Stetson Payne, Tyler Rogoway 記者による20239-9記事「North Korea Debuts Rocket Launchers That Appear As Civilian Trucks」。
平壌で催行された、健軍75周年の夜中のパレード。
労農赤衛隊という、正規軍とは別のパラミリタリー組織(郷土防衛軍みたいなものか)の装備が面白い。外見をまったく商用トラックの風情にして、その荷台パネルの天板の中央部が油圧でめくれ上がるようになっており、そこから、多連装ロケット砲のチューブ(口径は122㎜で、比較的に小さい)が鎌首を持ち上げる。
すなわち発射する直前まで、上空の敵スパイ衛星やUAVからは、それが軍用の車体なのだとは判別できないように工夫したものだ。
※またしても当ブログからすべてを学んでしまった敵があらわれたか……。
民間のダンプカーに偽装した自走多連装ロケット発射機の操縦兵は、念を入れて、工事用の黄色いヘルメットを被っている。
もうひとつ面白いのは、どこから見ても農耕用の大型乗用トラクター(キャビン付き、4輪)に、ミニトレーラー(4輪)を牽引させ、そのミニトレーラー上に、小口径の多連装ロケット発射機を装載したモノ。こちらは、ミニトレーラー全体を薦などで覆ってしまえば、あたかも畑の収穫物でも輸送中であるように、敵の上空ISRに対してごまかしてしまえるかもしれない。
※このタイプの大型農機は、22年に泥濘期のウクライナの「畑」を縦横に走り回って、擱坐した露軍の戦車をひきずって来たものである。宇軍はむしろこういう装備を充実させることによって、露軍が身動き取れなくなっている春(融雪期)と秋(降雪初期)の泥濘シーズンに、敵を出し抜いて思わぬ地点に戦力を集中して穿貫することができたのに、その着想を抱いた作戦家は一人もいなかったのである。特に米軍アドバイザーの間抜けさが度し難い。80年代のドイツ東部での戦車戦しか、こいつらの頭の中には無いのだ。
次。
Ukrainska Pravda の2023-9-11記事「Russia is not evacuating its casualties」。
Rusichという極右武装集団の証言。9月8日時点の前線で、露軍が、味方の死体を回収しないのみならず、生きている負傷兵もまったく後送する気がないため、兵隊たちが戦闘を拒否しているという。
ソースは「戦争研究所」。
露軍の砲兵は、「クラスノポリ」というレーザー誘導砲弾と、それを誘導するためのレーザーデジグネーターを備えたUAVが不足しているため、宇軍砲兵と互角に撃ち合えなくなっている。命中精度が段違いなので。
また「トルナド-S」という多連装ロケット砲は、EWに弱く、終末誘導を狂わされてしまう。それに対して HIMARSの方は、EW対策ができている、とRusichは証言している。
露軍部隊は、各部隊がてんでバラバラに市販の通信機を調達しなければならず、これが、友軍部隊との横の連絡と調整を、難しくしている。
※雑報によると、セワストーポリの市中のガソリンスタンドでは、ここ連続4日、「軽油」を給油してくれなくなっているそうだ。