雑報によるとベラルーシに近い露領のスモレンスク市内にある飛行機工場に宇軍の自爆UAVが突入した。ウクライナ国境からは300km離れている。

 Philip Butterworth-Hayes 記者による2023-9-29記事「Frontex announces finalists in its low-flying-object-detection competition」。
    EUの国境警備&コーストガードを担任しているのは「フロンテックス」という機関。
 ドローン、パラグライダー、超小型飛行機などでEU国境内に不法に入り込もうとする輩を探知する、低空専用レーダーを公募していたが、このほど3社に絞り込まれたと発表。スロヴェニアの「DAT CON」社、スウェーデンのテレダインFLIR社、エストニアの「マルデュク・テクノロジーズ」社。

 ※NHKの「突撃カネヲ君」の録画を視ていたら、土佐のカツオ漁船には「海鳥レーダー」なるものが搭載されており、最大25km先から捉えると。しかも値段は1000万円。安い! ドローン対策はこれで決まりではないかと思った。それでネットで調べたら、メーカーは「フルノ」で間違いなさそうだ。Sバンドで60キロワット。対舟艇の機能もあり、理論上、40km(水平線ギリギリ)遠くの他の漁船を複数「ターゲット・トラッキング」できる。イージス艦かよ! また3500万円のソナーでジンベイザメを探知できるという。海鳥もジンベエザメもイワシの群を追いかけているので、その動静が分かれば、カツオの先回りができるというわけ。ところで5.5m~10mの巨魚を探知できるソナーは、5mの金属製のUUVも探知できるだろう。「フルノ」のデュアルユース品のポテンシャルは、チト凄すぎないか? 中共のスパイに技術を抜かれないように、用心して欲しいと思う。

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 Defense Express の2023-10-1記事「New russian Missile for S-400 Will Specialize Against On-Ground Targets」。
    ロシアはS-400をますます「SSM」として使うつもりで、それ専用の弾薬を量産するようになった。
 ここでレーダー基礎知識。
 もし、SSMが、弾道最高点が地上からの高度10kmに達するのであれば、そのミサイルは、水平距離400km先から探知され得る。しかし、もし弾道弾ではなくて、地上から10mの高さを巡航するミサイルだったならば、それを探知できる水平距離は、たったの17kmである。

 S-400の地対地バージョンは、キーウに対して距離200km以上から発射されて着弾している。弾道の最高点は地表から3kmだ。 ※それは低すぎないか?

 そして、落下中にはいっさい、誘導はしない。対都市ならば、それでいいのである。どこかに落ちて爆発してくれれば。

 誘導しなければ、ポテンシャルとして、飛距離は250kmに達する。

 あるロシア人の試算。S-200を地対地に転用する場合、理論上、レンジは600kmに達するだろう、と。

 意図的にロシアがビデオ公開した、発射パラメーター表がある。レンジ150kmを狙う弾道弾は、最高弾道点が地表から40kmになる。

 S-400の弾頭重量は対空バージョンで180kg。これを同じ重さの単純なHEに換える。小細工して弾頭重量を軽くすると、重心が変化してしまうので、むしろマズい。

 ※これに対してウクライナは、国産の中距離SSMの製造拠点を国外に移すという。

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 2023-9-25記事「Ukraine’s President Volodymyr Zelenskyy Faces Criticism for Grain Dispute with EU」。
   タイトルそのまんまの内容。

