発射は4名でできても、それだけでは複雑なシステムは維持できない。
修理、補給、指揮などに別な人数が要る。
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Matthew R. Costlow and Keith B. Payne 記者による2023-11-15記事「 TLAM-N and SLCM-N: Lessons for Extended Deterrence and Assuring Allies」。
TLAM-Nとは、潜水艦から発射する核弾頭付きの対地攻撃用トマホーク巡航ミサイルである。
SLCM-Nとは、やはり潜水艦から発射するトマホーク巡航核ミサイルである。
米軍がTLAM-NをSSNと水上艦に実装しはじめたのは1983年のレーガン政権時代であった。
これについてワインバーガー国防長官は1986年に議会にこう説明している(年次報告書)。
この流儀は「費用対効果」が優れている。SSNと水上艦は多数あり、しかも分散しているので、ソ連はそのすべてを先制破壊できない。多くのプラットフォーム艦がソ連からの第一撃を生き残り、確実に核報復するだろうとソ連は理解する。よって抑止になる。
またいわく。TLAM-Nは米国の戦略核の予備戦力ともみなされる。また全世界に核抑止を顕在せしめる手段になる。また、ソ連のバックファイアとバジャーが、核弾頭付きの空対艦ミサイルによって米艦を先制攻撃してやろうとの企図を、抑止する。
結果を読めなくしてやることによって、敵の親玉が、海上での核戦争などを夢想できないようにしてやるのだ。
TLAM-Nは、その始まりから、海外地域での「拡大抑止」にむすびついていた。
ワインバーガーの意図は、さいきん、当時の文書が秘密解除になって、確認ができるようになっている。彼が統合参謀本部議長に与えた注記など。
1987に米国はソ連とINF全廃条約を結ぶが、それにもかかわらず西欧に対する「拡大抑止」は維持された。それはTLAM-Nがあったおかげ。
いくつかの同盟国は、TLAM-Nこそが、米国が発揮している拡大抑止の唯一の正体だと理解していた。
しかし冷戦が終了するや、米政府は、TLAM-Nを水上艦/潜水艦からことごとく陸揚げさせ、米海軍の陸上倉庫中に保管させる措置を取った。
米海軍はその後も、もし緊張がまた高まってきたときには、命令から30日にして、陸上倉庫のTLAM-Nをふたたび水上艦やSSNに揚搭して、再度、核武装化できるように、演練だけはし続けた。
2010年、オバマ政権は、「NPR」の中で、TLAM-Nを全廃する法令を整えた。その説明によれば、米軍の戦略爆撃機と、核爆弾運用可能な戦闘機が「前方展開」できる以上、それにTLAM-Nを付け加えても、不必要に冗長なだけである、と。
これはおかしな話である。2010年以前にも戦略爆撃機はあり、多数の戦闘機が核爆弾運用可能であった。1950年代からそれらはあったし1983年にもそれらはあった。しかし1983にTLAM-Nは確証性に満ちた核抑止手段として、それら航空機にプラスされ、意義が認められたのだ。
「2010 NPR」は説明する。冷戦が終わり、もはや米国や世界にとっての最大の危険は、他国と核戦争ではなくなったのである、と。むしろ、核テロと核拡散を阻止することを重視しなければならない。その努力の一環として、TLAM-Nは廃止するのである、と。
米国、米国の同盟国、パートナー国は、ますますもって、米軍の無類の通常戦力、ならびに「ミサイル防衛」手段によって、その安全が守られるようになっている、と。
NPR2010は、初めて、米国の筆頭のアジェンダを「核の不拡散」であると宣言した。それが核の全廃への一歩だ、とも。
異常なNPRであった。米政府が、核戦争の抑止確証よりも、核兵器全廃のための不拡散の方が重要だと言い始めたのだ。
米政府のこの路線は、日本政府と韓国政府に重大な懸念を抱かせた。この2国にとり、TLAM-Nが消えることは、米国による拡大抑止が消えることと同義だった。
2009に連邦議会の超党派の「戦略体制委員会」は結論を出している。アジアの同盟国は、ロサンゼルス級SSNに搭載された核弾頭付きのトマホーク・ミサイルを、拡大抑止として深刻に恃みにしている。そして、米政府が核戦力政策をどうするかの論議の蚊帳の外に置かれている、と。
