今月の新刊は、『読解・富国強兵 日清日露から終戦まで』(NF文庫)です。

 正確な発売日は承知していませんが、今月の下旬と思います。潮書房光人新社さんのウェブ広告を、どうかご注目ください。
 内容ですが、これは書き下ろしではありません。2008年刊の『日本の戦争Q&A』の本文に、「文庫版のあとがき」を書き足しました。

 誰にも予言できない未来を占うには、どうしたらいいのか? 《ものごとのはじまり》をおさらいしておくのが有益でしょう。
 しかし今日の出版事情では、明治27~28年の第二次伊藤内閣時代の「日清戦争」について書き下ろすなんていう企画が通るとは思えません。

 さいわい、15年前の単行本がそれをカバーしていました。

 次。
 2023-9-16記事「New company developing sustainable drones in extreme volumes for military applications」。
    1分間に20機のUAVを量産するというとんでもない計画をブチ上げているスタートアップあらわる。
 「ShadowVu」株式会社。
 固定翼機とクォッドコプターの両方をやる。
 部品の85%はサステナブル素材でつくる。
 その、部品の85%以上は自社製とする。

 単価は100ドル以下にして、使い捨てても惜しくないようにする。とうぜん、スウォームのカミカゼ作戦も可能にする。

 1機あたりの製造時間は3分にする。
 年産は1000万機となる。

 いずれも、現状でそれを達成できているメーカーは存在しない。

 次。
 Chen Chuanren 記者による2023-9-14記事「Mysterious Taiwanese Company Reveals Loitering Munition」。
    台湾の、これまでほとんど知られていなかったメーカー「フトロン」社が、「H2B ハヤブサ」という名のロイタリングミュニションを、台北航空宇宙防衛技術エキシビジョンに出展した。なんとエンジンはジェット機関である。

 主翼を畳んで格納しておく構造は「スイッチブレード600」に類似している。
 「H2B」の自重は15kg。弾頭重量は5kg。
 ジェットエンジンの型式は謎。
 もっと静かな飛行機にしたいユーザーのためには、プッシャープロペラ式に換えることもできるそうだ。

 会社のジェネラルマネジャー氏は、フランク・ファンという名。
 彼いわく。H2Bの航続距離は150kmである。滞空は1時間可能。

 衛星と交信するための、フェイズドアレイ・アンテナも備えているという。

 次は「母機」を開発し、そこから6機の「H2B」を空中で放出させる計画だという。

 この企業が謎なのは、ウェブサイトが無いのだ。
 ネット上では2021年に、無人機を開発している会社として紹介されたことがある。

 次。
 Jake Cordell 記者による2023-9-15記事「Russia Raises Interest Rates to 13% Amid Inflation Concerns」。
    ロシアの中央銀行は、金曜日をもって、公定歩合を12%から13%に引き上げた。インフレを抑止するためという。

 中央銀行はインフレ率を4%にしたい。現状では5.5%になっている。

 次。
 2023-9-17記事「To convert the promised Ukraine M1117s, will need another 18 months」。
   2022年の11月に米政府は、州兵が使っていた「M1117」という4×4のAPC(テクストロン社製)を250両、再整備してウクライナにめぐんでやると約束していたが、修理がちっとも進んでおらず、約束の実行まであと18ヵ月かかるそうだ。

 ※つまりこの戦争には間に合わないわけである。ロシアは2024年には力尽きると試算されているから。こんなところに工場労力を割いていたらダメだろう。

 M1117 は「M706」の改造品で、単価は80万ドル。
 銃塔が載っている。それはAAV-P7と類似のもので、フルオートの40ミリ擲弾発射器と、12.7ミリ重機。

 M1117は、重さ13.5トン。長さ6m。幅2.6m。
 エンジンは、カミンズの260馬力。

 次。
 Boyko Nikolov 記者による2023-9-16記事「Russian B-237 Kilo-class sub was hit about the main pressure hull」。
    9月13日に、乾ドック内で破壊された『キロ』級の潜水艦について、エアバス社が市販している民間衛星写真を見たところ、耐圧の内殻を真上から「ストームシャドウ」にブチ抜かれており、この戦争が終るまで、もうこの潜水艦は再生しないと考えられる。

 命中箇所は、セイルより前方である。

 水雷室や電信室もやられたろう。何より、内殻を修理したあと、本当に水圧に耐えるかどうかの実験を重ねた上でなければ、ふたたび作戦に送り出すことはできない。今のロシアには、無理だろう。

 ※ロシアの海軍工廠は、現状、大船を入れられる船渠が皆無と考えられている。極東にはまだあるが、そこを黒海艦隊や北海艦隊は利用できない。浮きドックの大きいやつも、何年か前に沈んでしまった。

 次。
 2023-9-17記事「Kongsberg Maritime’s Promas Propulsion System Now Available for Naval Vessels」。
   コングスベルグ・マリタイム社が、舶用の斬新な推進装置を開発している。「プロマス」と称する。2軸のスクリュープロペラのスピナーキャップ後端に、それぞれラダーがめりこんで一体化しているのだ。これによって軍艦の燃費は5%改善するという。

 通常、2軸プロペラの軍艦のラダーは、スクリュー軸からはオフセットして、ついている。その発想を転換した。「バルブ・ラダー」システムと称する。

 作戦中の軍艦にとって、航続距離が5%延びるのは、大きい。
 いまは25ノットでの抵抗を最小化することに主眼があるが、30ノットでも効果があるはずだ。

 「プロマス」にすると、従来より小さい舵面でも舵の効きが良い。また低速で大きく舵を切ったときの反応も良くなる。ということは、港で接岸するときの作業も楽になる。

 次。
 Joe Saballa 記者による2023-9-15記事「QinetiQ Unveils ‘Jackdaw’ Disposable Drone」。
    英国のメーカー「クインティQ」社が、「ジャックドー」と名づけた、安価に使い捨てできるジェットエンジン推進の無人機を完成しつつある。2020年代なかばに売り出す。

 最高時速は740km/時。
 滞空は3時間以上も可能。

 ※どうやら、高性能のターゲット・ドローンを開発していて、その副産物として、この簡略化製品が飛び出したようだ。

 ※宇軍情報部によるとカディロフ(山羊髭ブヒ男)の病気は腎臓疾患だとのこと。

 ※ドネツク州の Svitlodarsk にある露軍駐屯地に、宇軍のJDAM滑空爆弾が2発、着弾した。これは露軍のAAが薄くなっていることを示唆している。

 ※雑報によると、イルクーツクにあるDulisma石油会社の施設を、謎のPMCがヘリボーンしてきて占領したという。自動火器を乱射して従業員を追い払った。武装グループは黒ずくめのいでたちだがヘルメットを被っていない。軽油が密輸出される前に現物を押さえたいのか?


読解・富国強兵 日清日露から終戦まで (光人社NF文庫 ひ 1330)