。「ズービン」と名づけられている。おそらくウクライナ戦線で露軍が拾った残骸をイランが貰ったことを示唆している。

 次。
 ストラテジーペイジの2023-9-4記事。
   退役した軍艦を「ミュージアム・シップ」にしている例は世界に200以上もある。
 その多くはNGOの運営だが、中共は1隻の原潜を含む7隻のミュージアムシップをすべて国営としている。うち2隻はロシアで建造された軍艦だ。

 ミュージアムシップ化されている原潜は『091型』のSSN『長征1号』で、1974年に中共が国産した。

 この1番艦は、建造後、ほとんど実験研究に使われたらしい。ソナーはフランス製。他の電装品も西側から輸入していた。
 他に同型が4艦あり、そのうち3艦はいまだ現役のはず。

 中共にある他のミュージアムシップは、駆逐艦×3、フリゲート×1、キエフ級対潜空母×1である。

 次。
 Boyko Nikolov 記者による2023-9-4記事「T-14’s transmission issue may have thrown it off the battlefield」。
    T-14にはエンジンとトランスミッションの不調があると2020年から報道されているが、けっきょく現在までもそこが解決していないようだ。

 この戦車のエンジンは「ChTZ 12H360」といい、12気筒ディーゼルで1500馬力。

 トランスミッションは「2K25 クリビン」という。前進7速、後進1速である。
 これを電子制御しているのだが、そこに問題があるという。オーバーヒートもし易いという。

 トランスミッションの修理のため、アルマタ戦車を動かせない時間が、ものすごく長い。部隊としては、貰って迷惑な装備だ。修理には、費用もかかるのである。

 英国防省が見るところ、T-14は現在でも、トータルで15両未満しか製造されてはいない。そして実戦には一度も参加していない。

 ※雑報によるとロシアでは今、毎日3400人の新生児がカウントされている。と同時に、毎日400人の兵隊がウクライナで死につつあるという。