ありがとうございました。41式山砲の車輪1個の重さは「31.9㎏」だとわかりました。

 100kgの砲身、92kgの「砲身托架」、92kgの「揺架」などの荷重を支えて、木製の「2輪」で地面を引っ張って延々と行軍させ、段差衝撃を繰り返し加えても壊れない、そのくらいの強度を得るには、木製車輪(鉄輪帯を巻いていることにも注意)も荷馬車の車輪と同じくらいに重くなる――。その《相場値》を知りたいと思いました。果たして「全木製自転車でインパール作戦は成功させられたか?」を考えるために……。

 ネットで調べたんですが、南北戦争中に両軍が使った「12ポンド山砲 M1841」。騾馬数頭にパーツをバラして駄載させることもできたし、騾馬1頭で曳くこともできた。ただし道路上に限る。
 車輪は1個が63ポンド=28.6kgだった。

 もうひとつ。米国で1856年から1860年にかけて、モルモン教徒たちが、北米大陸の東部から西部へ、「手押しの2輪荷車」に荷物を載せて移住した。牛馬を購入できず、人力で押し曳きした。
 この手押し荷車の車輪は直径が152センチ。重さは1輪が27kgだった。ヒッコリー材またはオーク材で、当時はボールベアリングも無し。おそらく、鉄輪帯を巻かなければこのくらいにできたんだ。しかしこれより軽くはできなかったと想像される。
 そしてその木製荷車には、荷物を113kg以上、載せられた。

 以下、兵頭の推定。もしも1944年に日本陸軍が「押して歩く」専用の荷物運搬自転車を全木製でこしらえた場合に、1814年のドライジーネのような全重23kg(これは「約50ポンド」という原文の換算にすぎまい)では、とうてい、運行衝撃に堪えるものにはならず、どうしても全体が130kgほどの「お化け自転車」にするしかなかった。それで、積載荷物の重さ上限が100kgくらい。だから木製自転車でインパール作戦に勝とうとするのはチト無理だったかもわからんが、もしも、昭和13年以降の「統制経済」で自転車生産を禁止せず、ぎゃくに軍用モデル(ペダルなし、チェーンなし、ギアなし、サドルなし、チューブ無しでリムにソリッドゴム貼り、スポークは木製で代用、押して歩く専用)を優先増産させていたなら、1954年のベトミン並の、1台に200kgの荷物を吊るしてジャングル内の小径を1晩に40km、リレーで推進することは、ビルマでもニューギニアでもガ島でも可能であった。コメ20kgで兵隊1人は1ヵ月生存できた。インパール作戦は4ヵ月だったから、80kgを吊るして行ったら、そいつは少なくとも餓死はしなかった。30kgもの背嚢負担重量がなければ――それも自転車にあずければ可いので――疲労から病気になることもなかったはずである。

 さらに、この発想を現代に活かすと、どういうことが可能か、考えてみた。
 「押して歩く自転車」の姿にトランスフォームする「81㎜迫撃砲」が、可能であるはずだ。
 まず、81㎜迫撃砲の主要3大パーツ、「砲身」「ベースプレート」「バイポッド」のうち、ベースプレートをABの2枚構造に分割する(発射姿勢では2重敷きとして使用する)。ABどちらも円形につくり、円周縁部にはソリッドゴムを巻く。

 このベースプレートABは、「運行姿勢」において、自転車の前輪と後輪になる。

 「砲身」の砲尾の脇には、短い管状の部品を熔接する。これは「運行姿勢」において、「自転車のヘッドチューブ」となる。

 「砲身」の砲口の脇には、短い棒状の部品を熔接する。これは「運行姿勢」において、「自転車の後輪の車軸」となる。

 「バイポッド」は、運行姿勢においては「T字」状に組み合わせ、それぞれ、フロントの「フォーク」(ただし1本棒、片側だけのカンチレバー)と、ハンドルになる。フォーク先端には「自転車の前輪の車軸」となる短い棒状の部品が熔接されている。
 ハンドルは、左側がきょくたんに長い。その方が、押して歩くには便利なので。

