能登半島北部のような「海に近い僻地」は日本中に多い。
VTOL型UAVの往復の飛行ルートを海上だけに限定し、荷物を下ろす場所を海岸際の道路等と指定するならば、万一、機体が途中で墜落したり、荷物が不意に落下しても、地上に被害を及ぼすおそれは無いわけである。
だとすればFAA流の型式認証や、それに準じた国交省の規制を、画一的に適用すべき社会的効用は小さい。
UAV運用の、わが国独自の「新カテゴリー」が必要なのである。
機体は、VTOL(垂直離着陸)ができること。
出発地の基地が、海岸線にあること。もしくは、洋上の船舶が発進点であること。
荷物の届け先も、海岸線であること。これには、離島の海岸線も含まれる。
「出発地」と「届け先」のあいだの飛行ルートが、すべて海上であること。
この四要件を満たすならば、思い切って、無人機の機体の大きさやMTOW(最大離陸重量)の制限をなくしてしまうべきだ。
出発地の基地には、利用する会社が合同で強力な通信アンテナを設立できようから、見通し距離外のリモコンをするのに、心強い。
これによって、誰が助かるか?
たとえば先島群島からの住民のエバキュエーション。
無人機でゴムボートや折畳舟を海岸に配達してやる。前浜には「無人の曳き船」をドロップしてやる。
住民は、ロボット曳船に曳航されて、とりあえず大東諸島方面へ。
途中で有人の船舶が待ち構えて、ピックアップすることができる。
今次震災のような僻地災害に際しては、その有用性を説明するまでもないだろう。
ちなみに、下記に紹介するような、無人のタンデムローターヘリは、ローターの回転面が地面に近いので、人がうかつに近づくと危険である。よって、救援先の地上に着陸させるのは、海岸道路であっても好ましくない。海岸は風が強く、あおられる危険も大だ。無人VTOL機は、建物の軒高よりも高いところでホバリングしつつ、ロープでゆっくりと荷物を下ろし、荷物が着地したところで、ロープも切り捨てて飛び去る、という流儀が好ましい。
届ける荷物の中に、輸送用の手押しスクーターを混ぜておけば、あとは住民が物資を分配できる。
さらに、将来の、北方領土回復進駐作戦の初動にも、こいつは使える。
以下に、現用のバートル型無人機のサンプルを紹介する。
次。
「DP-14 Multi Mission UAS」。
「DP-14」は、無人のバートル型ヘリコプター。荷物を200ポンド積んで81マイル飛べる。最高速力は105ノット。
ペイロードは、短距離なら430ポンド可能。
荷室は長さ6フィート以上あるので、大の男の怪我人を1名、仰臥位のまま、風雨にさらさずに、空輸できる。
※この提案は宣伝としてはインパクトがあるのだが、現実的ではない。
荷室は23立方フィートある。
横風40ノットのときでもホバリングしていられる。
地面の斜度15度でも着陸可能。
ローターを畳めば、この機体をそっくり、20フィーターの舶用コンテナ内に格納して、トラックで運搬できる。
ローターの取付けや取り外しは、5分の作業時間で済む。
リモコン操縦は2名で行う。離陸準備は15分で済む。
無線リンクが途切れたときの安全な着陸プロトコルあり。
指定座標から誤差3mに荷物をドロップできる。
推奨巡航速度は90ノット。
外気温は、マイナス12度まで動作保証。
エンジンはターボシャフト×1基で、そのトルクを2軸に分配している。
※ニュージャージー州にあるこのメーカーは遅くとも2007年からバートル型のタンデムツインローターのUAVにこだわってきた。少しずつ性能を向上させてきた実績は信用がおける。
※イスラエルのIAI社も「ゴースト」というバートル型のUAVを2011年に売り出していたが、電動の偵察機で、荷物運搬力はほとんど無かった。誰も知らないうちに消えた。
次。
China Defence Website の「GQ-580 Unmanned Helicopter」。
中国のメーカーが売っている「GQ-580」というタンデム・ツインローターの無人輸送ヘリ。
MTOWが580kgで、ペイロードは最大200kg。
レンジ1200km。
高度は7000mまで行ける。
滞空8時間可能。
最大速度158km/時。
※エンジンが不明。
次。
中国の「Xi’an Supersonic Aviation Technology Co., Ltd」という会社がネットで宣伝している、輸送用の無人ヘリコプター。
タンデム・ローターで、いちどに200kgの荷物を運搬できる。ただしその場合の滞空時間は1時間。
荷物を50kgにすれば、4時間まで延ばせる。
巡航速力は110km/時前後。
外寸は、3.9m×1.1m×1.65m。MTOWは500kg。
高度は4500mまで行ける。
風は13m/秒まで平気。
※やはりエンジンに言及なし。