 ※ポーランドその他の旧東欧諸国がなぜモヤモヤするかというと、ウクライナは、国家の存亡がかかった本土防衛戦争をしているさいちゅうに、なに平時感覚で輸出用の耕作なんかやってんの? ――ということではないだろうか? ウクライナはロシア以上に「国家総動員」の体制になっていなければおかしいのに、それをしようとしていないで、あまったれた要求を続けているのが非常に不快に感じられるのだろう。ロシアは人口1億4340万人(2021統計)の人口大国であるから「片手」で戦争してもいい。しかしウクライナはその四分の一の人口で露軍を迎え撃とうという立場なんだから、遊んでいる奴とか、ふつうに農業やって輸出しているような奴が国内に残存しているというのはおかしいだろう? 某報道では、現在のウクライナの人口はポーランドの人口より少なくなった。ポーランドの2021年人口は3775万人である。仮に今のウクライナ国内には3700万人しかいないとしよう。ネット調べによると、開戦前、ウクライナの農業人口は全国民の14%であった。仮に、3700万人のうち14%がひきつづいて農民だとすれば、3700万人×0.14=518万人。さらに、ざっと、そのうち「1/6」が兵役に適すると考えると、518万人も兵役適齢者がいる。ロシアは年末にかけてさらに三十数万人の新規徴兵をするつもりである。敵は人数競争で勝てると期待しているのだ。その皮算用を打ち砕いてやらないとまずい。ウクライナは「国家総動員」体制にきりかえれば、兵隊の人数を来年以降も露軍と互角に保てるのである。農民に農業をさせていてはいかん。戦争が終るまで、農業生産は国内需要を満たす分だけに縮小する。それによって浮いた人的資源を兵隊か軍需工業に充当する。この結果、従来、農業と農産品輸出に使っていたトラックは軍需工場で使えるし、トラクターは砲兵隊や補助部隊で使えることにもなる。アゾフ海はもちろん、クリミア半島の周囲は機雷だらけにしてやれる。西側諸国は、小型エンジンなどの長距離自爆UAVに必要なパーツをウクライナ国内に搬入してやれば、軍需工場でそれをアセンブルして、ひっきりなしにモスクワを空爆できるようになる。そうなって初めてロシア国内の世論の風向きも変わる。

 ※ウクライナは世界第三位の「菜種」の輸出国だという。これも恵まれている。菜種油は、非常時には「燃料」の代わりになるからだ(農機のディーゼル機関を回すこともほとんど問題なくできる)。そこでこういう手が可能である。ウクライナ東部の、すでに露軍に占領されている域内で、ロシアから東欧にガスを供給しているパイプラインを挺進隊が爆破する。もちろんそれはロシアのファルスフラッグだと叫ぶ。もちろん米国に対しては一切何も説明しない(何の説明も受けていなければブリンケンも何もわからないと声明するしかなく、それは嘘をついたことにならない)。その上で、パイプライン経由のガスが買えなくなった東欧バイヤー国に対して、「見舞い代りに菜種と小麦とトウモロコシを無料で進呈したい」とゼレンスキーが申し出る。これで余剰穀物の問題もなくなるしスロヴェニアのような国に対しては警告になる。こういう、敵にとってリアルに痛い、しかも、味方にとっても意表外なイニシアチブを発揮できる戦時指導者のタマが無いというところが、残念ながら小国の現実だ。現状では、敵に「いたされている」ばかりで、そんな戦争指導なら案山子にも務まる。

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 AFP の2023-9-30記事「UK government to push back on ‘anti-car measures’」。
    英国保守党の長期的な都市交通政策ビジョン。「15分都市」をつくり、その時点では自動車は「時速20マイル=32km/時」しか出してはいけないことにする。
 「15分都市」とは、市民生活に不可欠な用事は、徒歩や自転車ですべて済むように緊要サービス拠点を配置する都市改造計画である。
 「時速20マイル規制」は、自動車をハイスピードで走らせることを禁ずる。それにより、人々は、長距離移動には鉄道を使うようになる。

 労働党も負けてはいない。労働党が優勢なウェールズ政府は、いくつかの住宅地について、従来、30マイル/時を自動車の最高速度制限としていたのを、20マイル/時に設定し直した。

 スナク首相は9月前半に発言している。英国は、よりプラグマティックで、均衡がとれた、現実的なアプローチを採用する。それによって、ゼロ・エミッションの目標をめざす、と。
 具体的には、内燃機関エンジンの自動車を販売禁止する年を2030としてきたのを、2035に変更した。

