Howard Altman 記者による2023-9-22記事「Exclusive Interview With Ukraine’s Spy Boss From His DC Hotel Room」。
『The War Zone』はこのたび、ブダノフ中将に独占インタビューした。場所はDCのホテル。
ロシアのジレンマはAAだ。モスクワも防空せにゃならんし、プーチン屋敷も守りたいし、前線にも置きたい。しかし分散するとガードは薄くなる。量産するのは高コスト。だから悩ましい。そこを衝くべし。
こっちのドローンによって、敵のSAMをひたすら消耗させることだ。SAMはすぐに涸渇し、簡単には補充できないものだから。ドローンはいくらでも量産ができる。
もうひとつ、副次的な効果がある。ロシアが自家宣伝している「高性能SAM」が、いかに役立たずであるかを執拗に示してやることによって、ロシアからそれを輸入しようという国が減る。それでロシアは貧乏になる。
モスクワがコンスタントにドローンで攻撃されているビデオほど、ロシアにとって痛いものはないのである。なぜならそれは、ロシア製のSAMは役立たずですよという事実の証明となっているから。もう誰もロシア製のSAMなど買わなくなる。独裁者が本気で自分の命を守りたいなら、その道具はロシア製SAMじゃない。そういう評判失墜が、連中にはとても痛い。
モスクワの上層市民にとっては、ウクライナ戦争は当初、「テレビの中のイベント」だった。しかしウクライナの特攻機がモスクワのスカイスクレイパーに突入するようになったことで、モスクワはビジネスを続けるのに安全な場所ではないことに、彼らも気付かされている。これによってロシア社会の戦争認識を転換させる。彼らも納税者として発言権がある。政府高官が税金を無駄遣いして低性能なSAMを製造しているからモスクワが防空できないという批難が始まる。
モスクワ圏内といえる「Chkalovsky」飛行場をミニドローンが襲撃したことの意味も、政治的・社会的に大きいのである。首都近郊でドローンゲリコマが跳梁しているわけである。テレビのプロパガンダとは逆に、じぶんたちの政府が無能であることがだんだんに知れ渡る。もちろん、「イリューシン20」はベルトコンベアで大量生産できる飛行機じゃないから、その損失は痛い。
とくに、プーチンが完全依存しているFSBの仕事ぶりにたいしてロシア国民が正常な疑問を抱くようになることは、どちらにとっても善いことだ。(たぶんFSBオフィス内にはブダノフの顔写真がダーツの的に貼り付けてあるにちがいない。)
地雷とFPV特攻機が遍在するようになった結果、AFVをふくむ車両部隊による地上突破はどちらの軍隊もできなくなった。車両部隊にできることは、住民のエバキュエーションと、味方部隊をごく短距離、運んでやることだけだ。
5月21日のバフムトに対するワグナー部隊の攻撃は、特別に注目される価値がある。あのときワグナーにはAFVはゼロだった。砲兵の火力支援のもと、歩兵だけで前進して、成果を上げたのである。連中は、あたらしい戦場に適応して、あたらしい戦法の手本を示した。このケースはもっと研究されてよい。
宇軍が攻勢に転移したことにより、死傷率は前より増えている。だが興味深いことに、現時点でも、露兵の死傷率の方が宇軍より高いのである。
しかしこれは気休めとはならない。
いま、戦争は、「人的資源vs.人的資源」のモードに入ってしまった。これだと、トータルの人口が多いロシア側にアドバンテージがあるから、今のまま、おなじことを続けていたら、先に宇側が力尽きてしまう。だからこのままではダメなのだ。
必要なのは、砲熕砲兵である。これが足りない。もうひとつは、敵の野戦指揮所を打撃できる長距離の地対地ミサイル。長射程ロケット弾があれば、敵の弾薬貯蔵所を破壊してやれる。これらが欲しい。
わが軍のHIMARSは85km届く。露軍はすっかりそれを学習している。コマンドポストと、燃弾貯蔵所を、前線から90km以上離して設置しているのだ。そこを粉砕してやらないと陸戦が流動化せず、単なる消耗競争が続いてしまう。
仮の話となるが、もしATACMSが供給されるようになったとしても、その数が100基ぐらいであれば、戦況はほとんど変化しないだろう。
もしATACMSで戦況が変わるとしたら、それが「数百基」使えるときだと思う。100発ではコマンドポストを潰しきれないのだ。
マスクがクリミア地域でのスターリンクサービスを停止したのは一瞬ではない。1ヵ月間、サービスが停止された。
ブダノフの妻は警察幹部で、警察大学校の教官である。
次。
Sarah Simpson 記者による2023-9-21記事「Series ‘A’ Financing to Build World’s Fastest Multirotor UAS」。
なんとマッハ0.4=時速300マイル で水平飛行できるクォッドコプターが登場だ。ターボジェットエンジンと発電機+電動モーターのハイブリッド。VTOL離陸したあと、空中で機体を横に倒す。燃料はJP-5を使用。
製品名は「Huntress II ターボジェット」。
メーカーの「ウェイヴアエロスペース」社では、これが世界最速のマルチローター無人機だと威張っている。
特に「全天候」性が強調されている。他の無人機では飛べないような悪天候の中を出撃できる。
来年から量産するための資金を、会社は募っている。
次。
Jocelyn Hong 記者による2023-9-21記事「Tactical Strike Damages Ukrainian MiG-29 Fighter Jets, Sheds Light on Russian Suicide Drones」。
ウクライナの「Dolgintsevo」空軍基地は「Kryvyi Rih」市に隣接していて、露軍との対峙線からは70km、南に位置する。そこに駐機していた「ミグ29」の機首部分に「ランセット」が命中&爆発したようである。そのビデオが投稿されているという。
固定翼自爆機であるランセットの最初のモデルは「Izdeliye 52」としても知られていた。そのレンジは40kmだった。
このレンジなら大した脅威ではないので、足のみじかい「ミグ29」や「スホイ27」をギリギリ前線に近い飛行場に展開させておくことが、宇軍には可能であった。しかし、これからはそうはいかなくなる。
※ザラ社はレンジ200kmのあたらしい特攻自爆機を開発したと宣伝している。水平対向2気筒(オイルの供給瓶のようなものが目立つから、おそらく2スト)エンジンの牽引プロペラ式。無尾翼だが三角翼というよりクランク翼形の全翼機。ウイングレットがあるが、横方向へのレーダー反射はとても小さいだろうと印象される。カタパルト射出。
次。
Joseph Trevithick 記者による2023-9-21記事「F-35A Has Flown From A Highway For The First Time」。
ノルウェー空軍はこのたび、F-35Aを、フィンランドの森林中にある直線ハイウェイから作戦させられることをデモンストレートした。
これまで米海兵隊が、B型を使って類似の能力を誇示しているが、A型で自動車道路から離陸したのはこれが世界初である。発進したということは、その前には着陸もやっているわけだ。
今回はそれだけでなく、「ホット・ピット」給油まで実施した。エンジンを暖気させている状態で、満タンにしてやり、ただちに発進させる。これで滞空時間がさらに延びる。
地上でぼやぼやしている時間の短縮にもなるから、敵に脆弱な隙を見せないことにもつながる。