 この「迫撃砲トランスフォーム自転車」には、サドル、トップチューブ、シートチューブは、無い。もちろんペダルもチェーンも歯車もつかない。

 「砲身」は、運行姿勢においては「自転車のダウンチューブ、兼、シートステー」になる。

 砲身は15kg強の重さ。タイヤ(二重ベースプレート)も、2枚で15kgくらい。バイポッドは13kgぐらい。それに照準器が付属するから、トータルで45kgくらいになる。

 この45kgが、そのまま、「押して歩く自転車」になるのだ。
 従来、迫撃砲は、歩兵に担送させようとすれば、3名以上が必要で、しかも、それら歩兵は、長距離行軍ではたいへんに疲労した。

 自転車トランスフォーム迫撃砲ならば、兵1名で、何十kmだろうが、押して歩いて行けるだろう。ビルマの道の無い山岳ジャングルを、470kmくらい押していくこともできたはず。ニューギニアのオーエンスタンレー山脈越えならその半分以下の道のりだ。すべてのパーツが頑丈な鋼鉄製だから、途中で壊れることはないだろう。

 ウクライナ支援や台湾支援に必要なのは、こういうのだろうと、私は信ずる。

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 Brendan Cole 記者による2023-9-25記事「’Air Regiment Leaders’ Killed as Drone Self-Destructs on Russian Airfield」。
    新手のUAV自爆作戦。こいつはひっかかるわ。
 月曜日、クルスク市から5マイルにある「Khalino」飛行場。ここに、ウクライナから飛んできた無人機がスーッと着陸した。
 「何だ?」と思って基地内のFSB将校が近寄ったら、轟然と爆発したという。将校、死亡。

 負傷者の中には、「スホイ30SM」から成る第14親衛戦闘機飛行連隊の部隊長も含まれていた。

 UAVの機種名は不明だが、固定翼の「パニッシャー」かもしれない。

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 2023-9-26記事「Blighter A800 detects micro-UAS at over 2,000 metres」。
    ホビー級のちっちゃなドローンの接近を専用警戒レーダーで見張るとしたら、レーダー覆域はどのくらいになるだろうか?
 ブライター社の最新製品「A800」の場合、2km先から探知できるという。

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 Defense Express の2023-9-26記事「russians Stretch Anti-Drone Nets Near Bakhmut, and It Could Prove Effective」。
    バレーボールコートの横断ネットみたいなやつを、農道に張り渡し、それで、ウクライナ軍の特攻ドローンから、味方のAFVを守ろうという新工夫を、ロシア軍がし始めた。
 ベトコンの補給道のジャングル樹冠天蓋トンネルみたいで、なかなか着想はイイのだが、FPVドローンはネットを越えて急降下できるし、側方もガラ空きなんだよね。

 露軍は現段階では、バラクーダみたいなネットを用いているのだが、すぐに気付くだろう。これはむしろ「かすみ網」仕立てにした方がイイと。

 つまりFPVのカメラ画像は不明瞭なものだから、「かすみ網」なら気付かないで突入してしまうかもしれないのだ。バラクーダなら、ぎゃくに遠くからもすぐに視認できる。

 わたしは千葉県に住んでいたときに、ホンモノの「霞み網」を、夕方の刈り取り後の田んぼで見た。目の良いスズメでもかかってしまう。「門前雀羅」とはこいつかと感心。こういうのが、これからの対ドローン阻塞法の真打になるかもしれない。

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 Joseph Trevithick 記者による2023-9-25記事「Our Best Look At Ukraine’s ‘Marichka’ Submarine Drone」。
   ウクライナ発の宣伝ビデオで「マリチカ」と名づけられた短魚雷型のUUVの動画と、実物のスチル写真がSNSに出回っている。
 物資補給もできるし、敵軍艦のキール下で自爆することもできる、海底で鎮座待機することもできる、という宣伝内容。

 全長は6m。飛行機の翼のような潜舵を左右に4枚、出し入れすることができる。
 動力は電池の電動のみのようだ。

 宣伝によれば、低速で1000km移動できる。
 単価は43万ドル強だという。
 これを製作しているのは「AMMO Ukraine」という民間有志団体。資金はクラファンで得ているという。