この委員会は、日本政府がTLAM-Nの退役について重大な関心をもっていることを、このときに承知した。
ジョン・フォスター博士の議会証言。低イールドで、コラテラルダメジが最小で、硬化目標(核ミサイルを納めてあるトンネルなど)を破壊できる手段として、日本政府はTLAM-Nの米SSN配備を高く評価し希望するであろうと。
NPR2010の、公表前の事前説明の場にて、オバマ政府の高官は、こう強調した。TLAM-N引退の決定の前に、日本政府とは協議していると。また、これからも相談は続ける、と。アジアでも、米軍の戦略爆撃機と、核運用可能な戦闘機による「拡大抑止」機能は強化できる、と。
これは嘘であった。米空軍の戦略爆撃機は、アジアには前方展開されていない。その逆に、「New START」条約にて、相当の数の爆撃機が、核兵器を搭載できなくされている。
「ミサイル防衛(MD)」が拡大抑止の穴を満たすなどという脳内妄想ももちろん、TLAM-Nの代用になるものではなかった。
トランプ政権下、「NPR 2018」は、今日、SLCM-N と呼ばれているものの導入を標榜した。
それは、INF条約違反を推進しているロシアへの回答だと宣言された。
SLCM-Nも、低イールドである。
そして米政府による「拡大抑止」コミットメントの闡明であるとした。
日本政府は狂喜したそうである。
しかしバイデン政権は「NPR 2022」で、SLCM-N計画をまた葬った。
バイデン政権の方針を承けて、韓国大統領Yoonは、韓国が独自の核兵器を開発するか、もしくは米軍が戦術核兵器を半島に再導入するか、どっちかにしなくては、と言い出している。
これを宥めるためにSSBNが韓国に寄港している。
だがその程度では韓国が満足する「拡大抑止」にはほど遠いのである。
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Sarah Simpson 記者による2023-11-14記事「Elistair unveils KHRONOS a push-button drone-in-a-box solution designed for ISR operation from vehicles and fixed platforms」
簡単きわまる、有線の見張りドローン。
重さは66ポンド。
見張り半径は10km。夜間も見通す。
連続24時間、浮かんでいられる。
車両(ピックアップトラック)が走行すると、浮いたままそれについてくる「フォロー・ミー」モードあり。もちろんテザリングされている状態で。凧揚げの凧みたいなもん。
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Kate Plummer 記者による2023-11-14記事「The NRA is Slowly Dying」。
2013年時点で全米ライフル協会のメンバーは1000万人もいた。
しかし2023-1時点では、430万人だという。
会員が半減したということは、本部が集める会費も減ったわけである。それは銃器擁護のロビー活動に響かざるを得ない。
2022年にNRAが集めたカネ(会費+協賛金)は、2億1300万ドル。※最盛期はその倍かよ!
会長のラピエールは、2020年にNY州検事局から訴追されている。会への寄付金を着服し、じぶんの家族のバハマへの大名旅行に使ったとして。その裁判はまだ続いている。
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John Hill 記者による2023-11-14記事「MBDA Germany plans full-scale production of Enforcer before end of 2023」。
MBDA社が2019末にドイツ軍から受注した「エンフォーサー」という個人携帯ミサイル。量産に入った。
このミサイルは肩射ち式で、有効射程1800m。
これが「対ドローン」のミサイルとして期待されているという。
発射チューブやサイト込みで、重さは12kg未満である。
光学照準器はスウェーデンの「Aimpoint」社から供給される。
飛翔体は径89ミリである。その重さ、7kg。
IR画像にロックオンして、追尾する。