 ※「低速移動社会」は日本にも必ずやってくる。低速移動に強い内燃機関は、自動車メーカーやオートバイメーカーではなく、むしろ、農機具メーカーや漁船エンジンメーカーが持っている。ホンダはすでに農機具メーカーとタッグを組んでいろいろやっている。ヤマハ発動機は最初からそれを持っている。もし、トヨタ以外の車両メーカーが「一発逆転」でトヨタに勝ちたいと願うのならば、これこそが近道だと思うぞ。マジな話。

 ※敗戦後の復興期の日本の一部の公道には、荷車用の《低速車優先レーン》があった。とりあえずこれをすべての都市で復活させるとともに、「小特」カテゴリーをこれからの老人社会向けにフル活用できるようにする法令整備(解釈改正)に着手するのがよい。

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 APの2023-9-29記事「Mexico’s president slams US aid for Ukraine and sanctions on Venezuela and Cuba」。
   メキシコ大統領のアンドレス・マニュエル・ロペス・オブラドルは、米国の外交政策を非難した。米国がキューバ、ベネズエラ、ニカラグアに経済制裁をしているので、これらの国々から難民が米国を目指すのだという。

 メキシコからは、合成違法薬物(代表はフェンタニル)が大量に米国に流れ込んでいる。

 また南部グァテマラ国境ちかくでは麻薬カルテルが地域を支配してしまった。警察が入れないように道路を封鎖し、送電線も切断したので、今、そこにメキシコ軍を派遣しようとしている。

 オブラドルは、米国はウクライナ支援金の一部をラテンアメリカの開発のために使うべきだと発言した。

 ※中米は言うなれば「米国のオキナワ」だろう。米西戦争いらい、スペイン本国には合衆国に対する強い恨みがある。そのムードが間接的にラ米のスペイン語圏の支配層に蔓延している。そこをソ連は重視して、スペイン内戦当時からスペイン語工作員を熱心に育成し、何十年も活動させてきた。その投資の回収が今も続いていて、ラ米はウクライナ戦争に関してはロシアの味方なのである。すごい。敵の工作員に完全にヤラれている連中に何を言っても無駄だ。

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 2023-9-30記事「Yugoimport Promotes SARAC 99 20mm Large-caliber Long-range Anti-materiel Rifle」。
   ユーゴイムポート社が、口径20mmの対物狙撃銃(セミオート)を売り出した。
 弾薬は、20×110ミリのイスパノを使う。
 機関部は「M55」という高射機関砲に使われていたものを母体に改修したようだ。

 この銃は2人がかりで持ち運ばねばならず、射撃にはスポッターと弾薬手が補助につき、3人がかりとなる。

 ※人手不足で各国軍とも困り果てているこの時勢に、3人がかりのセミオートの20mm銃とか、馬鹿じゃねえの? パーソン・パフォーマンスが低劣すぎるだろう。どうせ2人で担ぐのならば、この銃に、アジマスとエレベーションを電動モーターで微調整できる「メカトロニクス」を組み付けて、バットストックを廃止してしまい、射手は離れた壕内から有線ケーブルを通じてモニター画面で照準スコープを確認し、発射許可コマンドだけ送るようにするとよい。まぁ、このメーカーじゃ無理だろうが……。

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 Andrew Salerno-Garthwaite 記者による2023-9-29記事「Australian Army to U-turn on multi-role brigade restructure」。
   豪州陸軍は、2011年発表の計画では、第1(機械化歩兵)旅団、第3(軽歩兵)旅団、第7(自動車化歩兵)旅団の、3個の常備旅団を、すべて、同じ構成のマルチロール旅団に変える、としていた。

 だがこのたび、新計画が発表され、第1旅団は「軽戦闘旅団」にし、第3旅団は「機械化旅団」にし、第7旅団は「自動車化戦闘旅団」にすることになった。

 また新計画では、1942年に解隊された、「第10旅団」を復活させ、「火力(支援)旅団」にする。