 ※けっきょく全自動でどうやって水中ナビゲーションさせるか、なんですよね。そんなナビシステムは素人工房には開発ができないから、このアイテムも「宣伝」にしか使えないと判断されたのだろう。実用になるのなら、こんなビデオは作りません。こっそり量産して、大戦果を狙う。それができないから、しょうがねえから「宣伝兵器」にでも使えや、となったのだろう。Wunderwaffe =ワンダーウェポン がロシア人も大好きだからね。あと全然かんけいないが、長い竹の棒を川に投入し、その上に地下足袋の半裸男が「立ち乗り」し、そのさいに、もう1本の竹の棒を「バランス・バー」兼、突き竿 として操ることによって、いとも簡易に、対岸まで「渡河」してしまうことができる。見た目は「ウォーク・オン・ザ・ウォーター」の東洋版だ。工兵隊は、このテクニックをもっと研究するべきだと思う。竹なんて、内地ならどこにでも生えているんだから。それと、このような、少し撓[しな]らせることができる「長い竹竿状の浮きモーター」を、海上の特殊作戦にも使えるんじゃないか? 「防雷網」をゆっくりと乗り越えたり、網の隙間を貫通させたり、簡単にできてしまうはずなので、重宝だと思うんだが……? これには、舵なんていらない。乗っている人間が舵代わりになるのだ。

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 ストラテジーペイジの2023-9-26記事。
   スペースX社が開発した、衛星投入用ロケットの「ファルコン」が絶好調。
 なにしろ「リユーザブル」。同じロケットを繰り返し使える。この技術は未だ中共にはないのである。西側のライバル企業2社も、けっきょく開発は挫折した。スペースX、ひとりがちィ!

 今年は、9月の前半時点で「ファルコン」は、63回、衛星投入に成功した。だいたい4日に1回、打ち上げているわけだ。

 昨22年は、ファルコンは、1年通算で61回の打ち上げだった。今年のペースの上げ方が凄い。

 ロケット第1段目の「ファルコン9」は、最大20回、繰り返し使用できる。

 現状、多くのブースターが、じっさいに10回以上、繰り返し使用されつつあり。

 1回使用して、再整備する、そのコストは50万ドル。
 もし、使い捨てブースターだったら、1回の打ち上げに6200万ドルかかるが、リユーザブルにするなら、それが3000万ドルで済む。圧倒的な価格競争力と言えるだろう。

 客の打ち上げ要求に迅速に応える商売としては、ファイアフライ社の「アルファ」ロケットがある。全重54トン、ペイロード1トンを高度200kmのLEOに、もしくは630kgの衛星を高度500kmのSSO(太陽同期の南北周回軌道)に投入できる。

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 Hana Kusumoto 記者による2023-9-26記事「Japan plans new ammo depots amid security concerns from China, North Korea」。
    日本国内には1400箇所の軍需品倉庫/弾薬庫があるが、防衛省は追加で130箇所を新設/増築する。

 FY2024では、まず宮崎県の「えびの」基地と、沖縄の米軍トレーニングエリア内に5箇所。ここから工事をスタート。

 北海道では、6箇所について予備調査をする。

 また防衛省は、弾薬量産体制も強化する方針である。

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 William Booth 記者による2023-9-26記事「Monster machines floating on the waves could be the future of wind energy」。
    高さがエッフェル塔と同じで、重さが1万2000トンもある「浮体」の洋上風力発電タービンがすでに北海で2基、稼動開始している。ノルウェーの国有企業が事業主。
 このサイズは、世界最大。

 設置海面は、陸岸から90マイル沖。

 3枚翅のブレードは、その1本の長さが265フィート。
 これが1回転するたびに、ノルウェーの1軒家が1日消費するのと等しい電力を発生する。
 それが、毎分10~15回転する。すなわち、1年稼動させれば、52万5600軒分の1日分の電力を発電する勘定だ。

 ブレード先端の移動速度は時速180マイルだ。
 暴風になったときは回転を自動で止めるようになっているという。